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思ってたのと違うけど
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分厚いゴム手袋をしてマスクをつけた優莉奈はゴミ袋の中でぼんぼんとゴミを突っ込んでいる。
捨てていいかどうかわからないときには一樹に質問することになっている。
その一樹はさっき優莉奈が掃除を終えたソファに座ってテレビを見ていた。
最初掃除道具を出してくれた意外はなにもせずにジッと優莉奈の行動を見ていた。
掃除の仕方がわからないのだろうかと思っていたけれど、ソファが綺麗になった途端にそこに座ってリラックスしはじめてしまったのだ。
なんだかこれ、おかしくない?
せっせと掃除しながら胸の中にモヤモヤとした気持ちが広がっている。
ここは一樹の部屋で、それなのに自分ばかりが掃除をしている。
これじゃまるで掃除婦みたいだ。
そう考えて慌てて左右に首を振って考えをかき消した。
そんなことない。
私は一樹さんの彼女で、明日彼のお母さんに会うからその準備をしているんだ。
そう考えなければとても納得できない状況だった。
大きなゴミをかき集めて床のべとつきを拭き掃除でとっている間にも一樹は1人でテレビを見て笑い声を上げている。
なにがそんなに面白いのだろうと手を止めて見てみると、お笑い番組を見ていた。
優莉奈も毎週欠かさず見ていた番組に胸の中にまたモヤモヤが広がっていく。
一樹だけが楽しんでいるのではないかと、不満が膨らんでいく。
その不満をどうにか押し込めて、優莉奈は最後まで掃除をやり終えた。
ここへ来てから1時間も掃除しっぱなしだったことに気がついて驚きた。
優莉奈の好きなお笑い番組はちょうど終わったところだった。
「あ、終わった? はぁ、面白かった」
一樹が笑い泣きしながら近づいてくる。
咄嗟に優莉奈は数歩後ずさりをした。
「今私すごく汚れてるんで近づかない方がいいと思います」
誰のせいで、という部分は飲み込んだ。
その代わり、怨めしそうな視線を向ける。
けれど一樹はそんなこと気がつく様子もなく「あぁ、そうだったね」と、笑った。
「それならシャワーを浴びておいで。着替えは俺の服でいいかな?」
お風呂のドアを指差して言われて優莉奈の心臓がドクンッと跳ねる。
とりあえずメインの部屋は綺麗になったし、これからお風呂に入るというとは、そういうことだろうか?
ニコニコと微笑んでいる一樹を見ても、その心の奥まではわからない。
汗もかいたし、お風呂を貸してもらえることは、とりあえず嬉しい。
「そ、そうさせてもらいます」
妙に意識してしまう前に優莉奈は脱衣所へと急いだ。
部屋に呼ばれたときからいくらか覚悟を決めていたものの、ずっと掃除をしていたから今日はもうそういう雰囲気にはならないだろうと思っていた。
ドキドキしながら脱衣所の電気をつけた優莉奈は盛大なため息を吐きたくなった。
そこにあったのは壮絶な光景だった。
思えば、掃除ができない人間が、水場だけ清潔を保てるわけもなかったのだ。
水場は特に汚れやすい。
床には使ったのか洗ったばかりなのかわからないタオルが散乱し、洗面所にはヒゲを剃った残骸がそのまま残されている。
鏡は水垢で真っ白で見えないし、浴室にはピンク色のカビが生えている。
ここで体を洗っているのかと思うと全身に鳥肌が立った。
「こんなんで入れるわけないでしょ」
優莉奈は思わず愚痴をこぼし、掃除をするために再びビニール手袋に身に着けたのだった。
☆☆☆
つ、疲れた……。
ようやく湯船に体をつかることができた優莉奈は真っ白な天井を見つめた。
無意識のうちに大きなため息が出てしまう。
仕事とは別のずっしりとした疲れが全身を覆い尽くしている。
下手をすればこのまま湯船で眠ってしまいそうだ。
どうして私はこんなことをしているんだろうと、掃除中はずっと考えていた。
だけどこうしていいお風呂に一番に入れたことは感謝している。
本当に、ただそれだけだけれど。
疲れた体を十分に伸ばせるスペースのある湯船は優莉奈の憧れだった。
いつか自分のこんなマンションに暮らすことができればと、考えたこともある。
でも、今日の出来事で広ければ広いほど掃除が大変なことがわかってしまった。
やっぱり、自分の掃除できる範囲の部屋が一番いいいのかも。
お風呂でしっかり温まってから脱衣所に出るとそこには一樹の私服が用意されていた。
白いTシャツと紺色の短パンだ。
これを着るのかと思うとドキドキしたけれど、ふと思い直してニオイを嗅いでみた。
決していやらしい気持ちがあったわけじゃない。
今までの部屋の様子を考えて、清潔かどうか心配になったのだ。
その結果、石鹸のニオイがしてホッと安堵のため息をついた。
一樹の部屋を見てしまった今、甘いときめきだってすぐに消えてしまう。
それを残念に感じながら服を着て部屋に戻ると、一樹はまだテレビを見ていた。
「あ、あのお風呂ありがとうございました」
ソファの後ろから声をかければ、一樹は顔だけで振り向いた。
「あぁ、お風呂の場お掃除もありがとう。大変だったろ」
そう言って自分の隣へ座るようにポンポンとソファを叩く。
お風呂場が散乱しているとわかっていたなら先に掃除してくれればよかったのに。
という文句は飲み込んで、優莉奈はおずおずと一樹の隣に座った。
すると自然と肩を抱かれて引き寄せられる格好になった。
「うん。いい香りがする」
まだ少し濡れている優莉奈の髪の毛に鼻を近づけてくるものだから、恥ずかしくて仕方ない。
薄れていたドキドキが舞い戻ってくるのを感じる。
「今、服は乾燥機で乾かしてるから」
知らない間に優莉奈の服を洗濯してくれていたらしい。
「ありがとうございます」
小さな心くばりが嬉しい。
ここへ来たときにはどうなることかと思ったけれど、いいムードになってきたかもしれない。
一樹の肩に頭を預けてそう思ったときだった。
「乾いたらマンションへ送っていく」
「へ?」
思わず間抜けな声が出ていた。
きっと、顔も間抜けになっていたことだろう。
「もう真っ暗だし、ここから優莉奈のマンションまでは距離があるからな」
当然のように胸を張って言う一樹に優莉奈は「あぁ、はい……」と、頷くしかなかった。
服を貸してくれたり、ソファでゆったりくつろいだりして、てっきりこのままお泊りになるかと思っていた。
そんな想像をしていたのは自分だけだったようで、途端に恥ずかしくなる。
「今日は本当にありがとう。優莉奈のおかげで明日母親が来ても大丈夫そうだ」
「そうですか……」
優莉奈はやっぱりスッキリしない気持ちで曖昧に笑ったのだった。
☆☆☆
初めての一樹の部屋は広くて窓も大きくて星が綺麗で、さすがだなと関心した。
あの部屋ならきっとすぐにでもいいムードになれたはずだった。
……清潔にしていれば。
人を、しかも女性を呼ぶのにあの汚さなどういうわけなのか。
一樹には元々その気はなかったんだろうか。
優莉奈は最寄り駅まで一樹に送ってもらったあと『もう大丈夫です』と断ってひとりで帰路を歩いていた。
こんなにモヤモヤとした気持ちのまま一樹とずっと歩き続けることがしんどかったのだ。
「なぁんかなぁ……」
彼氏の部屋を掃除することくらい今までにも何度かあった。
だけどあれほど汚い部屋は見たことがなかったし、お風呂に入れられてそのまま帰されたこともなかった。
デートに正解も不正解もないけれど、今日の出来事はデートというよりも、本当に掃除婦のようだった。
このまま真っ直ぐ家に帰ってもこの気持を引きずってしまいそうだ。
明日は休みなのに、終わったことをくよくよして過ごしたくはない。
優莉奈は思い切って通勤路から脇道へとそれて歩き出した。
その先には飲み屋街が広がっていて、どこも深夜まで営業している。
少し飲んでから帰りたい気分だ。
この飲み屋街ならマンションからも近いし、遅くなったらタクシーを呼べばいい。
そう思って路地へ出たときだった。
ちょうど歩いてきた男性とぶつかりそうになって慌てて立ち止まった。
「ごめんなさい」
「いや、こちらこそ」
咄嗟に誤り合ってから相手が俊介であることに気がついた。
「あれ、なんで優莉奈がこんなところにいるんだよ?」
スーツ姿のままの俊介が驚いた様子で瞬きを繰り返す。
「それはこっちのセリフだよ。どうして俊介がこんなところにいるの?」
「俺のマンション、この近くなんだ」
「嘘。私のマンションも近くなんだけど」
まさかと思って互いのマンション名を言ってみるけれど、さすがに別の建物だった。
だけど距離としてはとても近い。
お互いにこんな至近距離に暮らしていたのに気が付かなかったのだ。
それから流れるようにしてふたりは近くの居酒屋に入った。
ビールはもう飲んだから、今回は最初からレモンサワーだ。
俊介はグレープの酎ハイを注文して、乾杯する。
「はぁ、生き返る!」
居酒屋の天井を仰ぎ見て大げさに言うと、俊介が笑い声をあげた。
「今日の仕事はハードだったもんな」
「だよね。でも俊介も頑張って定時であがってたじゃん。どうしてこの時間になったの?」
遠慮なく、ニオイの強いスルメをかじりながら優莉奈が聞く。
すると俊介は眉間にシワを寄せて考え込んでしまった。
「どうしたの? なにか嫌なことでもあった?」
「嫌なことっていうか……今日、仕事終わりに梓ちゃんとデートだったんだけど……」
俊介の話を聞くと、梓ちゃんとデートに行ったはいいけれど、ショッピングに食事に色々と連れ回された挙げ句、すべての支払を俊介がしたという。
「最後には家で食べる食材まで買わされた」
そう言って盛大なため息を吐き出す俊介に優莉奈は哀れみの視線を向けた。
「どれくらい使ったの?」
その質問に俊介は指を5本立てた。
一晩で5万円飛んだということだろう。
「仕事終わりの数時間のデートでこの金額は流石に痛い。休日に1日デートしたらどうなるんだよ……」
想像してしまったのか、一瞬にして青ざめた顔になった。
優莉奈はそんな俊介の肩をたたいて「ここは私が奢ってあげるから、元気だして」と、慰める。
「梓ちゃんにとって俺ってなんなんだろう。ただの財布かな?」
否定してあげたいけれど、否定できない。
もし本気で俊介のことを好きなら、あれもこれも遠慮なく奢ってもらったりはしないはずだ。
「俊介は仕事ができるからうちの会社に来たわけじゃない? だからお金も持ってると思われたのかもねぇ」
もちろん、俊介にお金がないとは言わない。
さっき聞いたマンションだって、このあたりでは一番家賃が高いはずだ。
「それで? そっちもなんか悲惨な顔して歩いてたよな」
そう言われてギクリとする。
俊介の話を聞いて置いて自分の話はしないなんて、さすがに心苦しくもあった。
優莉奈は話す覚悟を決めて口を開いた。
「実はね……」
ついさっきまで一樹の家にいた事。
期待していたのに、掃除だけさせられて帰されたことを説明した。
「うわ。それって俺よりも悲惨じゃん」
すごく嫌そうに顔をしかめて言われてしまった。
「うるさい! 悲惨って言うな!」
優莉奈は俊介をキッと睨んで怒鳴った。
周りもうるさいから、多少の声量は気にする必要がなかった。
それにしても、今の自分は誰がどう見ても確かに悲惨な状態だと思う。
心身ともに疲れ切っているのも事実だし。
けれどそれを他人から指摘されると、否定したくなる。
自分は不幸じゃない!と、叫びたくなる。
「俺は財布で、優莉奈は掃除婦扱いか」
遠い目をしてそんなことを言われたら、余計に自分が惨めに見えてきてしまう。
優莉奈はグラスに残っていたレモンサワーを一気に飲み干して「同じのおかわり!」と、声を張り上げる。
一樹の前では絶対にこんなことはしないけれど、俊介が相手ならなんの気兼ねもなくてすむ。
長い間離れていたのに関わらず、ふたりにはずっと一緒にいたような気楽さがあった。
隣りにいてくれると安心感もある。
「実は私の恋愛っていつもこんな感じなんだよね」
もう、なにもかも話してしまいたいという気持ちになって、ため息交じりにつぶやいた。
「そうなのか?」
聞こえていなければ話すのをやめるつもりだったけど、俊介にはちゃんと聞こえていた。
「うん。2年付き合った彼氏に3年目の記念日で振られたりとかさ……ははっ」
思い出して心がカラカラに乾燥してくのを感じる。
あのときの出来事はショックが大きすぎて、なるべく思い出さないようにしてきた。
思い出せば、すぐに心が乾いていくから。
マイちゃんがここにいれば『先輩。ムンクの叫びを灰色にしたような顔になってますよぉ?』と言われていたかもしれない。
そんなことを想像して少しだけ元気が出たとき
「そうか、優莉奈もか」
と、俊介のいかにも深刻そうな声に顔を向けた。
「へ?」
「実は俺もにたようなことばかりで恋愛が全然うまく行かないんだ。2年も付き合ったなんて、俺からみたらすごいけどな」
俊介の方は長くても一ヶ月しか続いたことがないらしい。
それは恋愛とは名ばかりのものだらけなのだそうだ。
「俊介モテそうなのに可哀想」
「可哀想って言うな。優莉奈も同じだろ」
そうだね。
私だち同じだね。
心の鬱憤を吐き出したせいか、急に酔いが回ってきた。
気持ちはスッキリしているけれどまぶたが重たい。
「おい、ここで寝るなよ。マンションまで近いんだろ?」
俊介のそんな声が遠くに聞こえてくる。
優莉奈はそのまま目を閉じて、夢を見始めた。
それは幼い頃の夢。
もうずっとずっと昔の出来事で、すっかり忘れてしまっていた出来事。
『ついたよ!』
これは誰?
夢の中の優莉奈は隣に立つ小さな男の子に混乱する。
男の子に握られている自分の手を見れば、自分も同じ位小さくなっていることに気がついた。
そうだ、これは私の記憶だ。
こんなことがずっと昔にあった気がする。
前方へ視線を向けると3段しかない石段の上には石の鳥居がどっしりと佇んでいる。
隣の男の子へ視線を戻せば、それが幼い頃の俊介であることがわかった。
可愛らしい笑顔は今も昔もそのままだ。
ふたりは鳥居の前に立ち、1度お辞儀をして境内へと足を踏み入れた。
そこは縁結びの神様として有名な場所だった。
『縁結びの神様。僕を優莉奈ちゃんのお婿さんにしてください』
『縁結びの神様。私を俊介くんのお嫁さんにしてください』
ふたりしてお辞儀をして、小さな手で柏手を打つ。
縁結びの神様……。
そこで意識が急激に現実へと引き戻されて、優莉奈がガバッと顔を上げた。
「やっと起きたか。起きなかったら置いて帰るところだった」
大人になった俊介が安堵したような、呆れたような顔で言った。
「思い出した」
「は?」
突然の優莉奈の言葉に俊介は首をかしげる。
ひどく酔っ払っていると思われたかもしれない。
「昔のことだよ。私達ふたりで縁結びの神様にお願いしたの」
まくしたてるように言う優莉奈に俊介は眉を寄せて考え込んだ。
「あぁ……そういうことがあったような気もするけど、よく思い出せないな」
「ふたりとも小さかったからね。だけど確かにお願いした」
「うん。それがなにか?」
「それが原因なんだよ!」
大きな声を上げてテーブルに身を乗り出す優莉奈を俊介が慌てて止めた。
テーブルの上にはおつまみの皿やグラスが乗っている。
優莉奈が上がれたことでグラグラと揺れて危なっかしい。
「原因ってなんのことだよ?」
「だーかーら!! 私たちの恋愛がうまく行かない原因だってば!」
「神様が俺たちの縁を結ぼうとしてるってことか?」
「そうとしか考えられないでしょ! 現に、こうして再開してるんだし!」
「それはそうだけど……」
幼い頃の願掛けが現在進行系で続いているのは到底思えない。
「あの神様ってどこにあったんだっけ?」
「地元の有名な縁結びの神様だろ?」
俊介はそう言うとスマホを取り出して検索をかけた。
出てくるのは大きな境内に見晴らしのいい景色だ。
それを見た瞬間優莉奈は首を左右に振った。
「違うよ。こんな場所じゃなかった」
「えぇ? ここだろ? ここくらいしか縁結びの神様なんてないって」
「でも違う。夢で見て思い出したんだもん。私達が行った場所はもっと木に覆われてたし、人も少なかった」
その言葉に俊介はスマホを握りしめたまま考え込んでしまった。
ここでないとすればどこなのか。
でも確かに、優莉奈の言ったような暗い境内に入っていった記憶がある。
風が吹いた時に木々がざわめいていた音が、記憶の奥底から湧き上がってくる。
「わからないな。もう少し調べてみるか」
それからふたりで一台のスマホ画面に顔を近づけて縁結びの神様について調べはじめた。
すると、有名な縁結びの神様から少し離れた箇所に、小さな神様が祀られているのがわかった。
一応ネットに情報はあるものの、写真や住所すら記載されていない。
「私達が行ったのって、ここかもしれないよね」
「そうだな。それにしても神様の名前も書かれてないとか、どんな場所だよ」
なんだかいわくつきの危険な場所じゃないかと思えてきてしまう。
「俊介、明日暇?」
突然話題が変えられて思わず「暇」と、返事をしてしまった。
本当は梓ちゃんから誘いを受けていたのだけれど、今日の出来事を思い出すととてもデートする気分にはなれない。
どうせ断るつもりでいた。
「私達の地元に戻ってみない?」
「地元って、結構遠いぞ?」
大阪よりももっと西にある地方都市だ。
新幹線を使っても行き帰りだけで5時間はかかる。
「俊介はこのまま恋愛がうまく行かなくてもいいの? 梓ちゃんを失ってもいいの!?」
そう言われるとグッと喉に言葉が詰まってしまう。
もちろん梓との関係は良好のまま続けて行きたいと思っている。
けれど早くもその願いは崩れ落ちてしまう寸前だ。
それは優莉奈にとっても同じことだった。
このままじゃ一樹との関係はうまく行かないだろう。
「わかった。それなら今日はもう帰って、明日に備えよう」
捨てていいかどうかわからないときには一樹に質問することになっている。
その一樹はさっき優莉奈が掃除を終えたソファに座ってテレビを見ていた。
最初掃除道具を出してくれた意外はなにもせずにジッと優莉奈の行動を見ていた。
掃除の仕方がわからないのだろうかと思っていたけれど、ソファが綺麗になった途端にそこに座ってリラックスしはじめてしまったのだ。
なんだかこれ、おかしくない?
せっせと掃除しながら胸の中にモヤモヤとした気持ちが広がっている。
ここは一樹の部屋で、それなのに自分ばかりが掃除をしている。
これじゃまるで掃除婦みたいだ。
そう考えて慌てて左右に首を振って考えをかき消した。
そんなことない。
私は一樹さんの彼女で、明日彼のお母さんに会うからその準備をしているんだ。
そう考えなければとても納得できない状況だった。
大きなゴミをかき集めて床のべとつきを拭き掃除でとっている間にも一樹は1人でテレビを見て笑い声を上げている。
なにがそんなに面白いのだろうと手を止めて見てみると、お笑い番組を見ていた。
優莉奈も毎週欠かさず見ていた番組に胸の中にまたモヤモヤが広がっていく。
一樹だけが楽しんでいるのではないかと、不満が膨らんでいく。
その不満をどうにか押し込めて、優莉奈は最後まで掃除をやり終えた。
ここへ来てから1時間も掃除しっぱなしだったことに気がついて驚きた。
優莉奈の好きなお笑い番組はちょうど終わったところだった。
「あ、終わった? はぁ、面白かった」
一樹が笑い泣きしながら近づいてくる。
咄嗟に優莉奈は数歩後ずさりをした。
「今私すごく汚れてるんで近づかない方がいいと思います」
誰のせいで、という部分は飲み込んだ。
その代わり、怨めしそうな視線を向ける。
けれど一樹はそんなこと気がつく様子もなく「あぁ、そうだったね」と、笑った。
「それならシャワーを浴びておいで。着替えは俺の服でいいかな?」
お風呂のドアを指差して言われて優莉奈の心臓がドクンッと跳ねる。
とりあえずメインの部屋は綺麗になったし、これからお風呂に入るというとは、そういうことだろうか?
ニコニコと微笑んでいる一樹を見ても、その心の奥まではわからない。
汗もかいたし、お風呂を貸してもらえることは、とりあえず嬉しい。
「そ、そうさせてもらいます」
妙に意識してしまう前に優莉奈は脱衣所へと急いだ。
部屋に呼ばれたときからいくらか覚悟を決めていたものの、ずっと掃除をしていたから今日はもうそういう雰囲気にはならないだろうと思っていた。
ドキドキしながら脱衣所の電気をつけた優莉奈は盛大なため息を吐きたくなった。
そこにあったのは壮絶な光景だった。
思えば、掃除ができない人間が、水場だけ清潔を保てるわけもなかったのだ。
水場は特に汚れやすい。
床には使ったのか洗ったばかりなのかわからないタオルが散乱し、洗面所にはヒゲを剃った残骸がそのまま残されている。
鏡は水垢で真っ白で見えないし、浴室にはピンク色のカビが生えている。
ここで体を洗っているのかと思うと全身に鳥肌が立った。
「こんなんで入れるわけないでしょ」
優莉奈は思わず愚痴をこぼし、掃除をするために再びビニール手袋に身に着けたのだった。
☆☆☆
つ、疲れた……。
ようやく湯船に体をつかることができた優莉奈は真っ白な天井を見つめた。
無意識のうちに大きなため息が出てしまう。
仕事とは別のずっしりとした疲れが全身を覆い尽くしている。
下手をすればこのまま湯船で眠ってしまいそうだ。
どうして私はこんなことをしているんだろうと、掃除中はずっと考えていた。
だけどこうしていいお風呂に一番に入れたことは感謝している。
本当に、ただそれだけだけれど。
疲れた体を十分に伸ばせるスペースのある湯船は優莉奈の憧れだった。
いつか自分のこんなマンションに暮らすことができればと、考えたこともある。
でも、今日の出来事で広ければ広いほど掃除が大変なことがわかってしまった。
やっぱり、自分の掃除できる範囲の部屋が一番いいいのかも。
お風呂でしっかり温まってから脱衣所に出るとそこには一樹の私服が用意されていた。
白いTシャツと紺色の短パンだ。
これを着るのかと思うとドキドキしたけれど、ふと思い直してニオイを嗅いでみた。
決していやらしい気持ちがあったわけじゃない。
今までの部屋の様子を考えて、清潔かどうか心配になったのだ。
その結果、石鹸のニオイがしてホッと安堵のため息をついた。
一樹の部屋を見てしまった今、甘いときめきだってすぐに消えてしまう。
それを残念に感じながら服を着て部屋に戻ると、一樹はまだテレビを見ていた。
「あ、あのお風呂ありがとうございました」
ソファの後ろから声をかければ、一樹は顔だけで振り向いた。
「あぁ、お風呂の場お掃除もありがとう。大変だったろ」
そう言って自分の隣へ座るようにポンポンとソファを叩く。
お風呂場が散乱しているとわかっていたなら先に掃除してくれればよかったのに。
という文句は飲み込んで、優莉奈はおずおずと一樹の隣に座った。
すると自然と肩を抱かれて引き寄せられる格好になった。
「うん。いい香りがする」
まだ少し濡れている優莉奈の髪の毛に鼻を近づけてくるものだから、恥ずかしくて仕方ない。
薄れていたドキドキが舞い戻ってくるのを感じる。
「今、服は乾燥機で乾かしてるから」
知らない間に優莉奈の服を洗濯してくれていたらしい。
「ありがとうございます」
小さな心くばりが嬉しい。
ここへ来たときにはどうなることかと思ったけれど、いいムードになってきたかもしれない。
一樹の肩に頭を預けてそう思ったときだった。
「乾いたらマンションへ送っていく」
「へ?」
思わず間抜けな声が出ていた。
きっと、顔も間抜けになっていたことだろう。
「もう真っ暗だし、ここから優莉奈のマンションまでは距離があるからな」
当然のように胸を張って言う一樹に優莉奈は「あぁ、はい……」と、頷くしかなかった。
服を貸してくれたり、ソファでゆったりくつろいだりして、てっきりこのままお泊りになるかと思っていた。
そんな想像をしていたのは自分だけだったようで、途端に恥ずかしくなる。
「今日は本当にありがとう。優莉奈のおかげで明日母親が来ても大丈夫そうだ」
「そうですか……」
優莉奈はやっぱりスッキリしない気持ちで曖昧に笑ったのだった。
☆☆☆
初めての一樹の部屋は広くて窓も大きくて星が綺麗で、さすがだなと関心した。
あの部屋ならきっとすぐにでもいいムードになれたはずだった。
……清潔にしていれば。
人を、しかも女性を呼ぶのにあの汚さなどういうわけなのか。
一樹には元々その気はなかったんだろうか。
優莉奈は最寄り駅まで一樹に送ってもらったあと『もう大丈夫です』と断ってひとりで帰路を歩いていた。
こんなにモヤモヤとした気持ちのまま一樹とずっと歩き続けることがしんどかったのだ。
「なぁんかなぁ……」
彼氏の部屋を掃除することくらい今までにも何度かあった。
だけどあれほど汚い部屋は見たことがなかったし、お風呂に入れられてそのまま帰されたこともなかった。
デートに正解も不正解もないけれど、今日の出来事はデートというよりも、本当に掃除婦のようだった。
このまま真っ直ぐ家に帰ってもこの気持を引きずってしまいそうだ。
明日は休みなのに、終わったことをくよくよして過ごしたくはない。
優莉奈は思い切って通勤路から脇道へとそれて歩き出した。
その先には飲み屋街が広がっていて、どこも深夜まで営業している。
少し飲んでから帰りたい気分だ。
この飲み屋街ならマンションからも近いし、遅くなったらタクシーを呼べばいい。
そう思って路地へ出たときだった。
ちょうど歩いてきた男性とぶつかりそうになって慌てて立ち止まった。
「ごめんなさい」
「いや、こちらこそ」
咄嗟に誤り合ってから相手が俊介であることに気がついた。
「あれ、なんで優莉奈がこんなところにいるんだよ?」
スーツ姿のままの俊介が驚いた様子で瞬きを繰り返す。
「それはこっちのセリフだよ。どうして俊介がこんなところにいるの?」
「俺のマンション、この近くなんだ」
「嘘。私のマンションも近くなんだけど」
まさかと思って互いのマンション名を言ってみるけれど、さすがに別の建物だった。
だけど距離としてはとても近い。
お互いにこんな至近距離に暮らしていたのに気が付かなかったのだ。
それから流れるようにしてふたりは近くの居酒屋に入った。
ビールはもう飲んだから、今回は最初からレモンサワーだ。
俊介はグレープの酎ハイを注文して、乾杯する。
「はぁ、生き返る!」
居酒屋の天井を仰ぎ見て大げさに言うと、俊介が笑い声をあげた。
「今日の仕事はハードだったもんな」
「だよね。でも俊介も頑張って定時であがってたじゃん。どうしてこの時間になったの?」
遠慮なく、ニオイの強いスルメをかじりながら優莉奈が聞く。
すると俊介は眉間にシワを寄せて考え込んでしまった。
「どうしたの? なにか嫌なことでもあった?」
「嫌なことっていうか……今日、仕事終わりに梓ちゃんとデートだったんだけど……」
俊介の話を聞くと、梓ちゃんとデートに行ったはいいけれど、ショッピングに食事に色々と連れ回された挙げ句、すべての支払を俊介がしたという。
「最後には家で食べる食材まで買わされた」
そう言って盛大なため息を吐き出す俊介に優莉奈は哀れみの視線を向けた。
「どれくらい使ったの?」
その質問に俊介は指を5本立てた。
一晩で5万円飛んだということだろう。
「仕事終わりの数時間のデートでこの金額は流石に痛い。休日に1日デートしたらどうなるんだよ……」
想像してしまったのか、一瞬にして青ざめた顔になった。
優莉奈はそんな俊介の肩をたたいて「ここは私が奢ってあげるから、元気だして」と、慰める。
「梓ちゃんにとって俺ってなんなんだろう。ただの財布かな?」
否定してあげたいけれど、否定できない。
もし本気で俊介のことを好きなら、あれもこれも遠慮なく奢ってもらったりはしないはずだ。
「俊介は仕事ができるからうちの会社に来たわけじゃない? だからお金も持ってると思われたのかもねぇ」
もちろん、俊介にお金がないとは言わない。
さっき聞いたマンションだって、このあたりでは一番家賃が高いはずだ。
「それで? そっちもなんか悲惨な顔して歩いてたよな」
そう言われてギクリとする。
俊介の話を聞いて置いて自分の話はしないなんて、さすがに心苦しくもあった。
優莉奈は話す覚悟を決めて口を開いた。
「実はね……」
ついさっきまで一樹の家にいた事。
期待していたのに、掃除だけさせられて帰されたことを説明した。
「うわ。それって俺よりも悲惨じゃん」
すごく嫌そうに顔をしかめて言われてしまった。
「うるさい! 悲惨って言うな!」
優莉奈は俊介をキッと睨んで怒鳴った。
周りもうるさいから、多少の声量は気にする必要がなかった。
それにしても、今の自分は誰がどう見ても確かに悲惨な状態だと思う。
心身ともに疲れ切っているのも事実だし。
けれどそれを他人から指摘されると、否定したくなる。
自分は不幸じゃない!と、叫びたくなる。
「俺は財布で、優莉奈は掃除婦扱いか」
遠い目をしてそんなことを言われたら、余計に自分が惨めに見えてきてしまう。
優莉奈はグラスに残っていたレモンサワーを一気に飲み干して「同じのおかわり!」と、声を張り上げる。
一樹の前では絶対にこんなことはしないけれど、俊介が相手ならなんの気兼ねもなくてすむ。
長い間離れていたのに関わらず、ふたりにはずっと一緒にいたような気楽さがあった。
隣りにいてくれると安心感もある。
「実は私の恋愛っていつもこんな感じなんだよね」
もう、なにもかも話してしまいたいという気持ちになって、ため息交じりにつぶやいた。
「そうなのか?」
聞こえていなければ話すのをやめるつもりだったけど、俊介にはちゃんと聞こえていた。
「うん。2年付き合った彼氏に3年目の記念日で振られたりとかさ……ははっ」
思い出して心がカラカラに乾燥してくのを感じる。
あのときの出来事はショックが大きすぎて、なるべく思い出さないようにしてきた。
思い出せば、すぐに心が乾いていくから。
マイちゃんがここにいれば『先輩。ムンクの叫びを灰色にしたような顔になってますよぉ?』と言われていたかもしれない。
そんなことを想像して少しだけ元気が出たとき
「そうか、優莉奈もか」
と、俊介のいかにも深刻そうな声に顔を向けた。
「へ?」
「実は俺もにたようなことばかりで恋愛が全然うまく行かないんだ。2年も付き合ったなんて、俺からみたらすごいけどな」
俊介の方は長くても一ヶ月しか続いたことがないらしい。
それは恋愛とは名ばかりのものだらけなのだそうだ。
「俊介モテそうなのに可哀想」
「可哀想って言うな。優莉奈も同じだろ」
そうだね。
私だち同じだね。
心の鬱憤を吐き出したせいか、急に酔いが回ってきた。
気持ちはスッキリしているけれどまぶたが重たい。
「おい、ここで寝るなよ。マンションまで近いんだろ?」
俊介のそんな声が遠くに聞こえてくる。
優莉奈はそのまま目を閉じて、夢を見始めた。
それは幼い頃の夢。
もうずっとずっと昔の出来事で、すっかり忘れてしまっていた出来事。
『ついたよ!』
これは誰?
夢の中の優莉奈は隣に立つ小さな男の子に混乱する。
男の子に握られている自分の手を見れば、自分も同じ位小さくなっていることに気がついた。
そうだ、これは私の記憶だ。
こんなことがずっと昔にあった気がする。
前方へ視線を向けると3段しかない石段の上には石の鳥居がどっしりと佇んでいる。
隣の男の子へ視線を戻せば、それが幼い頃の俊介であることがわかった。
可愛らしい笑顔は今も昔もそのままだ。
ふたりは鳥居の前に立ち、1度お辞儀をして境内へと足を踏み入れた。
そこは縁結びの神様として有名な場所だった。
『縁結びの神様。僕を優莉奈ちゃんのお婿さんにしてください』
『縁結びの神様。私を俊介くんのお嫁さんにしてください』
ふたりしてお辞儀をして、小さな手で柏手を打つ。
縁結びの神様……。
そこで意識が急激に現実へと引き戻されて、優莉奈がガバッと顔を上げた。
「やっと起きたか。起きなかったら置いて帰るところだった」
大人になった俊介が安堵したような、呆れたような顔で言った。
「思い出した」
「は?」
突然の優莉奈の言葉に俊介は首をかしげる。
ひどく酔っ払っていると思われたかもしれない。
「昔のことだよ。私達ふたりで縁結びの神様にお願いしたの」
まくしたてるように言う優莉奈に俊介は眉を寄せて考え込んだ。
「あぁ……そういうことがあったような気もするけど、よく思い出せないな」
「ふたりとも小さかったからね。だけど確かにお願いした」
「うん。それがなにか?」
「それが原因なんだよ!」
大きな声を上げてテーブルに身を乗り出す優莉奈を俊介が慌てて止めた。
テーブルの上にはおつまみの皿やグラスが乗っている。
優莉奈が上がれたことでグラグラと揺れて危なっかしい。
「原因ってなんのことだよ?」
「だーかーら!! 私たちの恋愛がうまく行かない原因だってば!」
「神様が俺たちの縁を結ぼうとしてるってことか?」
「そうとしか考えられないでしょ! 現に、こうして再開してるんだし!」
「それはそうだけど……」
幼い頃の願掛けが現在進行系で続いているのは到底思えない。
「あの神様ってどこにあったんだっけ?」
「地元の有名な縁結びの神様だろ?」
俊介はそう言うとスマホを取り出して検索をかけた。
出てくるのは大きな境内に見晴らしのいい景色だ。
それを見た瞬間優莉奈は首を左右に振った。
「違うよ。こんな場所じゃなかった」
「えぇ? ここだろ? ここくらいしか縁結びの神様なんてないって」
「でも違う。夢で見て思い出したんだもん。私達が行った場所はもっと木に覆われてたし、人も少なかった」
その言葉に俊介はスマホを握りしめたまま考え込んでしまった。
ここでないとすればどこなのか。
でも確かに、優莉奈の言ったような暗い境内に入っていった記憶がある。
風が吹いた時に木々がざわめいていた音が、記憶の奥底から湧き上がってくる。
「わからないな。もう少し調べてみるか」
それからふたりで一台のスマホ画面に顔を近づけて縁結びの神様について調べはじめた。
すると、有名な縁結びの神様から少し離れた箇所に、小さな神様が祀られているのがわかった。
一応ネットに情報はあるものの、写真や住所すら記載されていない。
「私達が行ったのって、ここかもしれないよね」
「そうだな。それにしても神様の名前も書かれてないとか、どんな場所だよ」
なんだかいわくつきの危険な場所じゃないかと思えてきてしまう。
「俊介、明日暇?」
突然話題が変えられて思わず「暇」と、返事をしてしまった。
本当は梓ちゃんから誘いを受けていたのだけれど、今日の出来事を思い出すととてもデートする気分にはなれない。
どうせ断るつもりでいた。
「私達の地元に戻ってみない?」
「地元って、結構遠いぞ?」
大阪よりももっと西にある地方都市だ。
新幹線を使っても行き帰りだけで5時間はかかる。
「俊介はこのまま恋愛がうまく行かなくてもいいの? 梓ちゃんを失ってもいいの!?」
そう言われるとグッと喉に言葉が詰まってしまう。
もちろん梓との関係は良好のまま続けて行きたいと思っている。
けれど早くもその願いは崩れ落ちてしまう寸前だ。
それは優莉奈にとっても同じことだった。
このままじゃ一樹との関係はうまく行かないだろう。
「わかった。それなら今日はもう帰って、明日に備えよう」
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