大和型戦艦、異世界に転移する。

焼飯学生

文字の大きさ
上 下
103 / 138
第八章〜統一戦争〜

第97話 大帝国の介入

しおりを挟む
ソラリス大帝国帝国宮殿ソラリスパレス
そこでローレンスは、ミカエルからアーガス大陸で起きた戦争の報告を受けていた。

「……ふむ、世界共栄連盟の国々も侮れんな…」

第六混成師団と王国軍が敗北したという報告書を見ながら、ローレンスは世界共栄連盟を遠回しに褒める。

「ロレック王国が、アーガス大陸を統一した後に改革を始めるつもりだったが…やはり遅すぎたか……」

溜息を吐きながら、ローレンスは己の判断が遅かったため、こうなったのではないかと落胆する。

「皇帝陛下、どうかお気を落とされずに…!報告によれば、ジョンめが無茶苦茶な命令を出し、防衛網に綻びを発生させた結果、このようなことになっているようです。決して、皇帝陛下のせいでは…!」

落胆するローレンスを励まそうと、ミカエルは必死にローレンスのせいではないと説得する。

「だが、改革が遅れたのは事実だ…本当にあの叔父は、負の遺産しか残していないな……」

「全くです…」

2人は前皇帝のエドールに対して、怒りを覚える。
エドール・ヴィズダム。ローレンスの叔父であり、最低最悪の皇帝と呼び声が高い。ソラリス大帝国は基本的に皇帝は、直系の者がなるのだが、エドールは実兄を暗殺し、ローレンスがまだ若いという理由で、無理矢理皇帝へと成り上がったのだ。そして、そこからは、自分の欲を満たすために政治を行い、その政治に猛反対した者達によって、内乱が起きることになる。結果的に内乱は、内乱を起こしたローレンス側の勝利で終わり、皇帝になったローレンスは大帝国内部から優先的に、エドールの負の遺産という名の腐敗を片付けた。
そして、その負の遺産1つが、アーガス大陸で反乱が起きた際、エドールが自身の影響力を残しておくために建国したロレック王国である。
エドールが作ったロレック王国もまた、腐敗し切っており、ローレンスはそれを対処するため、まずはロレック王国にアーガス大陸の統一させ、その後に改革を行う予定だったのだが、統一に時間がかかってしまい、その結果世界共栄連盟が介入、アーガス共和国に猛反撃にやられるという状況になって居るのだ。

「それと、皇帝陛下…お耳に入れといて欲しいことがあります」

「なんだ…?」

肘掛けに肘をつき手首の上に顔を置いて、ローレンスが考え事をしていると、ミカエルはとある情報を伝えることにした。

「ロレック王国に潜入している帝国の影ロイヤルシャドーからの情報なのですが、どうやら、ジョンめが金に目がくらみ、軍事物資を横流ししていたとのことです。民間人の生活のためならば、多少は見逃すのですが、横流し先がラスベルのマフィア達だったようで…どうでしょう?これを機に、奴を更迭してみるのは…?」

「ふむ……」

ミカエルからジョンを横領で更迭するという提案を聞いたローレンスは、それを踏まえてこれからの方針を考え始める。

帝国陸軍ロイヤルグランド第四軍団アポストルスの軍団長、アーテ・フィーデスを呼んでくれ」

「……はい…」

暫く考えていたローレンスは、第四軍団のアーテを呼ぶようにミカエルに頼み、それを聞いたミカエルは少し嫌そう顔をしつつ、アーテを呼ぶことにした。






帝国陸軍ロイヤルグランド第四軍団アポストルス軍団長、アーテ・フィーデス。皇帝陛下の召喚命令に応じ、馳せ参じました!」

ミカエルがアーテを呼びに行ってから数分後、全ての用事をほっぽり出し、アーテはローレンスの元にやって来ていた。

「ご苦労。今回君を呼び出したのは、現在戦争を行っているロレック王国に向かい、治安維持を名目に一部地域を直接統治して欲しいのだ」

「お任せ下さい、このアーテ。皇帝陛下からの直々の命令…必ずや遂行してっ!「話を最後まで聞いてくれ……」

アーテはローレンスからの命令に、内容を詳しく聞くことなく了承する。
アーテはローレンスを狂信的に崇高しており、彼女が率いる第四軍団は、皇帝陛下のファンクラブ状態と言って過言でないだろう。だが、それ故にローレンスの命令には忠実で結束力が高く、帝国の内乱時にはローレンス側の勝利に貢献した。
そのため、ローレンスからの信頼も高いのだが、アーテの狂信っぷりには、少し頭を抱えている。

「申し訳ございません…」

注意されたアーテは、謝罪を述べて大人しくなる。
その様子を見たローレンスは、咳払いした後、話を続けることにした。

「情報によると、ロレック王国のジョンが無理に軍を動かし、その結果アーガス共和国との戦線が崩壊、連盟軍の進軍を許しているとの事だ…そこで、君達にはロレック王国派遣後、ジョンを更迭、中央西洋側の土地を抑え、直接統治を行って欲しい」

「なるほど!我が帝国が直接統治することで、連中への牽制にもなるし、中央西洋側を抑えることで、中央西洋側からの進行を妨げさせるという算段ですね!」

「その通りだ」

ローレンスの思惑を深読みしたアーテは、納得しながらロレック王国を直接統治する理由を述べる。

「頼まれてくれるな?」

「勿論であります!我々第四軍団は、皇帝陛下の命を忠実に再現する軍!どのような命令でも完遂する所存であります!」

アーテは元気よく命令に対する返事を返す。

「良かろう。では、改めて命ずる…皇帝の名に置いて命ずる…帝国陸軍ロイヤルグランド第四軍団よ、アーガス大陸へ進軍せよ!」

「はっ!第四軍団アポストルス軍団長、アーテ・フィーデス、皇帝陛下の御命令、承りました!」

アーテの返事を聞いたローレンスは、第四軍団にアーガス大陸への進軍を命じ、アーテは大きな声でその命令を受諾した。
かくして、皇帝陛下を崇高している第四軍団のアーガス大陸へ進軍が決まった。
しおりを挟む
感想 16

あなたにおすすめの小説

天日ノ艦隊 〜こちら大和型戦艦、異世界にて出陣ス!〜 

八風ゆず
ファンタジー
時は1950年。 第一次世界大戦にあった「もう一つの可能性」が実現した世界線。1950年4月7日、合同演習をする為航行中、大和型戦艦三隻が同時に左舷に転覆した。 大和型三隻は沈没した……、と思われた。 だが、目覚めた先には我々が居た世界とは違った。 大海原が広がり、見たことのない数多の国が支配者する世界だった。 祖国へ帰るため、大海原が広がる異世界を旅する大和型三隻と別世界の艦船達との異世界戦記。 ※異世界転移が何番煎じか分からないですが、書きたいのでかいています! 面白いと思ったらブックマーク、感想、評価お願いします!!※ ※戦艦など知らない人も楽しめるため、解説などを出し努力しております。是非是非「知識がなく、楽しんで読めるかな……」っと思ってる方も読んでみてください!※

おっさんなのに異世界召喚されたらしいので適当に生きてみることにした

高鉢 健太
ファンタジー
 ふと気づけば見知らぬ石造りの建物の中に居た。どうやら召喚によって異世界転移させられたらしかった。  ラノベでよくある展開に、俺は呆れたね。  もし、あと20年早ければ喜んだかもしれん。だが、アラフォーだぞ?こんなおっさんを召喚させて何をやらせる気だ。  とは思ったが、召喚した連中は俺に生贄の美少女を差し出してくれるらしいじゃないか、その役得を存分に味わいながら異世界の冒険を楽しんでやろう!

平和国家異世界へ―日本の受難―

あずき
ファンタジー
平和国家、日本。 東アジアの島国であるこの国は、厳しさを増す安全保障環境に対応するため、 政府は戦闘機搭載型護衛艦、DDV-712「しなの」を開発した。 「しなの」は第八護衛隊群に配属され、領海の警備を行なうことに。 それから数年後の2035年、8月。 日本は異世界に転移した。 帝国主義のはびこるこの世界で、日本は生き残れるのか。 総勢1200億人を抱えた国家サバイバルが今、始まる―― 何番煎じ蚊もわからない日本転移小説です。 質問などは感想に書いていただけると、返信します。 毎日投稿します。

日本帝国陸海軍 混成異世界根拠地隊

北鴨梨
ファンタジー
太平洋戦争も終盤に近付いた1944(昭和19)年末、日本海軍が特攻作戦のため終結させた南方の小規模な空母機動部隊、北方の輸送兼対潜掃討部隊、小笠原増援輸送部隊が突如として消失し、異世界へ転移した。米軍相手には苦戦続きの彼らが、航空戦力と火力、機動力を生かして他を圧倒し、図らずも異世界最強の軍隊となってしまい、その情勢に大きく関わって引っ掻き回すことになる。

異世界に転移す万国旗

あずき
ファンタジー
202X年、震度3ほどの地震と共に海底ケーブルが寸断された。 日本政府はアメリカ政府と協力し、情報収集を開始した。 ワシントンD.Cから出港した米艦隊が日本海に現れたことで、 アメリカ大陸が日本の西に移動していることが判明。 さらに横須賀から出発した護衛艦隊がグレートブリテン島を発見。 このことから、世界中の国々が位置や向きを変え、 違う惑星、もしくは世界に転移していることが判明した。

ユーヤのお気楽異世界転移

暇野無学
ファンタジー
 死因は神様の当て逃げです!  地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

不死の大日本帝國軍人よ、異世界にて一層奮励努力せよ

焼飯学生
ファンタジー
1945年。フィリピンにて、大日本帝国軍人八雲 勇一は、連合軍との絶望的な戦いに挑み、力尽きた。 そんな勇一を気に入った異世界の創造神ライラーは、勇一助け自身の世界に転移させることに。 だが、軍人として華々しく命を散らし、先に行ってしまった戦友達と会いたかった勇一は、その提案をきっぱりと断った。 勇一に自身の提案を断られたことに腹が立ったライラーは、勇一に不死の呪いをかけた後、そのまま強制的に異世界へ飛ばしてしまった。 異世界に強制転移させられてしまった勇一は、元の世界に戻るべく、異世界にて一層奮励努力する。

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

処理中です...