人の才能が見えるようになりました。~いい才能は幸運な俺が育てる~

犬型大

文字の大きさ
225 / 515
第五章

薫、怒りの決戦!4

しおりを挟む
「確かに……やってみよう!」

 頭や心臓を狙うのは鉄板であるが大体そうしたところは狙い難く、モンスターも警戒する。
 他に弱点っぽそうなところがあるなら試しても損ではない。

「カレン、隠密作戦だ! 俺と波瑠で気を引くぞ」

「りょーかい!」

「おうよ! こっち向け!」

 カレンが思い切り魔力を放つとボスクオルカンティカートがそれに釣られる。
 怒りで大振りになった攻撃をカレンはうまく受け流しながら防ぐ。

「食らえ!」

 圭が横からボスクオルカンティカートの手首を切り裂いた。
 しっかり魔力を込めた斬撃はそこそこ深く、ボスクオルカンティカートが叫び声を上げる。

「おりゃ!」

 その隙をついて波瑠が飛び上がる。
 風という特性なのか波瑠はスキルを発動させているとジャンプも高い。

 狙ったのは目。
 波瑠の風をまとった一撃は力という意味では弱いかもしれないが鋭さは一級品である。

 ボスクオルカンティカートは手を顔の前に持ってきてガードしようとした。
 けれど手までムキムキの硬さがあるわけじゃない。

 指が二本切り飛ばされて、そこから血が噴き出す。
 さらにボスクオルカンティカートは気づいていない。

 目の前にカレンがいなくなっていることに。

「いーくーぞー!」

 カレンはボスクオルカンティカートの後ろに回り込んでいた。
 隠密作戦、これは別にカレンが消えるわけではない。

 カレンはタンクとして魔力を放ち続けてモンスターの気を引く。
 それは例え視界に映っていなくともモンスターには魔力を通してそこにカレンがいると分かるほどである。

 ならばその逆でカレンが急に魔力を抑えたらどうなるのか。
 強い存在感を放ち、敵意を向けてきていた相手が突如魔力を抑えてしまうとモンスターはカレンをわずかな間認識できなくなる。

 目の前にいるのに一瞬見えなくなった。
 そんな感じすら受けるのである。

 目の前にいてもそうなのだ。
 仮に圭たちが気を引いて、カレンが目の前にいない時にやればどうなるか。

 ほとんどの場合カレンがどこに行ったのか気づかないのだ。
 カレンはメイスをボスクオルカンティカートの腰に全力で叩きつけた。

「よっしゃ!」

 目と口を大きく開いてのけぞるような体勢になったボスクオルカンティカートは恐ろしいほどか細い声で鳴いた。
 そしてゆっくりと腰に手を当てながら4つんばいに倒れた。

 先ほどまでの怒りの様子が何処へやら、途端に蚊の鳴くような声しか出せないでいる。

「これは……!」

 波瑠はこんな光景を見たことがあった。
 昔自身の父親が何気なく波瑠を持ち上げようとした時に同じようなことになっていた。

「ギックリ腰!」

 カレンの重たい一撃によってボスクオルカンティカートは腰をやられてしまったのである。

「うおっと!」

 しかしここでただ腰をいわせているだけにもいかない。
 ボスクオルカンティカートは片腕を振り回して圭たちが近づけないようにする。

 しかしその抵抗も虚しくすら見えてくる。

「知っているかい?」

 父親の様子を見ていたことがある波瑠は少し同情的であるがこれはチャンスだと夜滝はニヤリと笑った。
 ボスクオルカンティカートの上に水の塊が浮き上がる。

「ギックリ腰は魔女の一撃とも言うんだよぅ」

 夜滝の一撃。
 水の塊がボスクオルカンティカートの腰に直撃した。

 声にならない悲鳴をあげるボスクオルカンティカートはもう手をつくことすら出来ずに頭を地面に擦り付けた。

「…………こうなったらさっさと倒してやろう」

 見ているだけでも痛そうだ。
 もはや抵抗すら出来なさそうなボスクオルカンティカートをいじめる趣味はない。

 周りのクオルカンティカートが手助けに来てしまうかもしれないし今のうちに倒してしまうのがいい。

「圭さん、やっちゃってください!」

 未だに色々な恐怖を忘れていない薫は圭に力を集める。

「そうだな」

 ゆっくりと圭が近づくとボスクオルカンティカートは命乞いをするような、諦めるような視線を圭に向けた。
 腰を狙う作戦は大成功だった。

 しかし抵抗もできなくなる様子にはちょっとした罪悪感も感じてしまう。

「一つ言っておきます……僕は男ですからねーーーー!」

「悪いな」

 圭は一気に剣を振り下ろした。
 薫の助けもあってか硬い手応えはありながらもクオルカンティカートの首を切り落とすことに成功した。

「……みんな、帰ろう」

 騒がしかったクオルカンティカートたちがピタリと静かになった。
 気味の悪さを感じるが襲いかかってくるような雰囲気もない。

 今はとりあえず薫を助け出して帰るのが優先。
 圭たちは警戒しつつもゲートの方に走り出した。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

天城の夢幻ダンジョン攻略と無限の神空間で超絶レベリング ~ガチャスキルに目覚めた俺は無職だけどダンジョンを攻略してトップの探索士を目指す~

仮実谷 望
ファンタジー
無職になってしまった摩廻天重郎はある日ガチャを引くスキルを得る。ガチャで得た鍛錬の神鍵で無限の神空間にたどり着く。そこで色々な異世界の住人との出会いもある。神空間で色んなユニットを配置できるようになり自分自身だけレベリングが可能になりどんどんレベルが上がっていく。可愛いヒロイン多数登場予定です。ガチャから出てくるユニットも可愛くて強いキャラが出てくる中、300年の時を生きる謎の少女が暗躍していた。ダンジョンが一般に知られるようになり動き出す政府の動向を観察しつつ我先へとダンジョンに入りたいと願う一般人たちを跳ね除けて天重郎はトップの探索士を目指して生きていく。次々と美少女の探索士が天重郎のところに集まってくる。天重郎は最強の探索士を目指していく。他の雑草のような奴らを跳ね除けて天重郎は最強への道を歩み続ける。

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

無能扱いされ会社を辞めさせられ、モフモフがさみしさで命の危機に陥るが懸命なナデナデ配信によりバズる~色々あって心と音速の壁を突破するまで~

ぐうのすけ
ファンタジー
大岩翔(オオイワ カケル・20才)は部長の悪知恵により会社を辞めて家に帰った。 玄関を開けるとモフモフ用座布団の上にペットが座って待っているのだが様子がおかしい。 「きゅう、痩せたか?それに元気もない」 ペットをさみしくさせていたと反省したカケルはペットを頭に乗せて大穴(ダンジョン)へと走った。 だが、大穴に向かう途中で小麦粉の大袋を担いだJKとぶつかりそうになる。 「パンを咥えて遅刻遅刻~ではなく原材料を担ぐJKだと!」 この奇妙な出会いによりカケルはヒロイン達と心を通わせ、心に抱えた闇を超え、心と音速の壁を突破する。

【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜

KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。 ~あらすじ~ 世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。 そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。 しかし、その恩恵は平等ではなかった。 富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。 そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。 彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。 あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。 妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。 希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。 英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。 これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。 彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。 テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。 SF味が増してくるのは結構先の予定です。 スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。 良かったら読んでください!

現実世界にダンジョンが出現したのでフライングして最強に!

おとうふ
ファンタジー
2026年、突如として世界中にダンジョンが出現した。 ダンジョン内は無尽蔵にモンスターが湧き出し、それを倒すことでレベルが上がり、ステータスが上昇するという不思議空間だった。 過去の些細な事件のトラウマを克服できないまま、不登校の引きこもりになっていた中学2年生の橘冬夜は、好奇心から自宅近くに出現したダンジョンに真っ先に足を踏み入れた。 ダンジョンとは何なのか。なぜ出現したのか。その先に何があるのか。 世界が大混乱に陥る中、何もわからないままに、冬夜はこっそりとダンジョン探索にのめり込んでいく。 やがて来る厄災の日、そんな冬夜の好奇心が多くの人の命を救うことになるのだが、それはまだ誰も知らぬことだった。 至らぬところも多いと思いますが、よろしくお願いします!

「お前と居るとつまんねぇ」〜俺を追放したチームが世界最高のチームになった理由(わけ)〜

大好き丸
ファンタジー
異世界「エデンズガーデン」。 広大な大地、広く深い海、突き抜ける空。草木が茂り、様々な生き物が跋扈する剣と魔法の世界。 ダンジョンに巣食う魔物と冒険者たちが日夜戦うこの世界で、ある冒険者チームから1人の男が追放された。 彼の名はレッド=カーマイン。 最強で最弱の男が織り成す冒険活劇が今始まる。 ※この作品は「小説になろう、カクヨム」にも掲載しています。

日本国 召喚獣管理省 関東庁 召喚獣総合事案即応科。

wakaba1890
ファンタジー
召喚獣。 それは向こう側とされる所から、10歳を迎えた日本人の子供の下に召喚されるモンスターのことである。 初代天皇・神武天皇が日本を建国した際に書かれた絵画には彼は金鵄と呼ばれる金色に輝く鵄(とび)と契約したのが原初となっている。 そして、縄文、弥生、古墳、飛鳥、平安、戦国時代から近代から今に至るまで、時代を動かしてきた人物の側には確かに召喚獣は介在していた。 また、奇妙な事に、日本国に限り、齢10歳を迎えた日本在住の日本人にのみ体のどこかから多種多様な紋章が発現し、当人が念じると任意の場所から召喚陣が現れ、人ならざるモンスターを召喚される。 そして、彼らモンスターは主人である当人や心を許した者に対して忠実であった。 そのため、古来の日本から、彼ら召喚獣は農耕、治水、土木、科学技術、エネルギー、政治、経済、金融、戦争など国家の基盤となる柱から、ありとあらゆる分野において、今日に至るまで日本国とアジアの繁栄に寄与してきた。 そして、建国から今まで、国益の基盤たる彼ら数万種類以上をも及ぶ召喚獣を取り締まり管理し、2600年以上と脈々と受け継がれてきた名誉ある国家職がーーーーー国家召喚獣管理官である。

アポカリプスな時代はマイペースな俺に合っていたらしい

黒城白爵
ファンタジー
 ーーある日、平穏な世界は終わった。  そうとしか表現できないほどに世界にモンスターという異物が溢れ返り、平穏かつ醜い世界は崩壊した。  そんな世界を自称凡人な男がマイペースに生きる、これはそんな話である。

処理中です...