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piece8 ずっと話したかった

私に任せて

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エリカは眉をしかめ、溜め息をついた。
「もう……強がっちゃって」
慌てて悠里は、笑みを大きくする。
「そんなことないですよ」

「……悠里ちゃん」
エリカが少し膝を屈め、悠里としっかり目線を合わせた。

「カンナは、私に任せて」
悠里の小さな手を両手で包み込み、エリカは誓う。
「やめさせる、絶対に。もう悠里ちゃんに、酷いことはさせない」

エリカの力強い言葉に、悠里のなけなしの笑顔は、あっけなく崩れてしまった。
「エリカさん……」
震える唇で、悠里は目の前にいる綺麗な瞳を呼ぶ。
エリカは真っ直ぐに悠里を見つめ返し、答えた。
「……もう、大丈夫だからね」

悠里は目を潤ませ、頷く。
ずっと足に、胸に、重苦しく纏わりついてきた不安。
ようやく、終わりが見えてきた気がした。


「私のせいで、こんな目に遭わせて……本当にごめん」
エリカのせいではないと伝えたくて、悠里は首を振る。

「いいえ……あの、ありがとうございます」
「ん?」
「助けてくださって、ありがとうございます」

悠里は泣き笑いのような顔をした。
「誰にも、言えなくて……」
「……そうだよね。友だちには、言えなかったよね」
エリカが小さく頷き、そっと悠里の頭を撫でた。


「でもさ、ごう……柴崎、くんには、相談して良かったんじゃないの?」
優しい声で、エリカは問うた。
「彼なら絶対に、悠里ちゃんを守ってくれるでしょ」

悠里は小さな沈黙を置き、そっと首を横に振った。
「それが一番、嫌でした」
「えぇ? な、なんで」

あまりにも予想の外にあったのだろう。
悠里の言葉を聞いたエリカが、目を丸くする。
悠里は少しだけ困ったように、けれど、柔らかく微笑んだ。
「柴崎さんの部活の邪魔を、したくないから」

「……悠里ちゃん」
「エリカさん。私、知らないうちに、柴崎さんの部活の時間を、奪っていたことがあるんです」

そうして悠里は、剛士との出会いを打ち明けた。

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