1 / 14
一
しおりを挟む
「ナジルと申します、これから、よろしくお願いします!」
まだ二十歳そこそこに見える新人の若者が、まわりに頭を下げている。
商業ギルドの室内で朝礼をしているため、日中より職場の人は多い。
場にいる人達の中で、それぞれ順に自己紹介が始まっていた。
…やっと新しく入る人が決まったんだ…
先輩達が相次いで三名も辞めてしまったので、現在、かなり人手不足だ。
自分は二十代半ばをやや過ぎたくらいだ。
冒険者をしていたところ、世話になった人に人手が足りないからと頼まれて、この商業ギルドで働くようになり何年か経つ。
ちなみにその世話になった人物は、この前退職した先輩達のうちの一人だ。
先輩達が辞めた理由は、家庭の都合だとか、体調不良だという。
だがそんなに年ではなく、若い方ばかりなのだ。
まあ、事情はわかる。
人手が足りてるときでも忙しい仕事場だ。
滅多に休みが取れないしわ寄せが、いろんなところに来てしまったと言ったところだろう。
自分には恋人はいない。
仕事がここまで忙しくなければ、出会う機会もあるのかもしれないが、現状無理だ。
辞めた方達の穴埋めは、今のところ全て自分に負担がかかっているので、夜遅くまで残業ばかりしているのだ。
休日も返上なのでいつ倒れるかわからない。
上層部は面接を繰り返したにもかかわらず、採用したのはこの新人一人だけだ。
彼らの言いわけは、どんな人物が来るかわからないから、とりあえず残っている俺に、辞めた人間の仕事はやってもらい、
新人を一人いれるので二人でやるようにしてくれ、ということなのだ。
…三人辞めたんだけどな!
それを二人でやれと言うんだ!
さ・ら・に!
新人の指導も、こちらでしてくれと…
以前からやっている仕事も忙しい。自分は別に暇なわけではない。
新人には、こちらが抱えている仕事で、できそうな部分から、渡していけと指示されている。
従来の俺の仕事は、もちろん他の人は手伝ってくれたりはしない。
今思えば、これが決定している時点で、上層部には自分は好きに扱っていい人物だと判断されてることに気づくべきだった。
そして先輩達が一度に辞めてしまった真の事情にも、気づくべきだった。
おとなしく働いている人物は、上からしたら好き勝手できる奴と判断される。
しかし、それは後から気づいた話だった。
今思えばその時の対応は後悔しかない。
だがその時点での自分は、新人と共に頑張ろう、
そう思っていたのだった。
まだ二十歳そこそこに見える新人の若者が、まわりに頭を下げている。
商業ギルドの室内で朝礼をしているため、日中より職場の人は多い。
場にいる人達の中で、それぞれ順に自己紹介が始まっていた。
…やっと新しく入る人が決まったんだ…
先輩達が相次いで三名も辞めてしまったので、現在、かなり人手不足だ。
自分は二十代半ばをやや過ぎたくらいだ。
冒険者をしていたところ、世話になった人に人手が足りないからと頼まれて、この商業ギルドで働くようになり何年か経つ。
ちなみにその世話になった人物は、この前退職した先輩達のうちの一人だ。
先輩達が辞めた理由は、家庭の都合だとか、体調不良だという。
だがそんなに年ではなく、若い方ばかりなのだ。
まあ、事情はわかる。
人手が足りてるときでも忙しい仕事場だ。
滅多に休みが取れないしわ寄せが、いろんなところに来てしまったと言ったところだろう。
自分には恋人はいない。
仕事がここまで忙しくなければ、出会う機会もあるのかもしれないが、現状無理だ。
辞めた方達の穴埋めは、今のところ全て自分に負担がかかっているので、夜遅くまで残業ばかりしているのだ。
休日も返上なのでいつ倒れるかわからない。
上層部は面接を繰り返したにもかかわらず、採用したのはこの新人一人だけだ。
彼らの言いわけは、どんな人物が来るかわからないから、とりあえず残っている俺に、辞めた人間の仕事はやってもらい、
新人を一人いれるので二人でやるようにしてくれ、ということなのだ。
…三人辞めたんだけどな!
それを二人でやれと言うんだ!
さ・ら・に!
新人の指導も、こちらでしてくれと…
以前からやっている仕事も忙しい。自分は別に暇なわけではない。
新人には、こちらが抱えている仕事で、できそうな部分から、渡していけと指示されている。
従来の俺の仕事は、もちろん他の人は手伝ってくれたりはしない。
今思えば、これが決定している時点で、上層部には自分は好きに扱っていい人物だと判断されてることに気づくべきだった。
そして先輩達が一度に辞めてしまった真の事情にも、気づくべきだった。
おとなしく働いている人物は、上からしたら好き勝手できる奴と判断される。
しかし、それは後から気づいた話だった。
今思えばその時の対応は後悔しかない。
だがその時点での自分は、新人と共に頑張ろう、
そう思っていたのだった。
1,041
あなたにおすすめの小説
団長サマの幼馴染が聖女の座をよこせというので譲ってあげました
毒島醜女
ファンタジー
※某ちゃんねる風創作
『魔力掲示板』
特定の魔法陣を描けば老若男女、貧富の差関係なくアクセスできる掲示板。ビジネスの情報交換、政治の議論、それだけでなく世間話のようなフランクなものまで存在する。
平民レベルの微力な魔力でも打ち込めるものから、貴族クラスの魔力を有するものしか開けないものから多種多様である。勿論そういった身分に関わらずに交流できる掲示板もある。
今日もまた、掲示板は悲喜こもごもに賑わっていた――
妹だけを可愛がるなら私はいらないでしょう。だから消えます……。何でもねだる妹と溺愛する両親に私は見切りをつける。
しげむろ ゆうき
ファンタジー
誕生日に買ってもらったドレスを欲しがる妹
そんな妹を溺愛する両親は、笑顔であげなさいと言ってくる
もう限界がきた私はあることを決心するのだった
悪役令嬢になるのも面倒なので、冒険にでかけます
綾月百花
ファンタジー
リリーには幼い頃に決められた王子の婚約者がいたが、その婚約者の誕生日パーティーで婚約者はミーネと入場し挨拶して歩きファーストダンスまで踊る始末。国王と王妃に謝られ、贈り物も準備されていると宥められるが、その贈り物のドレスまでミーネが着ていた。リリーは怒ってワインボトルを持ち、美しいドレスをワイン色に染め上げるが、ミーネもリリーのドレスの裾を踏みつけ、ワインボトルからボトボトと頭から濡らされた。相手は子爵令嬢、リリーは伯爵令嬢、位の違いに国王も黙ってはいられない。婚約者はそれでも、リリーの肩を持たず、リリーは国王に婚約破棄をして欲しいと直訴する。それ受け入れられ、リリーは清々した。婚約破棄が完全に決まった後、リリーは深夜に家を飛び出し笛を吹く。会いたかったビエントに会えた。過ごすうちもっと好きになる。必死で練習した飛行魔法とささやかな攻撃魔法を身につけ、リリーは今度は自分からビエントに会いに行こうと家出をして旅を始めた。旅の途中の魔物の森で魔物に襲われ、リリーは自分の未熟さに気付き、国営の騎士団に入り、魔物狩りを始めた。最終目的はダンジョンの攻略。悪役令嬢と魔物退治、ダンジョン攻略等を混ぜてみました。メインはリリーが王妃になるまでのシンデレラストーリーです。
あなた方はよく「平民のくせに」とおっしゃいますが…誰がいつ平民だと言ったのですか?
水姫
ファンタジー
頭の足りない王子とその婚約者はよく「これだから平民は…」「平民のくせに…」とおっしゃられるのですが…
私が平民だとどこで知ったのですか?
豊穣の巫女から追放されたただの村娘。しかし彼女の正体が予想外のものだったため、村は彼女が知らないうちに崩壊する。
下菊みこと
ファンタジー
豊穣の巫女に追い出された少女のお話。
豊穣の巫女に追い出された村娘、アンナ。彼女は村人達の善意で生かされていた孤児だったため、むしろお礼を言って笑顔で村を離れた。その感謝は本物だった。なにも持たない彼女は、果たしてどこに向かうのか…。
小説家になろう様でも投稿しています。
強制力がなくなった世界に残されたものは
りりん
ファンタジー
一人の令嬢が処刑によってこの世を去った
令嬢を虐げていた者達、処刑に狂喜乱舞した者達、そして最愛の娘であったはずの令嬢を冷たく切り捨てた家族達
世界の強制力が解けたその瞬間、その世界はどうなるのか
その世界を狂わせたものは
婚約破棄されたので四大精霊と国を出ます
今川幸乃
ファンタジー
公爵令嬢である私シルア・アリュシオンはアドラント王国第一王子クリストフと政略婚約していたが、私だけが精霊と会話をすることが出来るのを、あろうことか悪魔と話しているという言いがかりをつけられて婚約破棄される。
しかもクリストフはアイリスという女にデレデレしている。
王宮を追い出された私だったが、地水火風を司る四大精霊も私についてきてくれたので、精霊の力を借りた私は強力な魔法を使えるようになった。
そして隣国マナライト王国の王子アルツリヒトの招待を受けた。
一方、精霊の加護を失った王国には次々と災厄が訪れるのだった。
※「小説家になろう」「カクヨム」から転載
※3/8~ 改稿中
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる