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誘拐犯の独白劇~前編~
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しおりを挟むうふっ、すいません。怖いですよね。冗談ですから安心してください。
話が脱線してしまいました。元のレールに戻しましょう。
批判が殺到して、憶測報道と言っても過言ではない情報配信は下火になりましたが、それを待っていたかのように次の事件が起こりました。
約一ヶ月前のことですね。あなたの通う高校の側にある、あの大きな池のある公園、何て名前の公園でしたかね? ああ、そうそう、思い出しました。灯ヶ池公園ですね。そこの林道で、男女の惨殺死体が発見された事件です。
女性は上半身が下着のみで、下はスカート。履物はありませんでした。男性はスーツ姿で、底のめくれた革靴を履いていました。二人は着衣がボロボロな上にかなり汚れていましたから、浮浪者だと判断されました。
死因は出血性ショック死、でしたかね?
ま、それはどうでもいいです。重要なのは傷ですね。
二人の遺体は全身に創傷があって、首が深く抉られていました。そんな遺体が二つも発見されたことで、下火になった報道は激しく再燃しました。
首の抉れた傷と浮浪者。このワードがキャンプ場で起きた事件と類似性があるように感じさせますし、何より事件の起きた公園がキャンプ場の近くにあったことが影響したんでしょう。この事件は連日各メディアで大きく取り上げられました。
体の傷は鋭利な刃物で切り裂かれたものであるということが明らかになったので、同一犯による連続殺人の線は薄れました。それで持ち上がったのが、模倣判による犯行と報道被害による浮浪者狩りです。最初の事件の犯人はまだ捕まっていませんでしたから、各地で浮浪者が襲撃される事件がちょくちょく起きていたんですよ。この殺人事件はその延長線上で起きたものだと見られました。
ところが、そんな安易な発想による筋立てはすぐに覆りました。被害者の男女は浮浪者ではなかったんです。突如失踪した行方不明者でした。それが明らかになると、警察は盛大にバッシングを受けることになりました。というのも、捜索願が出されていたにも拘らず、二人の失踪に事件性がないとして放置していたことが発覚したからです。
これは、気の毒としか言えませんでしたね。ま、落ち度があったということは認めざるを得ません。いえ、こちらの話です。気にしなくて結構ですよ。
やがて、二人が家庭にも、職場にも、交友関係にも問題がなく、まるで悩みがある風ではなかったということが判然とすると、報道は大きく路線を変更しました。
愉快犯による誘拐殺人事件です。
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