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交通事故
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日曜日のショッピングモールはどこも家族連れやカップルで賑わっていて、1人で買い物をしていた田崎尚美が新作の春コートを購入したときにはすっかり日が暮れていた。
今日の目的はこのコート一着だけだったのだけれど、新生活が始まる今の時期はどこのお店もひときわに際っている。
「ふぅ……すっかり遅くなっちゃった」
買い物と人混みの中を歩いたことによる疲れで自然とため息がもれる。
1人の買い物でそんなに時間をかけるつもりがなかったので午後から出てきたのだけれど、それがそもそもの失敗だったみたいだ。
今日は夕方にはアパートへ戻ってちょっと凝った料理を作る予定だったけれど、もうそんな時間はないかもしれない。
ここからアパートまで電車で30分はかかる。
たどり着く頃には外はすっかり暗くなっているだろう。
「仕方ない。カレーでも作るか」
料理が趣味の尚美は今晩の献立を妥協してつぶやく。
カレーやシチューなら固形のルーがあるし、時短で作ることができる。
ちょうど他の人たちも帰宅時間なのだろう、駅へと向かう歩道には沢山の人が溢れていた。
これじゃ電車で座れるかどうかも怪しいなぁ。
そんなことを考えてコートの入った紙袋を持ち直した、そのときだった。
信号待ちをしていたとき、「あ!」と、小さな女の子が横断歩道へ向けて指をさすのが見えた。
その指の先をつい目で追いかける。
「猫ちゃんだよ!」
女の子の声がひときわ大きくなると同時に、母親と思われる女性がその手を強く握りしめた。
「ダメよ」
それはおそらく、女の子の見つけた『猫ちゃんの元へ行くこと』がダメだと制したのだ。
女の子の言う猫ちゃんは今横断歩道の白線の上に座り込んで震えている。
まだ生まれたてで小さいのに母猫の姿はどこにもなく、更には車側の信号機が赤に変わったばかりだ。
そうこうしている間に複数の車が行き来しはじめる。
尚美は思わず身を乗り出すようにして猫を見つめた。
ドライバーだちは猫をよけて運転しているけれど、後方にいた車がすべて猫を認識しているとは限らない。
白線の上にいる白猫は色も同化しやすく、ヒヤリとする瞬間が何度もあった。
「お母さん、猫ちゃんが……」
女の子の今にも泣き出してしまいそうな声が聞こえてくる。
母親は女の子の視線を猫から切り離すようにその体を抱き上げた。
女の子はなおも「猫ちゃん」と言い続けているけれど、母親は返事もしなかった。
他に信号待ちをしている人たちも猫の存在に気が付きながらもなにもできずにいる。
申し訳なさそうな顔をしている人。
しょうがないよなと諦めの表情をしている人。
一回猫に視線を向けただけですぐに興味を失ってスマホに集中している人。
尚美は早く信号が変わることを祈るしかできなかった。
これだけの車が行き交っている中で猫を歩助けに向かうのは至難の業だ。
下手をすれば自分が車に引かれてしまう。
それに、今横断歩道へ飛び出していくような勇気もなかった。
可愛そうだけれど、ここは仕方ないと思って……。
目をつむろうとした、そのときだった。
白い軽自動車が他の車を追い越してスピードを上げて走ってくるのが見えた。
あれじゃ猫を認識する暇もないだろう。
周りの人たちも「あぁ……」と、小さなため息を吐いて猫から視線をそらし始めた。
子猫はヨロヨロと立ち上がり、その場から逃げようとしている。
だけど、その速度で逃げ切れるとはとても思えなかった。
人々は目をそらし、悲惨な瞬間を目撃しないようにしている。
尚美もそうしていたはずだったのだけれど……。
ミャア。
それはたった一声だった。
車や人の声に簡単にかき消されてしまうような小さな声。
だけどその声は尚美の胸に確かに響いた。
ミャア。
助けて。
そう言っているように聞こえて、無意識のうちに足を踏み出していた。
あの車が走ってくる前に猫を抱えて歩道へ戻ってくることができるとは思えない。
だけど体が勝手に動いてしまう。
赤信号の横断歩道へ飛び出して行った尚美を見て周囲の人々がざわめいた。
「おい」
と、誰かが後ろから声をかけてくる。
だけど振り向くこと無く猫へ向けて駆け出した。
両手を広げて猫の体を守るように抱きしめる。
そのまま歩道へ向かおうと思ったが……やはり、遅かった。
尚美のすぐ目の間にさっきの軽自動車が迫ってきていた。
腕の中で猫がミャアと鳴く。
それを聞いた次の瞬間、尚美は意識を失った。
☆☆☆
体が痛い。
意識が遠のく。
そんな感覚があったはずなのに、今の尚美はどこも痛くなくて意識は急速に舞い戻ってきていた。
ハッと目を開けたときには灰色の地面がすぐ近くにあって、人々の喧騒もハッキリと聞こえてきた。
ここは天国?
って、そんなわけないか。
車にぶつかったはずなのにどこも痛むところがなくて首をかしげる。
と、その時だった。
どこからか救急車の音が聞こえてきて人々の喧騒は更に大きくなった。
あ、やっぱりどこか怪我したのかな?
そうだよね、私車にひかれたんだもん。
一体どこを怪我しただろう?
そう思って自分の体へ視線を向けたときだった。
真っ白な毛が視界いっぱいに入ってきて尚美は目を丸くした。
自分の体から沢山の毛が生えている。
いやそんなはずない!
だって全身脱毛したんだし!
慌てて自分の体に触れてみようとするけれど、なんだかいつもと様子が違う。
手を動かしているのに顔に触れることができないのだ。
なにこれ、どうなってるの?
もしかして痛みも感じないくらいあちこち複雑骨折しちゃってるとか!?
サッと青ざめたとき、近くで救急車が停車した。
そうだ、早く処置してもらわなきゃ。
尚美がフラリと立ち上がったとき、「こっちです!」と、青ざめた女性が救急隊員を呼ぶのが見えた。
なに言ってるの!?
私はここだよ!
混乱しながら声をあげようとしたとき、人混みが割れてその中心に誰かが倒れているのが見えた。
見慣れた上着。
見慣れたズボン。
見慣れた靴。
見慣れたバッグ。
その人はなぜか私の持ち物をすべて身につけている。
それだけじゃない。
顔も……私!?
怪我をして血がついているその顔は紛れもなく尚美自身だったのだ。
な、なんで!?
だって私はここにいるのに……!
呆然と立ち尽くしている中で自分の体が単価に載せられて運ばれていく。
尚美は咄嗟に駆け出して救急隊員に近づいた。
待って!
その体は私なの!
私はここにいるの!
必死に訴えかけるけれど、なぜか誰も聞いてくれない。
それになんだか視界がとても低いのだ。
尚美は身長が158センチあるのに今見えている世界はみんなの膝よりも下くらいだ。
混乱している間に尚美の体は救急車に乗せられて行ってしまった。
野次馬たちも警察に捕まって事情を説明している数人を覗いては散らばっていく。
そんな、なんで……。
またその場に立ち尽くしたとき、パッパッー! と車のクラクションを鳴らされて尚美はビクリとその場で飛び跳ねた。
見ると信号は青色に変わっていて、自分が事故にあった車線を覗いては車も行き交い始めている。
尚美は慌てて歩道へと逃げたのだった。
今日の目的はこのコート一着だけだったのだけれど、新生活が始まる今の時期はどこのお店もひときわに際っている。
「ふぅ……すっかり遅くなっちゃった」
買い物と人混みの中を歩いたことによる疲れで自然とため息がもれる。
1人の買い物でそんなに時間をかけるつもりがなかったので午後から出てきたのだけれど、それがそもそもの失敗だったみたいだ。
今日は夕方にはアパートへ戻ってちょっと凝った料理を作る予定だったけれど、もうそんな時間はないかもしれない。
ここからアパートまで電車で30分はかかる。
たどり着く頃には外はすっかり暗くなっているだろう。
「仕方ない。カレーでも作るか」
料理が趣味の尚美は今晩の献立を妥協してつぶやく。
カレーやシチューなら固形のルーがあるし、時短で作ることができる。
ちょうど他の人たちも帰宅時間なのだろう、駅へと向かう歩道には沢山の人が溢れていた。
これじゃ電車で座れるかどうかも怪しいなぁ。
そんなことを考えてコートの入った紙袋を持ち直した、そのときだった。
信号待ちをしていたとき、「あ!」と、小さな女の子が横断歩道へ向けて指をさすのが見えた。
その指の先をつい目で追いかける。
「猫ちゃんだよ!」
女の子の声がひときわ大きくなると同時に、母親と思われる女性がその手を強く握りしめた。
「ダメよ」
それはおそらく、女の子の見つけた『猫ちゃんの元へ行くこと』がダメだと制したのだ。
女の子の言う猫ちゃんは今横断歩道の白線の上に座り込んで震えている。
まだ生まれたてで小さいのに母猫の姿はどこにもなく、更には車側の信号機が赤に変わったばかりだ。
そうこうしている間に複数の車が行き来しはじめる。
尚美は思わず身を乗り出すようにして猫を見つめた。
ドライバーだちは猫をよけて運転しているけれど、後方にいた車がすべて猫を認識しているとは限らない。
白線の上にいる白猫は色も同化しやすく、ヒヤリとする瞬間が何度もあった。
「お母さん、猫ちゃんが……」
女の子の今にも泣き出してしまいそうな声が聞こえてくる。
母親は女の子の視線を猫から切り離すようにその体を抱き上げた。
女の子はなおも「猫ちゃん」と言い続けているけれど、母親は返事もしなかった。
他に信号待ちをしている人たちも猫の存在に気が付きながらもなにもできずにいる。
申し訳なさそうな顔をしている人。
しょうがないよなと諦めの表情をしている人。
一回猫に視線を向けただけですぐに興味を失ってスマホに集中している人。
尚美は早く信号が変わることを祈るしかできなかった。
これだけの車が行き交っている中で猫を歩助けに向かうのは至難の業だ。
下手をすれば自分が車に引かれてしまう。
それに、今横断歩道へ飛び出していくような勇気もなかった。
可愛そうだけれど、ここは仕方ないと思って……。
目をつむろうとした、そのときだった。
白い軽自動車が他の車を追い越してスピードを上げて走ってくるのが見えた。
あれじゃ猫を認識する暇もないだろう。
周りの人たちも「あぁ……」と、小さなため息を吐いて猫から視線をそらし始めた。
子猫はヨロヨロと立ち上がり、その場から逃げようとしている。
だけど、その速度で逃げ切れるとはとても思えなかった。
人々は目をそらし、悲惨な瞬間を目撃しないようにしている。
尚美もそうしていたはずだったのだけれど……。
ミャア。
それはたった一声だった。
車や人の声に簡単にかき消されてしまうような小さな声。
だけどその声は尚美の胸に確かに響いた。
ミャア。
助けて。
そう言っているように聞こえて、無意識のうちに足を踏み出していた。
あの車が走ってくる前に猫を抱えて歩道へ戻ってくることができるとは思えない。
だけど体が勝手に動いてしまう。
赤信号の横断歩道へ飛び出して行った尚美を見て周囲の人々がざわめいた。
「おい」
と、誰かが後ろから声をかけてくる。
だけど振り向くこと無く猫へ向けて駆け出した。
両手を広げて猫の体を守るように抱きしめる。
そのまま歩道へ向かおうと思ったが……やはり、遅かった。
尚美のすぐ目の間にさっきの軽自動車が迫ってきていた。
腕の中で猫がミャアと鳴く。
それを聞いた次の瞬間、尚美は意識を失った。
☆☆☆
体が痛い。
意識が遠のく。
そんな感覚があったはずなのに、今の尚美はどこも痛くなくて意識は急速に舞い戻ってきていた。
ハッと目を開けたときには灰色の地面がすぐ近くにあって、人々の喧騒もハッキリと聞こえてきた。
ここは天国?
って、そんなわけないか。
車にぶつかったはずなのにどこも痛むところがなくて首をかしげる。
と、その時だった。
どこからか救急車の音が聞こえてきて人々の喧騒は更に大きくなった。
あ、やっぱりどこか怪我したのかな?
そうだよね、私車にひかれたんだもん。
一体どこを怪我しただろう?
そう思って自分の体へ視線を向けたときだった。
真っ白な毛が視界いっぱいに入ってきて尚美は目を丸くした。
自分の体から沢山の毛が生えている。
いやそんなはずない!
だって全身脱毛したんだし!
慌てて自分の体に触れてみようとするけれど、なんだかいつもと様子が違う。
手を動かしているのに顔に触れることができないのだ。
なにこれ、どうなってるの?
もしかして痛みも感じないくらいあちこち複雑骨折しちゃってるとか!?
サッと青ざめたとき、近くで救急車が停車した。
そうだ、早く処置してもらわなきゃ。
尚美がフラリと立ち上がったとき、「こっちです!」と、青ざめた女性が救急隊員を呼ぶのが見えた。
なに言ってるの!?
私はここだよ!
混乱しながら声をあげようとしたとき、人混みが割れてその中心に誰かが倒れているのが見えた。
見慣れた上着。
見慣れたズボン。
見慣れた靴。
見慣れたバッグ。
その人はなぜか私の持ち物をすべて身につけている。
それだけじゃない。
顔も……私!?
怪我をして血がついているその顔は紛れもなく尚美自身だったのだ。
な、なんで!?
だって私はここにいるのに……!
呆然と立ち尽くしている中で自分の体が単価に載せられて運ばれていく。
尚美は咄嗟に駆け出して救急隊員に近づいた。
待って!
その体は私なの!
私はここにいるの!
必死に訴えかけるけれど、なぜか誰も聞いてくれない。
それになんだか視界がとても低いのだ。
尚美は身長が158センチあるのに今見えている世界はみんなの膝よりも下くらいだ。
混乱している間に尚美の体は救急車に乗せられて行ってしまった。
野次馬たちも警察に捕まって事情を説明している数人を覗いては散らばっていく。
そんな、なんで……。
またその場に立ち尽くしたとき、パッパッー! と車のクラクションを鳴らされて尚美はビクリとその場で飛び跳ねた。
見ると信号は青色に変わっていて、自分が事故にあった車線を覗いては車も行き交い始めている。
尚美は慌てて歩道へと逃げたのだった。
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