転生令嬢は庶民の味に飢えている

柚木原みやこ(みやこ)

文字の大きさ
上 下
248 / 384
連載

リクエストは?

しおりを挟む
 龍王が部屋に閉じこもったという知らせはヨシュアにも届いていた。
 イザークとシオンが警護に当たり、ヨシュアは近付けないようにと言われているのも知っている。
 誰が止めてもヨシュアは龍王の元に行く気だった。
 先に湯殿に行って体を清め、後ろに香油を塗り込めてしっかりと解して仕込んだ後で、服を着直す。

 龍王は黄宮の部屋の中で暴れている様子だった。
 ヨシュアの名前を呼んで咆哮しているのが聞こえる。
 一刻も早く龍王のもとに行ってやらなければいけないという気持ちでいっぱいだった。

 警護の兵士が止めるのも構わず、龍王の部屋までたどり着くと、龍王は幾重にも張られた結界を無理やりに壊して、イザークとシオンに攻撃を仕掛けようとしていた。魔術も封じると言っていたはずだが、それも解いたようだ。
 イザークとシオンには受け止められない魔術が襲ってきそうになったのを、ヨシュアは片手を振って払った。
 ボロボロになっている結界を解いて部屋に入ると、部屋の中は酷い有り様だった。
 龍王が自我を忘れて暴れたのだろう、布団も枕も引き裂かれて真っ白な羽毛が飛び散り、寝台は壊されて、獣のように龍王が飛び掛かってくる。
 細い体を抱き締めると、ふうふうと息を吐いてヨシュアに触れようとするのを口付けで宥める。見開かれた黒い目が僅かに紫色を帯びていて、魅了の力も解放されていることに気付く。
 その目を見せないように手で隠し、ヨシュアは龍王を抱き上げた。

「イザーク、シオン、青陵殿のおれの部屋で警護を引き続き頼む」
「は!」
「心得ました」

 イザークとシオンに命じて下半身を白濁で汚し、長衣も下衣も引き裂いたようになっている龍王と口付けを交わしながら青陵殿のヨシュアの部屋に移る。
 寝台の天幕を閉じて、長衣も下衣も下着も脱ぎ捨てれば、奥から溢れた香油が太ももを伝った。
 普段から細い体の割には凶悪なものを龍王は持っているのだが、さらに凶悪になったそれも、入念に準備していたので何とか飲み込めた。
 ヨシュア主導でことが進むはずもなく、奥の今まで龍王も受け入れたことのない場所を容赦なくえぐられたり、後ろから背中から首周りに噛み跡を付けながら貫かれたり、翻弄はされはしたものの、なんとか意識は保っていられた。

 普段よりもかなり疲労度はあったが、それ以上に披露している様子の龍王を担いで湯殿に連れて行き、体を清めて、自分の体は精を掻き出したところでまた注がれるだけだろうから、そこまではせずに簡単に流して、清潔になった寝台に戻る。
 意識を失っている龍王の伸びて尖った爪を丁寧に切って、やすりがけをして、口移しで水を飲ませていると、龍王の目が開いた。

「ヨシュア……」

 飲ませている水を嚥下して、龍王がヨシュアの舌に舌を絡める。
 できれば何か食べさせてやりたかったが、それは無理そうだった。
 舌を絡めた龍王がヨシュアの胸の飾りを摘まむ。爪が伸びていたときにはしなかったので、それだけヨシュアを傷付けたくないという気持ちが本能にも勝ったのだろう。
 握り締めた手の平には爪の痕があったし、唇も血の味がして切れているようだった。

 理性を失おうとも龍王はどこまでもヨシュアのことを考えてくれている。
 ヨシュアを傷付けまいとしてくれている。

 そもそも発情期ですら自分一人で熱を我慢して過ごそうとしていたのだ。龍王がヨシュアをどれだけ大事に思っているかがよく分かる。

 舌を絡めながら龍王に主導権を許すと、寝間着を脱ぎ捨ててヨシュアに覆い被さってくる。
 先ほどまで意識がなくなるくらいに交わっていたはずなのに、中心はもう兆していて、復活の速さにヨシュアもさすが発情期と思ってしまう。

 膝裏に手を差し込まれて、深く足を折り曲げて広げられて、後孔が露わになってしまう。注ぎ込まれたものをそのままにしているそこからは、とろとろと龍王の放った白濁が香油に交じって溢れていた。
 凶悪なブツの切っ先を押し当てた龍王に、ヨシュアは抵抗せずに力を抜く。
 一気に奥まで貫かれて、ヨシュアは背を反らした。喉に龍王の歯が当てられて、噛み付かれる。

「ぐっ……あぁぁっ!」
「ヨシュア、ヨシュア、ヨシュア」

 もうヨシュアの名前しか知らないようにずっと繰り返して腰を動かす龍王に、ヨシュアは抵抗せずにされるがままになっている。
 奥の深い場所を犯されると、快感に視界が明滅する。

「ひぁっ! 星宇、ふかいっ! あぁっ! おく、だめっ!」
「ヨシュア……」

 普段は届かないような深い場所まで暴かれて、身もだえるヨシュアに、龍王は無心で腰を振り続ける。ヨシュアの中に放たれた白濁は泡立ち、龍王が吐き出すたびにこぷこぷと逆流して来ていた。

 何度吐き出されたか分からない。
 ヨシュアも一瞬意識が飛んでいたが、龍王の方は完全に意識が飛んでいるようだった。
 抱き上げると、まだヨシュアの中に入っていた龍王の中心がずるりと抜けて、ヨシュアの中から白濁がどろりと溢れ出してくる。
 快感よりも苦しさが勝るようになっていたが、ヨシュアは淡々と龍王を湯殿に担ぎ上げて連れて行き、体を流して、自分の体も流して、部屋に戻ってきた。
 今回は爪も伸びていないようなので、水だけは何とか飲ませる。
 口移しで水を飲ませていると、龍王がヨシュアの頬に手を伸ばす。

「もっと……」
「喉が渇いたんだろう。何か食べられそうか?」
「ヨシュア、どうして……」
「星宇一人を苦しい目に遭わせたくなかったんだよ」

 問いかける龍王の目は潤んでいるようだった。
 全部吐き出したからか、少し落ち着いた龍王に、粥を持って来てもらって匙で掬って食べさせる。龍王の発情期も落ち着きそうな様子であった。

「あれからどれくらい時間が経ちましたか?」
「多分、一昼夜は過ぎてると思う。もう少し粥を食べるか?」
「すみません」
「星宇がこれ以上瘦せるとおれが心配だ」

 粥を食べさせて清潔な寝台に休ませると、龍王は目を閉じて眠ってしまった。ヨシュアも休めるときに休んでおこうと一緒に目を閉じる。
 後ろから龍王の白濁が溢れ出た感触がしたが、それは気付かなかったことにして眠りに落ちた。

 その後の二日は普段と変わらないくらいの情交で済んだので、ヨシュアは龍王と発情期を問題なく過ごすことができた。

 龍王の手の平の傷も、唇の傷もそのころにはきれいに治っていた。

「次からはおれを頼ってくれよ」
「ヨシュアを抱き殺すかと思ったのです」
「そこまではなかっただろう。自我がなくなっても、星宇はおれを絶対に傷付けなかったし、酷いこともしなかった」

 普段よりは翻弄されてしまったが、それも悪くはなかったと笑うヨシュアに、龍王はその逞しい胸に顔を埋める。

「ヨシュアがわたしの伴侶でよかったと思っています。愛しています、ヨシュア」
「おれも愛しているよ、星宇」

 抱き締め合って口付けを交わすヨシュアと龍王に、一番安堵していたのはイザークとシオンだろう。

「さすがにわたしたちも全力の龍王陛下を抑えきれるかは自信がありませんでした」
「国のために命を懸ける覚悟はしていましたが、龍王陛下に殺されるのは無念と思っていました」
「次の発情期にはそんなことはない。二人には苦労をかけたな」
「ヨシュアが謝ることではありません。イザーク、シオン、迷惑をかけました」
「我々の力が足りず申し訳ありません」
「これからも龍王陛下と王配陛下をお守りできるように精進していきたいと思います」

 本気になった龍王に勝ち目がないと分かったイザークとシオンは、心を新たに精進するつもりのようだった。

 三日間の発情期が明けて、龍王はその期間に食べられなかった分も食べさせられるように、円卓に並ぶ豪華な料理を前に、ヨシュアと二人で夕餉を取っていた。
しおりを挟む
感想 3,372

あなたにおすすめの小説

【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました

ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。

王家も我が家を馬鹿にしてますわよね

章槻雅希
ファンタジー
 よくある婚約者が護衛対象の王女を優先して婚約破棄になるパターンのお話。あの手の話を読んで、『なんで王家は王女の醜聞になりかねない噂を放置してるんだろう』『てか、これ、王家が婚約者の家蔑ろにしてるよね?』と思った結果できた話。ひそかなサブタイは『うちも王家を馬鹿にしてますけど』かもしれません。 『小説家になろう』『アルファポリス』(敬称略)に重複投稿、自サイトにも掲載しています。

卒業パーティーで魅了されている連中がいたから、助けてやった。えっ、どうやって?帝国真拳奥義を使ってな

しげむろ ゆうき
恋愛
 卒業パーティーに呼ばれた俺はピンク頭に魅了された連中に気づく  しかも、魅了された連中は令嬢に向かって婚約破棄をするだの色々と暴言を吐いたのだ  おそらく本意ではないのだろうと思った俺はそいつらを助けることにしたのだ

兄がやらかしてくれました 何をやってくれてんの!?

志位斗 茂家波
ファンタジー
モッチ王国の第2王子であった僕は、将来の国王は兄になると思って、王弟となるための勉学に励んでいた。 そんなある日、兄の卒業式があり、祝うために家族の枠で出席したのだが‥‥‥婚約破棄? え、なにをやってんの兄よ!? …‥‥月に1度ぐらいでやりたくなる婚約破棄物。 今回は悪役令嬢でも、ヒロインでもない視点です。 ※ご指摘により、少々追加ですが、名前の呼び方などの決まりはゆるめです。そのあたりは稚拙な部分もあるので、どうかご理解いただけるようにお願いしマス。

若奥様は緑の手 ~ お世話した花壇が聖域化してました。嫁入り先でめいっぱい役立てます!

古森真朝
恋愛
意地悪な遠縁のおばの邸で暮らすユーフェミアは、ある日いきなり『明後日に輿入れが決まったから荷物をまとめろ』と言い渡される。いろいろ思うところはありつつ、これは邸から出て自立するチャンス!と大急ぎで支度して出立することに。嫁入り道具兼手土産として、唯一の財産でもある裏庭の花壇(四畳サイズ)を『持参』したのだが――実はこのプチ庭園、長年手塩にかけた彼女の魔力によって、神域霊域レベルのレア植物生息地となっていた。 そうとは知らないまま、輿入れ初日にボロボロになって帰ってきた結婚相手・クライヴを救ったのを皮切りに、彼の実家エヴァンス邸、勤め先である王城、さらにお世話になっている賢者様が司る大神殿と、次々に起こる事件を『あ、それならありますよ!』とプチ庭園でしれっと解決していくユーフェミア。果たして嫁ぎ先で平穏を手に入れられるのか。そして根っから世話好きで、何くれとなく構ってくれるクライヴVS自立したい甘えベタの若奥様の勝負の行方は? *カクヨム様で先行掲載しております

【完結24万pt感謝】子息の廃嫡? そんなことは家でやれ! 国には関係ないぞ!

宇水涼麻
ファンタジー
貴族達が会する場で、四人の青年が高らかに婚約解消を宣った。 そこに国王陛下が登場し、有無を言わさずそれを認めた。 慌てて否定した青年たちの親に、国王陛下は騒ぎを起こした責任として罰金を課した。その金額があまりに高額で、親たちは青年たちの廃嫡することで免れようとする。 貴族家として、これまで後継者として育ててきた者を廃嫡するのは大変な決断である。 しかし、国王陛下はそれを意味なしと袖にした。それは今回の集会に理由がある。 〰️ 〰️ 〰️ 中世ヨーロッパ風の婚約破棄物語です。 完結しました。いつもありがとうございます!

婚約破棄の後始末 ~息子よ、貴様何をしてくれってんだ! 

タヌキ汁
ファンタジー
 国一番の権勢を誇る公爵家の令嬢と政略結婚が決められていた王子。だが政略結婚を嫌がり、自分の好き相手と結婚する為に取り巻き達と共に、公爵令嬢に冤罪をかけ婚約破棄をしてしまう、それが国を揺るがすことになるとも思わずに。  これは馬鹿なことをやらかした息子を持つ父親達の嘆きの物語である。

巻き戻ったから切れてみた

こもろう
恋愛
昔からの恋人を隠していた婚約者に断罪された私。気がついたら巻き戻っていたからブチ切れた! 軽~く読み飛ばし推奨です。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。