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幕間(3)
幕間 うちの兄、知りませんか? 前編
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私はルル。エナンの街の神殿の大神官、グレイ・グレイブの長女です。そして母はサーシャ・グレイブ。元神殿騎士で今は森の番人をしています。
そして私には4歳年上の兄が居ました。居ましたと言ったのはずっと行方不明だからです。2年半ほど前、忽然と姿を消してしまったのです。
兄が居なくなった時、神殿の偉い人が来て、その事を告げて行きました。行方不明だけど今のところ無事。それ以上はいえないと。両親は納得できないながらも、偉い人の話なので受け入れるしかなかったようです。
とても優しい兄でした。私が1歳半の時に家を出て王都に行ってしまいましたが、ものすごく可愛がってくれて、色々とお話をしてくれた事を覚えています。
そう、覚えています。私は生まれてからずっと記憶があるのです。普通は小さい頃の事は覚えていないものらしいですが、私は兄の事をハッキリと覚えています。
何故なのかは分かりませんが、ハッキリと覚えています。なのでずっと心に誓っていました。6歳になったら私も王都の学園に行って兄を探そうと。5歳になったら両親にも伝えるつもりです。
そして来週がついにその5歳の誕生日です。兄は5歳の時にはゴブリンキングを倒す程の戦闘力を持っていたようですが、残念ながら私は普通です。普通の少女です。それでも行かなければなりません。兄を探す為、王都へ。
誕生日の前日、我が家に来客がありました。兄と仲が良かったと言うリーナ姉さんとレミ姉さんです。2人は兄が居なくなった私の事を気に掛けてくれていて、半年に1度くらい尋ねて来てくれます。
リーナ姉さんは何とSランク冒険者だそうです。とても凄いと言っていました。レミ姉さんと、その付き人? のタロウさんと言う人と何かを探して旅をしているそうです。
因みに、レミ姉さんは猫の獣人さんです。とても可愛いのです。
「リーナ姉さん! お久しぶりです。
探し物は見つかりましたか?」
「ううん。ダメね。何の進展もないわ。
それにしてもルルちゃん、半年見ない間にまた大きくなったわね」
そうなのです。先ほど普通と言いましたが、それは戦闘力の話で、他の子より私は少し成長が早いようなのです。明日で5歳ですが、見た目は8歳くらいです。
「ホントだね。よく食べて、よく寝てるからかな?
寝る子は育つって言うからね」
レミ姉さん、多分それでもここまでは育たないと思います。
兄は女神様に【神託】を貰った特殊な子だったそうです。両親はもしかしたら私も何かあるのかもと言っていました。私は生まれてからの事を全部覚えてるし、確かに何かあるのかも知れないです。
「それで、リーナ姉さんとレミ姉さんは何日居れるのですか!?」
「今回は2泊の予定よ。明日の誕生日は盛大に祝わせて貰うからね! (リョーマの分まで・・・)」
何か最後にボソッと言っていましたが良く聞き取れませんでした。でも、楽しみです。
あっ、そうだ。2人は旅をしてるとは言え、拠点は王都って話だったので王都に行きたい件、相談に乗ってくれるかも知れません。また旅に出るまでの間に相談してみる事にしましょう。
翌日、私はリーナ姉さん達と森へ入っていました。何かやりたい事はないかと聞かれたので、森に入ってみたいとお願いしたのです。
当然、普段は両親が反対するので森に入る事はできません。でも今回はSランク冒険者がいるのです! 母も許可してくれました。レミ姉さんも、そして付き人のタロウさんもとても強いらしく、心配は要らないと言う話でした。
「懐かしいわね・・・」
襲って来たゴブリンを軽くあしらいながら、リーナ姉さんがそんな事を呟いていました。
「何が懐かしいのですか?」
「あ、ああ。実はリョーマとレミと3人でこの森に入った事があるのよ。丁度リョーマも5歳になったばかりの頃ね」
それは私も覚えています。兄が5歳になって少ししてからリーナ姉さんが兄に魔法を教える為、何日かうちに滞在した事がありました。その後で確か依頼で森に行ったのでした。ゴブリンキングもその時倒したはずです。
「そうだね。リョーマに護衛してもらって森の奥の遺跡に行ったんだよね。思えばアレが苦労の始まりだったんだよね。【神託】スキルが上っちゃって・・・」
レミ姉さんは急に暗くなってしまいました。何かとても苦労したみたいです。
「そうだ。折角だからあの遺跡まで行ってみようか。今からでも夕方には戻れるでしょ」
「それじゃあ、ルルちゃんは僕がおんぶして連れて行きますね」
そう提案してくれたタロウさんにリーナ姉さんレミ姉さんは白い目を向けました。
「ちょ、ちょっと! やましい事とか考えてないですよ? この森を奥まで進むのは子供には大変かなと思っただけで」
「そう? てっきりそう言う趣味があるのかと思っちゃったわ。ごめんなさい。
でもタロウさんに担いで貰わなくても大丈夫よ。ミルク!」
リーナ姉さんは何もないところに向かって話しかけました。
「はいなの!」
「わっ!」
そしたら、何もないところから可愛い妖精さん? が出てきました。絵本で見た事があります。かなりランクの高い魔物だったはずです。
「ごめんなさいなの! 驚かせてしまったの。
私はミルク。リーナのパートナーなの。よろしくなの」
「あっ! はじめまして。ルルと言いますです」
「私はシルク。レミのパートナーよ。よろしくね」
私が自己紹介をするともう1人、同じような妖精さんが出てきました。ミルクとシルク。とても可愛いです。
「この2人は私たちのパートナーである前に、リョーマの従魔なのよ」
「え・・・兄の?」
「そう。この2人の従魔契約が切れていないと言うことは、リョーマも無事と言うことなの。だから安心して。
リョーマは必ず私たちが探し出すわ」
あれ? もしかしてリーナ姉さんとレミ姉さんは、兄を探して旅をしているのでしょうか?
そして私には4歳年上の兄が居ました。居ましたと言ったのはずっと行方不明だからです。2年半ほど前、忽然と姿を消してしまったのです。
兄が居なくなった時、神殿の偉い人が来て、その事を告げて行きました。行方不明だけど今のところ無事。それ以上はいえないと。両親は納得できないながらも、偉い人の話なので受け入れるしかなかったようです。
とても優しい兄でした。私が1歳半の時に家を出て王都に行ってしまいましたが、ものすごく可愛がってくれて、色々とお話をしてくれた事を覚えています。
そう、覚えています。私は生まれてからずっと記憶があるのです。普通は小さい頃の事は覚えていないものらしいですが、私は兄の事をハッキリと覚えています。
何故なのかは分かりませんが、ハッキリと覚えています。なのでずっと心に誓っていました。6歳になったら私も王都の学園に行って兄を探そうと。5歳になったら両親にも伝えるつもりです。
そして来週がついにその5歳の誕生日です。兄は5歳の時にはゴブリンキングを倒す程の戦闘力を持っていたようですが、残念ながら私は普通です。普通の少女です。それでも行かなければなりません。兄を探す為、王都へ。
誕生日の前日、我が家に来客がありました。兄と仲が良かったと言うリーナ姉さんとレミ姉さんです。2人は兄が居なくなった私の事を気に掛けてくれていて、半年に1度くらい尋ねて来てくれます。
リーナ姉さんは何とSランク冒険者だそうです。とても凄いと言っていました。レミ姉さんと、その付き人? のタロウさんと言う人と何かを探して旅をしているそうです。
因みに、レミ姉さんは猫の獣人さんです。とても可愛いのです。
「リーナ姉さん! お久しぶりです。
探し物は見つかりましたか?」
「ううん。ダメね。何の進展もないわ。
それにしてもルルちゃん、半年見ない間にまた大きくなったわね」
そうなのです。先ほど普通と言いましたが、それは戦闘力の話で、他の子より私は少し成長が早いようなのです。明日で5歳ですが、見た目は8歳くらいです。
「ホントだね。よく食べて、よく寝てるからかな?
寝る子は育つって言うからね」
レミ姉さん、多分それでもここまでは育たないと思います。
兄は女神様に【神託】を貰った特殊な子だったそうです。両親はもしかしたら私も何かあるのかもと言っていました。私は生まれてからの事を全部覚えてるし、確かに何かあるのかも知れないです。
「それで、リーナ姉さんとレミ姉さんは何日居れるのですか!?」
「今回は2泊の予定よ。明日の誕生日は盛大に祝わせて貰うからね! (リョーマの分まで・・・)」
何か最後にボソッと言っていましたが良く聞き取れませんでした。でも、楽しみです。
あっ、そうだ。2人は旅をしてるとは言え、拠点は王都って話だったので王都に行きたい件、相談に乗ってくれるかも知れません。また旅に出るまでの間に相談してみる事にしましょう。
翌日、私はリーナ姉さん達と森へ入っていました。何かやりたい事はないかと聞かれたので、森に入ってみたいとお願いしたのです。
当然、普段は両親が反対するので森に入る事はできません。でも今回はSランク冒険者がいるのです! 母も許可してくれました。レミ姉さんも、そして付き人のタロウさんもとても強いらしく、心配は要らないと言う話でした。
「懐かしいわね・・・」
襲って来たゴブリンを軽くあしらいながら、リーナ姉さんがそんな事を呟いていました。
「何が懐かしいのですか?」
「あ、ああ。実はリョーマとレミと3人でこの森に入った事があるのよ。丁度リョーマも5歳になったばかりの頃ね」
それは私も覚えています。兄が5歳になって少ししてからリーナ姉さんが兄に魔法を教える為、何日かうちに滞在した事がありました。その後で確か依頼で森に行ったのでした。ゴブリンキングもその時倒したはずです。
「そうだね。リョーマに護衛してもらって森の奥の遺跡に行ったんだよね。思えばアレが苦労の始まりだったんだよね。【神託】スキルが上っちゃって・・・」
レミ姉さんは急に暗くなってしまいました。何かとても苦労したみたいです。
「そうだ。折角だからあの遺跡まで行ってみようか。今からでも夕方には戻れるでしょ」
「それじゃあ、ルルちゃんは僕がおんぶして連れて行きますね」
そう提案してくれたタロウさんにリーナ姉さんレミ姉さんは白い目を向けました。
「ちょ、ちょっと! やましい事とか考えてないですよ? この森を奥まで進むのは子供には大変かなと思っただけで」
「そう? てっきりそう言う趣味があるのかと思っちゃったわ。ごめんなさい。
でもタロウさんに担いで貰わなくても大丈夫よ。ミルク!」
リーナ姉さんは何もないところに向かって話しかけました。
「はいなの!」
「わっ!」
そしたら、何もないところから可愛い妖精さん? が出てきました。絵本で見た事があります。かなりランクの高い魔物だったはずです。
「ごめんなさいなの! 驚かせてしまったの。
私はミルク。リーナのパートナーなの。よろしくなの」
「あっ! はじめまして。ルルと言いますです」
「私はシルク。レミのパートナーよ。よろしくね」
私が自己紹介をするともう1人、同じような妖精さんが出てきました。ミルクとシルク。とても可愛いです。
「この2人は私たちのパートナーである前に、リョーマの従魔なのよ」
「え・・・兄の?」
「そう。この2人の従魔契約が切れていないと言うことは、リョーマも無事と言うことなの。だから安心して。
リョーマは必ず私たちが探し出すわ」
あれ? もしかしてリーナ姉さんとレミ姉さんは、兄を探して旅をしているのでしょうか?
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