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19 パーティーの始まり
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「やっぱり、聖女と言っても黒色持ちだと、能力も劣るのかしら?」
「そうは言っても、モモカ様だって黒色持ちだろう?」
「でも、髪は黒ではないし、浄化の力を与えられているのだから、“神に認められた真の聖女”と言う事なんじゃないか?」
「やっぱり、黒は不吉なのかしら?」
「本当に、この国の子供は柔軟性が良いな」
「本当にすまない!」
冷たい程の目をして微笑んでいるのはウィル様で、必死に謝っているのはリッカルド殿下。
ー王族が、こんなに頭を下げて謝っても良いんだろうか?ー
「何なら、1年で留学は終わりにして帰国するか?で、優秀な魔道士を何人か連れて帰れば自国でも学べるだろうし…」
「グウェイン殿!それは勘弁して欲しい!」
「…………」
ー帰国──そうなったら私は………ー
「アンバー」
「はい……っ!?」
ふいにグウェイン様に名前を呼ばれて返事をすると、開けた口の中に甘さが広がった。
「これ、昨日自国から届いたフルーツチョコレートなんだ」
「んー!美味しいです!」
「まだたくさんあるから、後で他の種類のもあげるよ。それと……もし俺達が本当に帰国する事になったら、アンバーが望むなら一緒に来れば良いよ」
「グウェイン様………ありがとうございます」
ーやっぱり、グウェイン様は優しくて温かいー
「…………ウィル、グウェイン殿のアレは……」
「うん。無自覚らしい。本当にビックリだよね。あのグウェイン=リベルトが……」
そんなリッカルド様とウィル様の会話は、グウェイン様と私の耳には入って来なかった。
色んな陰口は叩かれていたけど、特に大きな問題が起こる事はないまま、学校生活の1年が終わろうとしていた。コユキへの評価は良くも悪くもならず─と言ったところだ。それでもコユキは、週末になると地方へと足をのばして、あちこちで怪我人や病人達に治癒の力を施している。
『力の使い過ぎだ』
と、時々リッカルド殿下に注意をされている程だ。
そして、モモカはモモカで浄化は順調に進んでいるようで、もうそろそろ結界の張り直しができるところまで来ているそうだ。
「学校1年の締め括りには、全生徒参加のパーティーがあるんだ」
所謂『1年間お疲れ様パーティー』で、在学生であれば、貴族平民関係なく参加ができるパーティーなんだそうだ。正直、参加したくない。黒色持ちが参加したところで、楽しめる筈がない。でも、そのパーティーには、聖女のコユキと留学生のウィル様の参加は必須だそうで、コユキが参加すると言うなら、私は参加しないと言う選択肢は無い。黒色持ちの私が居れば、少しだけでもコユキへの批判が和らぐだろうから。
******
「少し面倒な事になった」と言って、パーティー迄後3日と言う日に、お忍びでスペンサー邸にやって来たのはリッカルド様だった。
「兄上が、モモカをエスコートしてパーティーに参加すると言い出したんだ」
「そこまでするのか?」
ウィル様は呆れている。
今回のパーティーは、格式張ったパーティーではないから、婚約者が居る人は一緒に参加するけど、基本、エスコートなんてものは必要ない。
「だからと言っては変だけど、コユキは私と一緒に居た方が良いと思って。それで、ウィルはアンバーと一緒に居てくれないか?」
「え!?私ですか!?」
「私もウィルもエスコートをする訳じゃなくて、一緒に居るだけだから。その方が、コユキもアンバーも表立って非難される事が無いだろうから」
「なるほどね。それは一理ある。特に、アンバーはウェント伯爵から籍を抜いて、今は平民だから一緒に居た方が良いかもね」
確かに、一緒に居た方が安心なのかもしれない。
ただ、王太子様がパーティーに参加する為だけに来ると言うのなら問題ないと思うけど、参加するだけでは済まないような気がしてならない。
「後は、兄上が馬鹿な事をやらかさなければ良いけど…」
「いや、済まないだろうね」
「………」
どうやら、皆同じ事を思っていたようで………
ー何事も起こりませんようにー
なんて願いは、あっけなく打ち砕かれる事になった。
パーティーの始まりから騒がしいものとなった。
聖女モモカが、在学生ではない王太子様のエスコートで入場して来れば、会場は一気にざわついた。微笑み合っている2人は、本当に想い合っているように見える。そんな2人を、大多数の生徒達が羨望の眼差しを向けている。
「兄上は、王太子としての自覚はあるんだろうか?その王太子としての行動の責任を理解しているんだろうか?」
そんな2人を、リッカルド殿下は複雑な表情を浮かべて見ている。
これで、噂通り“好待遇されている聖女”と“冷遇されている聖女”を決定付けてしまったからだ。
それからは、パーティーの中心には王太子様とモモカが居て、私達4人は壁際を陣取り、用意されていた食事を堪能していた──のも束の間だった。
「ベレニスは何処に居る?」
少し静まり返った会場で、王太子様の声が響いた。
「そうは言っても、モモカ様だって黒色持ちだろう?」
「でも、髪は黒ではないし、浄化の力を与えられているのだから、“神に認められた真の聖女”と言う事なんじゃないか?」
「やっぱり、黒は不吉なのかしら?」
「本当に、この国の子供は柔軟性が良いな」
「本当にすまない!」
冷たい程の目をして微笑んでいるのはウィル様で、必死に謝っているのはリッカルド殿下。
ー王族が、こんなに頭を下げて謝っても良いんだろうか?ー
「何なら、1年で留学は終わりにして帰国するか?で、優秀な魔道士を何人か連れて帰れば自国でも学べるだろうし…」
「グウェイン殿!それは勘弁して欲しい!」
「…………」
ー帰国──そうなったら私は………ー
「アンバー」
「はい……っ!?」
ふいにグウェイン様に名前を呼ばれて返事をすると、開けた口の中に甘さが広がった。
「これ、昨日自国から届いたフルーツチョコレートなんだ」
「んー!美味しいです!」
「まだたくさんあるから、後で他の種類のもあげるよ。それと……もし俺達が本当に帰国する事になったら、アンバーが望むなら一緒に来れば良いよ」
「グウェイン様………ありがとうございます」
ーやっぱり、グウェイン様は優しくて温かいー
「…………ウィル、グウェイン殿のアレは……」
「うん。無自覚らしい。本当にビックリだよね。あのグウェイン=リベルトが……」
そんなリッカルド様とウィル様の会話は、グウェイン様と私の耳には入って来なかった。
色んな陰口は叩かれていたけど、特に大きな問題が起こる事はないまま、学校生活の1年が終わろうとしていた。コユキへの評価は良くも悪くもならず─と言ったところだ。それでもコユキは、週末になると地方へと足をのばして、あちこちで怪我人や病人達に治癒の力を施している。
『力の使い過ぎだ』
と、時々リッカルド殿下に注意をされている程だ。
そして、モモカはモモカで浄化は順調に進んでいるようで、もうそろそろ結界の張り直しができるところまで来ているそうだ。
「学校1年の締め括りには、全生徒参加のパーティーがあるんだ」
所謂『1年間お疲れ様パーティー』で、在学生であれば、貴族平民関係なく参加ができるパーティーなんだそうだ。正直、参加したくない。黒色持ちが参加したところで、楽しめる筈がない。でも、そのパーティーには、聖女のコユキと留学生のウィル様の参加は必須だそうで、コユキが参加すると言うなら、私は参加しないと言う選択肢は無い。黒色持ちの私が居れば、少しだけでもコユキへの批判が和らぐだろうから。
******
「少し面倒な事になった」と言って、パーティー迄後3日と言う日に、お忍びでスペンサー邸にやって来たのはリッカルド様だった。
「兄上が、モモカをエスコートしてパーティーに参加すると言い出したんだ」
「そこまでするのか?」
ウィル様は呆れている。
今回のパーティーは、格式張ったパーティーではないから、婚約者が居る人は一緒に参加するけど、基本、エスコートなんてものは必要ない。
「だからと言っては変だけど、コユキは私と一緒に居た方が良いと思って。それで、ウィルはアンバーと一緒に居てくれないか?」
「え!?私ですか!?」
「私もウィルもエスコートをする訳じゃなくて、一緒に居るだけだから。その方が、コユキもアンバーも表立って非難される事が無いだろうから」
「なるほどね。それは一理ある。特に、アンバーはウェント伯爵から籍を抜いて、今は平民だから一緒に居た方が良いかもね」
確かに、一緒に居た方が安心なのかもしれない。
ただ、王太子様がパーティーに参加する為だけに来ると言うのなら問題ないと思うけど、参加するだけでは済まないような気がしてならない。
「後は、兄上が馬鹿な事をやらかさなければ良いけど…」
「いや、済まないだろうね」
「………」
どうやら、皆同じ事を思っていたようで………
ー何事も起こりませんようにー
なんて願いは、あっけなく打ち砕かれる事になった。
パーティーの始まりから騒がしいものとなった。
聖女モモカが、在学生ではない王太子様のエスコートで入場して来れば、会場は一気にざわついた。微笑み合っている2人は、本当に想い合っているように見える。そんな2人を、大多数の生徒達が羨望の眼差しを向けている。
「兄上は、王太子としての自覚はあるんだろうか?その王太子としての行動の責任を理解しているんだろうか?」
そんな2人を、リッカルド殿下は複雑な表情を浮かべて見ている。
これで、噂通り“好待遇されている聖女”と“冷遇されている聖女”を決定付けてしまったからだ。
それからは、パーティーの中心には王太子様とモモカが居て、私達4人は壁際を陣取り、用意されていた食事を堪能していた──のも束の間だった。
「ベレニスは何処に居る?」
少し静まり返った会場で、王太子様の声が響いた。
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