魔力無しの黒色持ちの私だけど、(色んな意味で)きっちりお返しさせていただきます。

みん

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24 その後

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色々あったお疲れ様パーティーでは、千代様とオールデン様と言う2人の神気にあてられたのか、私は高熱を出して1週間寝込む事になった。
その寝込んでいる間、コユキが何度か来てくれた気配があった。でも、それよりも、ずっと側で手を握ってくれていた人が居て、その手の温もりがとても安心するもので──グウェイン様だったと確信している。

1週間後にしてようやく熱が下がり、それから3日後にはベッドの上で上体を起こせるようになり、そこでようやく、私が高熱で倒れた後の話をウィル様とグウェイン様から聞く事ができた。一番驚いたのは、“モモカ=イチノセ”と言う存在が無くなっていた事だった。

「コユキも含めて、誰一人モモカの事は覚えていなかったんだ。国内の浄化も、コユキが1人で浄化した事になっていた」 

但し─ウィル様とグウェイン様と私だけは覚えているようだ。

「それと、王太子だけど、マトモになっていた─と言うより、“元に戻った”と言うべきかな?」



『──その男も、所詮お前が妖術で惑わせて手に入れただけだろう?』


と、オールデン様が言っていたから、王太子もモモカの妖術に惑わされていたんだろう。

「国交断絶にならずに済みそうで良かった」

と、ニコニコ笑うウィル様。

ー本当に良かった!ー

『竜王国に目をつけられた国は、衰退の一途を辿る』とも言われている。黒狐の私が幸せを運ぶぐらいでは何の助けにもならないだろう。

そして、あのパーティーで気を失った生徒達は、自分が気を失ったと言う記憶もないようで、あのパーティーは何事もなく行われ、何事も無く終わった─と言う事になっているらしい。流石は、千代様だ。いや……千代様から指示を受けた、この世界の神の1人アンブロンズ様……かな?


「──そんな感じで、俺達3人以外の者は何事も無くいつも通りと言う感じだ。それで………」
「?………あ………」

ウィル様は、『の報告は終了』と言う感じで私に視線を向けている。
それはそうだ。冷静な態度を崩してはいないけど、ウィル様もグウェイン様も、私の存在が不思議なんだろうし、色々訊きたい事があるんだろう。

「上手く説明できるか分からないけど、私の話を聞いてもらえますか?」
「勿論。是非聞きたい」
「分かりました………の前に、グウェイン様、私、もうお腹いっぱいです」
「これだけで?あぁ…そうだな。病み上がりなら仕方無いな」

高熱が落ち着いた後、何故かカリーヌさんでもオフェリーさんでもなく、グウェイン様が私に食事を食べさせてくれている。正直、向こうの世界で、シロや主様と食べさせ合いなんて事は普通にしていたから、恥ずかしさはないけど、申し訳無い気持ちはあって『自分で食べられます』と言えば『俺嫌なのか?』と悲しそうな顔で訊かれて、何故か罪悪感に襲われて『それは無いです!』と答えれば『なら良いだろう?』と笑顔で言われて、受け入れる事しかできずに今に至っている。

ー母性?父性本能が高いのかなぁ?ー



「うーん……叔父上とアンバーが微妙にズレている気もするのは、俺だけか?」と、ウィルは1人呟いた。






******


「アンバーは、人間でも獣人でもなく、千代様の世界に存在していた“妖の狐”で、今もまだその能力を持っていると言う事なのか?」
「そうです。私はコユキみたいに転生─生まれ変わったのではなく、黒狐のままでこの世界に転移して来たんです。転移後に記憶を失ってしまっていたから、自分がどこから来て、何者なのか、何故魔力が無いのか……全く分からなかったんですけど。私は、魔力ではなく、妖力を持っているから、魔法のような力を使う事はできます」
「なるほど…それが、あの時の“狐火”とか言うやつだな?」
「はい。狐火は、妖狐にとっては基本中の基本の妖術です。後は、そこから色んなパターンに展開させるんですけど、私は攻撃系は苦手で……」

そもそも、黒狐は幸せを運ぶから、攻撃系の妖術を使う事は殆ど無かったし、必要もなかった。『黒色は不吉』と言われる迄は。そう言われ出した後は、私の力はどんどん弱まってしまったから、妖術を使える事もなくなって………

ーこのまま、消えてしまうのかなー

と思いながら、1日1日を過ごしていた。

「アンバー……クロはよく頑張ったんだな」
「グウェイン様…ありがとうございます」

ポンポンと優しく頭を叩くグウェイン様。
これだけで気持ちが救われるのだから、グウェイン様の手には何か特別な魔法でも掛けられているのかもしれない。

「兎に角、この世界に妖は居ないから、狐の獣人として生きていこうかと……」
「そうだね。誰も疑う事なんてないだろうし……でも……今気付いたけど…、神と同等の妖狐の遣いだったとは……この世界ではアンブロンズ神の次に偉い存在なんじゃないか?」
「んー……どうでしょう?黒狐と言っても、昔と比べると魂も力も小さくなっているから、黒狐としての役割も果たせるかどうか微妙だし……私は、今迄通り“普通の狐獣人のアンバー”として付き合ってもらえる方が嬉しいです」

「勿論、アンバーがそう望むなら」

そう言って、ウィル様はニッコリ微笑んだ。



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