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第四章

00.エレーナの過去 1

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 6歳の誕生日の数日前、父は愛人とその娘を屋敷に連れて来てエレーナを屋根裏部屋に押し込み⋯⋯。

『これからは使用人として扱う。エレーナはイライザ愛人ターニャ愛人の娘の世話を担当しろ』

 イライザとターニャもまた、ニールと同様に暴言と暴力で、エレーナを苦しめていく。

 母が亡くなり一周忌を迎えた日、弁護士立ち会いの元金庫を開けたが遺言状もあったはずの貴金属や金貨も何もなく⋯⋯ニールが侯爵家当主代理に決まってしまった。

 侯爵家の資産管理もエレーナの親権も手に入れたニールは、イライザと籍を入れてターニャを養女に迎えた。

 母の遺言状が見つかっていればもしかしたら違う結果が待っていたかもしれない。

 
 8歳の時、アルムヘイル王国エドワード王太子の婚約者に決まり、アルムヘイル王国の王都にある古ぼけた屋敷に移り住んだが、生活は屋敷にいる時とほぼ同じ。

 婚約発表されないままはじまった王太子妃教育は、今もなお結界に包まれている美しい『羽ペン屋敷』の前を通り過ぎ、1時間掛けて王宮へ歩いて向かう。

 ビルワーツ侯爵家を憎んでいるアルムヘイル王国での厳しい王太子妃教育では、怪我や火傷は日常茶飯事。コルセットが許されないのは、鞭打ちの効果を高める為だと平然と言う家庭教師から教えを乞うた。


 15歳になると、朝のうちに洗濯と掃除を済ませて学園に通い、学業とエドワードの課題を終わらせて王宮で政務をこなす日々。どこにいても嘲笑と罵声を投げかけられ、真夜中に屋敷に帰ると皿洗いが待っている生活を強いられた。


 学園卒業と同時に書類にサインするだけの婚姻が成立し⋯⋯。

(初夜での暴言とその後の監禁、公務漬けの日々の中で側妃候補にバルコニーが突き落とされたのよね。ゲラゲラと笑うエドワードの顔ははっきりと見えたわ)

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