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第八章〜統一戦争〜

第98話 国王更迭

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「まだ第四軍団は到着せんのか!?」

バーンイルの国王宮殿の玉座の間にて、ジョンは相も変わらず落ち着きなかった。

「……」

ジョンの様子を近衛兵は冷めた目で見つめる。
近衛兵がそんな目で見ている理由としては、第六混成師団がやられたと聞いた時、彼は直ぐに逃亡する準備を進めていたが、大帝国から第四軍団を派遣するという報告を受け、いつも通りの態度を取り始めたからである。

(所詮は虎の威を借る狐か…)

何故こんな奴に仕えているのだろうと思いつつも、近衛兵達は仕事へと集中することにした。
すると、そこに1人の臣下が入ってきた。

「国王陛下!ソラリス大帝国の帝国陸軍ロイヤルグランド第四軍団アポストルスが、到着致しました!」

入ってきた臣下は、ジョンに跪きながら、第四軍団の到着を報告した。

「ようやく来おったか!」

その報告を受けたジョンは臣下の方を向く。

「それで、第四軍団軍団長のフィーデス殿が、国王陛下への謁見許可を求めているのですが…」

「許可してやれ」

「はっ」

臣下から、アーテが謁見許可を求めていると聞いたジョンは、迷うことなく許可することにした。
許可が出たことにより、臣下はそのことをアーテに報告すべく、1度玉座の間から退出して行った。
臣下が退出してから数分後、

「ロレック王国国王、ジョン・ロレックは居るか!?」

武装している部下を数名引き連れ、アーテが玉座の間に入ってきた。

「な、何だ貴様ら、無礼だぞ!!」

敬語を使うことなく、武装した状態で入ってきたアーテ達に、ジョンは怯えつつも王としての威厳を保とうと怒鳴りつける。

「ジョン・ロレック…!」

「ひぃ!?」

しかしながら、アーテに睨みつけられ、名前を呼ばれただけで、ジョンは恐怖のあまり情けない声を出してしまう。

「統治資金の横領、軍事物資の横流し、この度の戦争による甚大なる被害などなど…貴様がやってきたことは国賊同然だ…ジョン・ロレック、貴様を更迭する!おい、連れて行け!」
「「はっ!!」」

アーテの合図と共に、4名ほどの兵士が銃口を突きつけ、近衛兵を牽制する中、他の2人がジョンの元へと向い、手錠をつける。

「おい離せ!!私はロレック王国の国王だぞ!?離さんか!!近衛兵何とかしろ!!」

逃げようとジョンは暴れるが、鍛え上げられている兵士と安全な場所で怠けていた者では、力の差は雲泥の差で、ジョンは抵抗虚しく連れられて行く。
近衛兵に助けを求めても、銃口を突きつけられている状態の上、自分の命を賭けて助ける義理はないため、無視される。

「クソがァーーー!!」

そして、ジョンは最後の最後に叫び声を上げ、そのまま連れられて行った。
ジョンが連れられて行った後直ぐ、機材を持った兵士が入ってきて、その場にて機材を組み立て始めた。

「軍団長、通信準備整いました」

「ご苦労」

通信機の設置が終わったという報告を受け、アーテは通信機のマイクを手に取った。

「通信開始せよ」

「了解。通信機起動させます!」

アーテの合図と共に、通信兵は通信機を起動させた。

「こちら、ソラリス大帝国帝国陸軍ロイヤルグランド第四軍団アポストルスの軍団長、アーテ・フィーデスだ!ロレック王国全土にいる国民に告ぐ!先程、我が軍はロレック王国元国王ジョン・ロレックを更迭した!更迭理由としては、奴が今まで行っていた不正と、この度の戦争劣勢が奴の無茶苦茶な指揮が原因だと発覚したからだ!ロレック王の更迭により、本日からロレック王国は、第四軍団が直接統治することになった!繰り返す!これよりロレック王国は、第四軍団が直接統治する!」

通信機を起動した後、アーテは連盟軍が支配していないロレック王国の全土に向けて、ジョンの更迭と第四軍団がジョンに代わり統治するという報告を一方的に行う。

「…通信終了」

アーテの頷きを見た通信兵は通信機を切った。

「あの…現地は混乱していると思うのですが…これで宜しかったのでしょうか…?」

近衛兵の1人が、恐る恐る自身が疑問に思ったことを質問する。

「問題ない…混乱は絶対起きると思って、各都市に第四軍団に所属する師団をそれぞれ派遣した。多少の混乱はあるでしょうが、すぐに落ち着くわ……あっ、貴方達疲れているでしょ?今日は帰っていいわよ」

近衛兵からの質問に、アーテは対策済みということを伝え、近衛兵達を拘束せずに帰るように伝えた。

「「「「し、失礼します!!!」」」」

アーテから帰宅を勧められ、近衛兵達はアーテに一礼した後、そのまま退出して行った。

「さて、後は副団長の方ね…」

やらなければならないことを終えたアーテは、別のことを頼んでいる副団長達が、いい知らせを持ってくると信じて、報告を待つことにした。
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