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97.幻術を解く方法が分からない
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その違和感は、山の湧き水が溢れて細い川をなした先にある、小さな草地に置かれた狼の毛皮が原因のよう。
近くに魔物や動物の気配はなく、索敵の範囲を広げても小動物の気配さえ感じられない。
「それはそれで怪しい気もするけど、ここからじゃ良くわかんないし⋯⋯少し近付いてみようか」
隠蔽と気配遮断をかけてふわふわと飛んでいくと、カーネーションやチューリップと一緒に、プリムラやパンジーが花開き、その中に月桂樹を使った冠が置かれている不思議な光景が目に入った。
「カーネーションやチューリップは今の季節だけど、プリムラやパンジーは秋だよね?」
冠に使われている月桂樹の葉は瑞々しく、間に飾られている小花も生き生きとして作りたてとしか思えない。近くに落ちているのは山羊の角でできたゴブレット。
(狼の毛皮にいくつかの魔力が重なって層を⋯⋯いや、魔力が絡まり合ってる。こんなの初めて見た⋯⋯ジルベルト司祭に話したら、悔しがるんだろうなぁ。
複数の魔物の魔力を絡み合わせてるのは土魔法と、なんだろう? 知らない魔法とか複合魔法とかかな? あ、魔物の魔力を吸収する為に闇魔法が使われてる。だから劣化してないんだね)
誰かが置き忘れたのか、わざと置いているのか分からないが⋯⋯白にグレーや薄茶が入った毛皮はしっとりとした艶を帯び、値段をつけるとしたらかなりの高級品だろう。
(その上この複雑な魔力が防御力をアップしてて、劣化防止とかしてるんだもん、天井知らずのお値段ってやつだね。これを見たら付与魔法で安心してたなんて恥ずかし~。
これ作ったのって魔力操作の天才かも⋯⋯はっ! もしかしてクロちゃん達かミュウ達の仲間とか!? それなら納得出来すぎるじゃん。
それにしても魔力操作で持ち物にいろんな効果をつけるとか、ドレインした魔物の魔力から能力を引き出すとか⋯⋯ううっ、教えて欲しい。是非是非会いた~い)
欲望がダダ漏れになったロクサーナが、狼の毛皮がある草地に転移した。
「すみませーん、誰かいませんか~、怪しい者じゃないです~。お話聞か⋯⋯あ、なんか音が聞こえた。ねえ、なんか音がしたよね。聞こえたでしょ?」
【転移する前に周りの様子を確認!】
「はい、すんません」
【ロクサーナは、いーっつも注意力散漫だから。僕達心配】
「ううっ、仰るとおりで⋯⋯返す言葉もございません」
ロクサーナを叱ったのはミュウとウルウル。ピッピがジルベルト達の方に着いて行ったのは森の中だからか。
(アラクネと一緒になってジルベルト親衛隊だ~とか言ってたから、ネタ集めとやらに行ったのかも)
「むむ! また聞こえた。音⋯⋯じゃなくて今のは歌声? 人がいない森の中で歌が聞こえると言えばニュンペーくらいしか⋯⋯も、も、もしかしてカネーンス!?」
慌てて索敵をはじめたロクサーナだが、声が届きそうな範囲にそれらしき気配は感じられない。
(エリアを広げる? いや、幻術にかかってるカネーンスの歌だったとしたら、通常の索敵じゃ見つからないはず⋯⋯だったら、さっき見たやつを真似てみればできるかも!」
ロクサーナは大きく息を吸って目を閉じ、ゆっくりと魔力を広げていった。
(薄く平らに⋯⋯もっと薄く出来るはず。イメージは、静まりかえった水面に朝露が落ちて広がる波紋みたいに、同じ速度で広がっていく。いつもと違う魔力や気配を)
狼の毛皮に薄く纏いついていた魔力は別の魔力と馴染み、それでいて元の魔力を維持していた。繊細なベールのように薄くしなやかで力強く、何者にも惑わされない純粋な⋯⋯。
(ニュンペーは精霊。歌う力が残っているなら感じ取れるはず⋯⋯ミュウ達のように、混じりっけのない透き通るような魔力を纏っているはず⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯いた!)
見つけた気配に結界を張りつつ、転移した先にあったのは小さな空気の揺らぎ。手のひらより小さい陽炎は、ロクサーナの結界の中で今にも消えそうになっている。
「カネーンス?」
何も答えず結界の中をふよふよと漂う陽炎から感じるのは不安と恐怖⋯⋯混乱し全てを諦めてる。
(初めてミュウと会った頃の私に似てるかも。精気が足りなくて実体化できないのはミュウと似てる)
「確か精気は⋯⋯自然界にある純粋で神聖な気で、木や草花なんかから集めるんだよね。それから⋯⋯ミュウ達が精気を集めて、死にかけてた私に分け与えてくれた⋯⋯だから、私は今も生きてる」
【ダメだ! ロクサーナ、やめろ!!】
ミュウは人の決定に干渉しないと言う誓約を無視して、ロクサーナの前に飛び出した。
【数千年、幻術に囚われ続けてるコイツを助ける為に、どれほどの精気が必要か分かってないだろ! 人間の生命が一つや二つあったところで足りやしない。ロクサーナがどれほど頑張っても、死ぬまで頑張っても足りないんだ!】
精霊は精気によって生きているが、人もまた精気がなくては生きていけない。違いはそれを知っているかいないかだけ⋯⋯精霊は自然が全ての生きとし生けるものを守っていると知っているが、人は何も知ろうとせず傲慢に生を貪っているだけ。
【幻術に囚われたまま精気を与えれば、カネーンスに送られた精気の大半は、キルケーに届くんだ。ロクサーナが生命を賭けてもカネーンスは助けられない。なのに、届けた精気を糧にして、キルケーは悪事を働くんだぞ!】
「それでも、ほっとけないよ。ミュウが私を見捨てなかったように、私も目の前の精霊を助けてあげたい」
目の前で消えそうになっているカネーンスは、幻術のせいで最後の一線を越えられずにいるのだろう。
(このまま見捨てることはできないって思うのに、精気を送るだけじゃ助けられないなんて! キルケーの幻術を解くほどの智慧が私にあれば、カネーンスを助けられるのに⋯⋯ごめん、ごめんね)
両手を胸の前で組んだロクサーナの目から涙が一雫流れ落ちた。
組んだ両手にポタリと落ちた涙⋯⋯初夏の日差しに輝いた涙が白銀の光を放つと、晴れた空から暖かな雨が降り注ぎはじめた。
【ロクサーナ⋯⋯】
木が葉を広げ一気に伸びた茎に蕾がつき、花が一斉に満開を迎える。
雲が流れ夜空に星が輝き⋯⋯朝日に空が染め上がり、青く小さな果実が大きく育ち赤く熟した甘い匂いを撒き散らした。
草が生い茂り、花びらが舞い散り木が赤く紅葉し⋯⋯大きく育った葉がヒラヒラと舞い落ちる。
降り続く雨が雪に変わり、凍りついた霜柱がパキンと音を立てて折れた。
雪が解け泥濘んだ土から流れた水が大地に染み込み、乾いた土に新芽や花が顔を覗かせ⋯⋯白く輝き続けるロクサーナの周りで季節が巡っていく。何度も花が咲いては枯れて再び芽を出し、高く伸びた木々が枯れて若木が育っていく。
わずかな時間で春から暑い夏へ、実りの秋から全てが凍りつく冬へ。
何度も何度も季節を繰り返し、花や草木が育っては枯れていく⋯⋯幻想的な世界の中で、ロクサーナだけが輝いていた。
ロクサーナの背に現れたのはうっすらと透き通った大きな羽。真っ白な羽の先までロクサーナの魔力が届くと、精気と重なり合い淡い金色の神気に包まれていく。
どれほどの時間が経ったのか分からないが、ロクサーナを包む光が消えた時には、まるで何もなかったように鳥が鳴き、兎が草の中から顔を出していた。
結界の中にいた小さな陽炎は、白い小花と月桂樹の葉でできた冠をつけ、手のひらに乗るくらいの光の玉に姿を変えていた。
【クルル⋯⋯クルックゥ⋯⋯】
鳩が鳴くような柔らかい鳴き声はカネーンスの声だろう。ロクサーナの張った結界の中で淡い光を揺らしているのは、お礼代わりに手を振っているつもりかも。
【幻術、解けてるじゃん】
「う、うん⋯⋯なんかよく分かんないけど、解けたなら良かった⋯⋯助けてくれた人⋯⋯精霊? ありがとうご⋯⋯」
ロクサーナの膝が力を失い、ガクッと音を立てるように地面に倒れ込んだ。
「へ? な、なんか⋯⋯力⋯⋯入んな⋯⋯か⋯⋯も」
蒼白の顔で気を失ったロクサーナの頭を、ミュウが優しく撫でた。
近くに魔物や動物の気配はなく、索敵の範囲を広げても小動物の気配さえ感じられない。
「それはそれで怪しい気もするけど、ここからじゃ良くわかんないし⋯⋯少し近付いてみようか」
隠蔽と気配遮断をかけてふわふわと飛んでいくと、カーネーションやチューリップと一緒に、プリムラやパンジーが花開き、その中に月桂樹を使った冠が置かれている不思議な光景が目に入った。
「カーネーションやチューリップは今の季節だけど、プリムラやパンジーは秋だよね?」
冠に使われている月桂樹の葉は瑞々しく、間に飾られている小花も生き生きとして作りたてとしか思えない。近くに落ちているのは山羊の角でできたゴブレット。
(狼の毛皮にいくつかの魔力が重なって層を⋯⋯いや、魔力が絡まり合ってる。こんなの初めて見た⋯⋯ジルベルト司祭に話したら、悔しがるんだろうなぁ。
複数の魔物の魔力を絡み合わせてるのは土魔法と、なんだろう? 知らない魔法とか複合魔法とかかな? あ、魔物の魔力を吸収する為に闇魔法が使われてる。だから劣化してないんだね)
誰かが置き忘れたのか、わざと置いているのか分からないが⋯⋯白にグレーや薄茶が入った毛皮はしっとりとした艶を帯び、値段をつけるとしたらかなりの高級品だろう。
(その上この複雑な魔力が防御力をアップしてて、劣化防止とかしてるんだもん、天井知らずのお値段ってやつだね。これを見たら付与魔法で安心してたなんて恥ずかし~。
これ作ったのって魔力操作の天才かも⋯⋯はっ! もしかしてクロちゃん達かミュウ達の仲間とか!? それなら納得出来すぎるじゃん。
それにしても魔力操作で持ち物にいろんな効果をつけるとか、ドレインした魔物の魔力から能力を引き出すとか⋯⋯ううっ、教えて欲しい。是非是非会いた~い)
欲望がダダ漏れになったロクサーナが、狼の毛皮がある草地に転移した。
「すみませーん、誰かいませんか~、怪しい者じゃないです~。お話聞か⋯⋯あ、なんか音が聞こえた。ねえ、なんか音がしたよね。聞こえたでしょ?」
【転移する前に周りの様子を確認!】
「はい、すんません」
【ロクサーナは、いーっつも注意力散漫だから。僕達心配】
「ううっ、仰るとおりで⋯⋯返す言葉もございません」
ロクサーナを叱ったのはミュウとウルウル。ピッピがジルベルト達の方に着いて行ったのは森の中だからか。
(アラクネと一緒になってジルベルト親衛隊だ~とか言ってたから、ネタ集めとやらに行ったのかも)
「むむ! また聞こえた。音⋯⋯じゃなくて今のは歌声? 人がいない森の中で歌が聞こえると言えばニュンペーくらいしか⋯⋯も、も、もしかしてカネーンス!?」
慌てて索敵をはじめたロクサーナだが、声が届きそうな範囲にそれらしき気配は感じられない。
(エリアを広げる? いや、幻術にかかってるカネーンスの歌だったとしたら、通常の索敵じゃ見つからないはず⋯⋯だったら、さっき見たやつを真似てみればできるかも!」
ロクサーナは大きく息を吸って目を閉じ、ゆっくりと魔力を広げていった。
(薄く平らに⋯⋯もっと薄く出来るはず。イメージは、静まりかえった水面に朝露が落ちて広がる波紋みたいに、同じ速度で広がっていく。いつもと違う魔力や気配を)
狼の毛皮に薄く纏いついていた魔力は別の魔力と馴染み、それでいて元の魔力を維持していた。繊細なベールのように薄くしなやかで力強く、何者にも惑わされない純粋な⋯⋯。
(ニュンペーは精霊。歌う力が残っているなら感じ取れるはず⋯⋯ミュウ達のように、混じりっけのない透き通るような魔力を纏っているはず⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯いた!)
見つけた気配に結界を張りつつ、転移した先にあったのは小さな空気の揺らぎ。手のひらより小さい陽炎は、ロクサーナの結界の中で今にも消えそうになっている。
「カネーンス?」
何も答えず結界の中をふよふよと漂う陽炎から感じるのは不安と恐怖⋯⋯混乱し全てを諦めてる。
(初めてミュウと会った頃の私に似てるかも。精気が足りなくて実体化できないのはミュウと似てる)
「確か精気は⋯⋯自然界にある純粋で神聖な気で、木や草花なんかから集めるんだよね。それから⋯⋯ミュウ達が精気を集めて、死にかけてた私に分け与えてくれた⋯⋯だから、私は今も生きてる」
【ダメだ! ロクサーナ、やめろ!!】
ミュウは人の決定に干渉しないと言う誓約を無視して、ロクサーナの前に飛び出した。
【数千年、幻術に囚われ続けてるコイツを助ける為に、どれほどの精気が必要か分かってないだろ! 人間の生命が一つや二つあったところで足りやしない。ロクサーナがどれほど頑張っても、死ぬまで頑張っても足りないんだ!】
精霊は精気によって生きているが、人もまた精気がなくては生きていけない。違いはそれを知っているかいないかだけ⋯⋯精霊は自然が全ての生きとし生けるものを守っていると知っているが、人は何も知ろうとせず傲慢に生を貪っているだけ。
【幻術に囚われたまま精気を与えれば、カネーンスに送られた精気の大半は、キルケーに届くんだ。ロクサーナが生命を賭けてもカネーンスは助けられない。なのに、届けた精気を糧にして、キルケーは悪事を働くんだぞ!】
「それでも、ほっとけないよ。ミュウが私を見捨てなかったように、私も目の前の精霊を助けてあげたい」
目の前で消えそうになっているカネーンスは、幻術のせいで最後の一線を越えられずにいるのだろう。
(このまま見捨てることはできないって思うのに、精気を送るだけじゃ助けられないなんて! キルケーの幻術を解くほどの智慧が私にあれば、カネーンスを助けられるのに⋯⋯ごめん、ごめんね)
両手を胸の前で組んだロクサーナの目から涙が一雫流れ落ちた。
組んだ両手にポタリと落ちた涙⋯⋯初夏の日差しに輝いた涙が白銀の光を放つと、晴れた空から暖かな雨が降り注ぎはじめた。
【ロクサーナ⋯⋯】
木が葉を広げ一気に伸びた茎に蕾がつき、花が一斉に満開を迎える。
雲が流れ夜空に星が輝き⋯⋯朝日に空が染め上がり、青く小さな果実が大きく育ち赤く熟した甘い匂いを撒き散らした。
草が生い茂り、花びらが舞い散り木が赤く紅葉し⋯⋯大きく育った葉がヒラヒラと舞い落ちる。
降り続く雨が雪に変わり、凍りついた霜柱がパキンと音を立てて折れた。
雪が解け泥濘んだ土から流れた水が大地に染み込み、乾いた土に新芽や花が顔を覗かせ⋯⋯白く輝き続けるロクサーナの周りで季節が巡っていく。何度も花が咲いては枯れて再び芽を出し、高く伸びた木々が枯れて若木が育っていく。
わずかな時間で春から暑い夏へ、実りの秋から全てが凍りつく冬へ。
何度も何度も季節を繰り返し、花や草木が育っては枯れていく⋯⋯幻想的な世界の中で、ロクサーナだけが輝いていた。
ロクサーナの背に現れたのはうっすらと透き通った大きな羽。真っ白な羽の先までロクサーナの魔力が届くと、精気と重なり合い淡い金色の神気に包まれていく。
どれほどの時間が経ったのか分からないが、ロクサーナを包む光が消えた時には、まるで何もなかったように鳥が鳴き、兎が草の中から顔を出していた。
結界の中にいた小さな陽炎は、白い小花と月桂樹の葉でできた冠をつけ、手のひらに乗るくらいの光の玉に姿を変えていた。
【クルル⋯⋯クルックゥ⋯⋯】
鳩が鳴くような柔らかい鳴き声はカネーンスの声だろう。ロクサーナの張った結界の中で淡い光を揺らしているのは、お礼代わりに手を振っているつもりかも。
【幻術、解けてるじゃん】
「う、うん⋯⋯なんかよく分かんないけど、解けたなら良かった⋯⋯助けてくれた人⋯⋯精霊? ありがとうご⋯⋯」
ロクサーナの膝が力を失い、ガクッと音を立てるように地面に倒れ込んだ。
「へ? な、なんか⋯⋯力⋯⋯入んな⋯⋯か⋯⋯も」
蒼白の顔で気を失ったロクサーナの頭を、ミュウが優しく撫でた。
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