2 / 14
二
しおりを挟む
バッターン!とドアを閉める音が聞こえる。
来客の応対を終えた、新人の彼が、
客を見送った後に閉めたのだ。
こいつは、上司やら他の連中がいるところでは、それなりに態度は丁寧だ。
だが、俺と二人きりになると、途端に乱暴な態度になる。
自分は、彼に仕事を教える必要があり、変に先輩ぶらないよう、威張ったように聞こえないように注意しながら、指導しているつもりだった。
だが飲み込みが悪いのか、メモも取らずにこちらの話を流して聞くクセがあるせいか、
何度も同じ注意をする羽目になった。
自分は、その度、聞く方も嫌だろうな、と思いながら、
「すまないが、ここを直してほしいんだ。」と丁寧に話した。初っ端から落ち込ませても悪いから。
だが、どうやらこいつには、下手に出ている人間は、自分より下の立場の人間の扱いをしていいんだという刷り込みとなってしまったらしかった。
丁寧に指導する人間に対し、そんなことを考える連中がいるというのが、
自分には想像もつかなかったのだが。
ドアを乱暴に閉じる音は、先方に聞こえてしまう、クレームの元になるからそっと閉めるように、以前から何回かそう話している。
こいつは最初その説明を受けたとき、面倒くさそうに話を聞いていた。
初めは教わることが多いから、いい加減、話を聞くのに疲れて来たのかな?と、その時は思っていたんだが…
ともあれ、新人が目につくことをしていたら、自分が注意しないといけない。
覚えてないかもわからないが、ドアの開け閉めは柔らかくしてくれ、来客応対の基本でもあるんだぞ?と再度注意をすると、
ナジルは腹を立てた顔つきになり、こちらを睨んだ。
「レイオ先輩、俺、面倒なんすよね、そのへんのお客さんの対応が。
こういうの、全部レイオ先輩の方でやってもらいたいんすよね。
わざわざ俺に指図してやらせるとかじゃなくて、
こんなことは、もう自分でやってくださいよ。
先輩は前からいるし、やり方わかってるんでしょ?
自分の見る限り、あんたはちょっとした問い合わせのお客様対応なんかは、そこそこできてるように見えるんで。
それ以上のことができるかどうかは、詳しくは知りませんけど。
ドアの開け閉め方なんかも、言うばっかりじゃなくて、自分がしてくださいよ。
俺が通ったあとのドアの閉め方がそんなに気になるなら、あんたが走ってドアまで来て、閉めりゃいいじゃないですか。
俺のやりたいのは、もっとビッグな仕事なんすよね。
こんなちまちました小さい客の問い合わせに、いちいち時間とられて対応する窓口みたいな仕事は、やりたくないんで。」
こちらが丁寧口調なのに、見下した口調で言ってくる。
もうこちらが切れてもいい感じかな?
そもそも、入って初っ端から、ビッグな仕事なんたらを、新人がまかされるわけ無い。
そんなことをこちらがこいつにやらせたら、それこそ俺の責任として、大問題となる。
それに、入ったばかりのこいつが、ギルド内での自分の立ち位置を自分で決めれるわけじゃない。
だが、ふと考えた。
…こいつ、まさかお偉いさんのコネで入った、どこぞのボンボンとかかな?
そういう話は聞いていないが…。
だが、あまりにも根拠なしに偉そうなので、その可能性はある。
まずはそれを確認してみるか。
人間関係を確認してから対応しないと、
気まずいことになるかもしれないからな。
来客の応対を終えた、新人の彼が、
客を見送った後に閉めたのだ。
こいつは、上司やら他の連中がいるところでは、それなりに態度は丁寧だ。
だが、俺と二人きりになると、途端に乱暴な態度になる。
自分は、彼に仕事を教える必要があり、変に先輩ぶらないよう、威張ったように聞こえないように注意しながら、指導しているつもりだった。
だが飲み込みが悪いのか、メモも取らずにこちらの話を流して聞くクセがあるせいか、
何度も同じ注意をする羽目になった。
自分は、その度、聞く方も嫌だろうな、と思いながら、
「すまないが、ここを直してほしいんだ。」と丁寧に話した。初っ端から落ち込ませても悪いから。
だが、どうやらこいつには、下手に出ている人間は、自分より下の立場の人間の扱いをしていいんだという刷り込みとなってしまったらしかった。
丁寧に指導する人間に対し、そんなことを考える連中がいるというのが、
自分には想像もつかなかったのだが。
ドアを乱暴に閉じる音は、先方に聞こえてしまう、クレームの元になるからそっと閉めるように、以前から何回かそう話している。
こいつは最初その説明を受けたとき、面倒くさそうに話を聞いていた。
初めは教わることが多いから、いい加減、話を聞くのに疲れて来たのかな?と、その時は思っていたんだが…
ともあれ、新人が目につくことをしていたら、自分が注意しないといけない。
覚えてないかもわからないが、ドアの開け閉めは柔らかくしてくれ、来客応対の基本でもあるんだぞ?と再度注意をすると、
ナジルは腹を立てた顔つきになり、こちらを睨んだ。
「レイオ先輩、俺、面倒なんすよね、そのへんのお客さんの対応が。
こういうの、全部レイオ先輩の方でやってもらいたいんすよね。
わざわざ俺に指図してやらせるとかじゃなくて、
こんなことは、もう自分でやってくださいよ。
先輩は前からいるし、やり方わかってるんでしょ?
自分の見る限り、あんたはちょっとした問い合わせのお客様対応なんかは、そこそこできてるように見えるんで。
それ以上のことができるかどうかは、詳しくは知りませんけど。
ドアの開け閉め方なんかも、言うばっかりじゃなくて、自分がしてくださいよ。
俺が通ったあとのドアの閉め方がそんなに気になるなら、あんたが走ってドアまで来て、閉めりゃいいじゃないですか。
俺のやりたいのは、もっとビッグな仕事なんすよね。
こんなちまちました小さい客の問い合わせに、いちいち時間とられて対応する窓口みたいな仕事は、やりたくないんで。」
こちらが丁寧口調なのに、見下した口調で言ってくる。
もうこちらが切れてもいい感じかな?
そもそも、入って初っ端から、ビッグな仕事なんたらを、新人がまかされるわけ無い。
そんなことをこちらがこいつにやらせたら、それこそ俺の責任として、大問題となる。
それに、入ったばかりのこいつが、ギルド内での自分の立ち位置を自分で決めれるわけじゃない。
だが、ふと考えた。
…こいつ、まさかお偉いさんのコネで入った、どこぞのボンボンとかかな?
そういう話は聞いていないが…。
だが、あまりにも根拠なしに偉そうなので、その可能性はある。
まずはそれを確認してみるか。
人間関係を確認してから対応しないと、
気まずいことになるかもしれないからな。
1,011
あなたにおすすめの小説
勝手にサインしろと仰いましたので、廃嫡書類に国璽を押して差し上げました
鷹 綾
恋愛
「確認? 面倒だ。適当にサインして国璽を押しておけ」
そう言ったのは、王太子アレス。
そう言われたのは、公爵令嬢レイナ・アルヴェルト。
外交も財政も軍備も――
すべてを裏で処理してきたのは彼女だった。
けれど功績はすべて王太子のもの。
感謝も敬意も、ただの一度もない。
そして迎えた舞踏会の夜。
「便利だったが、飾りには向かん」
公開婚約破棄。
それならば、とレイナは微笑む。
「では業務も終了でよろしいですね?」
王太子が望んだ通り、
彼女は“確認”をやめた。
保証を外し、責任を返し、
そして最後に――
「ご確認を」と差し出した書類に、
彼は何も読まずに署名した。
国は契約で成り立っている。
確認しない者に、王の資格はない。
働きたくない公爵令嬢と、
責任を理解しなかった王太子。
静かな契約ざまぁ劇、開幕。
---
悪役令嬢になるのも面倒なので、冒険にでかけます
綾月百花
ファンタジー
リリーには幼い頃に決められた王子の婚約者がいたが、その婚約者の誕生日パーティーで婚約者はミーネと入場し挨拶して歩きファーストダンスまで踊る始末。国王と王妃に謝られ、贈り物も準備されていると宥められるが、その贈り物のドレスまでミーネが着ていた。リリーは怒ってワインボトルを持ち、美しいドレスをワイン色に染め上げるが、ミーネもリリーのドレスの裾を踏みつけ、ワインボトルからボトボトと頭から濡らされた。相手は子爵令嬢、リリーは伯爵令嬢、位の違いに国王も黙ってはいられない。婚約者はそれでも、リリーの肩を持たず、リリーは国王に婚約破棄をして欲しいと直訴する。それ受け入れられ、リリーは清々した。婚約破棄が完全に決まった後、リリーは深夜に家を飛び出し笛を吹く。会いたかったビエントに会えた。過ごすうちもっと好きになる。必死で練習した飛行魔法とささやかな攻撃魔法を身につけ、リリーは今度は自分からビエントに会いに行こうと家出をして旅を始めた。旅の途中の魔物の森で魔物に襲われ、リリーは自分の未熟さに気付き、国営の騎士団に入り、魔物狩りを始めた。最終目的はダンジョンの攻略。悪役令嬢と魔物退治、ダンジョン攻略等を混ぜてみました。メインはリリーが王妃になるまでのシンデレラストーリーです。
あなた方はよく「平民のくせに」とおっしゃいますが…誰がいつ平民だと言ったのですか?
水姫
ファンタジー
頭の足りない王子とその婚約者はよく「これだから平民は…」「平民のくせに…」とおっしゃられるのですが…
私が平民だとどこで知ったのですか?
団長サマの幼馴染が聖女の座をよこせというので譲ってあげました
毒島醜女
ファンタジー
※某ちゃんねる風創作
『魔力掲示板』
特定の魔法陣を描けば老若男女、貧富の差関係なくアクセスできる掲示板。ビジネスの情報交換、政治の議論、それだけでなく世間話のようなフランクなものまで存在する。
平民レベルの微力な魔力でも打ち込めるものから、貴族クラスの魔力を有するものしか開けないものから多種多様である。勿論そういった身分に関わらずに交流できる掲示板もある。
今日もまた、掲示板は悲喜こもごもに賑わっていた――
豊穣の巫女から追放されたただの村娘。しかし彼女の正体が予想外のものだったため、村は彼女が知らないうちに崩壊する。
下菊みこと
ファンタジー
豊穣の巫女に追い出された少女のお話。
豊穣の巫女に追い出された村娘、アンナ。彼女は村人達の善意で生かされていた孤児だったため、むしろお礼を言って笑顔で村を離れた。その感謝は本物だった。なにも持たない彼女は、果たしてどこに向かうのか…。
小説家になろう様でも投稿しています。
【完結】悪役令嬢ですが、断罪した側が先に壊れました
あめとおと
恋愛
三日後、私は断罪される。
そう理解したうえで、悪役令嬢アリアンナは今日も王国のために働いていた。
平民出身のヒロインの「善意」、
王太子の「優しさ」、
そしてそれらが生み出す無数の歪み。
感情論で壊されていく現実を、誰にも知られず修正してきたのは――“悪役”と呼ばれる彼女だった。
やがて訪れる断罪。婚約破棄。国外追放。
それでも彼女は泣かず、縋らず、弁明もしない。
なぜなら、間違っていたつもりは一度もないから。
これは、
「断罪される側」が最後まで正しかった物語。
そして、悪役令嬢が舞台を降りた“その後”に始まる、静かで確かな人生の物語。
婚約破棄が聞こえません
あんど もあ
ファンタジー
私は、真実の愛に目覚めた王子に王立学園の卒業パーティーで婚約破棄を宣言されたらしいです。
私には聞こえないのですが。
王子が目の前にいる? どこに?
どうやら私には王子が見えなくなったみたいです。
※「承石灰」は架空の物質です。実在の消石灰は目に入ると危険ですのでマネしないでね!
妹だけを可愛がるなら私はいらないでしょう。だから消えます……。何でもねだる妹と溺愛する両親に私は見切りをつける。
しげむろ ゆうき
ファンタジー
誕生日に買ってもらったドレスを欲しがる妹
そんな妹を溺愛する両親は、笑顔であげなさいと言ってくる
もう限界がきた私はあることを決心するのだった
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる