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1章 ダンジョンと少女
ダンジョン発見
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「結構歩いたけど、ダンジョンみたいなのってあった?」
「お姉ちゃんに言われて見てたけど……」
かれこれ1時間は歩いたが、洞窟のようなものは見当たらない。
道中、何度か魔物が現れていたのだが鱗粉で催眠状態になった魔物は2匹のみ。
「同じ方向だったから、間違いないと思うんだけどなぁ」
「あ、向こうにもストーンゴーレムいましたよ」
「本当? じゃあもう一回試してみよっか」
再度フェアリーによる鱗粉の効果で、魔物を催眠状態にしようと試みる。
連続で3回失敗し、その度にポロが高速突きで倒していたのだ。
まぁ鱗粉のクールタイムが10分ほどあったので、倒すこと自体は構わなかったのだが……
「あ、成功したみたい」
体感で2割くらいの成功率かと思っていると、成功した時は意外とアッサリとしているので拍子抜けしてしまう。
「今度こそダンジョンの場所わかるね、お姉ちゃん」
「そうだと良いんだけどねー」
数キロは歩いたのだが魔物もまだ出続けるため、もはやこの先どこまでダンジョンのエリアが続いているのかはふめいである。
フェアリーのダンジョンを見つけたことが奇跡に思えるほどなのだ。
しかし、催眠状態のストーンゴーレムが向かう先というのが……
「あれ? そっちは来た方向なんだけど」
足元を横切って進み続けるストーンゴーレムを見て困惑してしまう凍花。
かなり真剣に探したつもりであったが、どうやら見落としてしまったようだ。
しかし、その魔物も1分程度で催眠は解けてポロのクチバシによって砕け散ってしまう。
「かなり小さな入り口なのかな?
ラビも何か気付いたら教えてね」
まさかの見落としのようで、周囲を念入りに捜索開始。
人間というのは無意識に左に向いて進んでいるものだと聞いたことがあるため、さらに凍花は手を打つことにする。
「トラもこの方向のまま真っ直ぐ歩き続けて」
『ニャ』
「……一応ポロとモフ君もお願い」
『コケッ』『キュッ』
さすがに方向についてはこれで良いだろうと思ったのだが、それでも見えるのは木々と岩山と怪しいキノコと魔物とは思えないバッタのような虫くらい。
またストーンゴーレムが見つかったので鱗粉を使い再確認すると、またも反対方向に向かって進み始めてしまう。
「実は催眠が効いてないのかな?
もしくはダンジョンがすごく小さくて、見落としちゃった?」
凍花が歩きながら考えていると、ラビもまた思いつく限りのことを口にする。
「あそこの倒れている木はどうですか?
あ、あっち崖になってるよ」
もちろん木の陰や崖の下も確認はしたつもりだった。
しかし、何度見ても他に怪しい場所も無いし、途方に暮れてしまう。
日が傾きかけた頃、再度ストーンゴーレムの催眠に成功。
その向かう先はやはり倒木や崖のある方向。
さすがに何度もその場所を示されては疑うしかないのだろう。
「やっぱり、この崖のどこかにあるよね。
ゲームみたいに『!』でも出てたらボタンを押すだけなのに」
凍花は崖の窪みをくまなく見て回り、ラビは岩を叩いて確認をしていた。
他の仲間たちにも、どこか入り口を見つけたら教えてほしいと伝えたのだが、そう簡単には見つからない。
それから2度3度と崖を行ったり来たり。
『コンコンッ』
ラビが同じところを叩いて不思議そうに首を傾げているので凍花が声をかける。
遂に見つけたのかと期待をするが、ラビが『音が違う気がする』と叩いた場所で確かめてみるものの違いが全くわからないのだ。
かといって、他に手がかりもなく岩壁に向かって悩む凍花。
「この向こうに何かあるってことよね?」
「たぶん!」
ラビが自身あり気に言うのだから間違いはないのだろうか。
ただ役に立ちたいという気持ちが、そう思い込ませているだけかもしれないが、凍花はカードを取り出して思案する。
魔物はゴブリン。器用さが高く道具を使用できる。
そこに攻撃力のステ振りにスキル強撃。
武器にはハンマーやつるはしがあれば良かったのだが、あいにく手持ちには護身用の短剣が一本あるだけだ。
『キキッ?』
煤けた色の肌と、猫背に尖った耳と鼻。
剣を渡して岩を砕くように伝えると、少し考えているようにも見えた。
『何を言っているんだこの人間は?』と考えているに違いない。
しかしゴブリンが短剣を突き立てると、わずかではあるが岩肌が崩れていく。
それが楽しかったのか、遠慮なく短剣を何度も突き立てるものだから、すぐに刃先はボロボロになってしまった。
「やっぱり時間はかかりそうね。
スライムで岩を吸収できないかとも思ったけど、そっちも難しそうだし」
一休みしようと凍花はジェラートスライムを持ち上げて顔にくっつける。
「お姉ちゃん、なにしてるの?」
「冷たくて気持ちいいよ。ラビもやってみる?」
プルプルして汗や汚れは吸収してくれるし、歩いて疲れた体をひんやりと癒してくれる。
魔物の中でもっとも便利ではないだろうか。
そして完全に日が暮れて、スライムベッド(ジェラート仕様枕付き)にて休んだあくる日……
「本当に崖の中にあるとか……ずるくない?」
「ゴブリンさん、嬉しそう……」
ようやく一人通れそうな穴が開通しており、ゴブリンは穴の中から凍花たちを手招きしていたのだ。
そしてその手に持っている短剣だが、残念ながらもう修理は難しいだろう……
「お姉ちゃんに言われて見てたけど……」
かれこれ1時間は歩いたが、洞窟のようなものは見当たらない。
道中、何度か魔物が現れていたのだが鱗粉で催眠状態になった魔物は2匹のみ。
「同じ方向だったから、間違いないと思うんだけどなぁ」
「あ、向こうにもストーンゴーレムいましたよ」
「本当? じゃあもう一回試してみよっか」
再度フェアリーによる鱗粉の効果で、魔物を催眠状態にしようと試みる。
連続で3回失敗し、その度にポロが高速突きで倒していたのだ。
まぁ鱗粉のクールタイムが10分ほどあったので、倒すこと自体は構わなかったのだが……
「あ、成功したみたい」
体感で2割くらいの成功率かと思っていると、成功した時は意外とアッサリとしているので拍子抜けしてしまう。
「今度こそダンジョンの場所わかるね、お姉ちゃん」
「そうだと良いんだけどねー」
数キロは歩いたのだが魔物もまだ出続けるため、もはやこの先どこまでダンジョンのエリアが続いているのかはふめいである。
フェアリーのダンジョンを見つけたことが奇跡に思えるほどなのだ。
しかし、催眠状態のストーンゴーレムが向かう先というのが……
「あれ? そっちは来た方向なんだけど」
足元を横切って進み続けるストーンゴーレムを見て困惑してしまう凍花。
かなり真剣に探したつもりであったが、どうやら見落としてしまったようだ。
しかし、その魔物も1分程度で催眠は解けてポロのクチバシによって砕け散ってしまう。
「かなり小さな入り口なのかな?
ラビも何か気付いたら教えてね」
まさかの見落としのようで、周囲を念入りに捜索開始。
人間というのは無意識に左に向いて進んでいるものだと聞いたことがあるため、さらに凍花は手を打つことにする。
「トラもこの方向のまま真っ直ぐ歩き続けて」
『ニャ』
「……一応ポロとモフ君もお願い」
『コケッ』『キュッ』
さすがに方向についてはこれで良いだろうと思ったのだが、それでも見えるのは木々と岩山と怪しいキノコと魔物とは思えないバッタのような虫くらい。
またストーンゴーレムが見つかったので鱗粉を使い再確認すると、またも反対方向に向かって進み始めてしまう。
「実は催眠が効いてないのかな?
もしくはダンジョンがすごく小さくて、見落としちゃった?」
凍花が歩きながら考えていると、ラビもまた思いつく限りのことを口にする。
「あそこの倒れている木はどうですか?
あ、あっち崖になってるよ」
もちろん木の陰や崖の下も確認はしたつもりだった。
しかし、何度見ても他に怪しい場所も無いし、途方に暮れてしまう。
日が傾きかけた頃、再度ストーンゴーレムの催眠に成功。
その向かう先はやはり倒木や崖のある方向。
さすがに何度もその場所を示されては疑うしかないのだろう。
「やっぱり、この崖のどこかにあるよね。
ゲームみたいに『!』でも出てたらボタンを押すだけなのに」
凍花は崖の窪みをくまなく見て回り、ラビは岩を叩いて確認をしていた。
他の仲間たちにも、どこか入り口を見つけたら教えてほしいと伝えたのだが、そう簡単には見つからない。
それから2度3度と崖を行ったり来たり。
『コンコンッ』
ラビが同じところを叩いて不思議そうに首を傾げているので凍花が声をかける。
遂に見つけたのかと期待をするが、ラビが『音が違う気がする』と叩いた場所で確かめてみるものの違いが全くわからないのだ。
かといって、他に手がかりもなく岩壁に向かって悩む凍花。
「この向こうに何かあるってことよね?」
「たぶん!」
ラビが自身あり気に言うのだから間違いはないのだろうか。
ただ役に立ちたいという気持ちが、そう思い込ませているだけかもしれないが、凍花はカードを取り出して思案する。
魔物はゴブリン。器用さが高く道具を使用できる。
そこに攻撃力のステ振りにスキル強撃。
武器にはハンマーやつるはしがあれば良かったのだが、あいにく手持ちには護身用の短剣が一本あるだけだ。
『キキッ?』
煤けた色の肌と、猫背に尖った耳と鼻。
剣を渡して岩を砕くように伝えると、少し考えているようにも見えた。
『何を言っているんだこの人間は?』と考えているに違いない。
しかしゴブリンが短剣を突き立てると、わずかではあるが岩肌が崩れていく。
それが楽しかったのか、遠慮なく短剣を何度も突き立てるものだから、すぐに刃先はボロボロになってしまった。
「やっぱり時間はかかりそうね。
スライムで岩を吸収できないかとも思ったけど、そっちも難しそうだし」
一休みしようと凍花はジェラートスライムを持ち上げて顔にくっつける。
「お姉ちゃん、なにしてるの?」
「冷たくて気持ちいいよ。ラビもやってみる?」
プルプルして汗や汚れは吸収してくれるし、歩いて疲れた体をひんやりと癒してくれる。
魔物の中でもっとも便利ではないだろうか。
そして完全に日が暮れて、スライムベッド(ジェラート仕様枕付き)にて休んだあくる日……
「本当に崖の中にあるとか……ずるくない?」
「ゴブリンさん、嬉しそう……」
ようやく一人通れそうな穴が開通しており、ゴブリンは穴の中から凍花たちを手招きしていたのだ。
そしてその手に持っている短剣だが、残念ながらもう修理は難しいだろう……
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