85 / 126
77.壊れた?それとも偽物?
しおりを挟む
「美味しそうだね、僕ももらっていいかな?」
「あ、はい。今出しますね」
ジルベルト司祭用には、がっつりお肉のサンドイッチとイカや帆立の串焼きと、ゴロゴロ野菜のスープ。
いそいそと隣に座ったジルベルト司祭に『どうぞ』と言って差し出すと、にっこり笑ってスコーンを⋯⋯ロクサーナの食べかけをパクリ。
「うん、美味しいね。ラズベリーの酸味が好きなんだけど、マーマレードの苦味がこんなに合うとは思わなかったな。これは病みつきになりそうだ」
ポカンと口を開けたままで放心状態のロクサーナの手に、ジルベルト司祭がサンドイッチを持たせた。
「はい、ロクサーナの分。大きな口を開けてるけど、あ~んする?」
「へ? いやいや、違う⋯⋯違ーう! ジルベルト司祭、一体何があったんですか? 疲れ過ぎてキレちゃいました? それか、仕事できなくて壊れたとか。それとも⋯⋯もも、もしかして偽物? 幻影魔法ですか!?
はっ、本物のジルベルト司祭はどこですか!? ジル、ジルベルト司祭を返せえぇぇ」
支離滅裂で涙目になったロクサーナの頭を撫でてから、ハンカチを出し涙を拭いて『鼻かむ?』とお世話をするジルベルト司祭の姿は、まるで子煩悩な父親のよう。
「ちょっと、やり過ぎたな」
【かなりやり過ぎ。ロクサーナには理解できてないからね!】
「えーっと、ロクサーナが教会に所属している間は上司と部下だっただろ? ここまではオーケー?」
ジルベルト司祭はこくりと頷いたロクサーナの顔を覗き込んで、ゆっくりと噛んで含めるように話しはじめた。
「で、それなりに距離を置かないといけないと思っていたんだ。で、この間ロクサーナは教会を離れたから、食事に誘った。これからは友達とかに変われたらいいなと思ってね」
「友達⋯⋯食事とか買い物とか」
「そう、昨夜話をしたアレだね。ずっとそんな風になりたいと思ってたから⋯⋯ちょっと勢いがつき過ぎたんだ。驚かせてごめん」
ようやく関係が変わると安堵した数日後に、ロクサーナが海に落ちて溺れかけた。その後目を覚まさないロクサーナのそばで過ごした間の不安で、ストッパーが外れていたと反省したジルベルト司祭。
(やり過ぎて大失敗だな)
俯いたままのロクサーナはボソボソとなにか呟いては、首を傾げたり頷いたりと忙しそうにしている。
(友達って言うのは確か⋯⋯食事にはじまって、買い物に行くんだよね。その次はなんかあったっけ? えっと、人の食べかけを食べるのはどこに入る?
その前に膝に乗せるのには理由があった気がするし⋯⋯あ~んとかも普通って事かあ。友達って言うのは結構ハードモードなんだなぁ。
頑張れるか自信がないけど⋯⋯サブリナ達は友達と出かけるのは楽しいって言ってたから、もしかして『あ~ん』なんて余裕でできるのかも⋯⋯膝乗せはどっちが上かどうやって決めるの?
ああっ! て事は⋯⋯友達になるから私がジルベルト司祭を膝に乗せ、乗せ、ええーっ!)
完全に『友達』を勘違いしたロクサーナだが、ジルベルト司祭にとって吉と出るか凶と出るか⋯⋯。
「ロクサーナ、戻って来~い」
「へ? あ⋯⋯えーっと、そっ、その⋯⋯上司と部下から膝に⋯⋯じゃなくて、とっ、友達に変化したジルベルト司祭が目の前にいると。えとえと、だから、別人みたいな変? な行動になってるわけですね! りょ、了解です。
友達がよく分かってなくて、ちょっと、ちょびっと混乱してました。ごめんなさい⋯⋯えっと、これからよろしくです?」
「うん、よろしく。気になる事とか疑問があればすぐに(ミュウ達じゃなくて)僕に聞いてくれるかな? ロクサーナと僕の関係については、2人で話し合っていきたいって思うんだ」
ロクサーナがミュウ達に聞けば、もっと一般的な『友達関係』を教えてくれたはずだが⋯⋯。
「はい! わからない事があったらすぐ聞きますね。その、どっちが上とか、えっと、その時になったら、はい」
腹黒ジルベルトの囲い込み作戦成功の兆しに、ミュウがこっそり溜め息をついた。
【また、誑かされてるよ】
【ウルウル~、これはジル君の愛ってことなのぉ?】
【僕のみたところ、長年耐えてる間に拗らせた男って感じだから、ピッピにはまだ難しいかな~】
【束縛系だな】
【既にかなり調教済みだしな】
【用意周到モグッ】
わざわざジルベルトの近くに並んで噂をする精霊と時の神達は、能天気に騙されるロクサーナと、上手に掌で転がすジルベルトのやり取りで盛り上がっている。
【騙されてますよ~。友達の概念、壊されてるぞ~】
【ミュウ、邪魔しちゃだめなの~。これから面白そうなの~】
【クロ、最初はどっちが上か、賭けるか? ププッ】
【いいねえ⋯⋯なら俺はジルベルトが上に賭ける。ロクサーナが上は上級すぎだろ?】
【上の意味が違うモグッ】
精霊や神がジルベルトにだけ聞こえるように話している上級テクのせいで、彼らの話が何も聞こえていないロクサーナは、ご機嫌のままワッフルに手を伸ばした。
(問題解決! ふふ~ん、膝だけ身体強化できるか試しとかなくちゃ。ジルベルト司祭は細いけど、男の人だもんね)
精霊達の揶揄いに顔を赤くしたジルベルト司祭に気付かないまま、ロクサーナは今度はチョコブラウニーを口に放り込んだ。
「家の材料は、いいの見つかった?」
「うん、どれもまっすぐ伸びたいい木ばかりだね。ゼフィンが手伝ってくれるって言うから、思ったより早くに住めるようになりそうだよ」
「材料の搬入の時とドワーフが仕事をする姿を、人に見られないようにするのがちょっと大変そう」
転移門を設置するのは簡単だが、ドワーフや資材の出入りを見られるとすぐに大騒ぎになるだろう。
安全な場所に引っ越したばかりの彼らに、迷惑はかけられない。
「う~ん、(島にはロクサーナしかいないから)そこは問題ないと思う。それより場所をきちんと決めて、ゼフィンに連絡しなきゃな」
「そっか、何か方法があるなら安心だね。場所って広いの?」
「結構広いよ。ねえ、ここに家を一軒追加するとしたら、ロクサーナならどこにする?」
村長やゼフィン達はジルベルト司祭が引っ越したいと言うと、諸手を挙げて賛成してくれた。
『ワシらが来た言うても種族が違うけんの、分からん事もようけあるじゃろう思うんで。ジルベルトさんが来てくれたら、ロクサーナも喜ぶじゃろうし、安心じゃ』
『わしらぁ、ずーっと山に篭っとったけん、外のことはよう分からんし、魔法やらはさーっぱりじゃしの。ロクサーナが悩んでも無茶ぁしても、分からんし手伝えん。よろしゅう頼むで』
『ほうよね、ロクサーナちゃんはおうたばっかりの私らの無理を聞いてくれたんじゃけど⋯⋯後から色々知ってびっくりするやら、申し訳ないやらで。あげなこまい子に無茶ぁさせてもうてからに⋯⋯って反省したんよ。
あん時は、魔法はなんでも出来るんじゃけえ、簡単じゃろう思うとったけんねえ』
帝国から救い出されたドワーフの話を聞いて、村のドワーフ達は初めて『どれほど危険だったか』に気付かされた。
『ワシらは武器は作るくせに、戦いの事はなんも知らん。無知なのは恐ろしいて、よう分かったんよ』
ロクサーナはドワーフひとりに対し剣一本の報酬を要求したが、ドワーフは生涯ロクサーナを支えると決めている。
『島への引っ越しはその決意の表れなんじゃが、ロクサーナには伝わっとらんのよ』
『呑気なんかなんなんか⋯⋯自分が凄いことをやったって、気付いとらんけん。お礼を言うたら困った顔をするんじゃもんねえ』
「ここにもう一軒の家? 人が増えるとか想像した事なかったからなあ。でも、例えばだよね⋯⋯だとしたら⋯⋯」
「あ、はい。今出しますね」
ジルベルト司祭用には、がっつりお肉のサンドイッチとイカや帆立の串焼きと、ゴロゴロ野菜のスープ。
いそいそと隣に座ったジルベルト司祭に『どうぞ』と言って差し出すと、にっこり笑ってスコーンを⋯⋯ロクサーナの食べかけをパクリ。
「うん、美味しいね。ラズベリーの酸味が好きなんだけど、マーマレードの苦味がこんなに合うとは思わなかったな。これは病みつきになりそうだ」
ポカンと口を開けたままで放心状態のロクサーナの手に、ジルベルト司祭がサンドイッチを持たせた。
「はい、ロクサーナの分。大きな口を開けてるけど、あ~んする?」
「へ? いやいや、違う⋯⋯違ーう! ジルベルト司祭、一体何があったんですか? 疲れ過ぎてキレちゃいました? それか、仕事できなくて壊れたとか。それとも⋯⋯もも、もしかして偽物? 幻影魔法ですか!?
はっ、本物のジルベルト司祭はどこですか!? ジル、ジルベルト司祭を返せえぇぇ」
支離滅裂で涙目になったロクサーナの頭を撫でてから、ハンカチを出し涙を拭いて『鼻かむ?』とお世話をするジルベルト司祭の姿は、まるで子煩悩な父親のよう。
「ちょっと、やり過ぎたな」
【かなりやり過ぎ。ロクサーナには理解できてないからね!】
「えーっと、ロクサーナが教会に所属している間は上司と部下だっただろ? ここまではオーケー?」
ジルベルト司祭はこくりと頷いたロクサーナの顔を覗き込んで、ゆっくりと噛んで含めるように話しはじめた。
「で、それなりに距離を置かないといけないと思っていたんだ。で、この間ロクサーナは教会を離れたから、食事に誘った。これからは友達とかに変われたらいいなと思ってね」
「友達⋯⋯食事とか買い物とか」
「そう、昨夜話をしたアレだね。ずっとそんな風になりたいと思ってたから⋯⋯ちょっと勢いがつき過ぎたんだ。驚かせてごめん」
ようやく関係が変わると安堵した数日後に、ロクサーナが海に落ちて溺れかけた。その後目を覚まさないロクサーナのそばで過ごした間の不安で、ストッパーが外れていたと反省したジルベルト司祭。
(やり過ぎて大失敗だな)
俯いたままのロクサーナはボソボソとなにか呟いては、首を傾げたり頷いたりと忙しそうにしている。
(友達って言うのは確か⋯⋯食事にはじまって、買い物に行くんだよね。その次はなんかあったっけ? えっと、人の食べかけを食べるのはどこに入る?
その前に膝に乗せるのには理由があった気がするし⋯⋯あ~んとかも普通って事かあ。友達って言うのは結構ハードモードなんだなぁ。
頑張れるか自信がないけど⋯⋯サブリナ達は友達と出かけるのは楽しいって言ってたから、もしかして『あ~ん』なんて余裕でできるのかも⋯⋯膝乗せはどっちが上かどうやって決めるの?
ああっ! て事は⋯⋯友達になるから私がジルベルト司祭を膝に乗せ、乗せ、ええーっ!)
完全に『友達』を勘違いしたロクサーナだが、ジルベルト司祭にとって吉と出るか凶と出るか⋯⋯。
「ロクサーナ、戻って来~い」
「へ? あ⋯⋯えーっと、そっ、その⋯⋯上司と部下から膝に⋯⋯じゃなくて、とっ、友達に変化したジルベルト司祭が目の前にいると。えとえと、だから、別人みたいな変? な行動になってるわけですね! りょ、了解です。
友達がよく分かってなくて、ちょっと、ちょびっと混乱してました。ごめんなさい⋯⋯えっと、これからよろしくです?」
「うん、よろしく。気になる事とか疑問があればすぐに(ミュウ達じゃなくて)僕に聞いてくれるかな? ロクサーナと僕の関係については、2人で話し合っていきたいって思うんだ」
ロクサーナがミュウ達に聞けば、もっと一般的な『友達関係』を教えてくれたはずだが⋯⋯。
「はい! わからない事があったらすぐ聞きますね。その、どっちが上とか、えっと、その時になったら、はい」
腹黒ジルベルトの囲い込み作戦成功の兆しに、ミュウがこっそり溜め息をついた。
【また、誑かされてるよ】
【ウルウル~、これはジル君の愛ってことなのぉ?】
【僕のみたところ、長年耐えてる間に拗らせた男って感じだから、ピッピにはまだ難しいかな~】
【束縛系だな】
【既にかなり調教済みだしな】
【用意周到モグッ】
わざわざジルベルトの近くに並んで噂をする精霊と時の神達は、能天気に騙されるロクサーナと、上手に掌で転がすジルベルトのやり取りで盛り上がっている。
【騙されてますよ~。友達の概念、壊されてるぞ~】
【ミュウ、邪魔しちゃだめなの~。これから面白そうなの~】
【クロ、最初はどっちが上か、賭けるか? ププッ】
【いいねえ⋯⋯なら俺はジルベルトが上に賭ける。ロクサーナが上は上級すぎだろ?】
【上の意味が違うモグッ】
精霊や神がジルベルトにだけ聞こえるように話している上級テクのせいで、彼らの話が何も聞こえていないロクサーナは、ご機嫌のままワッフルに手を伸ばした。
(問題解決! ふふ~ん、膝だけ身体強化できるか試しとかなくちゃ。ジルベルト司祭は細いけど、男の人だもんね)
精霊達の揶揄いに顔を赤くしたジルベルト司祭に気付かないまま、ロクサーナは今度はチョコブラウニーを口に放り込んだ。
「家の材料は、いいの見つかった?」
「うん、どれもまっすぐ伸びたいい木ばかりだね。ゼフィンが手伝ってくれるって言うから、思ったより早くに住めるようになりそうだよ」
「材料の搬入の時とドワーフが仕事をする姿を、人に見られないようにするのがちょっと大変そう」
転移門を設置するのは簡単だが、ドワーフや資材の出入りを見られるとすぐに大騒ぎになるだろう。
安全な場所に引っ越したばかりの彼らに、迷惑はかけられない。
「う~ん、(島にはロクサーナしかいないから)そこは問題ないと思う。それより場所をきちんと決めて、ゼフィンに連絡しなきゃな」
「そっか、何か方法があるなら安心だね。場所って広いの?」
「結構広いよ。ねえ、ここに家を一軒追加するとしたら、ロクサーナならどこにする?」
村長やゼフィン達はジルベルト司祭が引っ越したいと言うと、諸手を挙げて賛成してくれた。
『ワシらが来た言うても種族が違うけんの、分からん事もようけあるじゃろう思うんで。ジルベルトさんが来てくれたら、ロクサーナも喜ぶじゃろうし、安心じゃ』
『わしらぁ、ずーっと山に篭っとったけん、外のことはよう分からんし、魔法やらはさーっぱりじゃしの。ロクサーナが悩んでも無茶ぁしても、分からんし手伝えん。よろしゅう頼むで』
『ほうよね、ロクサーナちゃんはおうたばっかりの私らの無理を聞いてくれたんじゃけど⋯⋯後から色々知ってびっくりするやら、申し訳ないやらで。あげなこまい子に無茶ぁさせてもうてからに⋯⋯って反省したんよ。
あん時は、魔法はなんでも出来るんじゃけえ、簡単じゃろう思うとったけんねえ』
帝国から救い出されたドワーフの話を聞いて、村のドワーフ達は初めて『どれほど危険だったか』に気付かされた。
『ワシらは武器は作るくせに、戦いの事はなんも知らん。無知なのは恐ろしいて、よう分かったんよ』
ロクサーナはドワーフひとりに対し剣一本の報酬を要求したが、ドワーフは生涯ロクサーナを支えると決めている。
『島への引っ越しはその決意の表れなんじゃが、ロクサーナには伝わっとらんのよ』
『呑気なんかなんなんか⋯⋯自分が凄いことをやったって、気付いとらんけん。お礼を言うたら困った顔をするんじゃもんねえ』
「ここにもう一軒の家? 人が増えるとか想像した事なかったからなあ。でも、例えばだよね⋯⋯だとしたら⋯⋯」
99
あなたにおすすめの小説
冤罪で処刑されたら死に戻り、前世の記憶が戻った悪役令嬢は、元の世界に帰る方法を探す為に婚約破棄と追放を受け入れたら、伯爵子息様に拾われました
ゆうき
恋愛
ワガママ三昧な生活を送っていた悪役令嬢のミシェルは、自分の婚約者と、長年に渡っていじめていた聖女によって冤罪をでっちあげられ、処刑されてしまう。
その後、ミシェルは不思議な夢を見た。不思議な既視感を感じる夢の中で、とある女性の死を見せられたミシェルは、目を覚ますと自分が処刑される半年前の時間に戻っていた。
それと同時に、先程見た夢が自分の前世の記憶で、自分が異世界に転生したことを知る。
記憶が戻ったことで、前世のような優しい性格を取り戻したミシェルは、前世の世界に残してきてしまった、幼い家族の元に帰る術を探すため、ミシェルは婚約者からの婚約破棄と、父から宣告された追放も素直に受け入れ、貴族という肩書きを隠し、一人外の世界に飛び出した。
初めての外の世界で、仕事と住む場所を見つけて懸命に生きるミシェルはある日、仕事先の常連の美しい男性――とある伯爵家の令息であるアランに屋敷に招待され、自分の正体を見破られてしまったミシェルは、思わぬ提案を受ける。
それは、魔法の研究をしている自分の専属の使用人兼、研究の助手をしてほしいというものだった。
だが、その提案の真の目的は、社交界でも有名だった悪役令嬢の性格が豹変し、一人で外の世界で生きていることを不審に思い、自分の監視下におくためだった。
変に断って怪しまれ、未来で起こる処刑に繋がらないようにするために、そして優しいアランなら信用できると思ったミシェルは、その提案を受け入れた。
最初はミシェルのことを疑っていたアランだったが、徐々にミシェルの優しさや純粋さに惹かれていく。同時に、ミシェルもアランの魅力に惹かれていくことに……。
これは死に戻った元悪役令嬢が、元の世界に帰るために、伯爵子息と共に奮闘し、互いに惹かれて幸せになる物語。
⭐︎小説家になろう様にも投稿しています。全話予約投稿済です⭐︎
聖女は記憶と共に姿を消した~婚約破棄を告げられた時、王国の運命が決まった~
キョウキョウ
恋愛
ある日、婚約相手のエリック王子から呼び出された聖女ノエラ。
パーティーが行われている会場の中央、貴族たちが注目する場所に立たされたノエラは、エリック王子から突然、婚約を破棄されてしまう。
最近、冷たい態度が続いていたとはいえ、公の場での宣言にノエラは言葉を失った。
さらにエリック王子は、ノエラが聖女には相応しくないと告げた後、一緒に居た美しい女神官エリーゼを真の聖女にすると宣言してしまう。彼女こそが本当の聖女であると言って、ノエラのことを偽物扱いする。
その瞬間、ノエラの心に浮かんだのは、万が一の時のために準備していた計画だった。
王国から、聖女ノエラに関する記憶を全て消し去るという計画を、今こそ実行に移す時だと決意した。
こうして聖女ノエラは人々の記憶から消え去り、ただのノエラとして新たな一歩を踏み出すのだった。
※過去に使用した設定や展開などを再利用しています。
※カクヨムにも掲載中です。
(完結)お荷物聖女と言われ追放されましたが、真のお荷物は追放した王太子達だったようです
しまうま弁当
恋愛
伯爵令嬢のアニア・パルシスは婚約者であるバイル王太子に突然婚約破棄を宣言されてしまうのでした。
さらにはアニアの心の拠り所である、聖女の地位まで奪われてしまうのでした。
訳が分からないアニアはバイルに婚約破棄の理由を尋ねましたが、ひどい言葉を浴びせつけられるのでした。
「アニア!お前が聖女だから仕方なく婚約してただけだ。そうでなけりゃ誰がお前みたいな年増女と婚約なんかするか!!」と。
アニアの弁明を一切聞かずに、バイル王太子はアニアをお荷物聖女と決めつけて婚約破棄と追放をさっさと決めてしまうのでした。
挙句の果てにリゼラとのイチャイチャぶりをアニアに見せつけるのでした。
アニアは妹のリゼラに助けを求めましたが、リゼラからはとんでもない言葉が返ってきたのでした。
リゼラこそがアニアの追放を企てた首謀者だったのでした。
アニアはリゼラの自分への悪意を目の当たりにして愕然しますが、リゼラは大喜びでアニアの追放を見送るのでした。
信じていた人達に裏切られたアニアは、絶望して当てもなく宿屋生活を始めるのでした。
そんな時運命を変える人物に再会するのでした。
それはかつて同じクラスで一緒に学んでいた学友のクライン・ユーゲントでした。
一方のバイル王太子達はアニアの追放を喜んでいましたが、すぐにアニアがどれほどの貢献をしていたかを目の当たりにして自分達こそがお荷物であることを思い知らされるのでした。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
全25話執筆済み 完結しました
似非聖女呼ばわりされたのでスローライフ満喫しながら引き篭もります
秋月乃衣
恋愛
侯爵令嬢オリヴィアは聖女として今まで16年間生きてきたのにも関わらず、婚約者である王子から「お前は聖女ではない」と言われた挙句、婚約破棄をされてしまった。
そして、その瞬間オリヴィアの背中には何故か純白の羽が出現し、オリヴィアは泣き叫んだ。
「私、仰向け派なのに!これからどうやって寝たらいいの!?」
聖女じゃないみたいだし、婚約破棄されたし、何より羽が邪魔なので王都の外れでスローライフ始めます。
真面目くさった女はいらないと婚約破棄された伯爵令嬢ですが、王太子様に求婚されました。実はかわいい彼の溺愛っぷりに困っています
綾森れん
恋愛
「リラ・プリマヴェーラ、お前と交わした婚約を破棄させてもらう!」
公爵家主催の夜会にて、リラ・プリマヴェーラ伯爵令嬢はグイード・ブライデン公爵令息から言い渡された。
「お前のような真面目くさった女はいらない!」
ギャンブルに財産を賭ける婚約者の姿に公爵家の将来を憂いたリラは、彼をいさめたのだが逆恨みされて婚約破棄されてしまったのだ。
リラとグイードの婚約は政略結婚であり、そこに愛はなかった。リラは今でも7歳のころ茶会で出会ったアルベルト王子の優しさと可愛らしさを覚えていた。しかしアルベルト王子はそのすぐあとに、毒殺されてしまった。
夜会で恥をさらし、居場所を失った彼女を救ったのは、美しい青年歌手アルカンジェロだった。
心優しいアルカンジェロに惹かれていくリラだが、彼は高い声を保つため、少年時代に残酷な手術を受けた「カストラート(去勢歌手)」と呼ばれる存在。教会は、子孫を残せない彼らに結婚を禁じていた。
禁断の恋に悩むリラのもとへ、父親が新たな婚約話をもってくる。相手の男性は親子ほども歳の離れた下級貴族で子だくさん。数年前に妻を亡くし、後妻に入ってくれる女性を探しているという、悪い条件の相手だった。
望まぬ婚姻を強いられ未来に希望を持てなくなったリラは、アルカンジェロと二人、教会の勢力が及ばない国外へ逃げ出す計画を立てる。
仮面舞踏会の夜、二人の愛は通じ合い、結ばれる。だがアルカンジェロが自身の秘密を打ち明けた。彼の正体は歌手などではなく、十年前に毒殺されたはずのアルベルト王子その人だった。
しかし再び、王権転覆を狙う暗殺者が迫りくる。
これは、愛し合うリラとアルベルト王子が二人で幸せをつかむまでの物語である。
旦那様、離婚しましょう ~私は冒険者になるのでご心配なくっ~
榎夜
恋愛
私と旦那様は白い結婚だ。体の関係どころか手を繋ぐ事もしたことがない。
ある日突然、旦那の子供を身籠ったという女性に離婚を要求された。
別に構いませんが......じゃあ、冒険者にでもなろうかしら?
ー全50話ー
奪われる人生とはお別れします 婚約破棄の後は幸せな日々が待っていました
水空 葵
恋愛
婚約者だった王太子殿下は、最近聖女様にかかりっきりで私には見向きもしない。
それなのに妃教育と称して仕事を押し付けてくる。
しまいには建国パーティーの時に婚約解消を突き付けられてしまった。
王太子殿下、それから私の両親。今まで尽くしてきたのに、裏切るなんて許せません。
でも、これ以上奪われるのは嫌なので、さっさとお別れしましょう。
◇2024/2/5 HOTランキング1位に掲載されました。
◇第17回 恋愛小説大賞で6位&奨励賞を頂きました。
◇レジーナブックスより書籍発売中です!
本当にありがとうございます!
聖女は王子たちを完全スルーして、呪われ大公に強引求婚します!
葵 すみれ
恋愛
今宵の舞踏会は、聖女シルヴィアが二人の王子のどちらに薔薇を捧げるのかで盛り上がっていた。
薔薇を捧げるのは求婚の証。彼女が選んだ王子が、王位争いの勝者となるだろうと人々は囁き交わす。
しかし、シルヴィアは薔薇を持ったまま、自信満々な第一王子も、気取った第二王子も素通りしてしまう。
彼女が薔薇を捧げたのは、呪われ大公と恐れられ、蔑まれるマテウスだった。
拒絶されるも、シルヴィアはめげない。
壁ドンで追い詰めると、強引に薔薇を握らせて宣言する。
「わたくし、絶対にあなたさまを幸せにしてみせますわ! 絶対に、絶対にです!」
ぐいぐい押していくシルヴィアと、たじたじなマテウス。
二人のラブコメディが始まる。
※他サイトにも投稿しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる