四代目 豊臣秀勝

克全

文字の大きさ
上 下
39 / 103
第二章

織田信雄無能

しおりを挟む
「甲斐信濃の上杉方」
 真田昌幸:上田城(一旦上杉家に下るも、後北条家に攻められて降伏)
 栗田民部介:水内郡
 香坂一族:更級郡西山部
 村上景国:海津城の城代
 屋代秀正:海津城の副将
 香坂昌元:海津城の城将
 小幡虎昌:海津城の城将
 遠山丹波守:更級郡八幡(上州沼田に在城)
 小田切四郎太郎:塩田郷の内下郷・中郷・本郷三カ村の内千五百貫文
 板屋光胤:上杉家の目付
「甲斐信濃の北条方」
 岡部正綱:甲斐河内領菅沼城
 小笠原貞慶:深志城
 大道寺政繁:小諸城
 大井摂元:甲斐奈神社
 大村忠堯:浄居寺城
 諏訪頼忠:諏訪高島城
 木曾義昌:木曽福島城
「サッサと何とかしろ、入庵」
「三介様、何とかしろと申されてと、全ては三介様が命じられたことですぞ」
「余は城に籠城するなどと申した覚えはない」
「このまま進めば、雪が降るまでに尾張には戻れませんと申し上げたではありませんか」
「勝てば問題などかったのだ。それを貴様らは、一度ならず二度までも、北条などに負けおって」
「我らの所為で負けた訳ではありません。三介様が勝手に采配を振るった結果ではありませんか」
「兵共が弱すぎるのじゃ」
 織田信雄と滝川一益達の関係は最悪だった。
 出陣直後、前回の二の舞を恐れた一益達は、後方に去就定かでない者を置く事を強硬に反対した。
 信雄も信長亡き後に裏切った者を許す気がなかった。
 その為、徳川家康を通じて再び臣従を願い出た木曾義昌を、容赦せずに攻撃した。
 だが木曽福島城に籠城した木曾義昌は頑強に抵抗し、攻め滅ぼすのに二カ月もかかってしまった。
 ここで進撃を止めていればよかったのだが、信雄が頑強に進軍を言い張り、仕方なく守備兵を木曽福島城に残し、筑摩郡から安曇郡に進んだのだ。
 だが信濃安曇郡には、徳川家康から北条に寝返った小笠原貞慶がいた。
 信雄軍一万三千兵が包囲しても、頑として降伏しなかった。
 ここに後北条家軍四万三千兵が援軍に急行してきた。
 後北条家は戦国を生き抜いてきただけあって、密かに同盟している徳川家を全く信用していなかった。
 御坂峠の一万兵を動かさず、徳川家の動き次第では、駿河に攻め込む気配まで見せた。
 それだけではなく、箱根にも兵を移動させ、駿河に侵攻する気配を見せていた。
 徳川家康はここでも我慢を重ね、造成の推移を見守っていた。
 後北条家が強大になり過ぎ、領地を囲まれてしまうのは問題だ。
 同時に再び織田家の属国扱いされる気もない。
 そしてここで無能な織田信雄が兵力さも考えず、滝川一益や家老の諫言も無視して、後北条家の大軍を相手に正面から戦うと言う愚を犯した。
 大敗した信雄は真っ先に逃げ出し、木曽福島城に逃げ込んだ。
 多くの兵が討ち死にし、生きて城に辿り着いた将兵は半数を切っていた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

天竜川で逢いましょう 起きたら関ヶ原の戦い直前の石田三成になっていた 。そもそも現代人が生首とか無理なので平和な世の中を作ろうと思います。

岩 大志
歴史・時代
ごくありふれた高校教師津久見裕太は、ひょんなことから頭を打ち、気を失う。 けたたましい轟音に気付き目を覚ますと多数の軍旗。 髭もじゃの男に「いよいよですな。」と、言われ混乱する津久見。 戦国時代の大きな分かれ道のド真ん中に転生した津久見はどうするのか!?

織田信長IF… 天下統一再び!!

華瑠羅
歴史・時代
日本の歴史上最も有名な『本能寺の変』の当日から物語は足早に流れて行く展開です。 この作品は「もし」という概念で物語が進行していきます。 主人公【織田信長】が死んで、若返って蘇り再び活躍するという作品です。 ※この物語はフィクションです。

麒麟児の夢

夢酔藤山
歴史・時代
南近江に生まれた少年の出来のよさ、一族は麒麟児と囃し将来を期待した。 その一族・蒲生氏。 六角氏のもとで過ごすなか、天下の流れを機敏に察知していた。やがて織田信長が台頭し、六角氏は逃亡、蒲生氏は信長に降伏する。人質として差し出された麒麟児こと蒲生鶴千代(のちの氏郷)のただならぬ才を見抜いた信長は、これを小姓とし元服させ娘婿とした。信長ほどの国際人はいない。その下で国際感覚を研ぎ澄ませていく氏郷。器量を磨き己の頭の中を理解する氏郷を信長は寵愛した。その壮大なる海の彼方への夢は、本能寺の謀叛で塵と消えた。 天下の後継者・豊臣秀吉は、もっとも信長に似ている氏郷の器量を恐れ、国替や無理を強いた。千利休を中心とした七哲は氏郷の味方となる。彼らは大半がキリシタンであり、氏郷も入信し世界を意識する。 やがて利休切腹、氏郷の容態も危ういものとなる。 氏郷は信長の夢を継げるのか。

呪法奇伝ZERO~蘆屋道満と夢幻の化生~

武無由乃
歴史・時代
さあさあ―――、物語を語り聞かせよう―――。 それは、いまだ大半の民にとって”歴”などどうでもよい―――、知らない者の多かった時代―――。 それゆえに、もはや”かの者”がいつ生まれたのかもわからぬ時代―――。 ”その者”は下級の民の内に生まれながら、恐ろしいまでの才をなした少年―――。 少年”蘆屋道満”のある戦いの物語―――。 ※ 続編である『呪法奇伝ZERO~平安京異聞録~』はノベルアップ+で連載中です。

幕府海軍戦艦大和

みらいつりびと
歴史・時代
IF歴史SF短編です。全3話。 ときに西暦1853年、江戸湾にぽんぽんぽんと蒸気機関を響かせて黒船が来航したが、徳川幕府はそんなものへっちゃらだった。征夷大将軍徳川家定は余裕綽々としていた。 「大和に迎撃させよ!」と命令した。 戦艦大和が横須賀基地から出撃し、46センチ三連装砲を黒船に向けた……。

鈍亀の軌跡

高鉢 健太
歴史・時代
日本の潜水艦の歴史を変えた軌跡をたどるお話。

法隆寺燃ゆ

hiro75
歴史・時代
奴婢として、一生平凡に暮らしていくのだと思っていた………………上宮王家の奴婢として生まれた弟成だったが、時代がそれを許さなかった。上宮王家の滅亡、乙巳の変、白村江の戦………………推古天皇、山背大兄皇子、蘇我入鹿、中臣鎌足、中大兄皇子、大海人皇子、皇極天皇、孝徳天皇、有間皇子………………為政者たちの権力争いに巻き込まれていくのだが……………… 正史の裏に隠れた奴婢たちの悲哀、そして権力者たちの愛憎劇、飛鳥を舞台にした大河小説がいまはじまる!!

信長の秘書

たも吉
歴史・時代
右筆(ゆうひつ)。 それは、武家の秘書役を行う文官のことである。 文章の代筆が本来の職務であったが、時代が進むにつれて公文書や記録の作成などを行い、事務官僚としての役目を担うようになった。 この物語は、とある男が武家に右筆として仕官し、無自覚に主家を動かし、戦国乱世を生き抜く物語である。 などと格好つけてしまいましたが、実際はただのゆる~いお話です。

処理中です...