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第1章
第28話:閑話・非常事態
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「緊急の依頼だ、ヴァンパイアを斃して欲しい」
アリアラ王国レディング辺境伯領の領都、レディシティの東門近くにある冒険者ギルドの応接室で、ベテラン冒険者でヴァンパイア・ハンターでもある男が、ギルドマスター直々に頼まれている。
「どこですか」
「それが……大魔境周辺の村が軒並み襲われている」
「な、それはおかしい、レッサー・ヴァンパイアは馬鹿じゃない。
国や大貴族に狙われるような目立ったことはやらないですよ。
人身売買組織がヴァンパイアに見せかけてやっているんじゃないですか?」
「それはありえない、城門が全く破壊される事無く、住民だけ忽然と消えたのだ」
「家族は何と言っているんですか?」
「家族はいない、家族どころか村人全員が消えてしまっている。
城壁も城門も破壊されず、村人だけが全員いなくなっている。
村と言ったが、街と言えるような場所の住民も一人残らず消えている」
「な、そんなバカな、村どころか街の住民が全員消えるなんてありえない。
村にも街にも自警団が有り、ヴァンパイアが現れた時の訓練もしている。
レッサー・ヴァンパイアを斃せなくても、朝まで時間稼ぎくらいできる」
「そんな事は私も分かっている、分かっているから君に頼んでいるのだ。
辺境伯閣下にも動かせる騎士団を出陣させてくださるように願っている」
「まさか、ギルドマスターはインターミーディア・ヴァンパイアが現れたと考えているのですか?!」
「最悪の状況に備えて手を打つのが私の役目だ。
インターミーディア・ヴァンパイアではなく、ハイア・ヴァンパイアが現れていたとしても、人々を守れるように準備しておくのが私の役目だ」
「いくらなんでもそれは大げさすぎますよ」
「大げさと言われようが、憶病者と言われようが、何の準備もしていない状態で、ハイア・ヴァンパイアに襲われるよりはいい。
それに、相手がレッサー・ヴァンパイアだったとしても、十もの村と街が壊滅してしまっているのだ、その住民全員を眷属にしている可能性がある」
「……確かに、それだけの人々がゾンビやレンブラントになって襲ってくるとしたら、とんでもない被害を受けてしまいますね」
「ああ、二千とは言わないが、千五百は襲ってくるだろう。
奇襲されて城門の中に入られたら、領都が滅ぶ事もありえる」
「分かりました、俺も相手がハイア・ヴァンパイアと思って準備します。
だとしたら、今直ぐは動けません。
王国中のヴァンパイア・ハンターを集めないと勝ち目が有りません」
「そうしてもらえれば良いのだが、残念ながらそうはいかない。
ゾンビでもレンブラントでも良いから、ヴァンパイアにつながる証拠を集めてもらわないといけない」
「……今まであれだけ危険だと言っておいて、ろくな準備もさせないで行けと言うのは、死ねと言うのと同じですよ」
「分かっている、だが、国王陛下に軍を出してもらわないといけないのだ。
隣国に備えなかければいけない辺境伯閣下が出せる戦力は限られる。
王国軍が援軍に来てくれない限り、冒険者ギルドと辺境伯家騎士団の一部しか、ヴァンパイアに迎えないのだ。
ヴァンパイアを斃せとは言っていない。
ヴァンパイアが係わっているという、証拠さえ集めてくれれば良いのだ」
「分かりました、そういう事なら受けるしかありません。
ですが、家のパーティーだけではとても人数が足りません。
高レベルの冒険者たちを預けてもらいます。
指名依頼料も規定以上に払ってもらいますよ」
「分かっている、今指名依頼を受けていないチタン級以上の冒険者は、全員ギルド強制依頼で手伝わせる」
「待ってください、俺は高レベル冒険者と言ったんです。
チタン級程度では死にに行けと言っているも同然です」
「そんな事は分かっている、分かっているが、マンガン級以上に限ると人手が足りずに何もできなくなってしまうのだ。
辺境伯領内にいる最強の冒険者は、君を含めたタングステン級四人だけなんだ。
偵察や連絡くらいならチタン級でもできる。
チタン級は使い走りにするつもりでいてくれればいい。
貴重なマンガン級以上を、こことの連絡なんかに使えないだろう?」
「そう、ですね、使い走りにするにしても、チタン級を一人にはやらせられない。
チタン級のパーティーを複数使わないと、千五百ものゾンビやレンブラントから逃げきれないですね」
「分かってくれるなら、君の判断でチタン級を使ってくれ。
これが住民が全員いなくなった村と街を記した地図だ。
全ての村や街にチタン級パーティーを向かわせている。
君にはまだ襲われていない村を調べてもらいたい。
襲撃を受けていない他の村にはタングステン級とマンガン級を送る。
もしかしたら、ハイア・ヴァンパイアと鉢合わせするかもしれないが……」
「ヴァンパイア・ハンターになると決めた時から、こういう時が来る覚悟はしていましたから、気にしないでください。
今直ぐ生き残っている村や街を見て回ります。
ギルドに残っているチタン級パーティーを三つ連れて行きますよ」
「冒険者の級」
アルミニウム級:冒険者になりたての新人
鉄級 :冒険者の仕事に慣れ、5kgのダンジョンモンスターを斃せる。
チタン級 :20kgのダンジョンモンスターを斃せる。
:ギルドが素行に問題がないと判断した。
マンガン級 :魔境に住む本物の150㎏級魔獣を単独で斃せる
タングステン級:魔境に住む本物の500㎏級魔獣を単独で斃せる
銅級 :魔境に住む本物の1000㎏級魔獣を単独で斃せる
銀級 :魔境に住む本物の3000㎏級魔獣を単独で斃せる
金級 :魔境に住む本物の10トン級魔獣を単独で斃せる
アリアラ王国レディング辺境伯領の領都、レディシティの東門近くにある冒険者ギルドの応接室で、ベテラン冒険者でヴァンパイア・ハンターでもある男が、ギルドマスター直々に頼まれている。
「どこですか」
「それが……大魔境周辺の村が軒並み襲われている」
「な、それはおかしい、レッサー・ヴァンパイアは馬鹿じゃない。
国や大貴族に狙われるような目立ったことはやらないですよ。
人身売買組織がヴァンパイアに見せかけてやっているんじゃないですか?」
「それはありえない、城門が全く破壊される事無く、住民だけ忽然と消えたのだ」
「家族は何と言っているんですか?」
「家族はいない、家族どころか村人全員が消えてしまっている。
城壁も城門も破壊されず、村人だけが全員いなくなっている。
村と言ったが、街と言えるような場所の住民も一人残らず消えている」
「な、そんなバカな、村どころか街の住民が全員消えるなんてありえない。
村にも街にも自警団が有り、ヴァンパイアが現れた時の訓練もしている。
レッサー・ヴァンパイアを斃せなくても、朝まで時間稼ぎくらいできる」
「そんな事は私も分かっている、分かっているから君に頼んでいるのだ。
辺境伯閣下にも動かせる騎士団を出陣させてくださるように願っている」
「まさか、ギルドマスターはインターミーディア・ヴァンパイアが現れたと考えているのですか?!」
「最悪の状況に備えて手を打つのが私の役目だ。
インターミーディア・ヴァンパイアではなく、ハイア・ヴァンパイアが現れていたとしても、人々を守れるように準備しておくのが私の役目だ」
「いくらなんでもそれは大げさすぎますよ」
「大げさと言われようが、憶病者と言われようが、何の準備もしていない状態で、ハイア・ヴァンパイアに襲われるよりはいい。
それに、相手がレッサー・ヴァンパイアだったとしても、十もの村と街が壊滅してしまっているのだ、その住民全員を眷属にしている可能性がある」
「……確かに、それだけの人々がゾンビやレンブラントになって襲ってくるとしたら、とんでもない被害を受けてしまいますね」
「ああ、二千とは言わないが、千五百は襲ってくるだろう。
奇襲されて城門の中に入られたら、領都が滅ぶ事もありえる」
「分かりました、俺も相手がハイア・ヴァンパイアと思って準備します。
だとしたら、今直ぐは動けません。
王国中のヴァンパイア・ハンターを集めないと勝ち目が有りません」
「そうしてもらえれば良いのだが、残念ながらそうはいかない。
ゾンビでもレンブラントでも良いから、ヴァンパイアにつながる証拠を集めてもらわないといけない」
「……今まであれだけ危険だと言っておいて、ろくな準備もさせないで行けと言うのは、死ねと言うのと同じですよ」
「分かっている、だが、国王陛下に軍を出してもらわないといけないのだ。
隣国に備えなかければいけない辺境伯閣下が出せる戦力は限られる。
王国軍が援軍に来てくれない限り、冒険者ギルドと辺境伯家騎士団の一部しか、ヴァンパイアに迎えないのだ。
ヴァンパイアを斃せとは言っていない。
ヴァンパイアが係わっているという、証拠さえ集めてくれれば良いのだ」
「分かりました、そういう事なら受けるしかありません。
ですが、家のパーティーだけではとても人数が足りません。
高レベルの冒険者たちを預けてもらいます。
指名依頼料も規定以上に払ってもらいますよ」
「分かっている、今指名依頼を受けていないチタン級以上の冒険者は、全員ギルド強制依頼で手伝わせる」
「待ってください、俺は高レベル冒険者と言ったんです。
チタン級程度では死にに行けと言っているも同然です」
「そんな事は分かっている、分かっているが、マンガン級以上に限ると人手が足りずに何もできなくなってしまうのだ。
辺境伯領内にいる最強の冒険者は、君を含めたタングステン級四人だけなんだ。
偵察や連絡くらいならチタン級でもできる。
チタン級は使い走りにするつもりでいてくれればいい。
貴重なマンガン級以上を、こことの連絡なんかに使えないだろう?」
「そう、ですね、使い走りにするにしても、チタン級を一人にはやらせられない。
チタン級のパーティーを複数使わないと、千五百ものゾンビやレンブラントから逃げきれないですね」
「分かってくれるなら、君の判断でチタン級を使ってくれ。
これが住民が全員いなくなった村と街を記した地図だ。
全ての村や街にチタン級パーティーを向かわせている。
君にはまだ襲われていない村を調べてもらいたい。
襲撃を受けていない他の村にはタングステン級とマンガン級を送る。
もしかしたら、ハイア・ヴァンパイアと鉢合わせするかもしれないが……」
「ヴァンパイア・ハンターになると決めた時から、こういう時が来る覚悟はしていましたから、気にしないでください。
今直ぐ生き残っている村や街を見て回ります。
ギルドに残っているチタン級パーティーを三つ連れて行きますよ」
「冒険者の級」
アルミニウム級:冒険者になりたての新人
鉄級 :冒険者の仕事に慣れ、5kgのダンジョンモンスターを斃せる。
チタン級 :20kgのダンジョンモンスターを斃せる。
:ギルドが素行に問題がないと判断した。
マンガン級 :魔境に住む本物の150㎏級魔獣を単独で斃せる
タングステン級:魔境に住む本物の500㎏級魔獣を単独で斃せる
銅級 :魔境に住む本物の1000㎏級魔獣を単独で斃せる
銀級 :魔境に住む本物の3000㎏級魔獣を単独で斃せる
金級 :魔境に住む本物の10トン級魔獣を単独で斃せる
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