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二度目の召喚
アレの行方は?
しおりを挟む「何と言うか……うん。兎に角、ウィステリアさんが無事で良かった。」
ポンポン─と、アズールさんが私の頭を優しく叩く。
「ルーファス、嫉妬からの圧は見苦しいからな?」
「くくっ──」
「?」
アレサンドル様の突っ込み?からのアズールさんの苦笑……チラッとシーヴァーさんを覗い見てみるけど、そこには、やっぱり穏やかに微笑んでいるシーヴァーさんが居ただけだった。
「それじゃあ、私からも報告させてもらうわね」と、今度はニッコリ微笑むキッカさんが嬉々として語った内容は──
「アレを……向こう側に連れて行った!?」
私を召還させたアリシア様の処遇は“一生涯幽閉”だったけど、それは大福より甘過ぎる!とキレたキッカさんが、アリシア様を預かり……日本へ連れ渡ったそうだ。
「連れて行ってあげたのだけど、つい、うっかり落としてしまったみたいでね?何処に落とし─落ちてしまったか分からなくて……見つける迄…半年位はかかると思うわ。」
“落ちた”
“半年見付からない”
“因果応報って、良い四字熟語だと思わない?”
ーなるほどー
何処に落としたのかは訊かない。訊いたところで、私がアリシア様を助ける事はない。私はそこまでお人好しじゃない。“ざまぁみろ!”とまでは思わないけど、“他人の痛み、苦しみを知りなさい!”と思う。
「ウィステリアさんも、文句の一つや二つ、言っても良いんじゃない?慰謝料の請求なんかもできそうだよね?」
アズールさんの言葉に、キッカさんはうんうんと頷いているけど──
「文句を言ったところで、再召還された事実が無くなるわけじゃないし……それよりも……あぁ、万能な筈の神様達も、私達─人間と同じでミスをするんだなぁ──なんて思って…」
と言っても、キルソリアン邸に居る時に愚痴ったけどね。それに……謝罪されても受け入れられるモノじゃない。
「ウィステリアさんは、欲?が無いね…俺なら、一生遊んで暮らせるお金を強請るかも」
なんて言って笑っているアズールさんは、この世界に残って、今では王城での生活より国内を飛び回って魔獣を狩りまくっていると言う事は、ここでの生活に満足している─と言う事なんだろう。
それからもアズールさんと色んな話をしたけど、その話のなかで、久保さん─エメラルドの名前が出て来る事はなかった。
「それじゃあ、ウィステリアさん、俺はまたあちこち飛び回るけど、王都に帰って来た時は、またお茶でもしような?」と言って、アズールさんはまた、魔獣狩りの旅に出て行った。
「………」
「ウィステリア殿、どうかした?」
少し、ボーッとしていた私に声を掛けてくれたのはシーヴァーさん。シーヴァーさんに言っても良いのか?と少し躊躇いもあったけど……
「あの………エメラルドは……どうしてるんですか?」
私の問に、少しだけ目を大きくしたシーヴァーさん。
「エメラルド殿に関して……私から少し話をしておくよ」
と、少し困ったような顔をしたアレサンドル様がいた。
『──ウィステリアが………憎いけど…羨ましかった…嫌いだけど……羨ましいの………』
日本に居た時も喋った事はなくて、この世界に来てからも殆ど喋った事はなかったのに
「嫌われてるとは…思わなかった………」
好かれてはいないとは思ってたけど…
「私、エメラルドに何かしたっけ?」
「あー…その辺の話は…キッカ殿、少しだけで良いから、ルーファスに時間をやってくれないか?」
「良いわよ。」
何故か、アレサンドル様とキッカさんはそれだけ言うと、私とシーヴァーさんを残して部屋から出て行ってしまった。
「「…………」」
どうしよう?と少し焦っていると、「少し、話を聞いて欲しい─」とシーヴァーに言われて、コクリ─と頷いた。
*アレサンドルとキッカ(アレサンドル視点)*
「私からお願いしておいてなんだが…すんなり2人にして…良かったのか?」
「ウィステリア様が、本気で嫌がるのなら、私だって2人になんてさせないわ。でもね──あの2人には、もっと会話が必要なのよ。」
んー…と、キッカ殿は少し考えるように黙った後
「また還るとしても、1年はこの世界に居るのなら、ウィステリア様が楽しく過ごせるようにしてあげたいし…あの2人が微笑み合っているところを……見せつけてやりたい──なんて事は思ってないけどね。」
ーいや、それ、絶対思っているよな?寧ろ、そっちが主な理由では?その前に、エメラルド殿も愛し子ではなかっか?ー
「そうそう、話は変わるけど……お前の妹だった者だけどね?」
どうやら、キッカ殿もアレの名前を呼ぶのも嫌なようだ。私も嫌だから気持ちはよく分かる。
「アレが…殺した魔導士が居たでしょう?あの魔導士はね、私の主が掬ってくれて……そのまま、あっちの世界に転移させたのよ。魔力は失ったけど、今は楽しそうに過ごしているわ。」
「それは……ありがたい。本当にありがとうございます。」
アレの犠牲になったのは、平民の魔導士だった。平民ではあるが、そこそこの魔力持ちで身寄りの無い40代の女性だった為、居なくなっても騒ぎにはなっていなかったのだ。
「彼女ね、あっと言う間に向こう側に馴染んでね…あ、私、その彼女が居る辺りで、アレを落としたのかもしれないわね……」
ふふふっ──とほくそ笑むキッカ殿。
魔力なんて無い世界。聖女を必要としていない世界。王族の身分も関係のない世界。やってもらって当たり前に育ったアレが、自分勝手な理由で殺された筈の者の目の前に現れたら──
ー私なら、とことん……やり返すー
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