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❋新しい未来へ❋
77 4人の処罰
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*エヴェリーナ視点*
久し振りにフィルと話をして…そのまま寝てしまって……
朝起きたら「寝ぼけたイヴが悪い」と言われて、またまた息もできない程のキスをされた。抗議の気持ちを込めて睨んだところで、更に攻められただけだった。
ー今日も学園が休みで良かったー
それから、グッタリした私を嬉しそうに抱きかかえたまま、久し振りに2人で一緒に朝食を食べた後「今日も早く帰って来るから」と言ってから、フィルは王城へと下りて行った。
その日のお昼過ぎ──
「ただいま!」と言って、本当に早い時間に帰って来たフィル。お互いランチは済ませていた為、庭のガゼボでお茶をしよう─と言う事になった。
「お菓子、作ってくれてたのか?」
「今日は早目に帰って来ると言ってたから、時間があれば一緒に食べたいなぁ─と思って……食べてくれますか?」
「勿論、食べる以外の選択肢は無い!」
「ふふっ─ありがとう、フィル」
数ヶ月会えなかったけど、フィルはフィルだった。
暫くお菓子を堪能した後「あの4人がどうなったのか……知りたい?」と訊かれ、「知っておくべきだと思ってます」と答えると、フィルは4人の処遇について教えてくれた。
「ジュリエンヌ様を………狂った竜の…贄に?」
「本当は、俺が噛み殺したかったところだけど…あの女に噛み付くのは嫌だったからな。それと………イヴには申し訳無いんだが、実際は、あの女は死んではいない」
「あ、そうなんですね」
“死んではいない”─四度も私を殺したジュリエンヌ様だけど…生きていると聞いて、ホッとする自分もいる。
「イヴは四度も……俺に……殺されただろう?」
「そう…です……ね?」
「たった1回の一瞬で死ねたら……楽だと思わないか?」
「……えっと………………」
「あの女は、狂い竜が大口を開けただけで気を失ったんだ。多少…甘噛み程度させてから、狂い竜を拘束して止めたが………」
ーなんとも…手の込んだ?処罰ですねー
「次に目を覚ました時、生きている事にホッとするか、恐怖に怯えるか……まぁ……ホッとしたところで、一度では終わらないけどな………」
ーあぁ……だから殺さなかったと言う事かー
決して、それを“可哀想”とは思わない。フィルと私は、ジュリエンヌ様の欲の為に四度も殺し、殺されたのだ。ざまあ!とは思わないけど、自業自得だとは思うし、同じ目に遭ったところで赦せる事もないだろう。
*フィリベール視点*
イヴには“甘噛み”とは言ったが、拘束するタイミングが少ーしだけ遅くなってしまい、それなりの深手のキズを負ったのは……ワザとではない。勿論、その場に待機させていたマリーに致命傷にはならないように治癒もさせた。痛み迄は回復させていないから、今頃は痛みで呻いているかもしれないが、これはイヴは知る必要はないだろう。
「その両親─元国王と王妃は、イーリャの実を娘に使用させた事と、自らも、先々代の国王と王妃に使用して殺していた事が判明した」
「え!?自分の親を……ですか!?」
この新事実には俺も驚いた。国王となっても権力を保持していた実の親を疎ましく思うようになり、イーリャの実を使って心臓を弱らせて、死に至らしめたのだ。イーリャの実は、痕跡が残り難いようだ。
そして、実の妹への仕打ちも許せるものではない。
「最西端の辺境地に、狂い竜を収監している牢獄があるんだが、そこの狂い竜の世話役が不足しているから、2人はそこへ派遣した。魔力と言葉を封じた上で。」
言葉を封じているから、何かを喋ろうにも喋る事ができない。そして、あの監獄には、ある意味マトモな看守がいない。居るのは、少し気の狂った……気の強いドSで、人遣いの荒い、貴族なんてクソ喰らえ─的な思考の持ち主の看守しか居ない為、他国の国王の顔なんて知る筈もない。だから、その看守達が、うまい具合にあの2人に色々と躾け──やってくれるだろう。「食事は1回で十分だ」と告げると、看守達は更に喜んでいた。この事実も、イヴには言わなくても良い事だろう。
ーいつまでもつのか、楽しみだー
「元第二王子ハロルドについてだが……相変わらず気持ち悪い事を言い続けている」
「そうですか…………」
過去四度の記憶を戻したのにも関わらず、相変わらず「リーナは私のモノなのに」と呟いている。全ての責任をジュリエンヌに押し付けて。
「今度のトワイアル新国王との対面に、トルトニアから王太子メレディスも同席するんだが、その時に、馬鹿王子に会う予定だ。それが、最後になるだろうから」
馬鹿王子と言っても、既に王族籍からは抹消されているから、王子ではない。その事を、あの馬鹿はまだ気付いていない。未だに、あの地下牢から出てリーナと一緒にトルトニアに帰れるとか思っているから……恐ろしい。
ーアレを、本物の阿呆と言うんだろうー
「あの馬鹿もイヴの四度の死に関わっているから、狂い竜の贄になってもらう予定で、その後は戒律の厳しい修道院送りとなる」
戒律の厳しさで有名な修道院ではあるが、そこの修道長が一癖も二癖もある者で、見目麗しい者程……可愛がる癖があるそうだ。
色んな意味で───
媚薬を使ってメザリンドの人生を狂わせ、イヴを手に入れようとしたんだ……それ相応の報いは受けてもらわないとな。
まぁ……コレも、イヴには言わないでいい事だ。
❋エールを頂き、ありがとうございます❋
(*˘︶˘*).。.:*♡
久し振りにフィルと話をして…そのまま寝てしまって……
朝起きたら「寝ぼけたイヴが悪い」と言われて、またまた息もできない程のキスをされた。抗議の気持ちを込めて睨んだところで、更に攻められただけだった。
ー今日も学園が休みで良かったー
それから、グッタリした私を嬉しそうに抱きかかえたまま、久し振りに2人で一緒に朝食を食べた後「今日も早く帰って来るから」と言ってから、フィルは王城へと下りて行った。
その日のお昼過ぎ──
「ただいま!」と言って、本当に早い時間に帰って来たフィル。お互いランチは済ませていた為、庭のガゼボでお茶をしよう─と言う事になった。
「お菓子、作ってくれてたのか?」
「今日は早目に帰って来ると言ってたから、時間があれば一緒に食べたいなぁ─と思って……食べてくれますか?」
「勿論、食べる以外の選択肢は無い!」
「ふふっ─ありがとう、フィル」
数ヶ月会えなかったけど、フィルはフィルだった。
暫くお菓子を堪能した後「あの4人がどうなったのか……知りたい?」と訊かれ、「知っておくべきだと思ってます」と答えると、フィルは4人の処遇について教えてくれた。
「ジュリエンヌ様を………狂った竜の…贄に?」
「本当は、俺が噛み殺したかったところだけど…あの女に噛み付くのは嫌だったからな。それと………イヴには申し訳無いんだが、実際は、あの女は死んではいない」
「あ、そうなんですね」
“死んではいない”─四度も私を殺したジュリエンヌ様だけど…生きていると聞いて、ホッとする自分もいる。
「イヴは四度も……俺に……殺されただろう?」
「そう…です……ね?」
「たった1回の一瞬で死ねたら……楽だと思わないか?」
「……えっと………………」
「あの女は、狂い竜が大口を開けただけで気を失ったんだ。多少…甘噛み程度させてから、狂い竜を拘束して止めたが………」
ーなんとも…手の込んだ?処罰ですねー
「次に目を覚ました時、生きている事にホッとするか、恐怖に怯えるか……まぁ……ホッとしたところで、一度では終わらないけどな………」
ーあぁ……だから殺さなかったと言う事かー
決して、それを“可哀想”とは思わない。フィルと私は、ジュリエンヌ様の欲の為に四度も殺し、殺されたのだ。ざまあ!とは思わないけど、自業自得だとは思うし、同じ目に遭ったところで赦せる事もないだろう。
*フィリベール視点*
イヴには“甘噛み”とは言ったが、拘束するタイミングが少ーしだけ遅くなってしまい、それなりの深手のキズを負ったのは……ワザとではない。勿論、その場に待機させていたマリーに致命傷にはならないように治癒もさせた。痛み迄は回復させていないから、今頃は痛みで呻いているかもしれないが、これはイヴは知る必要はないだろう。
「その両親─元国王と王妃は、イーリャの実を娘に使用させた事と、自らも、先々代の国王と王妃に使用して殺していた事が判明した」
「え!?自分の親を……ですか!?」
この新事実には俺も驚いた。国王となっても権力を保持していた実の親を疎ましく思うようになり、イーリャの実を使って心臓を弱らせて、死に至らしめたのだ。イーリャの実は、痕跡が残り難いようだ。
そして、実の妹への仕打ちも許せるものではない。
「最西端の辺境地に、狂い竜を収監している牢獄があるんだが、そこの狂い竜の世話役が不足しているから、2人はそこへ派遣した。魔力と言葉を封じた上で。」
言葉を封じているから、何かを喋ろうにも喋る事ができない。そして、あの監獄には、ある意味マトモな看守がいない。居るのは、少し気の狂った……気の強いドSで、人遣いの荒い、貴族なんてクソ喰らえ─的な思考の持ち主の看守しか居ない為、他国の国王の顔なんて知る筈もない。だから、その看守達が、うまい具合にあの2人に色々と躾け──やってくれるだろう。「食事は1回で十分だ」と告げると、看守達は更に喜んでいた。この事実も、イヴには言わなくても良い事だろう。
ーいつまでもつのか、楽しみだー
「元第二王子ハロルドについてだが……相変わらず気持ち悪い事を言い続けている」
「そうですか…………」
過去四度の記憶を戻したのにも関わらず、相変わらず「リーナは私のモノなのに」と呟いている。全ての責任をジュリエンヌに押し付けて。
「今度のトワイアル新国王との対面に、トルトニアから王太子メレディスも同席するんだが、その時に、馬鹿王子に会う予定だ。それが、最後になるだろうから」
馬鹿王子と言っても、既に王族籍からは抹消されているから、王子ではない。その事を、あの馬鹿はまだ気付いていない。未だに、あの地下牢から出てリーナと一緒にトルトニアに帰れるとか思っているから……恐ろしい。
ーアレを、本物の阿呆と言うんだろうー
「あの馬鹿もイヴの四度の死に関わっているから、狂い竜の贄になってもらう予定で、その後は戒律の厳しい修道院送りとなる」
戒律の厳しさで有名な修道院ではあるが、そこの修道長が一癖も二癖もある者で、見目麗しい者程……可愛がる癖があるそうだ。
色んな意味で───
媚薬を使ってメザリンドの人生を狂わせ、イヴを手に入れようとしたんだ……それ相応の報いは受けてもらわないとな。
まぁ……コレも、イヴには言わないでいい事だ。
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