104 / 138
第八章〜統一戦争〜
第98話 国王更迭
しおりを挟む
「まだ第四軍団は到着せんのか!?」
バーンイルの国王宮殿の玉座の間にて、ジョンは相も変わらず落ち着きなかった。
「……」
ジョンの様子を近衛兵は冷めた目で見つめる。
近衛兵がそんな目で見ている理由としては、第六混成師団がやられたと聞いた時、彼は直ぐに逃亡する準備を進めていたが、大帝国から第四軍団を派遣するという報告を受け、いつも通りの態度を取り始めたからである。
(所詮は虎の威を借る狐か…)
何故こんな奴に仕えているのだろうと思いつつも、近衛兵達は仕事へと集中することにした。
すると、そこに1人の臣下が入ってきた。
「国王陛下!ソラリス大帝国の帝国陸軍第四軍団アポストルスが、到着致しました!」
入ってきた臣下は、ジョンに跪きながら、第四軍団の到着を報告した。
「ようやく来おったか!」
その報告を受けたジョンは臣下の方を向く。
「それで、第四軍団軍団長のフィーデス殿が、国王陛下への謁見許可を求めているのですが…」
「許可してやれ」
「はっ」
臣下から、アーテが謁見許可を求めていると聞いたジョンは、迷うことなく許可することにした。
許可が出たことにより、臣下はそのことをアーテに報告すべく、1度玉座の間から退出して行った。
臣下が退出してから数分後、
「ロレック王国国王、ジョン・ロレックは居るか!?」
武装している部下を数名引き連れ、アーテが玉座の間に入ってきた。
「な、何だ貴様ら、無礼だぞ!!」
敬語を使うことなく、武装した状態で入ってきたアーテ達に、ジョンは怯えつつも王としての威厳を保とうと怒鳴りつける。
「ジョン・ロレック…!」
「ひぃ!?」
しかしながら、アーテに睨みつけられ、名前を呼ばれただけで、ジョンは恐怖のあまり情けない声を出してしまう。
「統治資金の横領、軍事物資の横流し、この度の戦争による甚大なる被害などなど…貴様がやってきたことは国賊同然だ…ジョン・ロレック、貴様を更迭する!おい、連れて行け!」
「「はっ!!」」
アーテの合図と共に、4名ほどの兵士が銃口を突きつけ、近衛兵を牽制する中、他の2人がジョンの元へと向い、手錠をつける。
「おい離せ!!私はロレック王国の国王だぞ!?離さんか!!近衛兵何とかしろ!!」
逃げようとジョンは暴れるが、鍛え上げられている兵士と安全な場所で怠けていた者では、力の差は雲泥の差で、ジョンは抵抗虚しく連れられて行く。
近衛兵に助けを求めても、銃口を突きつけられている状態の上、自分の命を賭けて助ける義理はないため、無視される。
「クソがァーーー!!」
そして、ジョンは最後の最後に叫び声を上げ、そのまま連れられて行った。
ジョンが連れられて行った後直ぐ、機材を持った兵士が入ってきて、その場にて機材を組み立て始めた。
「軍団長、通信準備整いました」
「ご苦労」
通信機の設置が終わったという報告を受け、アーテは通信機のマイクを手に取った。
「通信開始せよ」
「了解。通信機起動させます!」
アーテの合図と共に、通信兵は通信機を起動させた。
「こちら、ソラリス大帝国帝国陸軍第四軍団アポストルスの軍団長、アーテ・フィーデスだ!ロレック王国全土にいる国民に告ぐ!先程、我が軍はロレック王国元国王ジョン・ロレックを更迭した!更迭理由としては、奴が今まで行っていた不正と、この度の戦争劣勢が奴の無茶苦茶な指揮が原因だと発覚したからだ!ロレック王の更迭により、本日からロレック王国は、第四軍団が直接統治することになった!繰り返す!これよりロレック王国は、第四軍団が直接統治する!」
通信機を起動した後、アーテは連盟軍が支配していないロレック王国の全土に向けて、ジョンの更迭と第四軍団がジョンに代わり統治するという報告を一方的に行う。
「…通信終了」
アーテの頷きを見た通信兵は通信機を切った。
「あの…現地は混乱していると思うのですが…これで宜しかったのでしょうか…?」
近衛兵の1人が、恐る恐る自身が疑問に思ったことを質問する。
「問題ない…混乱は絶対起きると思って、各都市に第四軍団に所属する師団をそれぞれ派遣した。多少の混乱はあるでしょうが、すぐに落ち着くわ……あっ、貴方達疲れているでしょ?今日は帰っていいわよ」
近衛兵からの質問に、アーテは対策済みということを伝え、近衛兵達を拘束せずに帰るように伝えた。
「「「「し、失礼します!!!」」」」
アーテから帰宅を勧められ、近衛兵達はアーテに一礼した後、そのまま退出して行った。
「さて、後は副団長の方ね…」
やらなければならないことを終えたアーテは、別のことを頼んでいる副団長達が、いい知らせを持ってくると信じて、報告を待つことにした。
バーンイルの国王宮殿の玉座の間にて、ジョンは相も変わらず落ち着きなかった。
「……」
ジョンの様子を近衛兵は冷めた目で見つめる。
近衛兵がそんな目で見ている理由としては、第六混成師団がやられたと聞いた時、彼は直ぐに逃亡する準備を進めていたが、大帝国から第四軍団を派遣するという報告を受け、いつも通りの態度を取り始めたからである。
(所詮は虎の威を借る狐か…)
何故こんな奴に仕えているのだろうと思いつつも、近衛兵達は仕事へと集中することにした。
すると、そこに1人の臣下が入ってきた。
「国王陛下!ソラリス大帝国の帝国陸軍第四軍団アポストルスが、到着致しました!」
入ってきた臣下は、ジョンに跪きながら、第四軍団の到着を報告した。
「ようやく来おったか!」
その報告を受けたジョンは臣下の方を向く。
「それで、第四軍団軍団長のフィーデス殿が、国王陛下への謁見許可を求めているのですが…」
「許可してやれ」
「はっ」
臣下から、アーテが謁見許可を求めていると聞いたジョンは、迷うことなく許可することにした。
許可が出たことにより、臣下はそのことをアーテに報告すべく、1度玉座の間から退出して行った。
臣下が退出してから数分後、
「ロレック王国国王、ジョン・ロレックは居るか!?」
武装している部下を数名引き連れ、アーテが玉座の間に入ってきた。
「な、何だ貴様ら、無礼だぞ!!」
敬語を使うことなく、武装した状態で入ってきたアーテ達に、ジョンは怯えつつも王としての威厳を保とうと怒鳴りつける。
「ジョン・ロレック…!」
「ひぃ!?」
しかしながら、アーテに睨みつけられ、名前を呼ばれただけで、ジョンは恐怖のあまり情けない声を出してしまう。
「統治資金の横領、軍事物資の横流し、この度の戦争による甚大なる被害などなど…貴様がやってきたことは国賊同然だ…ジョン・ロレック、貴様を更迭する!おい、連れて行け!」
「「はっ!!」」
アーテの合図と共に、4名ほどの兵士が銃口を突きつけ、近衛兵を牽制する中、他の2人がジョンの元へと向い、手錠をつける。
「おい離せ!!私はロレック王国の国王だぞ!?離さんか!!近衛兵何とかしろ!!」
逃げようとジョンは暴れるが、鍛え上げられている兵士と安全な場所で怠けていた者では、力の差は雲泥の差で、ジョンは抵抗虚しく連れられて行く。
近衛兵に助けを求めても、銃口を突きつけられている状態の上、自分の命を賭けて助ける義理はないため、無視される。
「クソがァーーー!!」
そして、ジョンは最後の最後に叫び声を上げ、そのまま連れられて行った。
ジョンが連れられて行った後直ぐ、機材を持った兵士が入ってきて、その場にて機材を組み立て始めた。
「軍団長、通信準備整いました」
「ご苦労」
通信機の設置が終わったという報告を受け、アーテは通信機のマイクを手に取った。
「通信開始せよ」
「了解。通信機起動させます!」
アーテの合図と共に、通信兵は通信機を起動させた。
「こちら、ソラリス大帝国帝国陸軍第四軍団アポストルスの軍団長、アーテ・フィーデスだ!ロレック王国全土にいる国民に告ぐ!先程、我が軍はロレック王国元国王ジョン・ロレックを更迭した!更迭理由としては、奴が今まで行っていた不正と、この度の戦争劣勢が奴の無茶苦茶な指揮が原因だと発覚したからだ!ロレック王の更迭により、本日からロレック王国は、第四軍団が直接統治することになった!繰り返す!これよりロレック王国は、第四軍団が直接統治する!」
通信機を起動した後、アーテは連盟軍が支配していないロレック王国の全土に向けて、ジョンの更迭と第四軍団がジョンに代わり統治するという報告を一方的に行う。
「…通信終了」
アーテの頷きを見た通信兵は通信機を切った。
「あの…現地は混乱していると思うのですが…これで宜しかったのでしょうか…?」
近衛兵の1人が、恐る恐る自身が疑問に思ったことを質問する。
「問題ない…混乱は絶対起きると思って、各都市に第四軍団に所属する師団をそれぞれ派遣した。多少の混乱はあるでしょうが、すぐに落ち着くわ……あっ、貴方達疲れているでしょ?今日は帰っていいわよ」
近衛兵からの質問に、アーテは対策済みということを伝え、近衛兵達を拘束せずに帰るように伝えた。
「「「「し、失礼します!!!」」」」
アーテから帰宅を勧められ、近衛兵達はアーテに一礼した後、そのまま退出して行った。
「さて、後は副団長の方ね…」
やらなければならないことを終えたアーテは、別のことを頼んでいる副団長達が、いい知らせを持ってくると信じて、報告を待つことにした。
70
お気に入りに追加
604
あなたにおすすめの小説
天日ノ艦隊 〜こちら大和型戦艦、異世界にて出陣ス!〜
八風ゆず
ファンタジー
時は1950年。
第一次世界大戦にあった「もう一つの可能性」が実現した世界線。1950年4月7日、合同演習をする為航行中、大和型戦艦三隻が同時に左舷に転覆した。
大和型三隻は沈没した……、と思われた。
だが、目覚めた先には我々が居た世界とは違った。
大海原が広がり、見たことのない数多の国が支配者する世界だった。
祖国へ帰るため、大海原が広がる異世界を旅する大和型三隻と別世界の艦船達との異世界戦記。
※異世界転移が何番煎じか分からないですが、書きたいのでかいています!
面白いと思ったらブックマーク、感想、評価お願いします!!※
※戦艦など知らない人も楽しめるため、解説などを出し努力しております。是非是非「知識がなく、楽しんで読めるかな……」っと思ってる方も読んでみてください!※
平和国家異世界へ―日本の受難―
あずき
ファンタジー
平和国家、日本。 東アジアの島国であるこの国は、厳しさを増す安全保障環境に対応するため、 政府は戦闘機搭載型護衛艦、DDV-712「しなの」を開発した。 「しなの」は第八護衛隊群に配属され、領海の警備を行なうことに。
それから数年後の2035年、8月。
日本は異世界に転移した。
帝国主義のはびこるこの世界で、日本は生き残れるのか。
総勢1200億人を抱えた国家サバイバルが今、始まる――
何番煎じ蚊もわからない日本転移小説です。
質問などは感想に書いていただけると、返信します。
毎日投稿します。
日本帝国陸海軍 混成異世界根拠地隊
北鴨梨
ファンタジー
太平洋戦争も終盤に近付いた1944(昭和19)年末、日本海軍が特攻作戦のため終結させた南方の小規模な空母機動部隊、北方の輸送兼対潜掃討部隊、小笠原増援輸送部隊が突如として消失し、異世界へ転移した。米軍相手には苦戦続きの彼らが、航空戦力と火力、機動力を生かして他を圧倒し、図らずも異世界最強の軍隊となってしまい、その情勢に大きく関わって引っ掻き回すことになる。
不死の大日本帝國軍人よ、異世界にて一層奮励努力せよ
焼飯学生
ファンタジー
1945年。フィリピンにて、大日本帝国軍人八雲 勇一は、連合軍との絶望的な戦いに挑み、力尽きた。
そんな勇一を気に入った異世界の創造神ライラーは、勇一助け自身の世界に転移させることに。
だが、軍人として華々しく命を散らし、先に行ってしまった戦友達と会いたかった勇一は、その提案をきっぱりと断った。
勇一に自身の提案を断られたことに腹が立ったライラーは、勇一に不死の呪いをかけた後、そのまま強制的に異世界へ飛ばしてしまった。
異世界に強制転移させられてしまった勇一は、元の世界に戻るべく、異世界にて一層奮励努力する。
やさしい異世界転移
みなと
ファンタジー
妹の誕生日ケーキを買いに行く最中 謎の声に導かれて異世界へと転移してしまった主人公
神洞 優斗。
彼が転移した世界は魔法が発達しているファンタジーの世界だった!
元の世界に帰るまでの間優斗は学園に通い平穏に過ごす事にしたのだが……?
この時の優斗は気付いていなかったのだ。
己の……いや"ユウト"としての逃れられない定めがすぐ近くまで来ている事に。
この物語は 優斗がこの世界で仲間と出会い、共に様々な困難に立ち向かい希望 絶望 別れ 後悔しながらも進み続けて、英雄になって誰かに希望を託すストーリーである。
異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。
sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。
目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。
「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」
これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。
なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。
夢幻の錬金術師 ~【異空間収納】【錬金術】【鑑定】【スキル剥奪&付与】を兼ね備えたチートスキル【錬金工房】で最強の錬金術師として成り上がる~
青山 有
ファンタジー
女神の助手として異世界に召喚された厨二病少年・神薙拓光。
彼が手にしたユニークスキルは【錬金工房】。
ただでさえ、魔法があり魔物がはびこる危険な世界。そこを生産職の助手と巡るのかと、女神も頭を抱えたのだが……。
彼の持つ【錬金工房】は、レアスキルである【異空間収納】【錬金術】【鑑定】の上位互換機能を合わせ持ってるだけでなく、スキルの【剥奪】【付与】まで行えるという、女神の想像を遥かに超えたチートスキルだった。
これは一人の少年が異世界で伝説の錬金術師として成り上がっていく物語。
※カクヨムにも投稿しています
スマートシステムで異世界革命
小川悟
ファンタジー
/// 毎日19時に投稿する予定です。 ///
★☆★ システム開発の天才!異世界転移して魔法陣構築で生産チート! ★☆★
新道亘《シンドウアタル》は、自分でも気が付かないうちにボッチ人生を歩み始めていた。
それならボッチ卒業の為に、現実世界のしがらみを全て捨て、新たな人生を歩もうとしたら、異世界女神と事故で現実世界のすべてを捨て、やり直すことになってしまった。
異世界に行くために、新たなスキルを神々と作ったら、とんでもなく生産チートなスキルが出来上がる。
スマフォのような便利なスキルで異世界に生産革命を起こします!
序章(全5話)異世界転移までの神々とのお話しです
第1章(全12話+1話)転生した場所での検証と訓練
第2章(全13話+1話)滞在先の街と出会い
第3章(全44話+4話)遺産活用と結婚
第4章(全17話)ダンジョン探索
第5章(執筆中)公的ギルド?
※第3章以降は少し内容が過激になってきます。
上記はあくまで予定です。
カクヨムでも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる