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一体誰が悪いのか?
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「アーロン様…何故?」
入って来たのはアーロンだった。
「私は…この者に呼び出されたんだろう。それよりも、どういう事だ?」
アーロンがデニーに詰め寄った。
「嘘の報告書だと…?血が繋がっているのがこの者だけとは、どういう事だ!」
「それは…」
視線を泳がせて言い訳を考えていたデニーだったが、観念したように話した。
「そのままの意味ですよ。全て嘘だったんですよ」
「全てとは?」
震える声でアーロンが聞いたが、デニーは鼻で笑うだけだった。
エドは大きな声でデニーに聞いた。
「第一王子の横領の件は…?」
「あぁ、やったのは私とリックだ」
エドの言葉にデニーは肯定した。そのままエドは聞き続けた。
「二人の姫の件…」
「私とリックの娘だ」
「イザベラの件…」
「全て嘘だよ。金は私とリックが使った」
「聖女の件…」
エドの声は震えていた。
「ほぅ、そこまで知っているのか…」
「どういう事だ…?」
感心したデニーだったが、アーロンが訝しげに尋ねた。
「聖女の件!」
エドが怒鳴った。
「捏造だよ。あの女は頭の悪い見た目だけの女だ」
「そんな…」
アーロンは崩れ落ちた。
しかし、エドはそんなアーロンを冷めた気持ちで見ているだけだった。
「何故そんなに衝撃を受けているのですか?」
「は?」
アーロンはエドの言葉の意味が理解出来なかった。
「何故ご自分が被害者のような顔をしているのですか?」
「私は被害者ではないか!」
アーロンが激高したが、エドの心は冷めたままだった。
「でも、気付いていたのでしょう?」
「え…?」
デニーは興味深そうに二人の会話を聞いていた。
「イザベラの報告は嘘かも知れないと気付いていたのに、そのまま通したのでしょう…?アーロン国王!」
「それは…」
今度はアーロンが追い詰められたのだった。
「な、何が悪い!」
アーロンは喚き散らした。
「フローラの可愛らしさに心を奪われたのだ!イザベラの事を邪魔だと思って何が悪い!聖女と悪女ならば、聖女の手を取るのが当たり前だろう?」
「流石、我らのアーロン様だ」
デニーは大声で笑い始めた。
「何かの間違いだと思いたかったですよ…正義感が強い国王というのは嘘だったんですか…?」
エドが震える声でアーロンに聞いた。
「本当だよ。私は悪を許さない」
「では、何故!」
「私と国民達の幸せの為だよ。一人の犠牲くらいどうって事ないだろう?」
「理解出来ない…」
アーロンは鼻で笑った後、立ち上がって、大きな声で衛兵を呼んだ。
「デニーを引っ捕らえろ」
デニーは無抵抗で衛兵に拘束された。
「何があったの…?」
その時、フローラが謁見の間に入って来たのだった。
「フローラ、ライラとデイジーが私の子ではないというのは本当かい?」
「何を言っているの…?私とアーロン様の子供だよ」
アーロンは安堵してフローラの元に歩み寄ろうとした。
「だって、リックとデニーがそう言っていたから。あの二人の言う事は正しいんでしょう?」
「何だと…?」
アーロンは足を止めた。
「フローラ、君はあの二人に体を許したのかい?」
「何でそんな事を聞くの?」
不思議そうに聞くフローラは、無邪気な顔をしていた。
「アーロン様が言ったんだよ?みんなを守って欲しいって。癒やして欲しいって。だから、私は私にできる事をしたんだよ?」
「そんな…」
アーロンはよろよろと歩いてフローラの肩に手を置いた。
「嫌がらせは?あれは本当にあったんだろう?」
「嫌がらせ…?あぁ、イザベラさんね!」
フローラは目を輝かせて言った。
「デニーが悪女を捕まえる為だって言うから、協力したの」
「あ、痣は…?」
「メイクで本物みたいになったんだよ?凄いよね!」
何処までも無邪気なフローラに、アーロンは一歩離れた。
「こんな馬鹿な不貞女の為に、私はイザベラを…?」
一歩、また一歩と離れて行くアーロンに近付くフローラ。
「アーロン様?どうしたの?」
「来るな!衛兵!この女も捕らえろ!不義密通だ!」
衛兵に拘束されたフローラは、アーロンに向かって叫んでいた。
「アーロン様、ふぎみっつーって何?何で私は捕まっているの?アーロン様、助けて!」
喚くフローラと、大人しく従うデニーが衛兵達に連れて行かれた。
誰も居なくなった謁見の間で、アーロンはエドに向き直った。
「エイドリアン、我が息子よ。これで王国を蔓延る悪はいなくなった。城に戻って来るが良い」
エドは冷たい声で答えた。
「エイドリアン第一王子は病死しました。私に父は居ない」
「拗ねているのか?あれはお前の心を成長させようと思って言った言葉だよ。本心ではない」
「私は唯のエドですよ」
そう言ってエドは謁見の間から出て行った。そのまま走って裏門まで向かった。
「お待たせ」
門の近くでベラが馬を連れて隠れていたのだ。
「大丈夫だった?」
「あぁ、最後の一仕事だ。早くマーカスさんの所へ帰ろう」
「うん!でも、良かった」
馬に跨ったエドにベラが言った。
「何が?」
「もしかしたら、このまま帰って来ないんじゃないかって心配していたの…」
「何言ってんの?俺はエドだよ?帰るのはあの家しかないよ」
「そうだね!帰ろう」
エドとベラは馬に乗って、マーカスの待つ家に帰って行ったのだった。
入って来たのはアーロンだった。
「私は…この者に呼び出されたんだろう。それよりも、どういう事だ?」
アーロンがデニーに詰め寄った。
「嘘の報告書だと…?血が繋がっているのがこの者だけとは、どういう事だ!」
「それは…」
視線を泳がせて言い訳を考えていたデニーだったが、観念したように話した。
「そのままの意味ですよ。全て嘘だったんですよ」
「全てとは?」
震える声でアーロンが聞いたが、デニーは鼻で笑うだけだった。
エドは大きな声でデニーに聞いた。
「第一王子の横領の件は…?」
「あぁ、やったのは私とリックだ」
エドの言葉にデニーは肯定した。そのままエドは聞き続けた。
「二人の姫の件…」
「私とリックの娘だ」
「イザベラの件…」
「全て嘘だよ。金は私とリックが使った」
「聖女の件…」
エドの声は震えていた。
「ほぅ、そこまで知っているのか…」
「どういう事だ…?」
感心したデニーだったが、アーロンが訝しげに尋ねた。
「聖女の件!」
エドが怒鳴った。
「捏造だよ。あの女は頭の悪い見た目だけの女だ」
「そんな…」
アーロンは崩れ落ちた。
しかし、エドはそんなアーロンを冷めた気持ちで見ているだけだった。
「何故そんなに衝撃を受けているのですか?」
「は?」
アーロンはエドの言葉の意味が理解出来なかった。
「何故ご自分が被害者のような顔をしているのですか?」
「私は被害者ではないか!」
アーロンが激高したが、エドの心は冷めたままだった。
「でも、気付いていたのでしょう?」
「え…?」
デニーは興味深そうに二人の会話を聞いていた。
「イザベラの報告は嘘かも知れないと気付いていたのに、そのまま通したのでしょう…?アーロン国王!」
「それは…」
今度はアーロンが追い詰められたのだった。
「な、何が悪い!」
アーロンは喚き散らした。
「フローラの可愛らしさに心を奪われたのだ!イザベラの事を邪魔だと思って何が悪い!聖女と悪女ならば、聖女の手を取るのが当たり前だろう?」
「流石、我らのアーロン様だ」
デニーは大声で笑い始めた。
「何かの間違いだと思いたかったですよ…正義感が強い国王というのは嘘だったんですか…?」
エドが震える声でアーロンに聞いた。
「本当だよ。私は悪を許さない」
「では、何故!」
「私と国民達の幸せの為だよ。一人の犠牲くらいどうって事ないだろう?」
「理解出来ない…」
アーロンは鼻で笑った後、立ち上がって、大きな声で衛兵を呼んだ。
「デニーを引っ捕らえろ」
デニーは無抵抗で衛兵に拘束された。
「何があったの…?」
その時、フローラが謁見の間に入って来たのだった。
「フローラ、ライラとデイジーが私の子ではないというのは本当かい?」
「何を言っているの…?私とアーロン様の子供だよ」
アーロンは安堵してフローラの元に歩み寄ろうとした。
「だって、リックとデニーがそう言っていたから。あの二人の言う事は正しいんでしょう?」
「何だと…?」
アーロンは足を止めた。
「フローラ、君はあの二人に体を許したのかい?」
「何でそんな事を聞くの?」
不思議そうに聞くフローラは、無邪気な顔をしていた。
「アーロン様が言ったんだよ?みんなを守って欲しいって。癒やして欲しいって。だから、私は私にできる事をしたんだよ?」
「そんな…」
アーロンはよろよろと歩いてフローラの肩に手を置いた。
「嫌がらせは?あれは本当にあったんだろう?」
「嫌がらせ…?あぁ、イザベラさんね!」
フローラは目を輝かせて言った。
「デニーが悪女を捕まえる為だって言うから、協力したの」
「あ、痣は…?」
「メイクで本物みたいになったんだよ?凄いよね!」
何処までも無邪気なフローラに、アーロンは一歩離れた。
「こんな馬鹿な不貞女の為に、私はイザベラを…?」
一歩、また一歩と離れて行くアーロンに近付くフローラ。
「アーロン様?どうしたの?」
「来るな!衛兵!この女も捕らえろ!不義密通だ!」
衛兵に拘束されたフローラは、アーロンに向かって叫んでいた。
「アーロン様、ふぎみっつーって何?何で私は捕まっているの?アーロン様、助けて!」
喚くフローラと、大人しく従うデニーが衛兵達に連れて行かれた。
誰も居なくなった謁見の間で、アーロンはエドに向き直った。
「エイドリアン、我が息子よ。これで王国を蔓延る悪はいなくなった。城に戻って来るが良い」
エドは冷たい声で答えた。
「エイドリアン第一王子は病死しました。私に父は居ない」
「拗ねているのか?あれはお前の心を成長させようと思って言った言葉だよ。本心ではない」
「私は唯のエドですよ」
そう言ってエドは謁見の間から出て行った。そのまま走って裏門まで向かった。
「お待たせ」
門の近くでベラが馬を連れて隠れていたのだ。
「大丈夫だった?」
「あぁ、最後の一仕事だ。早くマーカスさんの所へ帰ろう」
「うん!でも、良かった」
馬に跨ったエドにベラが言った。
「何が?」
「もしかしたら、このまま帰って来ないんじゃないかって心配していたの…」
「何言ってんの?俺はエドだよ?帰るのはあの家しかないよ」
「そうだね!帰ろう」
エドとベラは馬に乗って、マーカスの待つ家に帰って行ったのだった。
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