226 / 515
第五章
僕はヒーラーになったんだ
しおりを挟む
最後ギャアギャアとうるさい声はしていたがクオルカンティカートが圭たちに襲いかかってくることはなく、無事にゲートから脱出することができた。
「カレン頼む」
「大地の力!」
一応ボスは倒したはずだがボスクオルカンティカートが本当にボスだったのかはゲートの消滅を確認しなければ分からない。
しかしそんな悠長なことをしている時間も余裕もない。
地下からも出て、確認は後回しにすることにしてカレンのスキルで地下への入り口を塞いでもらうことにした。
分厚めにこんもりと入り口を覆ってクオルカンティカートが出てこられないようにしておく。
少し雨風も弱まった中孤児院に戻る。
「この際だし食料とかも持っていこう」
まだそこにはクオルカンティカートがいる可能性はあったが、薫も覚醒して圭たちがいれば普通のクオルカンティカートぐらいなら戦うのにも問題がないことは分かっている。
梅山や子供たちはひとまず地下に逃げ込んだので籠るような準備も何もしていない。
水や食料ぐらいなければ子供たちにはちょっと過酷かもしれないと思った。
薫の案内で非常用の備蓄を取りに行く。
「ぐっ!」
「圭!」
1番後ろからついていって警戒を行っていた圭に暗い通路から飛び出してきたクオルカンティカートが襲いかかった。
「ぐあっ! こいつ!」
クオルカンティカートは圭を壁に押さえつけ大きく口を開いた。
なんとか腕を差し込んで防ごうとしたけれどそのまま腕を噛みつかれる。
防具を突き抜けて牙の先が腕にめり込んで圭は顔を歪めた。
「こんにゃろ!」
素早くナイフを抜いた波瑠がクオルカンティカートの首裏を切りつける。
深く首を切り裂かれてクオルカンティカートはか細く鳴いて倒れた。
「外に出てたやつがまだいたんだな」
「圭、大丈夫かい?」
「これぐらいなら……」
「ダメですよ! 圭さん、見せてください!」
傷は浅い。
そんなに痛みも強くないので後で治療してもいいと思っていたら薫が圭の腕を手に取った。
「おお……」
薫の手から光が放たれて圭の腕を包み込む。
痛みが和らぎ、痛々しい傷口が治っていく。
「ヒーラーなのか」
脱出するのに忙しくて薫の能力についてまだ何も聞いていなかった。
「へへっ、ヒーラーって結構……」
「薫君!」
ふらりと倒れそうになった薫を圭が慌てて支えた。
「なんだろう……急に頭が」
「魔力不足だな」
「魔力不足……?」
「そう、魔力の使いすぎだな」
薫はまだ覚醒したばかりである。
魔力も少なく、効率的な魔力のコントロールも分かっていない。
ボスクオルカンティカートとの戦闘中の手助けが薫の力によるものであることは分かっていた。
みんなを強化するのにも魔力は結構使うはずなのだ。
ようするに薫は魔力を使いすぎたのだ。
「早めに移動して休もう」
薫のためにもこれ以上の戦闘は避けねばならない。
圭たちは警戒を強めて小さな押し入れとなっている部屋から水や食料を持って地下に向かった。
「梅山さん、ご無事ですか?」
「む、村雨さん……いてて。薫君は?」
「無事助け出しました。ここを開けてもらえますか?」
「分かりました……少々お待ちください」
中から子供たちの威勢の良い声が聞こえてきて、程なくしてドアが開いた。
「ああ、よかった。無事で何よりです」
青い顔をして立ち上がった梅山は優しく薫を抱きしめた。
圭たちはサッと中に入るとドアを閉めてドア前に物を移動させる。
「とりあえず水と食料、あとは適当に避難用の物資なんか持って来させてもらいました」
「助かります」
「梅山さん、怪我を?」
「これぐらいなんともありません」
「そんな、ダメですよ!」
梅山が青い顔をして脇腹を押さえていることに薫が気がついた。
「待っててくださいね。今僕が治しますから」
「薫、それ以上は……」
「いいってカレン」
「でも……」
「薫のやりたいようにさせよう」
圭を治した時点で薫の魔力は残り少なかった。
ここからさらに梅山を治す魔力などありはしないとカレンが止めようとした。
それを圭が止める。
きっと何を言ったって薫は治そうとする。
それなら好きにさせてやった方がいいだろうと思う。
梅山の脇腹が光に包まれて、顔色が戻っていく。
「薫君、これは……」
「へへっ、僕にも……できる…………ことが……ある」
「薫君!」
今度は完全に気を失ってしまった。
そうなることを分かっていた圭が倒れてくる薫を優しく受け止める。
「薫君は大丈夫なのですか?」
「大丈夫ですよ。魔力がなくなって気を失っただけです」
慌てたような梅山に微笑みかけて安心させようとする。
魔力不足なら問題はない。
ゆっくり休んで魔力が回復すればそれで治るから。
薫を部屋の隅に寝かせると子供たちが心配そうに薫の顔を覗き込む。
「なんだか幸せそうだね」
「そうだね、かおるくん笑ってる」
「良い夢見てるのかな?」
魔力不足で倒れたのであるが薫の顔は穏やかに笑みを浮かべていた。
怖い思いをしたけれど覚醒して、すごい力を手に入れた。
その嬉しさが気を失っても薫の顔に出ていたのである。
「カレン頼む」
「大地の力!」
一応ボスは倒したはずだがボスクオルカンティカートが本当にボスだったのかはゲートの消滅を確認しなければ分からない。
しかしそんな悠長なことをしている時間も余裕もない。
地下からも出て、確認は後回しにすることにしてカレンのスキルで地下への入り口を塞いでもらうことにした。
分厚めにこんもりと入り口を覆ってクオルカンティカートが出てこられないようにしておく。
少し雨風も弱まった中孤児院に戻る。
「この際だし食料とかも持っていこう」
まだそこにはクオルカンティカートがいる可能性はあったが、薫も覚醒して圭たちがいれば普通のクオルカンティカートぐらいなら戦うのにも問題がないことは分かっている。
梅山や子供たちはひとまず地下に逃げ込んだので籠るような準備も何もしていない。
水や食料ぐらいなければ子供たちにはちょっと過酷かもしれないと思った。
薫の案内で非常用の備蓄を取りに行く。
「ぐっ!」
「圭!」
1番後ろからついていって警戒を行っていた圭に暗い通路から飛び出してきたクオルカンティカートが襲いかかった。
「ぐあっ! こいつ!」
クオルカンティカートは圭を壁に押さえつけ大きく口を開いた。
なんとか腕を差し込んで防ごうとしたけれどそのまま腕を噛みつかれる。
防具を突き抜けて牙の先が腕にめり込んで圭は顔を歪めた。
「こんにゃろ!」
素早くナイフを抜いた波瑠がクオルカンティカートの首裏を切りつける。
深く首を切り裂かれてクオルカンティカートはか細く鳴いて倒れた。
「外に出てたやつがまだいたんだな」
「圭、大丈夫かい?」
「これぐらいなら……」
「ダメですよ! 圭さん、見せてください!」
傷は浅い。
そんなに痛みも強くないので後で治療してもいいと思っていたら薫が圭の腕を手に取った。
「おお……」
薫の手から光が放たれて圭の腕を包み込む。
痛みが和らぎ、痛々しい傷口が治っていく。
「ヒーラーなのか」
脱出するのに忙しくて薫の能力についてまだ何も聞いていなかった。
「へへっ、ヒーラーって結構……」
「薫君!」
ふらりと倒れそうになった薫を圭が慌てて支えた。
「なんだろう……急に頭が」
「魔力不足だな」
「魔力不足……?」
「そう、魔力の使いすぎだな」
薫はまだ覚醒したばかりである。
魔力も少なく、効率的な魔力のコントロールも分かっていない。
ボスクオルカンティカートとの戦闘中の手助けが薫の力によるものであることは分かっていた。
みんなを強化するのにも魔力は結構使うはずなのだ。
ようするに薫は魔力を使いすぎたのだ。
「早めに移動して休もう」
薫のためにもこれ以上の戦闘は避けねばならない。
圭たちは警戒を強めて小さな押し入れとなっている部屋から水や食料を持って地下に向かった。
「梅山さん、ご無事ですか?」
「む、村雨さん……いてて。薫君は?」
「無事助け出しました。ここを開けてもらえますか?」
「分かりました……少々お待ちください」
中から子供たちの威勢の良い声が聞こえてきて、程なくしてドアが開いた。
「ああ、よかった。無事で何よりです」
青い顔をして立ち上がった梅山は優しく薫を抱きしめた。
圭たちはサッと中に入るとドアを閉めてドア前に物を移動させる。
「とりあえず水と食料、あとは適当に避難用の物資なんか持って来させてもらいました」
「助かります」
「梅山さん、怪我を?」
「これぐらいなんともありません」
「そんな、ダメですよ!」
梅山が青い顔をして脇腹を押さえていることに薫が気がついた。
「待っててくださいね。今僕が治しますから」
「薫、それ以上は……」
「いいってカレン」
「でも……」
「薫のやりたいようにさせよう」
圭を治した時点で薫の魔力は残り少なかった。
ここからさらに梅山を治す魔力などありはしないとカレンが止めようとした。
それを圭が止める。
きっと何を言ったって薫は治そうとする。
それなら好きにさせてやった方がいいだろうと思う。
梅山の脇腹が光に包まれて、顔色が戻っていく。
「薫君、これは……」
「へへっ、僕にも……できる…………ことが……ある」
「薫君!」
今度は完全に気を失ってしまった。
そうなることを分かっていた圭が倒れてくる薫を優しく受け止める。
「薫君は大丈夫なのですか?」
「大丈夫ですよ。魔力がなくなって気を失っただけです」
慌てたような梅山に微笑みかけて安心させようとする。
魔力不足なら問題はない。
ゆっくり休んで魔力が回復すればそれで治るから。
薫を部屋の隅に寝かせると子供たちが心配そうに薫の顔を覗き込む。
「なんだか幸せそうだね」
「そうだね、かおるくん笑ってる」
「良い夢見てるのかな?」
魔力不足で倒れたのであるが薫の顔は穏やかに笑みを浮かべていた。
怖い思いをしたけれど覚醒して、すごい力を手に入れた。
その嬉しさが気を失っても薫の顔に出ていたのである。
62
あなたにおすすめの小説
天城の夢幻ダンジョン攻略と無限の神空間で超絶レベリング ~ガチャスキルに目覚めた俺は無職だけどダンジョンを攻略してトップの探索士を目指す~
仮実谷 望
ファンタジー
無職になってしまった摩廻天重郎はある日ガチャを引くスキルを得る。ガチャで得た鍛錬の神鍵で無限の神空間にたどり着く。そこで色々な異世界の住人との出会いもある。神空間で色んなユニットを配置できるようになり自分自身だけレベリングが可能になりどんどんレベルが上がっていく。可愛いヒロイン多数登場予定です。ガチャから出てくるユニットも可愛くて強いキャラが出てくる中、300年の時を生きる謎の少女が暗躍していた。ダンジョンが一般に知られるようになり動き出す政府の動向を観察しつつ我先へとダンジョンに入りたいと願う一般人たちを跳ね除けて天重郎はトップの探索士を目指して生きていく。次々と美少女の探索士が天重郎のところに集まってくる。天重郎は最強の探索士を目指していく。他の雑草のような奴らを跳ね除けて天重郎は最強への道を歩み続ける。
最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。
無能扱いされ会社を辞めさせられ、モフモフがさみしさで命の危機に陥るが懸命なナデナデ配信によりバズる~色々あって心と音速の壁を突破するまで~
ぐうのすけ
ファンタジー
大岩翔(オオイワ カケル・20才)は部長の悪知恵により会社を辞めて家に帰った。
玄関を開けるとモフモフ用座布団の上にペットが座って待っているのだが様子がおかしい。
「きゅう、痩せたか?それに元気もない」
ペットをさみしくさせていたと反省したカケルはペットを頭に乗せて大穴(ダンジョン)へと走った。
だが、大穴に向かう途中で小麦粉の大袋を担いだJKとぶつかりそうになる。
「パンを咥えて遅刻遅刻~ではなく原材料を担ぐJKだと!」
この奇妙な出会いによりカケルはヒロイン達と心を通わせ、心に抱えた闇を超え、心と音速の壁を突破する。
【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜
KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。
~あらすじ~
世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。
そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。
しかし、その恩恵は平等ではなかった。
富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。
そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。
彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。
あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。
妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。
希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。
英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。
これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。
彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。
テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。
SF味が増してくるのは結構先の予定です。
スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。
良かったら読んでください!
現実世界にダンジョンが出現したのでフライングして最強に!
おとうふ
ファンタジー
2026年、突如として世界中にダンジョンが出現した。
ダンジョン内は無尽蔵にモンスターが湧き出し、それを倒すことでレベルが上がり、ステータスが上昇するという不思議空間だった。
過去の些細な事件のトラウマを克服できないまま、不登校の引きこもりになっていた中学2年生の橘冬夜は、好奇心から自宅近くに出現したダンジョンに真っ先に足を踏み入れた。
ダンジョンとは何なのか。なぜ出現したのか。その先に何があるのか。
世界が大混乱に陥る中、何もわからないままに、冬夜はこっそりとダンジョン探索にのめり込んでいく。
やがて来る厄災の日、そんな冬夜の好奇心が多くの人の命を救うことになるのだが、それはまだ誰も知らぬことだった。
至らぬところも多いと思いますが、よろしくお願いします!
「お前と居るとつまんねぇ」〜俺を追放したチームが世界最高のチームになった理由(わけ)〜
大好き丸
ファンタジー
異世界「エデンズガーデン」。
広大な大地、広く深い海、突き抜ける空。草木が茂り、様々な生き物が跋扈する剣と魔法の世界。
ダンジョンに巣食う魔物と冒険者たちが日夜戦うこの世界で、ある冒険者チームから1人の男が追放された。
彼の名はレッド=カーマイン。
最強で最弱の男が織り成す冒険活劇が今始まる。
※この作品は「小説になろう、カクヨム」にも掲載しています。
日本国 召喚獣管理省 関東庁 召喚獣総合事案即応科。
wakaba1890
ファンタジー
召喚獣。
それは向こう側とされる所から、10歳を迎えた日本人の子供の下に召喚されるモンスターのことである。
初代天皇・神武天皇が日本を建国した際に書かれた絵画には彼は金鵄と呼ばれる金色に輝く鵄(とび)と契約したのが原初となっている。
そして、縄文、弥生、古墳、飛鳥、平安、戦国時代から近代から今に至るまで、時代を動かしてきた人物の側には確かに召喚獣は介在していた。
また、奇妙な事に、日本国に限り、齢10歳を迎えた日本在住の日本人にのみ体のどこかから多種多様な紋章が発現し、当人が念じると任意の場所から召喚陣が現れ、人ならざるモンスターを召喚される。
そして、彼らモンスターは主人である当人や心を許した者に対して忠実であった。
そのため、古来の日本から、彼ら召喚獣は農耕、治水、土木、科学技術、エネルギー、政治、経済、金融、戦争など国家の基盤となる柱から、ありとあらゆる分野において、今日に至るまで日本国とアジアの繁栄に寄与してきた。
そして、建国から今まで、国益の基盤たる彼ら数万種類以上をも及ぶ召喚獣を取り締まり管理し、2600年以上と脈々と受け継がれてきた名誉ある国家職がーーーーー国家召喚獣管理官である。
アポカリプスな時代はマイペースな俺に合っていたらしい
黒城白爵
ファンタジー
ーーある日、平穏な世界は終わった。
そうとしか表現できないほどに世界にモンスターという異物が溢れ返り、平穏かつ醜い世界は崩壊した。
そんな世界を自称凡人な男がマイペースに生きる、これはそんな話である。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる