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第148話 攻城戦

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 攻城戦。
 相手に探知系スキル持ちがいるのか。
 ギリースーツを着て接近してたのだが、見破られて、スリングから発射された石が飛んで来る。
 巨人サイズだとドッジボールほどの大きさがある。
 一般人だと当たったら大怪我は免れないだろう。

 さて、弥衣やえはどういう作戦で行くのかな。
 俺ならアダマン鉄パイプを振り回して石を打ち返し、強引に接近するんだけどな

【何気にピンチ】
【こういう単純なのは攻略に骨が折れる】
【新兵器を出すと見た】
【どんな?】
【あれだ、超絶凄い奴。おっさんがCGでやってた時のレールガンとか。マグネタリウムがあれば作れる】

 弥衣やえが出したのは盾。

【盾だぞ。これで投石を受けるのか】
【前に使った魔鉄製だな】
【衝突の衝撃は殺せないから。あんまり意味がない】
【それだけじゃないぞ。酸素ボンベを装着して、発煙筒を焚き始めた】
【被弾を減らそうってのね】

 俺も酸素ボンベを装着した。

【煙でなんも見えん】
【がつんがつん言っている音だけだな】
【しばらくの辛抱だ】

 俺はアダマン鉄パイプを縦横無尽に振った。
 石が当たって砕け散る。

【おっさんは盾を持ってないけど。さっきから石が砕けているような気が】
【煙で見えん。火花とか散っているけど分からん】
【どうやら城壁に辿り着いたようだぞ】

 上から煮えたぎった油が降って来た。
 俺はアダマン鉄パイプで薙ぎ払う。
 弥衣やえは傘を差していた。

【グラトニーマテリアル製の傘か。これなら煮えたぎった油も怖くないな】
【だが長くは持ちこたえられない様子】
【酸を使って壁に穴が開いたぞ】
【おう戦いは城内に移るのね】
【煙が晴れて良かった】

 弥衣やえ達は、綺羅々きららとシロガネが前衛の、弥衣やえ、モチ、キナコがバリスタ担当のいつも態勢になった。

【最近、おっさんは何もしてないな】
【ヤエちゃんの活躍だけで別に良い】
【だなおっさんカメラだと、おっさんは映らないからな。これで問題なし】

「俺は切り札だ。絶体絶命の時こそ真価を発揮する」

【はいはい】
【巨人を守る会が大人しいな】
【火消しに追われているみたいよ。ドクロの祭具はインパクトあったから】
【信長がドクロの杯とか使ったとかいうらしいが、ドン引きだよな】
【あれを見たら擁護は難しい】
【もっとも巨人を守る会って声はでかいが、賛同してる人間は意外に少ない】
【少数派でも活動できるのが日本の良いところだ】
【おっさん擁護も少数派だけどな】
【うん、綺羅々きららちゃんのファンが一番多いだろう】
【多いのはファントムだよ。急速に支持を伸ばしてる】
【ファントムは関係ないだろ】

「俺はファンの数など気にしない。見たい奴がこの配信を見てくれたら良い」

【本当はもっと注目されたいんだろ】
【ヤエちゃんの討伐に集中しろよ】
【敵はジャイアントナイトか】
【重武装で硬いが、酸の矢とかグラトニーマテリアルには敵わない】
【うん、シロガネが硬い敵で嬉しそう】
【犬系統ってなんで噛み応えある物が好きなんだろうな】

「まあ、重武装の敵など恐れるに足らん」

【おっさんが討伐しているわけではないのに偉そう】
【それがおっさんクオリティ】
【おい、あれはボスの扉じゃね】

「おお、ボスか。城だとキングかな」

 ボス部屋の扉が開かれる。
 中にいたのは、二本の角が生えた冑を被って、大剣を持った巨人。
 巨人の大剣だと、6メートルはある。

 ボスのジェネラルジャイアントは立ち上がると大剣を振り回した。
 風圧で綺羅々きららは近寄れない。
 バリスタの矢も逸れる。
 俺に近い能力の奴だな。

【強そう】
【魔法に弱いタイプかな】
【物理は強そう】

 連撃で何とかするタイプか。
 俺なら連打でなんとか対抗する。

 弥衣やえが何やら装置を出した。
 その装置から電撃が飛ぶ。
 電撃はジェネラルジャイアントの剣を直撃した。

 剣を落とすジェネラルジャイアント。
 綺羅々きららが止めを刺した。

【電撃発生装置ね】
【発電機の類かな】
【説明を頼む】

弥衣やえ、さっきの装置は?」
「マグネタリウムは磁力を発するでしょ。それで電気を作るのよ」

 ええと発電機の原理か。
 たしか理科で習ったが忘れた。

【強大な磁力は色々と使えるな】
【そういう製品は色々と発売されている。小型発電機とかな】
【さっきの大きさだと電撃を打ち出せるのか】
【スタンガンの親玉だな】

 スタンガンなのか。
 そう言えば2本の線が飛んだのが見えた。

 さて、ポータルに登録して外に出るか。
 ダンジョンの外では、あの石碑に手を合わせている人が多数いた。
 花も奉げられている。

 俺はカメラを外すとファントムになった。
 行った花屋には多数の花が飾られている。

「石碑に花を奉げたい。5万円ぐらいで花束を作ってくれ」
「はい、大きさはどうします?」
「特大でお願いする」

 特大の花束を持って石碑に行くと報道陣がシャッターを切った。

「巨人の被害者に安らかな眠りを。俺は巨人を許さない」

 これだと、俺との対決軸が取れない。
 ちょっと面白くないな。
 あとで何か考えよう。
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