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1章 ダンジョンと少女
ロストモンスター
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「いたよ、ストーンゴーレム」
「ありがとう、ラビ。
じゃあ試してみるから離れてて」
凍花はフェアリーを向かわせて、スキルの鱗粉を使用させる。
その小さい身体から放たれる光の粉は、その範囲も狭く効果の程は不明である。
「あ、動きが止まったわね」
「本当ですね……効いてるんでしょうか?」
効いていなかったら止まることはないのだろう。
近付いてみても特に変化は無いため、間違いなく鱗粉の効果がでているのだろう。
「えっと……じゃあストーンゴーレム、ダンジョンに移動しなさい」
凍花はダメ元で魔物に指示を出す。
自分と関わりのないダンジョンに対して、指示の効果があるのかがこれでわかるだろう。
『ウゴ……』
岩にしか見えない姿でゆっくりと動きだすストーンゴーレム。
凍花もダンジョンの発見を確信したのだが……
「はぁ……それにしても遅いわね。
まだ50メートルくらいしか動いてないわよ」
まるで散歩しているかのようで、凍花はため息をつく。
「暗くなる前に見つかると良いんですけど。
でもこれって、ずっと催眠状態っていうのになってるんですか?」
「そういえば、どうなんだろう?」
魔物が進み始めて約1分、そんな疑問を口にした途端にピタリと魔物は動きを止めてしまった。
『コケッ!』
魔物がグルリとまわろうとした時に、ポロが羽をバタつかせながら飛び出して魔物を突く。
何も指示はしていないが、敵だと判断して攻撃を仕掛けたのであろうか。
しかも、何度も何度も高速で突くものだから、魔物も攻撃に耐えられずに砕けて消えてしまったのである。
「手数で攻めればカウンターなんて関係ないって顔してるわね」
ポロがドヤ顔をしているように見えたのは気のせいなのだろうか。
たまたま攻撃の相性が良かっただけなのだから、先頭を我が物顔で進むのはやめてほしいものだ。
「お姉ちゃん、私もあの攻撃覚えてストーンゴーレム倒したい」
「いや、ラビの場合は一発で仕留めちゃうから連発は無理じゃないかな……」
カウンターがあったのかを確認するため、ポロのステータスを見てみたら体力が少し減少していることがうかがえる。
攻撃にはほとんどステータスを振っていないからできた芸当であり、素早さと器用さが攻撃速度を早めた結果でもあるのだろう。
攻撃力が低ければ魔物が人間に襲いかかったとしても問題にはならないだろうと凍花は思っていた。
「今までスライムとかたくさん解き放ってきたけど、大丈夫かな?」
今はステータスの確認もできない、過去に召喚した魔物の数々。
勝手気ままに動いていると思われるのだが、中にはアレンに預けたようなステータス極振りも存在する。
問題のありそうな魔物については消えるまで確認したつもりだったが、少しだけ心配になってしまう凍花であった。
「どうかしたの? お姉ちゃん」
「ううん、なんでもないよ。
それよりダンジョンの場所もわからなくなったから、とりあえずこのまま真っ直ぐ進んでみよっか?」
「うん。私も向こうの方にあるのは間違いないと思うよ」
そうして先頭を歩くポロに続いて、凍花たちも先へ進んだのであった。
「ありがとう、ラビ。
じゃあ試してみるから離れてて」
凍花はフェアリーを向かわせて、スキルの鱗粉を使用させる。
その小さい身体から放たれる光の粉は、その範囲も狭く効果の程は不明である。
「あ、動きが止まったわね」
「本当ですね……効いてるんでしょうか?」
効いていなかったら止まることはないのだろう。
近付いてみても特に変化は無いため、間違いなく鱗粉の効果がでているのだろう。
「えっと……じゃあストーンゴーレム、ダンジョンに移動しなさい」
凍花はダメ元で魔物に指示を出す。
自分と関わりのないダンジョンに対して、指示の効果があるのかがこれでわかるだろう。
『ウゴ……』
岩にしか見えない姿でゆっくりと動きだすストーンゴーレム。
凍花もダンジョンの発見を確信したのだが……
「はぁ……それにしても遅いわね。
まだ50メートルくらいしか動いてないわよ」
まるで散歩しているかのようで、凍花はため息をつく。
「暗くなる前に見つかると良いんですけど。
でもこれって、ずっと催眠状態っていうのになってるんですか?」
「そういえば、どうなんだろう?」
魔物が進み始めて約1分、そんな疑問を口にした途端にピタリと魔物は動きを止めてしまった。
『コケッ!』
魔物がグルリとまわろうとした時に、ポロが羽をバタつかせながら飛び出して魔物を突く。
何も指示はしていないが、敵だと判断して攻撃を仕掛けたのであろうか。
しかも、何度も何度も高速で突くものだから、魔物も攻撃に耐えられずに砕けて消えてしまったのである。
「手数で攻めればカウンターなんて関係ないって顔してるわね」
ポロがドヤ顔をしているように見えたのは気のせいなのだろうか。
たまたま攻撃の相性が良かっただけなのだから、先頭を我が物顔で進むのはやめてほしいものだ。
「お姉ちゃん、私もあの攻撃覚えてストーンゴーレム倒したい」
「いや、ラビの場合は一発で仕留めちゃうから連発は無理じゃないかな……」
カウンターがあったのかを確認するため、ポロのステータスを見てみたら体力が少し減少していることがうかがえる。
攻撃にはほとんどステータスを振っていないからできた芸当であり、素早さと器用さが攻撃速度を早めた結果でもあるのだろう。
攻撃力が低ければ魔物が人間に襲いかかったとしても問題にはならないだろうと凍花は思っていた。
「今までスライムとかたくさん解き放ってきたけど、大丈夫かな?」
今はステータスの確認もできない、過去に召喚した魔物の数々。
勝手気ままに動いていると思われるのだが、中にはアレンに預けたようなステータス極振りも存在する。
問題のありそうな魔物については消えるまで確認したつもりだったが、少しだけ心配になってしまう凍花であった。
「どうかしたの? お姉ちゃん」
「ううん、なんでもないよ。
それよりダンジョンの場所もわからなくなったから、とりあえずこのまま真っ直ぐ進んでみよっか?」
「うん。私も向こうの方にあるのは間違いないと思うよ」
そうして先頭を歩くポロに続いて、凍花たちも先へ進んだのであった。
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