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第八章〜統一戦争〜
第97話 大帝国の介入
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ソラリス大帝国帝国宮殿。
そこでローレンスは、ミカエルからアーガス大陸で起きた戦争の報告を受けていた。
「……ふむ、世界共栄連盟の国々も侮れんな…」
第六混成師団と王国軍が敗北したという報告書を見ながら、ローレンスは世界共栄連盟を遠回しに褒める。
「ロレック王国が、アーガス大陸を統一した後に改革を始めるつもりだったが…やはり遅すぎたか……」
溜息を吐きながら、ローレンスは己の判断が遅かったため、こうなったのではないかと落胆する。
「皇帝陛下、どうかお気を落とされずに…!報告によれば、ジョンめが無茶苦茶な命令を出し、防衛網に綻びを発生させた結果、このようなことになっているようです。決して、皇帝陛下のせいでは…!」
落胆するローレンスを励まそうと、ミカエルは必死にローレンスのせいではないと説得する。
「だが、改革が遅れたのは事実だ…本当にあの叔父は、負の遺産しか残していないな……」
「全くです…」
2人は前皇帝のエドールに対して、怒りを覚える。
エドール・ヴィズダム。ローレンスの叔父であり、最低最悪の皇帝と呼び声が高い。ソラリス大帝国は基本的に皇帝は、直系の者がなるのだが、エドールは実兄を暗殺し、ローレンスがまだ若いという理由で、無理矢理皇帝へと成り上がったのだ。そして、そこからは、自分の欲を満たすために政治を行い、その政治に猛反対した者達によって、内乱が起きることになる。結果的に内乱は、内乱を起こしたローレンス側の勝利で終わり、皇帝になったローレンスは大帝国内部から優先的に、エドールの負の遺産という名の腐敗を片付けた。
そして、その負の遺産1つが、アーガス大陸で反乱が起きた際、エドールが自身の影響力を残しておくために建国したロレック王国である。
エドールが作ったロレック王国もまた、腐敗し切っており、ローレンスはそれを対処するため、まずはロレック王国にアーガス大陸の統一させ、その後に改革を行う予定だったのだが、統一に時間がかかってしまい、その結果世界共栄連盟が介入、アーガス共和国に猛反撃にやられるという状況になって居るのだ。
「それと、皇帝陛下…お耳に入れといて欲しいことがあります」
「なんだ…?」
肘掛けに肘をつき手首の上に顔を置いて、ローレンスが考え事をしていると、ミカエルはとある情報を伝えることにした。
「ロレック王国に潜入している帝国の影からの情報なのですが、どうやら、ジョンめが金に目がくらみ、軍事物資を横流ししていたとのことです。民間人の生活のためならば、多少は見逃すのですが、横流し先がラスベルのマフィア達だったようで…どうでしょう?これを機に、奴を更迭してみるのは…?」
「ふむ……」
ミカエルからジョンを横領で更迭するという提案を聞いたローレンスは、それを踏まえてこれからの方針を考え始める。
「帝国陸軍第四軍団アポストルスの軍団長、アーテ・フィーデスを呼んでくれ」
「……はい…」
暫く考えていたローレンスは、第四軍団のアーテを呼ぶようにミカエルに頼み、それを聞いたミカエルは少し嫌そう顔をしつつ、アーテを呼ぶことにした。
〇
「帝国陸軍第四軍団アポストルス軍団長、アーテ・フィーデス。皇帝陛下の召喚命令に応じ、馳せ参じました!」
ミカエルがアーテを呼びに行ってから数分後、全ての用事をほっぽり出し、アーテはローレンスの元にやって来ていた。
「ご苦労。今回君を呼び出したのは、現在戦争を行っているロレック王国に向かい、治安維持を名目に一部地域を直接統治して欲しいのだ」
「お任せ下さい、このアーテ。皇帝陛下からの直々の命令…必ずや遂行してっ!「話を最後まで聞いてくれ……」
アーテはローレンスからの命令に、内容を詳しく聞くことなく了承する。
アーテはローレンスを狂信的に崇高しており、彼女が率いる第四軍団は、皇帝陛下のファンクラブ状態と言って過言でないだろう。だが、それ故にローレンスの命令には忠実で結束力が高く、帝国の内乱時にはローレンス側の勝利に貢献した。
そのため、ローレンスからの信頼も高いのだが、アーテの狂信っぷりには、少し頭を抱えている。
「申し訳ございません…」
注意されたアーテは、謝罪を述べて大人しくなる。
その様子を見たローレンスは、咳払いした後、話を続けることにした。
「情報によると、ロレック王国のジョンが無理に軍を動かし、その結果アーガス共和国との戦線が崩壊、連盟軍の進軍を許しているとの事だ…そこで、君達にはロレック王国派遣後、ジョンを更迭、中央西洋側の土地を抑え、直接統治を行って欲しい」
「なるほど!我が帝国が直接統治することで、連中への牽制にもなるし、中央西洋側を抑えることで、中央西洋側からの進行を妨げさせるという算段ですね!」
「その通りだ」
ローレンスの思惑を深読みしたアーテは、納得しながらロレック王国を直接統治する理由を述べる。
「頼まれてくれるな?」
「勿論であります!我々第四軍団は、皇帝陛下の命を忠実に再現する軍!どのような命令でも完遂する所存であります!」
アーテは元気よく命令に対する返事を返す。
「良かろう。では、改めて命ずる…皇帝の名に置いて命ずる…帝国陸軍第四軍団よ、アーガス大陸へ進軍せよ!」
「はっ!第四軍団アポストルス軍団長、アーテ・フィーデス、皇帝陛下の御命令、承りました!」
アーテの返事を聞いたローレンスは、第四軍団にアーガス大陸への進軍を命じ、アーテは大きな声でその命令を受諾した。
かくして、皇帝陛下を崇高している第四軍団のアーガス大陸へ進軍が決まった。
そこでローレンスは、ミカエルからアーガス大陸で起きた戦争の報告を受けていた。
「……ふむ、世界共栄連盟の国々も侮れんな…」
第六混成師団と王国軍が敗北したという報告書を見ながら、ローレンスは世界共栄連盟を遠回しに褒める。
「ロレック王国が、アーガス大陸を統一した後に改革を始めるつもりだったが…やはり遅すぎたか……」
溜息を吐きながら、ローレンスは己の判断が遅かったため、こうなったのではないかと落胆する。
「皇帝陛下、どうかお気を落とされずに…!報告によれば、ジョンめが無茶苦茶な命令を出し、防衛網に綻びを発生させた結果、このようなことになっているようです。決して、皇帝陛下のせいでは…!」
落胆するローレンスを励まそうと、ミカエルは必死にローレンスのせいではないと説得する。
「だが、改革が遅れたのは事実だ…本当にあの叔父は、負の遺産しか残していないな……」
「全くです…」
2人は前皇帝のエドールに対して、怒りを覚える。
エドール・ヴィズダム。ローレンスの叔父であり、最低最悪の皇帝と呼び声が高い。ソラリス大帝国は基本的に皇帝は、直系の者がなるのだが、エドールは実兄を暗殺し、ローレンスがまだ若いという理由で、無理矢理皇帝へと成り上がったのだ。そして、そこからは、自分の欲を満たすために政治を行い、その政治に猛反対した者達によって、内乱が起きることになる。結果的に内乱は、内乱を起こしたローレンス側の勝利で終わり、皇帝になったローレンスは大帝国内部から優先的に、エドールの負の遺産という名の腐敗を片付けた。
そして、その負の遺産1つが、アーガス大陸で反乱が起きた際、エドールが自身の影響力を残しておくために建国したロレック王国である。
エドールが作ったロレック王国もまた、腐敗し切っており、ローレンスはそれを対処するため、まずはロレック王国にアーガス大陸の統一させ、その後に改革を行う予定だったのだが、統一に時間がかかってしまい、その結果世界共栄連盟が介入、アーガス共和国に猛反撃にやられるという状況になって居るのだ。
「それと、皇帝陛下…お耳に入れといて欲しいことがあります」
「なんだ…?」
肘掛けに肘をつき手首の上に顔を置いて、ローレンスが考え事をしていると、ミカエルはとある情報を伝えることにした。
「ロレック王国に潜入している帝国の影からの情報なのですが、どうやら、ジョンめが金に目がくらみ、軍事物資を横流ししていたとのことです。民間人の生活のためならば、多少は見逃すのですが、横流し先がラスベルのマフィア達だったようで…どうでしょう?これを機に、奴を更迭してみるのは…?」
「ふむ……」
ミカエルからジョンを横領で更迭するという提案を聞いたローレンスは、それを踏まえてこれからの方針を考え始める。
「帝国陸軍第四軍団アポストルスの軍団長、アーテ・フィーデスを呼んでくれ」
「……はい…」
暫く考えていたローレンスは、第四軍団のアーテを呼ぶようにミカエルに頼み、それを聞いたミカエルは少し嫌そう顔をしつつ、アーテを呼ぶことにした。
〇
「帝国陸軍第四軍団アポストルス軍団長、アーテ・フィーデス。皇帝陛下の召喚命令に応じ、馳せ参じました!」
ミカエルがアーテを呼びに行ってから数分後、全ての用事をほっぽり出し、アーテはローレンスの元にやって来ていた。
「ご苦労。今回君を呼び出したのは、現在戦争を行っているロレック王国に向かい、治安維持を名目に一部地域を直接統治して欲しいのだ」
「お任せ下さい、このアーテ。皇帝陛下からの直々の命令…必ずや遂行してっ!「話を最後まで聞いてくれ……」
アーテはローレンスからの命令に、内容を詳しく聞くことなく了承する。
アーテはローレンスを狂信的に崇高しており、彼女が率いる第四軍団は、皇帝陛下のファンクラブ状態と言って過言でないだろう。だが、それ故にローレンスの命令には忠実で結束力が高く、帝国の内乱時にはローレンス側の勝利に貢献した。
そのため、ローレンスからの信頼も高いのだが、アーテの狂信っぷりには、少し頭を抱えている。
「申し訳ございません…」
注意されたアーテは、謝罪を述べて大人しくなる。
その様子を見たローレンスは、咳払いした後、話を続けることにした。
「情報によると、ロレック王国のジョンが無理に軍を動かし、その結果アーガス共和国との戦線が崩壊、連盟軍の進軍を許しているとの事だ…そこで、君達にはロレック王国派遣後、ジョンを更迭、中央西洋側の土地を抑え、直接統治を行って欲しい」
「なるほど!我が帝国が直接統治することで、連中への牽制にもなるし、中央西洋側を抑えることで、中央西洋側からの進行を妨げさせるという算段ですね!」
「その通りだ」
ローレンスの思惑を深読みしたアーテは、納得しながらロレック王国を直接統治する理由を述べる。
「頼まれてくれるな?」
「勿論であります!我々第四軍団は、皇帝陛下の命を忠実に再現する軍!どのような命令でも完遂する所存であります!」
アーテは元気よく命令に対する返事を返す。
「良かろう。では、改めて命ずる…皇帝の名に置いて命ずる…帝国陸軍第四軍団よ、アーガス大陸へ進軍せよ!」
「はっ!第四軍団アポストルス軍団長、アーテ・フィーデス、皇帝陛下の御命令、承りました!」
アーテの返事を聞いたローレンスは、第四軍団にアーガス大陸への進軍を命じ、アーテは大きな声でその命令を受諾した。
かくして、皇帝陛下を崇高している第四軍団のアーガス大陸へ進軍が決まった。
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