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98.ロクサーナより大切なものはないから
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【はぁ、魔力切れだよ~⋯⋯どんだけ無茶するのか(当然だけど、今回は諦めてジルベルトのお仕置きスペシャルを耐えなきゃね)】
【転移で運ぶしかないが、どこにするかが問題だな】
島に連れて帰ってゆっくりさせてあげたいが、ジルベルトが1日に何度も転移してくれと騒ぎ立てるのが目に見えて、かなりめんどくさい。
【確実に騒ぐよね。取り敢えず船にしよう(その後の話し合いはピッピに任せ⋯⋯いや、ピッピに任せたら火に油を注ぐことになるな)】
聖王国の教会が祀る正義を司る神ユースティティは⋯⋯あまり知られていないが⋯⋯時間の女神であり、季節を司るホーラー神という一面も持っている。
瞬く間に流れていく季節の中で草木が育ち花が咲き乱れ、より多くの精気を生み出す⋯⋯ユースティティの御技を無意識に会得したロクサーナは、魔力に精気を乗せた神聖魔法で、稀代の魔女キルケーの幻術を打ち返した。
【報われぬ生を耐え、多くの純粋なる子らの生命をも救った人の子に、我の加護を与えん。目覚めた時より、神聖魔法を使うに相応しい器と生まれ変わるであろう】
【はぁ⋯⋯ユースティティ、小難しい言葉を使うのはやめとけ。誰も聞いちゃいねえ】
【⋯⋯やっだぁ~! クロノス、おひさ~、君達が羨ましくってさぁ、ウズウズしてたの~。ロクサーナが気を失う前に出てきたかったのに、タイミングを失敗しちゃったわ。これは要検討の案件ね! あとで仕切り直しとかしちゃおうかしら。
めちゃくちゃ久しぶりに下界に顕現するからさぁ、ちょ~っと張り切って化粧とかドレスとか頑張ってみたの~。さっきのセリフも含めて、なんか女神っぽくない? どう? どう? あっ、呆れてる? 文句言う前に褒めて褒めて~!
クロノスとカイロス⋯⋯じゃなくてクロちゃんとカイちゃんだよね~。うふっ、詳しいでしょう~、ずーっとずーっと見てたんだもんね~。しっかし、下界って相変わらずわちゃわちゃしてるよね~。
あっ、ロクサーナが起きたら私にもあだ名つけてくれるかなぁ、超楽しみ~】
【相変わらずウゼェ。超最悪~】
【なんで女神ってみんなお喋りなんだ? ペラペラペラペラ、ほんっとよく喋るよな】
神様同士のディスりあいに巻き込まれては堪らないと、ロクサーナを咥えたミュウが船に転移した。
予想通りと言うべきか⋯⋯港に係留された船にロクサーナが運ばれたと知ったジルベルトは、領民代表達との会議をすっぽかし船室に飛び込んできた。
【あー、えーっと⋯⋯今回は魔力切れだから、時間が経てば目が覚めるから。多分】
「魔力切れ⋯⋯ロクサーナのあの膨大な魔力が切れるなんて、一体なにをしたの!?」
青い顔で死んだように眠るのはグラウコスに眠らされた時と同じで、顔を近付けないと息をしているのかどうかもわからない。ひんやりと冷たい手はまるで死人のようで、ジルベルトの恐怖心を煽るばかり。
「山が光ったから、おかしいと⋯⋯くそっ! なんで止めなかったのよ! こんな、こんなになる前に止められたはずでしょ!」
ミュウ達とかなり仲良くなったと言っても、いつもは最低限の礼儀を欠かさないジルベルトが大声を張り上げた。
【そこは、ごめん。突然はじまったから止められなくて⋯⋯】
「やっぱりついて行けば良かったわ。リューズベイの新領主決定や今後の立て直しなんか、私には関係のない話だったのに。
はぁ⋯⋯八つ当たりしてしまいました。申し訳ありません」
思い立ったが吉日で突然行動するロクサーナを止めるのは、誰にもできないと知っている⋯⋯予想を上回る行動力と奇想天外な発想力で、全てをゴリ押しするのがロクサーナだから。
(だから生きてこれたんだと知ってるけどね、無茶ばかりしないで)
5歳から10歳までの間、教会でボロボロになりながらも生きてこれたのはロクサーナの智慧と勇気だった。その純粋な輝きに魅了されたミュウ達が力を貸した。
(守りたいと思ったのは、世界からだけじゃなくて、人の身に余る才能からもだったのに。
いつかこんな事が起きるかもしれないと気付いてたから、そばにいてストッパーになりたいと)
「自分の限界を少しは考えるようになって⋯⋯ついうっかりで魔力が枯渇とか、洒落にもならないわ」
ジルベルトは聖王国の魔法士達が拉致されている問題さえ、自分には関係ないと思っている。
(報告は済ませた⋯⋯無理矢理奴隷にされた魔法士達は可哀想だと思うが、杜撰な管理をしてきた聖王国や教会が責任を持って助ければいい。
俺にはロクサーナより大切なものなんてない⋯⋯)
同じ場所で何回も誘拐や拉致を行えるはずがなく、一回でも不審な事があれば厳重な警戒をする。恐らく大半の魔法士や聖女は、レベッカ達のように上手い話に乗せられて、自ら望んでついていったのだろう。
(騙された方が悪いとは言わないが、俺の責任でもなければロクサーナよりも優先するような問題でもない)
姑息な手段で聖女や魔法士を縛り付けてきた教会が、奴隷に落とされた聖女達の行方を調べられないはずがない。
(放置していたか、グルになっているかのどちらかのはず⋯⋯ガーラント司教達の罪はまだまだ増えそうだな)
その日の夜、ユースティティのお喋りに散々付き合わされたクロちゃんとカイちゃんが、ミュウ達の首根っこを掴んで異次元に飛び込み、『捨てられた恨み』をはらす仕返しバトルを仕掛けたらしいが⋯⋯。
【精霊って下級神だからね! ユースティティみたいな上級神に逆らえるわけないだろ! こちとら怪物に産まれて上位精霊に成り上がった、弱小精霊ですからね~だ】
【オイラは時々悪魔と一緒にされる可哀想な上位精霊モグッ! 神にお小言を言う勇気はないモグッ】
【僕だって魔神・巨人・堕天使って言われる事の方が多いし、悪魔だって言う奴もいるんだよ!? どうやったって言い負かされるに決まってるじゃんか!】
【犯罪者だったから昇天出来ないとか、洗礼を受けずに死んだ子供の魂だとか言われてるのに⋯⋯。光の精霊だなんて誰も信じないんもん】
【冥界の死霊とか生物の影って言われてるのに⋯⋯。闇の精霊は嫌われ者だもん】
【なんか⋯⋯すまん。お前らは立派な上級精霊だからな、自信を持ってくれ。な、な、元気出して⋯⋯リンゴ食うか? ナッツ入りのチョコレートもあるぞ? しょっぱいのが良ければ⋯⋯】
【神も精霊も大して変わんねえから。寿命があるかないかの違いだけだし、なんなら神より精霊の方が役に立ってんじゃん!
そ、それによ。精霊は時間をあけたら再生するけど、神は一度殺られたらそれで終わりなんだぜ。だから、堂々としてりゃいいんだぜ! ユースティティみたいなアホ女神は、俺達がポイってしてやるからな】
【う、うん(チョロい⋯⋯ニヤッ⋯⋯)】
翌日になると、ジルベルトが船にいると知った領の権力者達が押しかけるようになり、ロクサーナを連れて全員で島に転移した。
【すっご~い、煩かったね~。燃やしちゃえば良かったかも~】
【海を凍らせて、船を出せないようにしておけば良かった】
怒りを我慢していたそぶりのミュウ達だが、転移する前にちまちまとしたざまぁをしていたのはバレている。
季節外れの時化で船は出航できなくなり、畑に水が溢れ作物の根腐れが心配されるほどになった。
降り続く雨で初夏というよりも晩冬のような肌寒さになり、薪が不足し店は閑古鳥が鳴いている。
【これ以上邪魔をしないなら、一週間くらいで勘弁してあげるよ⋯⋯多分だけどね】
【転移で運ぶしかないが、どこにするかが問題だな】
島に連れて帰ってゆっくりさせてあげたいが、ジルベルトが1日に何度も転移してくれと騒ぎ立てるのが目に見えて、かなりめんどくさい。
【確実に騒ぐよね。取り敢えず船にしよう(その後の話し合いはピッピに任せ⋯⋯いや、ピッピに任せたら火に油を注ぐことになるな)】
聖王国の教会が祀る正義を司る神ユースティティは⋯⋯あまり知られていないが⋯⋯時間の女神であり、季節を司るホーラー神という一面も持っている。
瞬く間に流れていく季節の中で草木が育ち花が咲き乱れ、より多くの精気を生み出す⋯⋯ユースティティの御技を無意識に会得したロクサーナは、魔力に精気を乗せた神聖魔法で、稀代の魔女キルケーの幻術を打ち返した。
【報われぬ生を耐え、多くの純粋なる子らの生命をも救った人の子に、我の加護を与えん。目覚めた時より、神聖魔法を使うに相応しい器と生まれ変わるであろう】
【はぁ⋯⋯ユースティティ、小難しい言葉を使うのはやめとけ。誰も聞いちゃいねえ】
【⋯⋯やっだぁ~! クロノス、おひさ~、君達が羨ましくってさぁ、ウズウズしてたの~。ロクサーナが気を失う前に出てきたかったのに、タイミングを失敗しちゃったわ。これは要検討の案件ね! あとで仕切り直しとかしちゃおうかしら。
めちゃくちゃ久しぶりに下界に顕現するからさぁ、ちょ~っと張り切って化粧とかドレスとか頑張ってみたの~。さっきのセリフも含めて、なんか女神っぽくない? どう? どう? あっ、呆れてる? 文句言う前に褒めて褒めて~!
クロノスとカイロス⋯⋯じゃなくてクロちゃんとカイちゃんだよね~。うふっ、詳しいでしょう~、ずーっとずーっと見てたんだもんね~。しっかし、下界って相変わらずわちゃわちゃしてるよね~。
あっ、ロクサーナが起きたら私にもあだ名つけてくれるかなぁ、超楽しみ~】
【相変わらずウゼェ。超最悪~】
【なんで女神ってみんなお喋りなんだ? ペラペラペラペラ、ほんっとよく喋るよな】
神様同士のディスりあいに巻き込まれては堪らないと、ロクサーナを咥えたミュウが船に転移した。
予想通りと言うべきか⋯⋯港に係留された船にロクサーナが運ばれたと知ったジルベルトは、領民代表達との会議をすっぽかし船室に飛び込んできた。
【あー、えーっと⋯⋯今回は魔力切れだから、時間が経てば目が覚めるから。多分】
「魔力切れ⋯⋯ロクサーナのあの膨大な魔力が切れるなんて、一体なにをしたの!?」
青い顔で死んだように眠るのはグラウコスに眠らされた時と同じで、顔を近付けないと息をしているのかどうかもわからない。ひんやりと冷たい手はまるで死人のようで、ジルベルトの恐怖心を煽るばかり。
「山が光ったから、おかしいと⋯⋯くそっ! なんで止めなかったのよ! こんな、こんなになる前に止められたはずでしょ!」
ミュウ達とかなり仲良くなったと言っても、いつもは最低限の礼儀を欠かさないジルベルトが大声を張り上げた。
【そこは、ごめん。突然はじまったから止められなくて⋯⋯】
「やっぱりついて行けば良かったわ。リューズベイの新領主決定や今後の立て直しなんか、私には関係のない話だったのに。
はぁ⋯⋯八つ当たりしてしまいました。申し訳ありません」
思い立ったが吉日で突然行動するロクサーナを止めるのは、誰にもできないと知っている⋯⋯予想を上回る行動力と奇想天外な発想力で、全てをゴリ押しするのがロクサーナだから。
(だから生きてこれたんだと知ってるけどね、無茶ばかりしないで)
5歳から10歳までの間、教会でボロボロになりながらも生きてこれたのはロクサーナの智慧と勇気だった。その純粋な輝きに魅了されたミュウ達が力を貸した。
(守りたいと思ったのは、世界からだけじゃなくて、人の身に余る才能からもだったのに。
いつかこんな事が起きるかもしれないと気付いてたから、そばにいてストッパーになりたいと)
「自分の限界を少しは考えるようになって⋯⋯ついうっかりで魔力が枯渇とか、洒落にもならないわ」
ジルベルトは聖王国の魔法士達が拉致されている問題さえ、自分には関係ないと思っている。
(報告は済ませた⋯⋯無理矢理奴隷にされた魔法士達は可哀想だと思うが、杜撰な管理をしてきた聖王国や教会が責任を持って助ければいい。
俺にはロクサーナより大切なものなんてない⋯⋯)
同じ場所で何回も誘拐や拉致を行えるはずがなく、一回でも不審な事があれば厳重な警戒をする。恐らく大半の魔法士や聖女は、レベッカ達のように上手い話に乗せられて、自ら望んでついていったのだろう。
(騙された方が悪いとは言わないが、俺の責任でもなければロクサーナよりも優先するような問題でもない)
姑息な手段で聖女や魔法士を縛り付けてきた教会が、奴隷に落とされた聖女達の行方を調べられないはずがない。
(放置していたか、グルになっているかのどちらかのはず⋯⋯ガーラント司教達の罪はまだまだ増えそうだな)
その日の夜、ユースティティのお喋りに散々付き合わされたクロちゃんとカイちゃんが、ミュウ達の首根っこを掴んで異次元に飛び込み、『捨てられた恨み』をはらす仕返しバトルを仕掛けたらしいが⋯⋯。
【精霊って下級神だからね! ユースティティみたいな上級神に逆らえるわけないだろ! こちとら怪物に産まれて上位精霊に成り上がった、弱小精霊ですからね~だ】
【オイラは時々悪魔と一緒にされる可哀想な上位精霊モグッ! 神にお小言を言う勇気はないモグッ】
【僕だって魔神・巨人・堕天使って言われる事の方が多いし、悪魔だって言う奴もいるんだよ!? どうやったって言い負かされるに決まってるじゃんか!】
【犯罪者だったから昇天出来ないとか、洗礼を受けずに死んだ子供の魂だとか言われてるのに⋯⋯。光の精霊だなんて誰も信じないんもん】
【冥界の死霊とか生物の影って言われてるのに⋯⋯。闇の精霊は嫌われ者だもん】
【なんか⋯⋯すまん。お前らは立派な上級精霊だからな、自信を持ってくれ。な、な、元気出して⋯⋯リンゴ食うか? ナッツ入りのチョコレートもあるぞ? しょっぱいのが良ければ⋯⋯】
【神も精霊も大して変わんねえから。寿命があるかないかの違いだけだし、なんなら神より精霊の方が役に立ってんじゃん!
そ、それによ。精霊は時間をあけたら再生するけど、神は一度殺られたらそれで終わりなんだぜ。だから、堂々としてりゃいいんだぜ! ユースティティみたいなアホ女神は、俺達がポイってしてやるからな】
【う、うん(チョロい⋯⋯ニヤッ⋯⋯)】
翌日になると、ジルベルトが船にいると知った領の権力者達が押しかけるようになり、ロクサーナを連れて全員で島に転移した。
【すっご~い、煩かったね~。燃やしちゃえば良かったかも~】
【海を凍らせて、船を出せないようにしておけば良かった】
怒りを我慢していたそぶりのミュウ達だが、転移する前にちまちまとしたざまぁをしていたのはバレている。
季節外れの時化で船は出航できなくなり、畑に水が溢れ作物の根腐れが心配されるほどになった。
降り続く雨で初夏というよりも晩冬のような肌寒さになり、薪が不足し店は閑古鳥が鳴いている。
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