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未だに涙が止まらずスンスンと鼻を鳴らしている男の子の腕を引いて、風呂場に向かう。こういう時、気がきく一言でも言えれば良かったのだろうけど、俺だって混乱していた。この類の「失敗」を、この歳の人間がするところなんて見たことがなかったから。
「んじゃあ脱いだのはここ入れといて。あと、これ着替えね」
「くっしょん…」
「ん?」
「クッション、ごめ、なさ、」
言いかけてまた、涙が頬を伝った。ボロボロと頬を伝わせて泣く姿が痛々しくて、可哀想になってくる。
「安っすいやつだから大丈夫。早く脱いで入っちゃいな」
ぎこちなく頭を撫でると、消え入りそうな声ではい、と返事をされた。
「あの、紺屋、さん…」
東は一緒に入ってこいとは言っていたけれど、初対面でいきなり裸を見せ合うのは抵抗がないだろうか、そんなことを考えていたと思う。そんなとき、申し訳なさそうな声で裾を引かれる。
「ずぼん、ぬげなくてっ、」
足の形に沿ったジーパンを履いている彼は、なんとかして脱ごうと画策している。クネクネと尻を動かしたり、引っ張ったり。真っ赤な顔で、また目を潤ませながら。
「んじゃあ脱がせるから。足開いて」
言った通りに開いた足。しゃがんでずり下ろすとむわりとした熱と共にボクサーが目の前に映る。
(これがお漏らしパンツ…)
思わずゴクリと音が鳴る。とても幼稚な下半身なのに、上を見ると成熟した大人なのだから。それに、なんだろう。この気持ちは。何でもしてやりたくなってしまう、この。
「あの…」
まずい、じろじろとみすぎたようだ。真っ赤な顔でぱくぱくと口を開閉しているレン君が見える。
「あぁごめん、」
「え、」
自分で降ろせただろうに、慌てた俺は濡れたパンツに手をかけ、降ろしてしまう。目の前で性器がブルンと揺れる。
「…皮被ってる…あ…」
ヤバい、ミスった。思っている事が口に出てしまった。
「…う、上も脱ぐか。ばんざーい、」
「は、はい!!」
一瞬の沈黙。この失言をフォローする言葉が出てくるわけない。テンパってしまって頭の真っ白になってしまった俺が取った行動は、幼児にするみたいに身の着を全て脱がすことだった。
「あの、ほうけいって…」
「ん?」
「…えっと、」
あっ。気にしているのだろうか。浴槽に浸かっている彼がどんな顔をしているかは分からないが、シャワーで体を流しながら聞こえていないフリをして黙る。
「やっぱり、大学生で剥けてないの、ヤバいですか…?」
「あー、どーだろ…」
「紺屋、さんは…どんな、感じですか…?」
ああ数分前の俺のバカ。この子はきっと真面目だから、ここではぐらかしたらずっと気にさせてしまう。
「俺はまー…いつの間にかって感じで…気にすること無いと、思う、」
「あの!!俺の家、父親居なくて!!兄弟も、姉貴しか居ない…から…」
修学旅行の時に揶揄われて、シュンと呟く彼はより小さく見える。なるほど、俺はこの子の心の傷をを抉ってしまったってわけか。
「んじゃあ、教えてやろっか?」
「…へ?」
「剥き方。おいで」
こっちこっちと手招きしている自分は平静を装っているけれど、これとないくらいに心臓は跳ねている。あれ、これ、セクハラじゃね?そう思うけれどもう遅い。一度言った言葉は戻せない。彼がもう、浴槽からおずおずと出てきてしまっているのだから。
「じゃあまず、座って」
「はい…」
「見せて」
ぴっちりと閉じられた足を開くと、うっすら毛の生えた先に陰茎がぶら下がっている。
「やっぱり被ってるね。自分で剥かないの?」
「痛くて…それにやり方、よく分かんない…」
「普通にココ持って、根元に引っ張るだけなんだけど…今できる?」
「ンッ、」
モタモタとした手つき。引っ張るところも、持ち方も惜しい。この子、もしかしたらとんでもなく不器用なのかもしれない。
「いたっ、…やっぱごめんなさい、」
「後ろ失礼」
もどかしい。俺が直接やった方が早い。
「ぁ、え、」
「もっと根元持って」
「ぁっ、」
後ろから回り込んで、彼の手を握る。俺よりはるかに日に焼けて血管の浮き出ている筋肉質な手。何かスポーツとかしてたのだろうか。サッカー部を一年で退部した俺からすると、眩しい限りだ。
「んで、ここ。下に引っ張って」
「っひゃん、」
じんわりと熱を持った性器に指を当てると、あ、あ、と艶かしい声が聞こえてくる。
「俺が触っても?」
「っはい、っ…」
あー、真っ赤。耳まで火照ってるその顔を見ると何故か、俺のモノも熱くなりそう。そんな趣味は無いはずなのに。そこそこの女性経験はあるはずなのに、今までで1番胸が高鳴っている。
「集中」
耳元でそう囁くと、モジモジと太ももを擦り合わせている体が跳ねて、固まる。
(かわいい…)
もしかして俺は、新しい扉を開いてしまったのかもしれない。
「んじゃあ脱いだのはここ入れといて。あと、これ着替えね」
「くっしょん…」
「ん?」
「クッション、ごめ、なさ、」
言いかけてまた、涙が頬を伝った。ボロボロと頬を伝わせて泣く姿が痛々しくて、可哀想になってくる。
「安っすいやつだから大丈夫。早く脱いで入っちゃいな」
ぎこちなく頭を撫でると、消え入りそうな声ではい、と返事をされた。
「あの、紺屋、さん…」
東は一緒に入ってこいとは言っていたけれど、初対面でいきなり裸を見せ合うのは抵抗がないだろうか、そんなことを考えていたと思う。そんなとき、申し訳なさそうな声で裾を引かれる。
「ずぼん、ぬげなくてっ、」
足の形に沿ったジーパンを履いている彼は、なんとかして脱ごうと画策している。クネクネと尻を動かしたり、引っ張ったり。真っ赤な顔で、また目を潤ませながら。
「んじゃあ脱がせるから。足開いて」
言った通りに開いた足。しゃがんでずり下ろすとむわりとした熱と共にボクサーが目の前に映る。
(これがお漏らしパンツ…)
思わずゴクリと音が鳴る。とても幼稚な下半身なのに、上を見ると成熟した大人なのだから。それに、なんだろう。この気持ちは。何でもしてやりたくなってしまう、この。
「あの…」
まずい、じろじろとみすぎたようだ。真っ赤な顔でぱくぱくと口を開閉しているレン君が見える。
「あぁごめん、」
「え、」
自分で降ろせただろうに、慌てた俺は濡れたパンツに手をかけ、降ろしてしまう。目の前で性器がブルンと揺れる。
「…皮被ってる…あ…」
ヤバい、ミスった。思っている事が口に出てしまった。
「…う、上も脱ぐか。ばんざーい、」
「は、はい!!」
一瞬の沈黙。この失言をフォローする言葉が出てくるわけない。テンパってしまって頭の真っ白になってしまった俺が取った行動は、幼児にするみたいに身の着を全て脱がすことだった。
「あの、ほうけいって…」
「ん?」
「…えっと、」
あっ。気にしているのだろうか。浴槽に浸かっている彼がどんな顔をしているかは分からないが、シャワーで体を流しながら聞こえていないフリをして黙る。
「やっぱり、大学生で剥けてないの、ヤバいですか…?」
「あー、どーだろ…」
「紺屋、さんは…どんな、感じですか…?」
ああ数分前の俺のバカ。この子はきっと真面目だから、ここではぐらかしたらずっと気にさせてしまう。
「俺はまー…いつの間にかって感じで…気にすること無いと、思う、」
「あの!!俺の家、父親居なくて!!兄弟も、姉貴しか居ない…から…」
修学旅行の時に揶揄われて、シュンと呟く彼はより小さく見える。なるほど、俺はこの子の心の傷をを抉ってしまったってわけか。
「んじゃあ、教えてやろっか?」
「…へ?」
「剥き方。おいで」
こっちこっちと手招きしている自分は平静を装っているけれど、これとないくらいに心臓は跳ねている。あれ、これ、セクハラじゃね?そう思うけれどもう遅い。一度言った言葉は戻せない。彼がもう、浴槽からおずおずと出てきてしまっているのだから。
「じゃあまず、座って」
「はい…」
「見せて」
ぴっちりと閉じられた足を開くと、うっすら毛の生えた先に陰茎がぶら下がっている。
「やっぱり被ってるね。自分で剥かないの?」
「痛くて…それにやり方、よく分かんない…」
「普通にココ持って、根元に引っ張るだけなんだけど…今できる?」
「ンッ、」
モタモタとした手つき。引っ張るところも、持ち方も惜しい。この子、もしかしたらとんでもなく不器用なのかもしれない。
「いたっ、…やっぱごめんなさい、」
「後ろ失礼」
もどかしい。俺が直接やった方が早い。
「ぁ、え、」
「もっと根元持って」
「ぁっ、」
後ろから回り込んで、彼の手を握る。俺よりはるかに日に焼けて血管の浮き出ている筋肉質な手。何かスポーツとかしてたのだろうか。サッカー部を一年で退部した俺からすると、眩しい限りだ。
「んで、ここ。下に引っ張って」
「っひゃん、」
じんわりと熱を持った性器に指を当てると、あ、あ、と艶かしい声が聞こえてくる。
「俺が触っても?」
「っはい、っ…」
あー、真っ赤。耳まで火照ってるその顔を見ると何故か、俺のモノも熱くなりそう。そんな趣味は無いはずなのに。そこそこの女性経験はあるはずなのに、今までで1番胸が高鳴っている。
「集中」
耳元でそう囁くと、モジモジと太ももを擦り合わせている体が跳ねて、固まる。
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