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第3章 消えた街
第3話 状況把握
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「既にダンジョンの外に暴走が広がっておるなら、そろそろ見えてくるじゃろうが……」
ピルスルが先頭となって歩く。その手にはレギが見つけた短剣が一振り。
「皆さん気をつけて! かなりの数がいるみたいよ!」
先程から水晶を取り出して何をしているのかと思っていたのだが、別に遊んでいるわけではなかったようだ。
ミドには遠くを見通す索敵能力が備わっている。だからこそ王にそういう人物だと紹介された事をすっかり忘れていたのだ。
「うそ……魔素のかなり強い魔物もいっぱいいる。もしかして上位種かもしれないわ」
「だったら少しは数を減らしておかねばならんかのぅ……」
そう言って皆が再び武器を持ち直して、再度歩みを進めたのだ。
程なくして見えてくるダンジョン周辺に湧き出る魔物達。
この辺りの魔素の影響か、獣系の魔物が多いようである。ただ、コボルトやウルフに混じって、何匹、何十匹かの大きな個体がいて、どう見てもそれらとは一線を画する圧倒的存在感を放っていたのだ。
「覚悟はいいか? 上位種を1匹ずつ確実に仕留めて行くぞ!」
『この魔剣ならば上位種にも十分すぎる効果があるだろう』という事で、ピルスルが周りの雑魚を蹴散らしながら翻弄を。
ミドの攻撃とローズの魔法で支援をするようピルスルが支持する。
もちろんレギは回復と補助だ。
「ちょっと待ってくださる?」
『さぁ!』という時にミドからのストップ。
『先に私が矢を射つ』と言うのだ。
半端に攻撃して一斉に襲いかかられても困る。『どういう作戦か?』と聞くのだが、大丈夫だから心配しないよういうだけで詳しくは説明しないのだ。
一本の矢が放たれた。その矢は宙で3本に分かれ、それぞれが上位種の魔物を貫いていく。
攻撃を受けた3匹の魔物は、突如その場に横たわってしまったのだ。
「うん、やっぱり大丈夫だった。ありがとうね、レギ!」
「いえ、調べるのが僕の役目でもありますから」
どういう事だ?俺とピルスルが前を歩いている間に何か喋っていたのだろうか?
俺たちがミドに尋ねる間もなく、ミドは次々と矢を放っていった。その数24本。
「ピルスルおじ様!あちらのフィリーベアー5体には睡眠が効かないので毒を与えます!時間を稼いでいただけますか?」
「あ、あぁ任せろ!」
「シュウさんは雑魚と一緒に睡眠状態の上位種を!私は別方向にいる魔物を狙っていきますわ!」
「わかった!」
俺だって剣技はピルスルから習っている。コボルトの攻撃ぐらいは躱すことも容易い。
だが、こう数が多いとどうなのだろうとは思っていた。しかし……。
目の前に立ちふさがった魔物達は、俺の持つ魔剣の一振りにも耐えることなく、消滅していく。
「まるで無双しているようだな…」
いつまでも剣を振り回して、寝ている上位種にとどめを刺す。
確か全部で24発、72匹?
まだ20体ほどしか倒していないという時に、徐々に睡眠状態から回復していく魔物達。
「グオォォォ!!」
それに気付かず、俺は後ろからの強襲を受ける。
「ぐっ……?! ……でぇぇい!!」
背中から大きな衝撃を受けながらも、振り返りハイウルフの脚に斬りつける。よろめいたところにもう一度斬りつけ、ようやく倒すことができる。
「やばいな、随分と復活しているじゃないか……」
周りの魔物は数を減らすどころか、増しているようにも感じてしまう。
新たに生み出されているのではないだろうか……?
「シュウ!撤退じゃ!これはマズイぞ」
ピルスルの大声で俺たちはローズ達の元に戻る。
「どうやら相当大きな魔石の暴走であるようじゃ。
下手すればこの辺りだけでなく街まで被害が及ぶかもしれん、避難の準備をさせねばなるまい」
ピルスルはそう告げると、転移魔法で一足先にリキングバウトに戻ると言う。
俺たちも追って戻る様に、と。
「ねぇ、シュウさん。ちょっとお願い」
「なんだ?」
ピルスルがいなくなりすぐに、ミドからのお願い事をされる。
『エンチャントした矢を一本欲しい』と。
ローズではなく俺の持つ赤い矢を一本エンチャントし、広範囲の雑魚どもを殲滅しておいた方が良いだろうと言う事である。
「それもそうだな、散らばってしまう前に一気に叩いた方が良いだろうな……」
なぜ俺がそんな矢を持っていると知っているのか?またローズかドルヴィンが俺のことを爆弾魔扱いでもしたのだろうな。などと思いながらも深く考えるのはやめておくのだった。
ピルスルが先頭となって歩く。その手にはレギが見つけた短剣が一振り。
「皆さん気をつけて! かなりの数がいるみたいよ!」
先程から水晶を取り出して何をしているのかと思っていたのだが、別に遊んでいるわけではなかったようだ。
ミドには遠くを見通す索敵能力が備わっている。だからこそ王にそういう人物だと紹介された事をすっかり忘れていたのだ。
「うそ……魔素のかなり強い魔物もいっぱいいる。もしかして上位種かもしれないわ」
「だったら少しは数を減らしておかねばならんかのぅ……」
そう言って皆が再び武器を持ち直して、再度歩みを進めたのだ。
程なくして見えてくるダンジョン周辺に湧き出る魔物達。
この辺りの魔素の影響か、獣系の魔物が多いようである。ただ、コボルトやウルフに混じって、何匹、何十匹かの大きな個体がいて、どう見てもそれらとは一線を画する圧倒的存在感を放っていたのだ。
「覚悟はいいか? 上位種を1匹ずつ確実に仕留めて行くぞ!」
『この魔剣ならば上位種にも十分すぎる効果があるだろう』という事で、ピルスルが周りの雑魚を蹴散らしながら翻弄を。
ミドの攻撃とローズの魔法で支援をするようピルスルが支持する。
もちろんレギは回復と補助だ。
「ちょっと待ってくださる?」
『さぁ!』という時にミドからのストップ。
『先に私が矢を射つ』と言うのだ。
半端に攻撃して一斉に襲いかかられても困る。『どういう作戦か?』と聞くのだが、大丈夫だから心配しないよういうだけで詳しくは説明しないのだ。
一本の矢が放たれた。その矢は宙で3本に分かれ、それぞれが上位種の魔物を貫いていく。
攻撃を受けた3匹の魔物は、突如その場に横たわってしまったのだ。
「うん、やっぱり大丈夫だった。ありがとうね、レギ!」
「いえ、調べるのが僕の役目でもありますから」
どういう事だ?俺とピルスルが前を歩いている間に何か喋っていたのだろうか?
俺たちがミドに尋ねる間もなく、ミドは次々と矢を放っていった。その数24本。
「ピルスルおじ様!あちらのフィリーベアー5体には睡眠が効かないので毒を与えます!時間を稼いでいただけますか?」
「あ、あぁ任せろ!」
「シュウさんは雑魚と一緒に睡眠状態の上位種を!私は別方向にいる魔物を狙っていきますわ!」
「わかった!」
俺だって剣技はピルスルから習っている。コボルトの攻撃ぐらいは躱すことも容易い。
だが、こう数が多いとどうなのだろうとは思っていた。しかし……。
目の前に立ちふさがった魔物達は、俺の持つ魔剣の一振りにも耐えることなく、消滅していく。
「まるで無双しているようだな…」
いつまでも剣を振り回して、寝ている上位種にとどめを刺す。
確か全部で24発、72匹?
まだ20体ほどしか倒していないという時に、徐々に睡眠状態から回復していく魔物達。
「グオォォォ!!」
それに気付かず、俺は後ろからの強襲を受ける。
「ぐっ……?! ……でぇぇい!!」
背中から大きな衝撃を受けながらも、振り返りハイウルフの脚に斬りつける。よろめいたところにもう一度斬りつけ、ようやく倒すことができる。
「やばいな、随分と復活しているじゃないか……」
周りの魔物は数を減らすどころか、増しているようにも感じてしまう。
新たに生み出されているのではないだろうか……?
「シュウ!撤退じゃ!これはマズイぞ」
ピルスルの大声で俺たちはローズ達の元に戻る。
「どうやら相当大きな魔石の暴走であるようじゃ。
下手すればこの辺りだけでなく街まで被害が及ぶかもしれん、避難の準備をさせねばなるまい」
ピルスルはそう告げると、転移魔法で一足先にリキングバウトに戻ると言う。
俺たちも追って戻る様に、と。
「ねぇ、シュウさん。ちょっとお願い」
「なんだ?」
ピルスルがいなくなりすぐに、ミドからのお願い事をされる。
『エンチャントした矢を一本欲しい』と。
ローズではなく俺の持つ赤い矢を一本エンチャントし、広範囲の雑魚どもを殲滅しておいた方が良いだろうと言う事である。
「それもそうだな、散らばってしまう前に一気に叩いた方が良いだろうな……」
なぜ俺がそんな矢を持っていると知っているのか?またローズかドルヴィンが俺のことを爆弾魔扱いでもしたのだろうな。などと思いながらも深く考えるのはやめておくのだった。
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