【完結】彼此繋穴~ヒコンケイケツ。彼の世と此の世を繋ぐ穴~

月城 亜希人

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日記

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 雨脚が弱まったので葬儀中の母屋に行った。玄関の戸を開けて呼ぶと、表座敷から喪服姿のお袋が顔を出した。

「あら、ええと……ああ、そう良一郎さんね。どうなさったの」

「すいません、傘を貸してください」

「傘、傘ね……」

 お袋は困った顔をした。俺は傘立てに置いてあった傘を手に取った。

「借りていきますよ」

「ああ、ええ。どうぞ。そう、それが傘だったわね」

 お袋がおかしなことを言っていたが、気にせずに玄関を出た。

 疲れが溜まっていたのだろう。顔色もあまり良くなかった。

 玄関先で手を合わせ、婆さんの冥福を祈った後で、友人の勤める雀荘に行った。

 本日休業と書かれた木の板がガラス戸の向こうに掛けられていた。

 構わず戸を開けて中に入ると、鈴の音が鳴った。

「今日は休みですよ」

 友人がこちらも見ずに気だるそうに言った。椅子の背もたれに身を預け、板の間のテーブルに足を組んで載せていた。板の間だけでなく、座敷にも誰の姿もなかった。

 二人きりだ。俺は緊張した。都合が良いと言えばそうだが、やはり怖かった。

 友人は新聞を読んでいた。やがて、ちらりとこちらを見て、

「やあ、良さんじゃないか」

 と満面に笑んで俺を歓迎した。それから新聞をテーブルに置いて、こう訊いた。

「珍しいね、どうしたんだい」

 俺は単刀直入に言った。

「突然悪いが、仕事の話を訊かせてくれ」

 俺は以前、友人が美男で色っぽいと書いたことがあったが、その理由も含めて明らかになったので、この友人、鳴神百鹿について書き記す。

 まずは、この男は女でもあった。半陰陽だったのだ。妊娠はさせることも、することもできるらしく、俺を相手に同衾を考えていたらしい。

 見苦しいが、そのときの会話の流れをなるだけ忠実に一部、書く。

「も、も、百さん、ちょっ、ちょっと待ってくれ。い、今、何て言った」

「だから、僕は良さんと同衾を考えていると言ったんだ」

「え、ええと、ど、同衾というと、つ、つまり、百さんは、俺と寝たいということか」

「そうだよ。僕は良さんに抱かれたい。二人の間に子が欲しい」

「子、子って、ちょっと、どどど、どうして、おおお、俺なんだ」

「惚れたからに決まっているじゃないか。そんなこと訊かないでよ。意地が悪いな」
 
 
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