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第4章 モンスター襲来

第34話「ベルンハルトと(ある意味)死の魔法」

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 伯爵の毒殺は阻止されました~完~。
 

「……いつ?」

 リモートでしていいレベル超えてない……?
 だってさ、仮にも伯爵殺害阻止イベントだぜ?? 
 もうちょっとなんかこう……!! ドキドキハラハラをさぁ……。

「死の魔法を無効化したときに、ついでに呪……魔法をかけておきまして」

 呪いって言いかけたな。

「その、あの時点でシャウラ子爵家があやしいことはわかっていたので……こう、伯爵の生死を俺が決めれるように色々しときました」

 もにょもにょしてるグレン可愛い……もうなんでもいいか……。

「……一応、本当に生きてるか見に行く?」

「そうですね。見物しにいきましょう。ついでにロニーも捕まえます」

 ついでじゃないよ。
 本来の目的がそっちね!! 
 なんで見物メインになってんの?? てか見物ってなに??

 なんかグレンが楽しそうだから、多分これ、伯爵……生きてるけどろくなことになってないな。



 ◇◇◇



 ――案の定、なんかすごいことになってた。


「おお……」

「いい眺めですね」

 まるで綺麗な夕焼けを眺めているような感嘆を二人でもらすが、オレたちの目に映っている景色は……控えめに言っても地獄絵図だ。

 伯爵が……襲われてる。
 性的な意味で。

「……あれ、どうなってんの?」

「屋敷中の生物に“伯爵を手篭めにしたくなる“という条件の魅了の魔法をかけて、あとは……まあ、なんやかんやです」

 なんやかんやは、なんやかんやですもんね。

「案外楽しんでるかもしれませんよ? あ、メイドが弾き飛ばされましたね」

「やっぱガタイがいい男が残るよな……」

 魅了魔法による伯爵争奪戦は、もはや乱闘の域にまで達している。男女入り乱れての殴り合いだ。

 いつからやってるかわかんないけど、確かにあんな感じだとお茶飲んでる暇もないだろうし毒殺は無理だね。

「お、逃げた」

「逃げ場なんてないのに……愚かですね」

 デスゲームの主催者ってこういう気分なのかな……「大丈夫か?」って気持ちと「フハハハ愚かな人間どもめ!」って気持ちが混じり合ってる。

 
 ちなみにオレたちは特等席――伯爵家本邸の窓の外。空飛ぶ白馬に跨ってその光景を眺めています。

 エステルくんのスキル(空飛ぶ白馬を出せるスキルらしいです。微妙に外れですね)を使ってグレンが出してくれました。
 ……というかこれも“オレを守る“判定出るんだね。【皇帝】の発動条件結構甘くない??


「あ、舌入れられてますよ」

「うわ……」

 勝ち残ったのはずっと伯爵に仕えていた執事だ。
 他の人間なら伯爵も殺す勢いで抵抗したんだろうが、執事には情があるのか抵抗が中途半端になっている。

「……あの魔法いつ解けんの?」

「俺が解除するまで半永久的に。でも……そろそろ飽きてきたし、終わりにしましょうか」

 そうしてあげて……。
 クソ野郎とはいえ、信頼してる執事にディープキスされてズボン下ろされてるのはさすがに見てらんないよ。

「〈眠れシュラーフ〉」

 グレンが呪文を唱えると同時に、正気を失っていた人々は伯爵も含めて爆睡し始めた。

「これで、目覚めたら今日の記憶は無くなっているはずです」

「……そっか」

 それなんか眠り以外のなにかじゃない? オレには絶対に使わないでね。


「さて……ロニーを回収しましょうか」

「……ねぇ、もしかしてロニーもアレに参加させた?」

「当然。魅了魔法は屋敷の生物には例外なく……犬にも猫にも、馬にだってかけましたよ」

 えげつねェな…………。
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