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日記
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しおりを挟むそれから、女と遊びに出かけて、楽しく酒を飲んでと言うのを、二、三日続けた。
そしたら、なんだか急に心細くなってしまった。
こんなことをしていて良いのか。
どのような方法であれ、稼げるうちに稼いでおけば、じっくりと考える時間が持てる。
仕事も余裕を持って探せるし、上手くいけば、やりたいことも見つかるんじゃないか。
そんな風に思ってしまった。
俺は馬鹿だから簡単に稼げたことで味をしめていた。
だが、それにも増して臆病だから懐具合を心配した。それで、手持ちがまだまだあるうちに、例の雀荘で、もう一儲けするのが良いんじゃないかと思ってしまった。
雀荘に顔を出すと、予想に違わず、また友人が、
「やあ、良さん、今日も頼むよ。丁度、この間と同じ奴も来てる。あいつは熱くなりやすい。スカンピンになるまでやるから良いカモだよ」
と、悪い話を持ちかけてきた。
見れば、確かにいつぞやと同じハゲがいた。黄土色の肌、脂ぎった四角い顔、薄い眉と腫れぼったい瞼、弛んだ頬と豚鼻、しゃくれ気味の顎。見間違いようのない悪人面。
米国被れみたいな派手な花柄の紺の半袖シャツと、薄い茶色のズボンを愚鈍そうな横広がりの体に着せて、毛虫が五匹くっついたような汚い足に雪駄を履いていた。
俺は二つ返事で引き受けた。上手くいって当たり前と相手を軽く見すぎていた。調子に乗って、端から無茶をしたら大失敗。早々にイカサマがばれてしまった。
友人の言う通り、そのハゲは度外れに熱くなりやすいようで、四の五の言う前に怒声を張り上げて手を出してきた。こいつは不味いとすぐに逃げたが、俺は馬鹿だから財布を落として根こそぎ持っていかれてしまった。
金を磨ったという書き方をしたのは見栄を張ったからだ。誰に読ませる訳でもないのに、他人の目を気にして取り繕おうとするのは不安である証拠だ。
自尊心が欠如している。
こういう賢そうな言葉を書けるのは、その雀荘勤めの大学に通う友人が言ったのを、そのまま書いているからで、意味はよく知らない。
気になって辞書で調べたが、馬鹿なので何となくしか理解出来なかった。
多分、使い方はこれで合っているはずだが、自信はない。
いっそのこと、こんな言葉を使わない方が良かったのではと今になって後悔している。
友人のように、自信に溢れた人であれば、たとえ間違っていたとしても自分が合っていると思えば気にしないのだろう。
俺は友人のようであれば、どんなに良かったかと羨ましく思っている。友人は女のような顔をした美男で、男の俺から見ても色っぽく、女性的な美しさを纏っている。
そして、いや、だからこそ怖い。
友人は悪い奴だ。勘違いということもあるので、彼の名誉のためにも名前は書かない。いや、まかり間違ってこれを読まれたときに、自分の身も危ういかも知れんから、怖くて書けないというのが本当のところだ。
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