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第2章 精霊王
25話 精霊王となる存在
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「こんにちは、私は大精霊ソフィアと申します。
訳あって世界中の魔素を集めておりますが、あなた方と敵対する意思はございませんの」
大精霊ソフィアは特にこちらから聞くでもなく語りかけてくる。
イフリートが失礼をした申し訳ない。
この世界に精霊王が存在しなくなり世界は急速に衰退している。
魔素を集めて私が精霊王となり世界を導いていくために力を貸して欲しい、と。
「ちょ、かなり大事なこと言ってたみたいだけどいいの?こんなダイジェストにお伝えして?」
俺たちがほとんど理解できなかったところを見て、再び説明をしだすソフィア。
「…改めて説明するわね、精霊王アイオーン様がいなくなられておよそ100年…。
この世界では新しい精霊も生まれることはなくなりました。
未だ各地では魔物達が跋扈(ばっこ)しており、我らとしても見過ごしておくわけにもまいりません」
やけに重い話が始まったのだ。だが、とにかく敵対の意思はないと言うのだから安心して良いのだろうか?
「魔素は我ら精霊としても非常に重要なもの。しかし、今のままではいずれ精霊達は朽ち果て、世界は魔物に支配されることになるでしょう」
精霊王とは、精霊を生み出す存在でもあるということだろうか?今はそれが無い、と。
「我らだけの問題ではなく、人間達にも重篤な危機を齎(もたら)すのです。
私ソフィア、次代の精霊王となり次の時代を導く者となるために…。
どうか願いを聞き入れてはいただけないでしょうか…」
「儂らに何を望んでおるのだ?
精霊王になるというのを阻止する理由は無いが、ただお主らの行動が世界を死に追いやっている現状を黙って見過ごしてはおけんぞ」
ピルスルが大精霊に向かって強く言葉を発する。
「確かに、魔素を大地から直に集めていますから。
しばらくはそのような状態が続いてしまわれるかもしれません。
しかし時間をかけ、再び魔素を馴染ませることで大地は復活します」
とソフィアが説明をする。
それで精霊王が復活して平和になるならいいんじゃないのか?と思っていたのだけれど。
次にピルスルの口にした言葉は皆を再度驚愕させるものだった。
「少しの間じゃと?お主らの精霊にとってはそうかもしれんな。ではあの傷跡はいつ癒えるのじゃ?
およそ100年、あのような大地が世界に広がれば人間なぞ簡単に絶えてしまうわ!
それとな…」
言い難(にく)そうに続ける。
「精霊王アイオーンは、儂の知る限り…人類を根絶やしにしようとしておった。
儂らは王の命を受け、その行動を阻止すべく戦っておったはずじゃ。
大精霊であるお主が知らぬ話でもあるまい」
どういうことかと問い詰められたソフィアの表情が徐々に曇ってゆく。
「そうね、イフリートが懐かしいって言っていたから怪しんでいたのだけど。
貴方やっぱりあの戦の時にいたのね?
だったら話し合う必要も無いわね、この場で死んでちょうだい!」
豹変するソフィア。
姿は美しくともその気配は非常に禍々しい。
「せっかくだから教えておきましょう…私は大精霊ソフィア。
精霊王となりこの世界を支配する者!
純粋な力のみが私への意見を赦されるだろう!」
レギの支援、結界!
ピルスルも構え、周囲を見回す。
ローズやミドもまた守ること、逃げることを考えてしまう。
俺もまた…。
戦って勝てる相手では無い…それほどに強い威圧感が俺たちを襲ったのだ。
ソフィアの腕の一振りで結界はあっさり砕け散り、飛ばされたレギが洞窟の側に横たわる。
「ヤバイ…こいつは強いなんてもんじゃねぇ…」
訳あって世界中の魔素を集めておりますが、あなた方と敵対する意思はございませんの」
大精霊ソフィアは特にこちらから聞くでもなく語りかけてくる。
イフリートが失礼をした申し訳ない。
この世界に精霊王が存在しなくなり世界は急速に衰退している。
魔素を集めて私が精霊王となり世界を導いていくために力を貸して欲しい、と。
「ちょ、かなり大事なこと言ってたみたいだけどいいの?こんなダイジェストにお伝えして?」
俺たちがほとんど理解できなかったところを見て、再び説明をしだすソフィア。
「…改めて説明するわね、精霊王アイオーン様がいなくなられておよそ100年…。
この世界では新しい精霊も生まれることはなくなりました。
未だ各地では魔物達が跋扈(ばっこ)しており、我らとしても見過ごしておくわけにもまいりません」
やけに重い話が始まったのだ。だが、とにかく敵対の意思はないと言うのだから安心して良いのだろうか?
「魔素は我ら精霊としても非常に重要なもの。しかし、今のままではいずれ精霊達は朽ち果て、世界は魔物に支配されることになるでしょう」
精霊王とは、精霊を生み出す存在でもあるということだろうか?今はそれが無い、と。
「我らだけの問題ではなく、人間達にも重篤な危機を齎(もたら)すのです。
私ソフィア、次代の精霊王となり次の時代を導く者となるために…。
どうか願いを聞き入れてはいただけないでしょうか…」
「儂らに何を望んでおるのだ?
精霊王になるというのを阻止する理由は無いが、ただお主らの行動が世界を死に追いやっている現状を黙って見過ごしてはおけんぞ」
ピルスルが大精霊に向かって強く言葉を発する。
「確かに、魔素を大地から直に集めていますから。
しばらくはそのような状態が続いてしまわれるかもしれません。
しかし時間をかけ、再び魔素を馴染ませることで大地は復活します」
とソフィアが説明をする。
それで精霊王が復活して平和になるならいいんじゃないのか?と思っていたのだけれど。
次にピルスルの口にした言葉は皆を再度驚愕させるものだった。
「少しの間じゃと?お主らの精霊にとってはそうかもしれんな。ではあの傷跡はいつ癒えるのじゃ?
およそ100年、あのような大地が世界に広がれば人間なぞ簡単に絶えてしまうわ!
それとな…」
言い難(にく)そうに続ける。
「精霊王アイオーンは、儂の知る限り…人類を根絶やしにしようとしておった。
儂らは王の命を受け、その行動を阻止すべく戦っておったはずじゃ。
大精霊であるお主が知らぬ話でもあるまい」
どういうことかと問い詰められたソフィアの表情が徐々に曇ってゆく。
「そうね、イフリートが懐かしいって言っていたから怪しんでいたのだけど。
貴方やっぱりあの戦の時にいたのね?
だったら話し合う必要も無いわね、この場で死んでちょうだい!」
豹変するソフィア。
姿は美しくともその気配は非常に禍々しい。
「せっかくだから教えておきましょう…私は大精霊ソフィア。
精霊王となりこの世界を支配する者!
純粋な力のみが私への意見を赦されるだろう!」
レギの支援、結界!
ピルスルも構え、周囲を見回す。
ローズやミドもまた守ること、逃げることを考えてしまう。
俺もまた…。
戦って勝てる相手では無い…それほどに強い威圧感が俺たちを襲ったのだ。
ソフィアの腕の一振りで結界はあっさり砕け散り、飛ばされたレギが洞窟の側に横たわる。
「ヤバイ…こいつは強いなんてもんじゃねぇ…」
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