幼女無双~魔王の子供に転生した少女は人間界で無双する~

ninjin

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魔界編

第6話 ノック

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 ※ルシスの母親視点になります。


 何があったのだろうか?私は心配でたまらない。娘が契りの間に入ってから1時間以上が経過している。弟2人は30分で契約を終えて出てきた。悪魔との契約は30分でも長い方である。私の経験上では、悪魔との契約は10分から20分程度だ。
 悪魔と契約して、その悪魔の能力スキルを使いこなせるようになるにはかなり時間が必要となる。どのように悪魔の能力スキルを魔法や新たな能力スキルへと変化させるか、また身体能力に影響を及ぼすかは、個々の鍛錬と試行錯誤の賜物だからだ。すなわち悪魔との契約とは、様々な可能性を得る契約であり、すぐに強大な魔法や能力スキルを使えるようになるわけではない。その為、偉大な悪魔と契約しても、それを使いこなせる鍛錬と知識がなければ宝の持ち腐れとなる。逆に言えば低級悪魔でも、使い方次第では上級悪魔の能力スキルを超えることもできるのである。


 悪魔との契約に1時間以上もかかるなんて、あの子はどんな悪魔と契約しているのだろうか、そして何体の悪魔と契約したのだろうか?私は心配してる反面、ルシスがどれほど強大なる能力スキルを授かっているのかという期待のが大きかったりするのである。


 「お母様、お姉ちゃんはどうしたのかな。少し長い気がするよ」


 今にも泣きだしそうな顔をしたリプロが問う。


 「リプロ兄ちゃん、心配しなくて大丈夫です。お姉ちゃんはたくさんの悪魔様が契約を申し込んで、時間がかかっているだけです」


 リプロとは逆にカァラァは、お姉ちゃんの心配をするどころか、羨望の眼差しでじっと契りの間の扉を眺めている。


 「リプロ、カァラァの言うとおりよ。ルシスは今たくさんの悪魔の中からどの悪魔と契約すべきか悩んでいるはずよ。ルシスは魔力だけじゃなく知力も高いからね。どんな悪魔の能力スキルが、いかに有効的に使えるのか考えて時間がかかっているのよ」
 「さすが僕の大好きなお姉ちゃん。魔力だけじゃなく、頭が良いのも大好きな理由の1つだよ」


 嬉しそうにリプロは言った。


 「早く契約した悪魔様の能力スキルを最大限にいかして、お姉ちゃんの力になれるようにがんばらないと」


 3人がじっと扉の前で待つこと1時間30分か経過した時、ついに扉から音が聞こえた。


 『トントン、トントン』


 なぜか扉は開かれずに小さなノック音が鳴った。何かおかしい……私は不安になってすぐに扉を開けた。


 
 ※ルシス視点に戻ります。


 悩んでいても仕方ない。素直にこの状況を説明しよう。それしかないのだから……。

 私は魔力と身体能力を失ってしまったので、動く事も出来ずに床へ倒れ込んでいた。助けを呼ぶにも声もでない。合図を送ることもできない私は、暫くは床で身体能力が回復するのを待っていた。30分程が経過するとやっと床を這いつくばる力が戻ってきたので、渾身の力を振り絞って、やっとの思いで契りの間の扉へ辿り着いたのだ。しかし、扉を開けるためには、ドアの取手に手をかけなければいけない。床に這いつくばった状態では扉を開けることはできない。私は箸が握れる程度の握力で、扉の突起部分を掴みながら、赤子のように扉に両手をついて立ち上がることに成功した。扉の取手はちょうど私の目線の少し上にあり、手を上へ伸ばせば届く位置にある。私は両手を上げて扉の取手へ手をかける。


 「この扉は、こんなにも重い扉だったの?入る時は簡単に開いたはずなのに……」


 私は心の中で呟いた。扉をあけられないということは、それだけ私の筋力がないという証拠なのであろう。魔石が浄化されたことにより私は魔力を失った。魔石とは魔力を供給するエネルギー源でもあるが、筋力の増強や運動能力の向上にも密接に関係している。一方、考える力すなわち思考力、知力、記憶力などは、脳から伝達されるエネルギーなので正常に働いている。

 
 「ダメなのです。扉が開かないのです」


 私は魔力を失ったことに後悔はしていない。3年間我慢をすれば、魔力を取り戻すどころかチートな力を手に入れることができるのだから。しかし、扉すら開けられない今の自分は、苦しい状況に立たされているのも事実だ。しかもお母様に理解してもらえなければ、私はどうなってしまうのだろう。そして、今の私を見たら弟2人はどう思うのだろうか。そう考えると、不安で心が潰されそうになる。でも、後戻りはできない。今自分にできることをするしかない。
 私は扉を開けるのを諦めて、ノックをして開けてもらうことにした。


 『トントン、トントン』


 私は今出せる全力の力で扉をノックする。私のイメージでは『ドンドン、ドンドン』と激しい音が鳴ると思っていた。だが実際は、聞き漏らしてしまいそうな 『トントン、トントン』と微かな音が響くだけだった。こんな小さな音では、お母様は気付くはずもないと思ったが、すぐに扉が開かれた。
 扉が開くと大好きなお母様の姿があった。私はお母様の姿を見ると、安堵してその場に崩れるように倒れたのであった。


 私の運命はいかに……。

 
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