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00.ジルベルト司祭のダークな過去
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ルイス・ジルベルト・ガルシア。
ガルシア公爵家の三男で、ジルベルトは父方の祖母の姓。
ジルベルト司祭がまだルイスと呼ばれ、家族と共に暮らしていた8歳の時、3歳年上の兄が流行病で生死の境を彷徨った。
『ルイス、女神様にお願いに行こう』
5歳上の兄に誘われて仕方なく敷地内の礼拝堂に向かい、女神像の前で膝をついたルイス。
(礼拝堂って薄暗くて苦手なんだよな)
薄暗い礼拝堂の中に窓から届く陽の光が、代理石できた女神像を淡く輝かせ、うっすらと舞う埃がゆっくりと渦を巻いて見える。
『弟の病気が治りますように』
『兄上が、早く良くなりますように』
兄に続いて取り敢えず祈りの言葉を口にしながら、心の中では別のことを考えていた。
(この後、ジョイスに会いに行ってみよう。初のお産は時間がかかるって言ってたから、多分まだだよなぁ)
そろそろ終わりにしても良いかなぁと思いつつ、横目で兄の様子を窺っていると、胸の前で合わせていたルイスの手から光が溢れ、礼拝堂の中が眩く光りはじめた。
『ル、ルイス! なんだ今のは!?』
慌てて立ち上がり後退りする兄の顔が引き攣っている。
『ぼ、僕にだって分からないよ!』
その光は屋敷の窓の近くにいた母親にも見えたらしく、しばらくして礼拝堂の扉が大きく開かれた。
『何があったの!? 先程の光はなに⋯⋯』
そこにいたのは呆然として膝をついたままカタカタと震えているルイスと、恐怖に顔を引き攣らせた兄。
『は、母上⋯⋯ルイスが⋯⋯』
翌日、狂信的な女神信者の母から告げられたセリフは⋯⋯。
『ルイス⋯⋯貴方は今日からルイーズです。治癒魔法は聖女様の御技ですからね』
『僕は男です! ルイーズだなんて有り得ません』
断ると泣いて暴れ『母の言う事がなぜ聞けないの!』と叫んで部屋中の物を投げつけてきた。
従者はメイドに変更され、クローゼットには色とりどりのドレスが並べられた。
『ドレスしかないなら何も着なくていい!』
『刺繍と楽器の講師が明日から来られるのよ』
『聖女のローブを仕立てたの。可憐なルイーズにぴったりなはず』
ドアの前で興奮気味に叫ぶ母の声が終日聞こえてくる。
(頭がおかしくなりそうだ!)
何日も部屋に閉じ籠り食事を絶っても状況は悪くなるばかり。鍵をかけたドアを壊されて縄で縛られ、母の待つ礼拝堂に連れて行かれる。
『さあ、聖女の祈りを捧げるのです』
『聖女の格を高める為には試練が必要ね』
女らしい言葉遣いと態度を強要し、拒否すると鞭で打つ。
(負けるもんか、僕は女じゃない!)
ルイスがドアの前に家具を並べ部屋に籠城すると、ナイフを持ち出した母が部屋の前で1日に何度も自殺を仄めかしはじめた。
それを無視していると、とうとうメイドが傷つけられた。
『聖女様の世話ができないメイドを罰してあげたのよ。もう大丈夫だから、出ていらっしゃい』
(狂ってる⋯⋯母上は間違いなく壊れてる)
使用人が傷つけられるよりはまし⋯⋯しばらくの間の辛抱だと諦めて、ドレスを着たルイスの姿を見た母は、涙を流し祈りはじめた。
『わたくしの祈りが女神様に届いたのだわ。わたくしの愛する娘が聖女様になるの⋯⋯わたくしは聖母になったのよ!』
重病だった兄は回復していたが、長兄と共にルイスから距離を取るようになり、目も合わせてくれない。
家族に無関心な父親は、ルイスがドレスを着せられていても何も言わずに横を通り過ぎた。
2年後、10歳になったルイスは神託の儀で、風・水・光の属性を持っていると判明した。
『おめでとうございます。魔法士見習いと神託がおりました』
『いいえ、わたくしの大切なルイーズは聖女様になりますの。神罰を恐れるなら『聖女見習い』とおっしゃいなさい』
『い、いえ⋯⋯魔法士見習いで』
司祭の前に置かれた大きな袋が、ガチャガチャと大量の白金貨の音を響かせると、司祭の喉がゴクリと鳴り⋯⋯。
『せ、聖女見習いの見間違いでした』
教会へ提出された書類には、母の字で『ルイーズ・ガルシア。ガルシア公爵家長女』と記載されていた。
教会での職種が『聖女見習い』となっていたのが、多額のお布施のおかげなのは知っていたが、教会内で誰ひとり不審に思う者も問いただす者もいないのには腹が立った。
(僕が女に見えるわけないじゃないか!)
唯一の救いはひとり部屋だったことくらい。黙ったまま少女達と修練をし、ひとり黙々と食事をして部屋に籠る。
中性的な顔立ちのせいで、少女達はルイーズがルイスだとは気付いていなかった。
定期的に訪れる母はルイスに聖女らしさを強要し、そばにいるメイドを盾に脅していく。
『聖女らしくなさい。もしそれができないとしたら、世話をしていたメイド達が悪いのだから、この母がメイドに神罰を与えてあげましょう。
それにね、聖女は俗世の垢に触れてはなりません。ルイーズの支度は全てこの母が整えて届けさせます』
(恥ずかしくて、誰にも言えないし⋯⋯メイドが傷つけられるのも嫌だ)
背が伸び骨格が男らしくなってきても、喉仏が主張をはじめても、毎年公爵家が送ってくる寄付金がルイスをルイーズたらしめていた。
『ねえ、ルイーズって⋯⋯』
『絶対そうだって』
ヒソヒソと交わされる言葉に嘲笑が混じっている。
(もうどうだっていい、知るもんか)
ルイーズ・ガルシアの性別が問題視されたのは教会に来て8年後。成人となり2度目の神託の儀に向かうことになったから。
18歳のルイスはどこから見ても女には見えない、冷ややかな目つきで陰のある、研ぎ澄まされた美しさを持つ青年になっていた。
『生まれてから8年間はルイスと呼ばれていました。教会やガルシア家がなんと言おうと、私自身は昔も今もルイスと言う名の男だと信じています』
ルイスの処遇が話し合われたが、公にすれば教会の腐敗が表沙汰になる。
『公にしなければ良いのです。密かに破門としましょう』
『3属性持ちを破門にするのはもったいない。登録を魔法士に変更すれば良い。顔に大きな火傷の跡でもあれば、誰も気付かん』
『登録は魔法士で、職務は神官とするのはいかがですかな? 魔法士として杖を下賜しておけば、後はいかようにも出来るのですから』
そんな話し合いが行われていたとは知らず⋯⋯。
『教会を出た後の身の振り方が決まるまで、魔法士として登録してはどうかな?』
(家には帰りたくないし、教会にもこれ以上いたくない。でも、どうすればいいのかもわからない)
悩んでいるルイスに枢機卿が畳み掛けてくる。
『調べてみたんだが、ルイーズ・ガルシアの給与は全てガルシア公爵家に送られているんだろう。先立つ物がなければ宿にも泊まれないからね。
なに、少し金を貯めるまでの繋ぎだと思えばいい』
しばらくの間だけなら⋯⋯と頷いた。
『ルイス・ガルシアを魔法士と認める。聖王様より下賜されし杖に所有者登録を』
『待ってください! 私はしばらくの間だけだとのお約束をいたしております』
『心配することはないよ、形式だけ⋯⋯形式だからね』
魔法士として登録したのは18歳。その直後、ガルシア公爵家から除籍されルイス・ジルベルトと名乗る事を決めた。
神官の仕事を手伝いながら1年かけて金を貯めたルイスが知らされたのは⋯⋯。
『すっかり忘れていたんだがねえ、杖に所有者登録をした時点で、君は終生聖王国の魔法士となったんだよ。ブハッ』
(騙された! 一時的だとか形式だけとか⋯⋯教会なんかクソ喰らえだ!)
その翌々年、全てにおいて投げやりになっていたルイスはロクサーナと出会った。
(この子を助けたい!)
その日から、仕事に精を出す素振りで教会や他国の情勢を調べ、逃げ出す為の入念な準備をはじめた。
(ロクサーナの為に調べた結果が、俺にも最高の役に立つなんて! 杖の所有者登録で安心し切ってるみたいだが、契約に穴があったなんてな)
感情が揺れるとオネエ言葉が出るのが悩みのジルベルト司祭だったが、ロクサーナが楽しそうに笑うので『まあ、いいか』と思いはじめてもいる。
幼い頃から聖女になりたいと夢を見ていた母は、自分ではなく仲の悪い妹が聖女見習いになった時から、少しずつ壊れはじめていたのだろう。
『わたくしの娘は必ず聖女になりますわ。だって、このわたくしが見つけてきた子供ですもの』
ガルシア公爵家の三男で、ジルベルトは父方の祖母の姓。
ジルベルト司祭がまだルイスと呼ばれ、家族と共に暮らしていた8歳の時、3歳年上の兄が流行病で生死の境を彷徨った。
『ルイス、女神様にお願いに行こう』
5歳上の兄に誘われて仕方なく敷地内の礼拝堂に向かい、女神像の前で膝をついたルイス。
(礼拝堂って薄暗くて苦手なんだよな)
薄暗い礼拝堂の中に窓から届く陽の光が、代理石できた女神像を淡く輝かせ、うっすらと舞う埃がゆっくりと渦を巻いて見える。
『弟の病気が治りますように』
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兄に続いて取り敢えず祈りの言葉を口にしながら、心の中では別のことを考えていた。
(この後、ジョイスに会いに行ってみよう。初のお産は時間がかかるって言ってたから、多分まだだよなぁ)
そろそろ終わりにしても良いかなぁと思いつつ、横目で兄の様子を窺っていると、胸の前で合わせていたルイスの手から光が溢れ、礼拝堂の中が眩く光りはじめた。
『ル、ルイス! なんだ今のは!?』
慌てて立ち上がり後退りする兄の顔が引き攣っている。
『ぼ、僕にだって分からないよ!』
その光は屋敷の窓の近くにいた母親にも見えたらしく、しばらくして礼拝堂の扉が大きく開かれた。
『何があったの!? 先程の光はなに⋯⋯』
そこにいたのは呆然として膝をついたままカタカタと震えているルイスと、恐怖に顔を引き攣らせた兄。
『は、母上⋯⋯ルイスが⋯⋯』
翌日、狂信的な女神信者の母から告げられたセリフは⋯⋯。
『ルイス⋯⋯貴方は今日からルイーズです。治癒魔法は聖女様の御技ですからね』
『僕は男です! ルイーズだなんて有り得ません』
断ると泣いて暴れ『母の言う事がなぜ聞けないの!』と叫んで部屋中の物を投げつけてきた。
従者はメイドに変更され、クローゼットには色とりどりのドレスが並べられた。
『ドレスしかないなら何も着なくていい!』
『刺繍と楽器の講師が明日から来られるのよ』
『聖女のローブを仕立てたの。可憐なルイーズにぴったりなはず』
ドアの前で興奮気味に叫ぶ母の声が終日聞こえてくる。
(頭がおかしくなりそうだ!)
何日も部屋に閉じ籠り食事を絶っても状況は悪くなるばかり。鍵をかけたドアを壊されて縄で縛られ、母の待つ礼拝堂に連れて行かれる。
『さあ、聖女の祈りを捧げるのです』
『聖女の格を高める為には試練が必要ね』
女らしい言葉遣いと態度を強要し、拒否すると鞭で打つ。
(負けるもんか、僕は女じゃない!)
ルイスがドアの前に家具を並べ部屋に籠城すると、ナイフを持ち出した母が部屋の前で1日に何度も自殺を仄めかしはじめた。
それを無視していると、とうとうメイドが傷つけられた。
『聖女様の世話ができないメイドを罰してあげたのよ。もう大丈夫だから、出ていらっしゃい』
(狂ってる⋯⋯母上は間違いなく壊れてる)
使用人が傷つけられるよりはまし⋯⋯しばらくの間の辛抱だと諦めて、ドレスを着たルイスの姿を見た母は、涙を流し祈りはじめた。
『わたくしの祈りが女神様に届いたのだわ。わたくしの愛する娘が聖女様になるの⋯⋯わたくしは聖母になったのよ!』
重病だった兄は回復していたが、長兄と共にルイスから距離を取るようになり、目も合わせてくれない。
家族に無関心な父親は、ルイスがドレスを着せられていても何も言わずに横を通り過ぎた。
2年後、10歳になったルイスは神託の儀で、風・水・光の属性を持っていると判明した。
『おめでとうございます。魔法士見習いと神託がおりました』
『いいえ、わたくしの大切なルイーズは聖女様になりますの。神罰を恐れるなら『聖女見習い』とおっしゃいなさい』
『い、いえ⋯⋯魔法士見習いで』
司祭の前に置かれた大きな袋が、ガチャガチャと大量の白金貨の音を響かせると、司祭の喉がゴクリと鳴り⋯⋯。
『せ、聖女見習いの見間違いでした』
教会へ提出された書類には、母の字で『ルイーズ・ガルシア。ガルシア公爵家長女』と記載されていた。
教会での職種が『聖女見習い』となっていたのが、多額のお布施のおかげなのは知っていたが、教会内で誰ひとり不審に思う者も問いただす者もいないのには腹が立った。
(僕が女に見えるわけないじゃないか!)
唯一の救いはひとり部屋だったことくらい。黙ったまま少女達と修練をし、ひとり黙々と食事をして部屋に籠る。
中性的な顔立ちのせいで、少女達はルイーズがルイスだとは気付いていなかった。
定期的に訪れる母はルイスに聖女らしさを強要し、そばにいるメイドを盾に脅していく。
『聖女らしくなさい。もしそれができないとしたら、世話をしていたメイド達が悪いのだから、この母がメイドに神罰を与えてあげましょう。
それにね、聖女は俗世の垢に触れてはなりません。ルイーズの支度は全てこの母が整えて届けさせます』
(恥ずかしくて、誰にも言えないし⋯⋯メイドが傷つけられるのも嫌だ)
背が伸び骨格が男らしくなってきても、喉仏が主張をはじめても、毎年公爵家が送ってくる寄付金がルイスをルイーズたらしめていた。
『ねえ、ルイーズって⋯⋯』
『絶対そうだって』
ヒソヒソと交わされる言葉に嘲笑が混じっている。
(もうどうだっていい、知るもんか)
ルイーズ・ガルシアの性別が問題視されたのは教会に来て8年後。成人となり2度目の神託の儀に向かうことになったから。
18歳のルイスはどこから見ても女には見えない、冷ややかな目つきで陰のある、研ぎ澄まされた美しさを持つ青年になっていた。
『生まれてから8年間はルイスと呼ばれていました。教会やガルシア家がなんと言おうと、私自身は昔も今もルイスと言う名の男だと信じています』
ルイスの処遇が話し合われたが、公にすれば教会の腐敗が表沙汰になる。
『公にしなければ良いのです。密かに破門としましょう』
『3属性持ちを破門にするのはもったいない。登録を魔法士に変更すれば良い。顔に大きな火傷の跡でもあれば、誰も気付かん』
『登録は魔法士で、職務は神官とするのはいかがですかな? 魔法士として杖を下賜しておけば、後はいかようにも出来るのですから』
そんな話し合いが行われていたとは知らず⋯⋯。
『教会を出た後の身の振り方が決まるまで、魔法士として登録してはどうかな?』
(家には帰りたくないし、教会にもこれ以上いたくない。でも、どうすればいいのかもわからない)
悩んでいるルイスに枢機卿が畳み掛けてくる。
『調べてみたんだが、ルイーズ・ガルシアの給与は全てガルシア公爵家に送られているんだろう。先立つ物がなければ宿にも泊まれないからね。
なに、少し金を貯めるまでの繋ぎだと思えばいい』
しばらくの間だけなら⋯⋯と頷いた。
『ルイス・ガルシアを魔法士と認める。聖王様より下賜されし杖に所有者登録を』
『待ってください! 私はしばらくの間だけだとのお約束をいたしております』
『心配することはないよ、形式だけ⋯⋯形式だからね』
魔法士として登録したのは18歳。その直後、ガルシア公爵家から除籍されルイス・ジルベルトと名乗る事を決めた。
神官の仕事を手伝いながら1年かけて金を貯めたルイスが知らされたのは⋯⋯。
『すっかり忘れていたんだがねえ、杖に所有者登録をした時点で、君は終生聖王国の魔法士となったんだよ。ブハッ』
(騙された! 一時的だとか形式だけとか⋯⋯教会なんかクソ喰らえだ!)
その翌々年、全てにおいて投げやりになっていたルイスはロクサーナと出会った。
(この子を助けたい!)
その日から、仕事に精を出す素振りで教会や他国の情勢を調べ、逃げ出す為の入念な準備をはじめた。
(ロクサーナの為に調べた結果が、俺にも最高の役に立つなんて! 杖の所有者登録で安心し切ってるみたいだが、契約に穴があったなんてな)
感情が揺れるとオネエ言葉が出るのが悩みのジルベルト司祭だったが、ロクサーナが楽しそうに笑うので『まあ、いいか』と思いはじめてもいる。
幼い頃から聖女になりたいと夢を見ていた母は、自分ではなく仲の悪い妹が聖女見習いになった時から、少しずつ壊れはじめていたのだろう。
『わたくしの娘は必ず聖女になりますわ。だって、このわたくしが見つけてきた子供ですもの』
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