11 / 34
―― 本編 ――
【011】初めて(★)
しおりを挟む寝室へと入り、砂月は顔には出さないもののド緊張しながらクローゼットの扉を開け放った。すると静森が、ひょいと隣から中を覗き混んだ。
「どれも趣味が良いな」
「そ? お気に入りをここに置いてるんだよね」
「ああ。似合いそうだ。俺はこちらのハイネックの品を勧める」
「いいかも! 着てみる。着替えるね!」
「何故ハイネックがいいか分かるか?」
「? 好きなのかなって思った。デザインいいよね」
「キスマークをつけた時に、他に見えないからという趣旨だ。寝室に来て、俺の前で着替えるというのは、そういう意味だぞ。その気が無いなら、俺を追い出してから着替えるといい。それは砂月も理解していると思っているが」
「っ」
静森のどこか笑みを含んだような声音に、見透かされていたようだと気がついて、瞬時に砂月は赤面した。そしてぎこちなく振り返ると、正面から抱きすくめられた。その温もりに、緊張がピークに達する。
「……理解、してる」
「押し倒してもいいか?」
「……うん。これからは聞かなくていいよ。嫌な時は嫌っていう!」
「そうか」
静森は腕の力を少し緩めると、砂月の唇に触れるだけのキスをした。反射的に砂月がきゅっと目を閉じる。長い睫毛が震えている。静森は砂月の頬に手で触れてから、砂月の服を見だした。
こうして二人は寝台へと移動した。
静森が砂月の上へとのしかかる。それを見上げた砂月は、緊張でどうにかなりそうだった。小さく震えてしまう。だが、拒絶する気にはならない。どちらが上なのか下なのかなどもぐるぐると悩んだが、悩んでいる内にも静森が手際よく砂月の体に触れ始めた。
「ぁ……」
左の中指と人差し指の間に静森が砂月の胸の突起を挟み、右胸の乳首には唇で吸い付く。そうして愛撫されると、普段意識したことのない乳首が奇妙なほど存在を主張する気になった。すぐに砂月の乳首は朱く尖り、白い体の中でよく映えた。
シンっと気持ちの良い感覚が、胸から全身へと広がり始めると、幾ばくか緊張が解け始める。静森は砂月の両胸を丹念に愛撫してから、左手で脇腹をなぞり、砂月の陰茎を緩く握り込んだ。そして上下に擦る。
「ンっ」
すぐに砂月の陰茎は反応を見せた。胸と陰茎への刺激に震えていると、静森が少しして、右手の指を二本、端正な唇へと含んだ。
VRMMRORPGと同じ仕様ならば、同性同士でも特にローション類などを用いなくても性行為は容易だという知識が砂月にはある。
どうやらそうだった様子で、静森が右手の人差し指の尖端を、砂月の後孔にゆっくりと差し入れた時には、特に痛みなども無かった。
「ぁ、ァ……」
ただ切ない感覚があり、指が進んでくる度にそれが大きくなっていく。
人差し指が根元まで入りきり、抜き差しをされ、かき混ぜるように動かされる頃には、砂月の陰茎からは先走りの液が垂れ始めていた。次第に指は二本へと増えた。
「んぅッ!」
砂月の前立腺を、静森が見つけ出す。
「ここか?」
「あ、そこ変……っ」
砂月が体を跳ねさせると、そこばかりを静森が刺激し始めた。体の奥深くから快楽がこみ上げ始めた砂月は、それが怖くなって静森へと腕を伸ばす。そして首に両腕を回すと、静森が指を引き抜いた。
「悪い、抑制が効かない。挿れるぞ」
「う、うん……あァ! ぁああ!!」
静森が砂月の中へと押し入ってきた。指とは全く異なる硬い質量が、砂月の内壁を押し広げるように進んでくる。雁首まで挿いったところで、一度静森が動きを止めた。
「辛いか?」
「平気、ぁ……熱いっ……ンん」
「動くぞ」
「あ、ああっ、ぁア!!」
静森が腰をゆっくりと揺さぶるように動かし始める。次第にその動きは速くなり、同時により深く静森の陰茎が進み始める。その後抽挿が始まった。満杯になってしまった中で動かれると、前立腺へと刺激がとんできて、砂月の息がどんどん上がる。
砂月の太股を持ち上げた静森が、より深く陰茎を進めた。
肌と肌がぶつかる音が響く。
「砂月」
「ぁ……っ、ん」
「好きだ」
「俺も――あっ! あぁ!! あっ、ぁ……!!」
感極まって砂月が静森により強く抱きつくと、静森の動きがより一層早く変わった。
「あぁ、やっ、ン――!! イきそ、っ、ぁァ!!」
砂月がそういった直後、静森が少し深めに貫いた。その衝撃で砂月は果てた。砂月の中が収縮した時、静森もまた放ったのだった。
眦を涙で濡らし、砂月が必死で息をしている間、静森は動きを止めていた。
それから陰茎を引き抜いた静森は、砂月の隣に寝転んで、砂月を両腕で抱き寄せる。
腕枕をされた砂月は、額を静森の体に当てる。
――気持ちが良かった。
最初は離婚したくないという打算があったはずだったのだが、初めてのSEXは何も考えられないほど濃密だった。余裕なんて消えてしまって、何も出来なかったのが悔やまれる。
「静森くん……」
「ん?」
「静森くんも気持ちよかった?」
「ああ。『も』ということは、砂月はよかったか?」
「う、うん……うん……は、恥ずかしい……」
「可愛いな」
静森が砂月の髪に触れる。
「気持ちよかったが、もっともっと砂月が欲しい」
「静森くん……」
「もう一度シたい」
「……静森くんがシたいなら、いいよ」
こうして、二回戦が始まった。
そして次こそ、砂月は散々キスマークをつけられた。
事後、気怠い体でシャワーを浴びた時に、砂月はそれに気がついた。鏡を見る度にいちいち真っ赤になってしまった。
入浴を終えてリビングへと戻ると、先に入って出ていた静森が、レモン入りの水を砂月に差しだした。
「ありがとう。あ、美味しい」
「よかった。体は大丈夫か?」
「っく、う、うん!」
吹き出しかけたが、なんとか砂月は飲み込んだ。
「ハイネックにして正解だし、ハイネックは偉大だと気がついたよ!」
「別に周囲に見せつけるのでも俺は嬉しいが、どちらかというと砂月の場合、色気が増しすぎて、目の毒だから、誰にも見せない方がいいようにも感じてな」
「……、……え、えっと……その……色気……」
「ああ、砂月は色っぽい」
砂月がグラスを置くと、静森が後ろから砂月を抱きしめた。
「今日はそろそろ帰られなければならないから名残惜しいが、時間が合ったら今夜中押し倒していたかった。ずっとそばにいたい。まだまだ足りない」
「俺は静森くんが絶倫だって覚えたよ」
「そうか?」
「そ、そうだよ! 俺、そんなに何回も出来ない!」
「では次はもっとゆっくりとするか。俺も今回は余裕が無かった」
「余裕が無かったのは俺の方なんだけど?」
「可愛かった。いつも余裕そうなお前の表情を変えるのは楽しいな」
「なっ、からかって……」
「本心だ」
くすくすと静森が笑う。その腕の中で、終始砂月は真っ赤になっていた。
「次は三日後に来られる。砂月の予定は?」
「……空ける。いつだって空ける!」
「そうか。ではまた明後日」
静森はそう言うと、砂月の体を反転させて、唇を深く深く貪った。舌を追い詰められて絡め取られた砂月は、それだけでも反応してしまいそうになり、キスが終わった頃には、ぐったりと静森の胸板に倒れ込んでいた。
「愛している。では、また」
こうして静森は帰っていった。
その夜は、砂月はベッドでずっと羞恥から悶えていたのだった。
541
あなたにおすすめの小説
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない
了承
BL
卒業パーティー。
皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。
青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。
皇子が目を向けた、その瞬間——。
「この瞬間だと思った。」
すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。
IFストーリーあり
誤字あれば報告お願いします!
美少年に転生したらヤンデレ婚約者が出来ました
SEKISUI
BL
ブラック企業に勤めていたOLが寝てそのまま永眠したら美少年に転生していた
見た目は勝ち組
中身は社畜
斜めな思考の持ち主
なのでもう働くのは嫌なので怠惰に生きようと思う
そんな主人公はやばい公爵令息に目を付けられて翻弄される
転生したら、主人公の宿敵(でも俺の推し)の側近でした
リリーブルー
BL
「しごとより、いのち」厚労省の過労死等防止対策のスローガンです。過労死をゼロにし、健康で充実して働き続けることのできる社会へ。この小説の主人公は、仕事依存で過労死し異世界転生します。
仕事依存だった主人公(20代社畜)は、過労で倒れた拍子に異世界へ転生。目を覚ますと、そこは剣と魔法の世界——。愛読していた小説のラスボス貴族、すなわち原作主人公の宿敵(ライバル)レオナルト公爵に仕える側近の美青年貴族・シリル(20代)になっていた!
原作小説では悪役のレオナルト公爵。でも主人公はレオナルトに感情移入して読んでおり彼が推しだった! なので嬉しい!
だが問題は、そのラスボス貴族・レオナルト公爵(30代)が、物語の中では原作主人公にとっての宿敵ゆえに、原作小説では彼の冷酷な策略によって国家間の戦争へと突き進み、最終的にレオナルトと側近のシリルは処刑される運命だったことだ。
「俺、このままだと死ぬやつじゃん……」
死を回避するために、主人公、すなわち転生先の新しいシリルは、レオナルト公爵の信頼を得て歴史を変えようと決意。しかし、レオナルトは原作とは違い、どこか寂しげで孤独を抱えている様子。さらに、主人公が意外な才覚を発揮するたびに、公爵の態度が甘くなり、なぜか距離が近くなっていく。主人公は気づく。レオナルト公爵が悪に染まる原因は、彼の孤独と裏切られ続けた過去にあるのではないかと。そして彼を救おうと奔走するが、それは同時に、公爵からの執着を招くことになり——!?
原作主人公ラセル王太子も出てきて話は複雑に!
見どころ
・転生
・主従
・推しである原作悪役に溺愛される
・前世の経験と知識を活かす
・政治的な駆け引きとバトル要素(少し)
・ダークヒーロー(攻め)の変化(冷酷な公爵が愛を知り、主人公に執着・溺愛する過程)
・黒猫もふもふ
番外編では。
・もふもふ獣人化
・切ない裏側
・少年時代
などなど
最初は、推しの信頼を得るために、ほのぼの日常スローライフ、かわいい黒猫が出てきます。中盤にバトルがあって、解決、という流れ。後日譚は、ほのぼのに戻るかも。本編は完結しましたが、後日譚や番外編、ifルートなど、続々更新中。
絶対に追放されたいオレと絶対に追放したくない男の攻防
藤掛ヒメノ@Pro-ZELO
BL
世は、追放ブームである。
追放の波がついに我がパーティーにもやって来た。
きっと追放されるのはオレだろう。
ついにパーティーのリーダーであるゼルドに呼び出された。
仲が良かったわけじゃないが、悪くないパーティーだった。残念だ……。
って、アレ?
なんか雲行きが怪しいんですけど……?
短編BLラブコメ。
ブラコンすぎて面倒な男を演じていた平凡兄、やめたら押し倒されました
あと
BL
「お兄ちゃん!人肌脱ぎます!」
完璧公爵跡取り息子許嫁攻め×ブラコン兄鈍感受け
可愛い弟と攻めの幸せのために、平凡なのに面倒な男を演じることにした受け。毎日の告白、束縛発言などを繰り広げ、上手くいきそうになったため、やめたら、なんと…?
攻め:ヴィクター・ローレンツ
受け:リアム・グレイソン
弟:リチャード・グレイソン
pixivにも投稿しています。
ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグも整理します。
批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。
性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる