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第一章
第47話:追撃
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俺の予想通り、勇猛と精強を称えられた、実質的に我らの宗主国だったアヴァール可汗国が手酷い敗戦をした事に、スラヴ族連合とドイル連合王国は恐怖した。
アヴァール可汗国が勝利した後で、死体漁りのように我が国の領土をかすめ取ろうとしていた連中に、単独で戦う勇気も実力もない。
そんなモノがあったのなら、俺に人質同然の側室など送っていない。
俺の調べた範囲では、俺を油断させるために、あえて王女を生贄に差し出すような怜悧な知恵者はいない。
アヴァール可汗国から急に脅しまじりの同盟依頼が来たので、逆らえば公国より先に自分達が攻め込まれると恐怖したのと、大した労力もなく公国から富や領地を奪えると思い、戦略も立てずに攻め込んできた愚か者達だ。
「エドアルド公子殿下、追撃の準備が整いました」
近衛千人隊長と参謀を兼任する古参の戦友が教えてくれる。
「よく聞け、我が戦友たち。
これから逃げる敵を追撃するが、先ず最初に降伏勧告をしろ。
降伏に応じたら、武装を解除して捕虜にする。
殺すよりも、人質にして身代金を取った方が得なのを忘れるな。
一般兵も、俺や公王家が買い取るから、無暗に殺すな。
どこに貴重な技術を持つ者がいるか分からないぞ。
貴重な技術を持つ職人は、高値で買い取るからな。
何の技術も持たないように見える小汚い兵士も、百姓にして働かすことができる。
私が開発した技術を使えば、今までの十五倍もの麦が収穫できる。
独りの奴隷が、十五人分の兵糧を作り出せるのだ。
だから、無暗に敵を殺すな、分かったか」
「「「「「はい、エドアルド公子殿下」」」」」
「ただし、どれほど身分の高い相手であろう、例え王族であろう、お前達戦友の命以上に大切なモノはない。
どれほど金になろうと、利があろうと、戦友の命の方が大切だ。
ほんの少しでも抵抗しようとしたら、お前達戦友を傷つけようとしたら、問答無用で叩き殺せ、いいな」
「「「「「ウッオオオオオ」」」」」
「「「「「エドアルド公子殿下」」」」」
「最後に忠告をしておく、よく聞け。
息が荒くなるような、無理な追撃をするな。
敵も命懸けだ、最後の抵抗をしてくる。
死にたくない一心で、死に物狂いの反撃をしてくる。
それを避けて戦える状態を持ち続けるのだ。
分かったら行け、堂々と隊列を組み、敵に付け入る隙を与えるな」
「「「「「オオオオオ」」」」」
兵士達が直属千人隊長の指示に従って粛々と追撃していく。
古参の戦友達には、逃げる敵が罠を張っている可能性を叩き込んでいる。
大部隊による実戦訓練で、何度も釣り野伏をやってみせた。
これで罠にかかるような奴は、早々に死んでくれた方がいい。
そんな愚か者は、もっと苦しい戦いをしなければいけない時に、致命的なミスをしかねない。
巻き込まれる兵士は可哀想だが、全ての指揮官に理想的な人材を揃えるのは現実的に不可能だから、運が悪かったと諦めてもらうしかない。
「エドアルド公子殿下、公都から早馬が来ました」
アヴァール可汗国が勝利した後で、死体漁りのように我が国の領土をかすめ取ろうとしていた連中に、単独で戦う勇気も実力もない。
そんなモノがあったのなら、俺に人質同然の側室など送っていない。
俺の調べた範囲では、俺を油断させるために、あえて王女を生贄に差し出すような怜悧な知恵者はいない。
アヴァール可汗国から急に脅しまじりの同盟依頼が来たので、逆らえば公国より先に自分達が攻め込まれると恐怖したのと、大した労力もなく公国から富や領地を奪えると思い、戦略も立てずに攻め込んできた愚か者達だ。
「エドアルド公子殿下、追撃の準備が整いました」
近衛千人隊長と参謀を兼任する古参の戦友が教えてくれる。
「よく聞け、我が戦友たち。
これから逃げる敵を追撃するが、先ず最初に降伏勧告をしろ。
降伏に応じたら、武装を解除して捕虜にする。
殺すよりも、人質にして身代金を取った方が得なのを忘れるな。
一般兵も、俺や公王家が買い取るから、無暗に殺すな。
どこに貴重な技術を持つ者がいるか分からないぞ。
貴重な技術を持つ職人は、高値で買い取るからな。
何の技術も持たないように見える小汚い兵士も、百姓にして働かすことができる。
私が開発した技術を使えば、今までの十五倍もの麦が収穫できる。
独りの奴隷が、十五人分の兵糧を作り出せるのだ。
だから、無暗に敵を殺すな、分かったか」
「「「「「はい、エドアルド公子殿下」」」」」
「ただし、どれほど身分の高い相手であろう、例え王族であろう、お前達戦友の命以上に大切なモノはない。
どれほど金になろうと、利があろうと、戦友の命の方が大切だ。
ほんの少しでも抵抗しようとしたら、お前達戦友を傷つけようとしたら、問答無用で叩き殺せ、いいな」
「「「「「ウッオオオオオ」」」」」
「「「「「エドアルド公子殿下」」」」」
「最後に忠告をしておく、よく聞け。
息が荒くなるような、無理な追撃をするな。
敵も命懸けだ、最後の抵抗をしてくる。
死にたくない一心で、死に物狂いの反撃をしてくる。
それを避けて戦える状態を持ち続けるのだ。
分かったら行け、堂々と隊列を組み、敵に付け入る隙を与えるな」
「「「「「オオオオオ」」」」」
兵士達が直属千人隊長の指示に従って粛々と追撃していく。
古参の戦友達には、逃げる敵が罠を張っている可能性を叩き込んでいる。
大部隊による実戦訓練で、何度も釣り野伏をやってみせた。
これで罠にかかるような奴は、早々に死んでくれた方がいい。
そんな愚か者は、もっと苦しい戦いをしなければいけない時に、致命的なミスをしかねない。
巻き込まれる兵士は可哀想だが、全ての指揮官に理想的な人材を揃えるのは現実的に不可能だから、運が悪かったと諦めてもらうしかない。
「エドアルド公子殿下、公都から早馬が来ました」
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