魔力無しの黒色持ちの私だけど、(色んな意味で)きっちりお返しさせていただきます。

みん

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4 諦め

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*?????*


「この国は相変わらずだな」
「100年位ではそう簡単には変わらないだろう。それに、この国はもともと生まれる数が少ないら、殆どの人間にとっては関係無い事だからな」
「まだ、王家がマトモだから良かったけど、平穏な学生生活は望めないだろうな……」

はぁ…と、ため息を吐きながらも少し愉しそうに笑うのは、黒色の長い髪と瞳をした青年。その青年の隣に居るのは、白色の短髪に紺碧色の瞳の男性。

「まぁ、相手は子供だから、生死に関わるような事はないだろうし、魔法に関しては一番の国の学校だから、ウィルは楽しめば良いよ」
「そうだね。快く迎え入れてくれたんだから、俺は俺で楽しむよ」
「それじゃあ、許可ももらったから、街にでも行こうか」
「そうだね」





******

「それじゃあ、夕方4時に迎えに来るから、それ迄に買い物を終えてここに戻って来い。戻って来なければ、歩いて帰る事になるからな」

私を馬車に乗せてやって来た御者は、そう言ってから私を降ろした後、邸へと戻って行った。

1人だけで買い物をして、4時迄にここに戻って来るって……買い物の量からすれば、急いでお店を回ってギリギリと言ったところで、荷物を1人で持てるのかどうかだけど──

「迷ってる暇はないから急ごう!」





「あれ、黒色持ちじゃない?」
「それじゃあ…ウェント伯爵家の…」
「………」

最初にやって来たのは、伯爵が予約を入れていたお店で、制服の採寸をする為に被っていたフードも外さなければいけないから、どうしても目立ってしまう。
黒色持ちを差別してはいけない─と言う国の政策があるから、公の場で何かをされると言う事はないけど、やっぱり嫌な視線を向けられたり、こそこそと嫌な事を呟かれたりはする。
お店の人でさえ、私に話し掛ける事はせず黙々と採寸をするだけ。視線は一度も合わない。嫌な顔をしていないだけ、まだマシなのかもしれない。

「……終わりました。それでは、制服は出来上がり次第、家の方に送らせていただきます」
「ありがとうございます。宜しくお願いします」

採寸が終わるとすぐにフードを被り、急いで次の目的の店へと向かった。

制服の採寸のお店以外では、フードを外さなければいけないお店はなかったから、特に注目を浴びる事も陰口を叩かれる事もなく、順調に買い物をする事ができた。

「これなら、ゆっくり戻っても間に合うわ」

荷物はそれなりにあったけど、何とか1人でも大丈夫な量で、時間にも余裕があったから、私はゆっくりと約束の場所へと歩き出した。





「帰る途中で脱輪したそうで、頼まれて代わりに迎えに来ました」

そう言って、約束の場所にやって来たのは、ウェント家の馬車ではなく辻馬車だった。

「……ありがとうございます」

御者もウェント家の者ではなく平民だろう。フードで隠れていて分からないから、私が黒色持ちだと言う事も気付いていないようで、笑顔で私の持っていた荷物を馬車の中に乗せてくれた後、私も馬車に乗り込むと、その馬車は静かに動き出した。

ーどうする?ー

きっと、脱輪したのは嘘だ。例え、脱輪したとしても、伯爵家には他にも馬車があるから態々辻馬車を寄越す必要なんてない。それなのに、態々辻馬車を寄越したと言う事は、きっと、どこかで何かが起こる。何も知らない平民の御者を巻き添えにして。

ー私がおとなしく被害を受ければ、あの御者も私も死ぬ事はないのかな?ー

どうして黒色持ちだからと、こんな思いをしなければいけないのか。私がいつ、誰かを不幸にした?辛い思いをしているのは……私なのに。もう、いっその事──


『──お前達だけは──────』


気持ちが沈むと、頭の中に響く声。その声はとても優しい。でも、その声が誰の声なのかは分からない。ただ、何故か分からないけど、“生きろ”と言われているような気がする。

「まだ…私は大丈夫………きゃあーっ!」
「うわあーっ!!」

ギュッと手を握り締めた時、ガタンッと大きい音を立てながら馬車が傾いた。


「い──っ!」

ダダンッ─と馬車が横向きに倒れて、全身を打ち付けられ、痛みで動く事ができない。御者の声も聞こえないから、御者の安否も分からない。でも、これぐらいで済んで良かったと思うべきなのか?

「分かってるな?女は殺さずに連れて行くんだ」
「殺しさえしなければ、問題なかったよな?」
「っ!?」

御者の声どころか、「大丈夫か?」と言うような声は聞こえない。なら、助けを求めて叫んでも誰も助けてくれない。体は痛くて動けない。

ーあぁ…やっぱり、私はウェント伯爵家あそこからは出られないのかー

「ん?何だ、まだ子供ガキじゃないか。しかも、黒色持ちか」
「ラッキーじゃないか!黒色持ちを探してた変態貴族が居ただろう!?あの貴族にちょっと預けてから…ってのはどうだ?」
「良いな。それなら、両方から金が貰えるな」

2人の男がニヤリと笑いながら近付いて来る。

「今以上痛い思いをしたくないなら、おとなしくしてろ」

ー淡い期待を抱いてしまった私が…悪かったんだー

声どころか涙さえ出ない。抵抗する気力も無いまま、私はそっと目を閉じた。





「何をしているんだ?」





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