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幕間(3)
幕間 とある聖女と王女の決意
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「レミ! 女神様からの【神託】があったんですって!?」
そう言ってやって来たのはリーナ。とてもフレンドリーに接してはいるけど、一応これでもこの国のお姫様だ。
まあ、私も聖女とか言われているからそれなりに偉いんだけどね! まだお飾りだから実権がある訳じゃないけど。
「うん。ついさっき、運命の女神様から【神託】を授かったよ」
私は参加出来なかったけど、数日前にダンジョンの封印を解くため転移者・転生者の7人に加え、前世の恩人であるリョーマがダンジョンに向かった。
そしてリョーマはそのまま帰って来なかった。
リョーマと、同じく私の恩人であるポチちゃん。その2人(1人と1匹?)だけが帰って来なかった。
封印されていたと言う、自称神様がリョーマに何かしたらしく、それを庇おうとしたポチちゃんも巻き込まれたそうだ。
他の7人と300を超えるというリョーマの従魔たちは全員無事らしいけど、従魔は街に出てくる訳にもいかないから、一部を除いてそのままダンジョンに篭っている。
「それで、どうだった? リョーマの事何か言ってた!?」
私が物思いにふけっていたら、リーナが早く【神託】の内容を教えろと急かしてくる。
「ああ、うん。もちろんリョーマについての話だったよ。
関係者を集めて話をするからちょっと待ってね」
「分かった! すぐにみんなを集めるわ」
そう言って、リーナは文字通り飛び出して行ったのだった。さすが飛行姫。
よし、私はみんなが集まるまでの間に【神託】の内容を思い出しながら整理しよう。
【神託】の内容を要約すると次の通りだ。
・リョーマたちは生きていて魔界に居る。
・魔界への移動手段は封じられた。
・リョーマたちが自力で戻る方法もあるはず。
・手を打っているが、効果が出るのは数年後。
詳しいことは教えてもらえない、と言うか教える事ができないらしいけど、大体こんな感じだった。そして重要なのは最後の項目だ。
何と女神様に力を与えられた少女が居るそうだ。これも詳細は教えて貰えなかったから具体的には分からない。
ただ、数年以内に私たちに合流して、力になってくれるはずとの事だった。
〈レミ、みんな集まったよ〉
頭の中で情報を整理していたらパートナーのシルクから【念話】が届いた。
〈ありがとうシルク。じゃあ会議室に向かうよ〉
私はそう返すと会議室に向かったのだった。
☆
「と言うのが【神託】の内容だよ。何か質問はあるかな?」
私達は今、ゼムスさんの屋敷の会議室でレミの【神託】の内容を聞いている。一応、聖女様なんだけど、仲間内では砕けた言葉遣いだ。
因みに、私達と言うのは私を含む異邦人の7人、エナンの街の巫女であるシーラ様、レミの弟であるソラ、そして私の父である国王だ。
あと、リョーマの従魔は私のパートナーであるミルク、レミのパートナーであるシルク、悪魔のアクモンが居る。それ以外の従魔はあのままダンジョンに残った。アースドラゴンのアドランとその配下の一部の従魔はダンジョンから出てきて、王都周辺の魔物退治をしてくれているけどね。当面はアクモンが連絡役としてこちらに常駐する事になっている。
「まあ、何はともあれ、無事でよかったのじゃ。
従魔契約やパートナー契約は生きているから、万一の事態は無いとは思っておったが、それでも心配だったからの」
レミの話を聞き、まず口を開いたのはゼムスさんだった。
「確かに一安心だけど、その話からしたらリョーマは魔界に飛ばされていて、多分戻ってくるには数年スパンの時間が必要なのね?」
私がレミの話を要約する。
「うん。リーナの言う通りだと思うよ。女神様ももう少し具体的な【神託】ができたら良いけど、ここまでが限界って言ってたよ」
「リョーマの話だと、女神様たちにも色々と話せることと話せないことがあるらしいってことだからね。そこは仕方ないんじゃないかな?」
あっと、私とレミだけでやり取りしてたらダメだ。他の人の意見も聞かないと。
「アクモンさん。アクモンさんは魔界で生まれたんですよね? 転移系のスキルで移動する事は出来ないんですか?」
「そうですね。私を含めて悪魔の従魔はみんな試してみましたが、魔界に転移する事は出来ませんでした。
【神託】にあった魔界への移動手段が封じられたと言うのは間違いないと思います」
アクモンさんはとても悔しそうにそう語る。
「本来、ポチ殿とリョーマ様を守るべき盾の私が動くことができず、本当に申し訳ありません」
そしてそう言いながら頭を下げる。
「頭を上げてください。あの場に居たのに何も出来なかったのは私も同じです。
そもそも相手は女神だったのです。動けたポチちゃんの方がすごいんですよ」
「うんうん。そうだよ! 過ぎてしまった事を悔やむより、これからの事を考えよう!」
レミが机の上に両手をバンと置きそう力説する。うん、そうだよね。過ぎた事を悔やむなんて私らしくもないからね。
「そうね。じゃあ私は旅に出るわ」
「「「え?」」」
私がそう宣言したら。みんなが何故? みたいな顔をする。何人かはなるほどみたいな顔をしてるけど。
「女神様が力を与えたと言う少女。待ってるだけなんて耐えられないわ。こっちから探しに行くのよ!」
「リーナよ。アテはあるのか?」
今まで黙って聞いていたお父様が口を開いた。きっと止めるつもりなんだろう。
「ないわ! ないけど、何もしないって訳にも行かないでしょ?」
「ふむ・・・。確かにお前は今やSランク冒険者だ。どのような冒険に出ようと止めるつもりは無い。
しかし、後1年。せめて学園を卒業してからにしたらどうだ?」
てっきり止められるものと思ってたけど、1年後なら自由にして良いみたい。でも・・・
「それでも私は少しでも早く探しに行きたいの!」
「友を思うお前の気持ちは素晴らしい。だが【神託】でも数年はかかると言う話ではないか。焦って動くよりは落ち着いて行動すべきだ」
「そうだよリーナ。私もすぐにでも動きたい。だけど【神託】で数年後と言われたと言う事は数年後なんだよ。
1年後、学園を卒業してからでも遅くないと思うな」
お父様だけでなく、レミにまでそう言われてしまった。
「そして1年後、私も一緒に旅に出るわ!」
「「ええっ!」」
シーラ様とソラが聞いてないよみたいな顔で驚く。私も聞いてないよ。いや、私が旅に出るってのも今決めたけど。
「レミさん、貴女は聖女なのよ? そんな簡単に旅には・・・」
「えっと・・・、ほらそこはアレだよ」
いや、どれよ。
「この前の魔王騒ぎ、魔王は逃げたままでしょ?
追いかけて退治する為に勇者と旅に出るって筋書きでどうかな? 護衛はSランク冒険者のリーナ!」
でっち上げだから、魔王は居ないけどね。でもそれだと勇者の意見も聞かないと。
「僕は良いですよ。神様・・・じゃなかった。リョーマさんの為になるなら付いていきます!」
と思ったけど、太郎さんは二つ返事だった。
この後も紆余曲折はあったけど、こうして1年後に私とレミ、そして太郎さんが旅に出る事が決定したのだった。あ、もちろんシルクとミルクも付いてくるらしい。
その旅のお話については、またどこかで語る事にしよう。
そう言ってやって来たのはリーナ。とてもフレンドリーに接してはいるけど、一応これでもこの国のお姫様だ。
まあ、私も聖女とか言われているからそれなりに偉いんだけどね! まだお飾りだから実権がある訳じゃないけど。
「うん。ついさっき、運命の女神様から【神託】を授かったよ」
私は参加出来なかったけど、数日前にダンジョンの封印を解くため転移者・転生者の7人に加え、前世の恩人であるリョーマがダンジョンに向かった。
そしてリョーマはそのまま帰って来なかった。
リョーマと、同じく私の恩人であるポチちゃん。その2人(1人と1匹?)だけが帰って来なかった。
封印されていたと言う、自称神様がリョーマに何かしたらしく、それを庇おうとしたポチちゃんも巻き込まれたそうだ。
他の7人と300を超えるというリョーマの従魔たちは全員無事らしいけど、従魔は街に出てくる訳にもいかないから、一部を除いてそのままダンジョンに篭っている。
「それで、どうだった? リョーマの事何か言ってた!?」
私が物思いにふけっていたら、リーナが早く【神託】の内容を教えろと急かしてくる。
「ああ、うん。もちろんリョーマについての話だったよ。
関係者を集めて話をするからちょっと待ってね」
「分かった! すぐにみんなを集めるわ」
そう言って、リーナは文字通り飛び出して行ったのだった。さすが飛行姫。
よし、私はみんなが集まるまでの間に【神託】の内容を思い出しながら整理しよう。
【神託】の内容を要約すると次の通りだ。
・リョーマたちは生きていて魔界に居る。
・魔界への移動手段は封じられた。
・リョーマたちが自力で戻る方法もあるはず。
・手を打っているが、効果が出るのは数年後。
詳しいことは教えてもらえない、と言うか教える事ができないらしいけど、大体こんな感じだった。そして重要なのは最後の項目だ。
何と女神様に力を与えられた少女が居るそうだ。これも詳細は教えて貰えなかったから具体的には分からない。
ただ、数年以内に私たちに合流して、力になってくれるはずとの事だった。
〈レミ、みんな集まったよ〉
頭の中で情報を整理していたらパートナーのシルクから【念話】が届いた。
〈ありがとうシルク。じゃあ会議室に向かうよ〉
私はそう返すと会議室に向かったのだった。
☆
「と言うのが【神託】の内容だよ。何か質問はあるかな?」
私達は今、ゼムスさんの屋敷の会議室でレミの【神託】の内容を聞いている。一応、聖女様なんだけど、仲間内では砕けた言葉遣いだ。
因みに、私達と言うのは私を含む異邦人の7人、エナンの街の巫女であるシーラ様、レミの弟であるソラ、そして私の父である国王だ。
あと、リョーマの従魔は私のパートナーであるミルク、レミのパートナーであるシルク、悪魔のアクモンが居る。それ以外の従魔はあのままダンジョンに残った。アースドラゴンのアドランとその配下の一部の従魔はダンジョンから出てきて、王都周辺の魔物退治をしてくれているけどね。当面はアクモンが連絡役としてこちらに常駐する事になっている。
「まあ、何はともあれ、無事でよかったのじゃ。
従魔契約やパートナー契約は生きているから、万一の事態は無いとは思っておったが、それでも心配だったからの」
レミの話を聞き、まず口を開いたのはゼムスさんだった。
「確かに一安心だけど、その話からしたらリョーマは魔界に飛ばされていて、多分戻ってくるには数年スパンの時間が必要なのね?」
私がレミの話を要約する。
「うん。リーナの言う通りだと思うよ。女神様ももう少し具体的な【神託】ができたら良いけど、ここまでが限界って言ってたよ」
「リョーマの話だと、女神様たちにも色々と話せることと話せないことがあるらしいってことだからね。そこは仕方ないんじゃないかな?」
あっと、私とレミだけでやり取りしてたらダメだ。他の人の意見も聞かないと。
「アクモンさん。アクモンさんは魔界で生まれたんですよね? 転移系のスキルで移動する事は出来ないんですか?」
「そうですね。私を含めて悪魔の従魔はみんな試してみましたが、魔界に転移する事は出来ませんでした。
【神託】にあった魔界への移動手段が封じられたと言うのは間違いないと思います」
アクモンさんはとても悔しそうにそう語る。
「本来、ポチ殿とリョーマ様を守るべき盾の私が動くことができず、本当に申し訳ありません」
そしてそう言いながら頭を下げる。
「頭を上げてください。あの場に居たのに何も出来なかったのは私も同じです。
そもそも相手は女神だったのです。動けたポチちゃんの方がすごいんですよ」
「うんうん。そうだよ! 過ぎてしまった事を悔やむより、これからの事を考えよう!」
レミが机の上に両手をバンと置きそう力説する。うん、そうだよね。過ぎた事を悔やむなんて私らしくもないからね。
「そうね。じゃあ私は旅に出るわ」
「「「え?」」」
私がそう宣言したら。みんなが何故? みたいな顔をする。何人かはなるほどみたいな顔をしてるけど。
「女神様が力を与えたと言う少女。待ってるだけなんて耐えられないわ。こっちから探しに行くのよ!」
「リーナよ。アテはあるのか?」
今まで黙って聞いていたお父様が口を開いた。きっと止めるつもりなんだろう。
「ないわ! ないけど、何もしないって訳にも行かないでしょ?」
「ふむ・・・。確かにお前は今やSランク冒険者だ。どのような冒険に出ようと止めるつもりは無い。
しかし、後1年。せめて学園を卒業してからにしたらどうだ?」
てっきり止められるものと思ってたけど、1年後なら自由にして良いみたい。でも・・・
「それでも私は少しでも早く探しに行きたいの!」
「友を思うお前の気持ちは素晴らしい。だが【神託】でも数年はかかると言う話ではないか。焦って動くよりは落ち着いて行動すべきだ」
「そうだよリーナ。私もすぐにでも動きたい。だけど【神託】で数年後と言われたと言う事は数年後なんだよ。
1年後、学園を卒業してからでも遅くないと思うな」
お父様だけでなく、レミにまでそう言われてしまった。
「そして1年後、私も一緒に旅に出るわ!」
「「ええっ!」」
シーラ様とソラが聞いてないよみたいな顔で驚く。私も聞いてないよ。いや、私が旅に出るってのも今決めたけど。
「レミさん、貴女は聖女なのよ? そんな簡単に旅には・・・」
「えっと・・・、ほらそこはアレだよ」
いや、どれよ。
「この前の魔王騒ぎ、魔王は逃げたままでしょ?
追いかけて退治する為に勇者と旅に出るって筋書きでどうかな? 護衛はSランク冒険者のリーナ!」
でっち上げだから、魔王は居ないけどね。でもそれだと勇者の意見も聞かないと。
「僕は良いですよ。神様・・・じゃなかった。リョーマさんの為になるなら付いていきます!」
と思ったけど、太郎さんは二つ返事だった。
この後も紆余曲折はあったけど、こうして1年後に私とレミ、そして太郎さんが旅に出る事が決定したのだった。あ、もちろんシルクとミルクも付いてくるらしい。
その旅のお話については、またどこかで語る事にしよう。
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