ユーチューバーの家でトイレを借りようとしたら迷惑リスナーに間違えられて…?

こじらせた処女

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大学生視点(後)

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 1番近くにあるアパートの一階の、とあるドアの前。外から見えないように、少し奥の部屋を選んだ。
 インターホンを鳴らすと、男の人の不機嫌な声が聞こえる。同性で良かったという安心半分、嫌がられていないかという気持ち、半分。
「と、といれ貸してくださいっ!!!」
とてつもなく余裕のない声。恥ずかしくて堪らないけれど、尿意がそれどころではない。
「…」
プツリとインターホンが切れる。
「っ、!!!!!」
おしっこ、本当に限界。早く、出てきて。すりすりと足を擦り合わせて、足踏みを繰り返してやっと堰き止められているのだから。


どれくらい経ったかは体感時計がせっかちになりすぎている俺には分からないが、ガチャリとドアが開く。
「ぁ、あのっ!!ごめんなさい、といれ借りたくて!!」
(早く、早く早く早く!!!!)
「あのさぁ。君、俺のチャンネルの視聴者でしょ」
「ぇ、あの、」
ドアが開いたら駆け込める、無意識のうちにそう思っていたのに。出てきたのは金髪にピアスをつけた、目つきの悪い男。それだけでビビっているのに、チャンネル?視聴者?何のことだか分かんなくて焦る。
「とぼけたって無駄。どうせそのソワソワしてるのも演技なんでしょ」
怖い。自分の落ち着きのない下半身を指差して、冷たい声でそう言い放つ。明らかに俺に敵意がある、鈍感な俺でも分かるほどに。カメラ、持ってるし。
「ち、ちが、ぁ、」
ジワリとズボンが濡れる。今、絶対チビった。
「ほんとにっ、ちがうんです、っ、」
「いやそれも演技だよね」
何で信じてくれないの。そりゃ非常識かもしれないけれど、こんなに切羽詰まって、ちんこまで抑えてハズカシイ格好を晒しているのに。
「大体さ、トイレなら駅の使えばいいじゃん。ここから15分そこらで着くと思うけど」
グサグサと言葉が刺さる。でもそれよりもおしっこ。力を入れているのか分からなくなった性器にさらに力を込めた。
「がまん、できなくてっ、」
じゅぁ、じゅぁ…パンツが吸いきれなかった液体が足をつぅっと伝う。
「君何歳?」
「じゅう、はち、です…」
(おしっこおしっこおしっこおしっこおしっこおしっこおしっこ…)
「だよね。それにあれでしょ?お腹壊したとかじゃないんでしょ?」
「っ、は、はいっ…」
「小便ぐらい我慢しなよ。正直言うけどその歳でトイレ借りようとするの、結構ヤバいから」
分かってる、分かっているから。今度から気をつけるから。ちゃんとおしっこ済ませてから外に出るから。だから早く。
「っ、ごめん、なさいっ、」
「んじゃあ閉めるよ?もうこういうことしないでね。次したら警察呼ぶから」
「え、」
泣きそうだった。こんなに責められて、怒られて。最後は入れてくれると思ったのに。予想していなかった展開に思わず声が漏れる。
「っ、ごめんなさい、…」
何で、謝ったじゃん。寝てたところを起こしてしまったならごめん。でもそんなに嫌なら最初から一言断ってさっさと閉めれば良かったのに。そしたら別のところ、探せたのに。
「何?早く出てってくんない?」
「っ、…ぅ゛、」
どうやら彼は貸してくれないらしい。もうパンツはビシャビシャで、手もしっとりと濡れている。
「っ、しつれい、しました…」
前を押さえたまま、前屈み。一歩一歩の振動が辛い。表面張力いっぱいいっぱいのコップを運ぶみたいに、歩く。今からもう一回インターホンを鳴らす?鳴らして出てきてくれるだろうか。トイレまで、汚さずにたどり着けるだろうか。
「ぁあっ、」
無理じゃん、そう思った瞬間、体が勝手に糸を切ってしまった。
一気にズボンのシミがじわあぁああああ、と広がる。手が温かい。あ、俺、漏らしたんだ。
「ぁぁっ、あああっ、」
パニックだった。早く堰き止めないと。ここはアパートの廊下、それも他人の。そんなところで小さい子供でもないのに小便を漏らしている。ぎゅうぎゅうにソコを抑えているし、括約筋は死ぬほど力を入れているのに、止まってくれない。
「ぁっ、んくっ、んふぁっ!!」
片膝を曲げて、太ももに重ね合わせて尻をモジモジと左右に振って。こんなおしっこ我慢ポーズを披露しているのに、何で。
「っ、ぁぁ、ぁ…」
しゅうううう…水流が小さくなったころ、なけなしの力を入れると、やっと止まってくれた。でも、膀胱に残ってくれたのはほんのちょっとで、前押さえはおろか、足踏みをしなくても我慢できる量しか残っていない。それ以外のほとんどは、今俺の立っている下の水溜まりになってしまった。
「あー…その…マジで我慢してたんか…ごめんな?」
「っ、っ、…ごめんなさい…」
ボーッとして回らない頭なりに、ヤバいことをしたという焦燥感は持っていて、片付けないといけないことだけは分かっていた。
「えっ、ちょっと、」
ハンカチやタオルなんて持っていない。
着ていたパーカーを脱いで、自分の出したものに当てる。
「ちょっと君何してんの」
「床、拭くものもってない、から、っ、」
ぼたぼたと涙が溢れる。今の俺はどれほど惨めなのだろう。せっかく行きたい大学に受かって、浮かれ過ぎたのが悪かったのだろうか。
「おれ、流行に疎くて、知らないのに、」
もっと早く借りれば良かった。こんな限界になるまで我慢するんじゃなかった。トイレを済ませてから行けばよかった。そもそも、家から出なければ、良かった。
「ここ、片付けるっ、かたづけるから、警察は、やだぁ…」
この人は有名人らしいから、動画で拡散されたらどうしよう。大学に連絡が行ったらどうしよう。こんなこと、親とか友人にバレたら生きていけない。
「あーマジでごめん…俺が変に疑ったから…とりあえず上がりな?このままだと誰かに見られちゃうかもしれないし」
「っ、ごめ、なさい、ごめんな、さい、」
手を引かれて、玄関の中に誘導される。さっきまでの怖さが嘘みたいに優しい。
「と、とりあえずシャワー浴びるか。風呂も沸かしちゃう!?あ、あれっ!!入浴剤とかもあるよ!!企画でめちゃ余ったやつ!!」
おいで、濡れれても良いから、と手招きされて。
「服も全部用意してやるから、な?」
「けいさつ、言わない?」
「言わない言わない!!だからおいで、靴のままで良いから」
部屋の中に、靴のまま踏み入れる。
グジュ…
もちろん靴の中もぐっちょりと濡れていて、歩く度に水音が鳴って、恥ずかしい。
「ごめんなさい…」
「いいからいいから。ほら早く入っておいで。シャワー終わるぐらいには風呂も溜まってると思うから。入浴剤、どれがいい?」
プラスチックの大きなケースを差し出され、子供におもちゃを選ばせるみたいなトーンで聞かれる。
「…いい、です、」
「せっかくだから。ね?」
促されるままクマのキャラクターのパッケージの物を選ぶ。
「お、それにする?それシュワシュワするやつ、最後にちっちゃいフィギュアも出てくるからね」
まるで幼稚園児に語りかけるみたいに言われて頭を撫でられる。この人は俺が大学生ってことを忘れてしまったのだろうか。
「ありがとう、ございます…」
きっと今の俺の顔は真っ赤に染まっていることだろう。消えいる声で呟くとまた、頭を撫でられた。





「俺さー、最近アズマって人にハマっててー

大学生活が始まり、新たに出来た友達と飯を食っていた時だった。目の前でうどんを啜っていたやつが突然口を開いた。
「あー、って言ってもお前は分かんないか。そういうのあんまりみないって言ってたもんな」
「…る…」
「ん?なんて?」
「しってる…」
「マジで!?意外だわ。え、なんかさ、今はもう引っ越しちゃったらしいけど、昔この辺住んでたらしーよ。知ってた?」
「…それは知らない…」
目の前の彼は知らない。今着ている服がその人から貰ったものってことを。その家に上がって風呂を借りたことを。
「何かお前顔赤くね?」
「…気のせいだし!!それより早く食えよ。次の講義遅れんだろが」
このことは誰にも言わない。墓場まで持っていくレベルの俺とあの人だけの秘密だ。

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