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みん

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王都へ

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「それで?私の穏やかなる冬休みは…何処にもなかったわね。」

あれ?領地に帰って来た意味…あった?
思った通り、第一王子からの手紙などはなかった。なかったけど…何となく…カレイラ様とは繋がりが強くなってしまった気がするのは───

「うん。気のせいよ。」

「──お嬢様、現実逃避はいけませんよ。確実に、お嬢様とカレイラ様とは、繋がりは強くなったと思いますよ。」

「ぐぅ─っ。ココ、ハッキリ言わないで!」

それでも、学園には第一王子の目だってあるから、今回程絡んで来る事は───無いと、思っておこう。
ココが、ちょっぴり憐れんだ目で見ているのは気付かないフリをした。





そうして、私とココは同じ馬車に乗って王都へと出発した。その私達の前を、兄とエスタリオンが乗った馬車が走っている。


カレイラ様の事はさて置き──

妹─アナベルは大丈夫かしら?

私とは違って、金髪青瞳でとても可愛らしい容姿をしている。マナーも完璧なんだけど…。

エスタリオンは、ハッキリ言って男前だ。きっと、隣国でも人気があるんじゃないだろうか?そんなエスタリオンに、妹が手を出しそうで……。

ーそう言えば…エスタリオンには恋人とか婚約者は居ないのかなぁ?ー

エスタリオンも辺境伯の嫡男だ。婚約者が居てもおかしくないよね。後で確認してみよう。

と、私は王都の邸に着く迄、これからの事を色々と考えていた。






******

「シリル、おかえりなさい。」

「エスタリオン=チェスター様、ようこそいらっしゃいました。私、グレイソンの妻のブリジットです。宜しくお願い致します。」

王都の邸に着くと、義母を筆頭に邸の使用人達がズラリと並んで出迎えていた。
勿論、彼等が出迎えているのは、兄とエスタリオン客人だけだ。だから、私は兄とエスタリオンの後ろに隠れるようにして、邪魔にならないように気配を消して立っている。

「エルダイン夫人、私の方こそ、1週間宜しくお願い致します。」

「母上、態々のお迎え、ありがとうございます。」

3人の挨拶が終わると、カーソンの案内で3人が邸の中へと入って行った。その姿をココと2人で見送り、更に使用人達が続けて邸へと入って行った後、ようやく私とココが邸へと歩いて行く。

パタン─

目の前で扉を閉められたけど。本当に、使用人だよね!?客人が居ても変わらないとは──。

「ココ、落ち着いてね?」

「はい。落ち着いてます。呆れているだけですから。本当に、ここの使用人は馬鹿ばっかりですよね。」

と言いながら、ココは据わった目で微笑みながら扉を開けた。





翌日──

「やっと見付けた!」

「え?」

自室で学園に行く準備をしていると、部屋をノックする音が聞こえた─けど、私の部屋の扉をノックするのはココぐらいで、そのココが部屋の中に居た為、気のせいか─と思って返事をしなかった。すると、返事をしていないのにも関わらず扉が開いて─

「エスタリオン!?」

エスタリオンが部屋に入って来た。

「どうしたの?何か…あった?」

「“何かあった?”じゃないだろう!ずっとフェリシティを探してたんだ!」

「私を?何か用があったの?」

何か約束でもしてた?いや、してないよね。ここに帰って来てからは、エスタリオンとは話もしてないし──って、それでか!

「ここに来てから、フェリシティと会えなくなるなんて思ってもいなかった。食事には来ないし、誰に聞いてもはぐらかされるし…。それで、フェリシティを探して来てみたら…こんな端っこの日当たりの悪い部屋に居るし…。おかしくないか?」

「………」 

ー義母も妹も、うまく取り繕ったりしなかったの?ー

「フェリシティ──?」

その懐かしい呼び方に、重くなっていた気持ちが少しだけ軽くなる。

「隠していても、きっとバレると思うから、今のうちに言っておくわ。えっと─お茶を用意するから、そこに座って待っててくれる?」

「───おい。お茶を用意するって………フェリって事か?」

エスタリオンか、眉間に皺を寄せて私に視線を向ける。

「そうなるわね。ココには、お菓子を用意してもらうから。」

「──フェリ、ちゃんと説明してもらうから。」

そう言って、エスタリオンは険しい顔をしたまま、椅子に座った。






「────絵に描いたような後妻様だな。」

実の母が儚くなり、義母が後妻に収まってからの事を話した。この邸の使用人達の事も。すると、エスタリオンは呆れたような顔をした。

「エルダイン辺境伯様は、この事を知っているのか?」

「知らないんじゃない?もし知っていたら、あなたをこの邸に迎え入れるなんて事はしなかっただろうから。」

「──それじゃあ…メルヴィルは?メルヴィルには言ってあるのか?お前達は仲が良かっただろう?」

ーやっぱり、も言わないといけないよねー

私は、軽く目を瞑って息を吐いた。


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