華奢な僕らの損得勘定

緒方宗谷

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我慢できること

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 お兄ちゃんと電車で遊びに行きました。帰りにコンビニで、ちっちゃな乳酸菌飲料を買ってとおねだりしてみました。
 お兄ちゃんは言いました。
 「家の傍のコンビニまで我慢したら、2本飲んで良いよ」
 それを聞いて、僕は言いました。
 「ううん、今飲みたい」
 お兄ちゃんは買ってくれたので、美味しくいただきました。
 家につくと、お兄ちゃんは、残った乳酸菌飲料を飲み始めます。まだ1本あるので、僕はちょーだいと頼みましたが、くれません。それで僕は、2本飲むお兄ちゃんを恨めしいやら悲しいやらで、見ていました。
 次の日曜日、お兄ちゃんと大きな公園に遊びに行きました。お昼を食べてから家を出て、ずっと遊んでいたので、夕方になるとお腹が空いてきました。だから、僕達は帰ることにしたのです。
 その時、コンビニを見つけたので、僕は言いました。
 「ねえ、お兄ちゃん、いつものジュース買って」
 お兄ちゃんは言いました。
 「家の近くのコンビニまで我慢したら、2本飲んで良いよ」
 先週悔しい思いをしたので、今度は、僕は我慢することにしたのです。頭の中を甘いジュースがグルグルしています。
 我慢するのは大変でした。3駅向こうの家に歩いて帰るのはいつもの事ですが、いつもより遠くに感じます。TVゲームの事を考えるようにしました。
 お兄ちゃんが、いつも読んでいる漫画の話をしてくれてたので、ジュースの事は忘れることが出来ました。だから僕は、なんとか我慢しきることが出来ました。
 家の近くのコンビニで、乳酸菌飲料を買ってくれたお兄ちゃんは、1本くれました。入り口の前のゴミ箱の傍で、ごくごく飲んで、も1本ちょーだいと言うと、家についたらねと言いました。
 僕はえーと思いましたが、家まで我慢すると、食堂に入った時に、1本くれました。
 「良く我慢したね、偉かったね。
  我慢できるかできないかは、とても大事だよ。
  その差で人生が変わるからね」
 僕は、良く分からなかったけど、我慢して待ってみると、おやつが増えることを覚えました。
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