天界へ行ったら天使とお仕事する事になりました

mana.

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本編

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蓋を開けてみたら。

「じゃあ、行きましょうか。」

「うん。」

アルさんとはペアにならず、今回はネル姉さんとのペアだった。

「クスクス、ルカは本当に正直よねぇ。」

「え?」

「顔に書いてるわよ、残念って。」

「ゴメン、そんなつもりは…」

「良いのよ~、確かに基本はアルと一緒なんだけと今回は子ども相手じゃない?だからアルから頼まれたのよ。」

「そうなんだ。」

「子どもによく泣かれてたからねぇ。」

そう言うと、ネル姉さんは書類を確認しながら言った。

「ん~…今回は…2週間程異世界出張ねぇ…大丈夫なの?」

「え?」

「2週間も離れたらアルがいつも以上に激しくなっちゃうんじゃないかしら?」

「……激しく…?」

確かにアルさんから何度もイかされてはいるけど眠れば翌日は元気になっている。
いつも以上に激しくって…俺が姉さんの言葉の理解に苦しんでると、ネル姉さんが耳元で囁いた。

「抱き潰されちゃうんじゃないかって事よ♡」

___カァッ!___

「それはまだだよっ!」

赤くなって俺が返事をしたら真顔になったネル姉さんに両肩を掴まれた。

___ガシッ!___

「……え゛?」

「……え?」

何か俺、変な事言ったかな?

「……もう一度聞くわ……アイツ…最後までしてないの?」

___カァァァ…___

「………それは…まだ……って、何言わされてんだよっ。」

「えぇえ⁉地上界じゃ最低限の付き合いはあったから不能じゃ無いはずよっ。」

「……付き合ってたんだ…」

「…あ゛…いやっ、でもそれはすぐに別れたのよっ?」

そうだよね…アルさんカッコイイし……こんな子どもみたいな俺だと抱く気になれないよね……ネル姉さんが一生懸命フォローしてくれた。
俺の中に小さな不安が出来てしまったものの樹の子どもと会って話す事が先だ。
不安を押しのけて樹がいる異世界へ行くと、カイルが出迎えてくれた。

「アルじゃねぇのか。」

「あら、アルじゃなくて悪かったわねぇ。」

「いや、アンタの方が良い。瑠佳もよく来たな、俺達の子ども…やっぱり転生者だったんだな。」

「うん、樹と同じ病気で転生した子だよ。」

「…そうか…」

カイルが子どものいる部屋へと案内してくれた。

「樹は今は身体の調子が悪くて眠っている、良かったらクォーレの相手をしてやってくれ。クォーレ、お客様だ。」

「はぁい。」

パタパタとやって来たのはカイルに似た耳と尻尾を生やし、目元と鼻筋は樹に似た男の子だった。

「はじめまして、クォーレです。」

「はじめまして、俺はルカ。よろしくね。」

「そちらのお姉さんは…」

「ウフフ、はじめまして。私はネル、みんなはネル姉さんって呼ぶわ。」

「じゃあ僕もそう呼ばせてもらいます。」

見た目は2~3歳児なのに話し方は小学生だ。
獣人は生まれてすぐの成長が早く、クォーレもまだ生後半年だが身体が大きい。
調査書によると、この時期の言葉はまだ覚束ないはずなのにここまで流暢なのを不思議に思ったカイルが先に神殿へと子どもを連れて行った時に出張所と繋がりアルさんが対応したらしい。
そこから色々とアルさんが他部署と連携して俺に繋いでくれたんだ。

「クォーレくんは…」

「クォーレで大丈夫ですよ。」

「じゃあ…クォーレは前はどこに生まれたの?」

「はい、地球と言う星で生まれました。」

「名前は覚えてる?」

「名前は…」

こんな事を聞かなくても調査書に載ってはいるんだけど、コミュニケーションも兼ねて載っている事を聞いていった。
名前は覚えてはおらず、自分が病気になり転生希望でこの世界へ来た事は覚えている。

そして…

「転生前に、ママが泣いてる姿が見えて……神様がこの人の子になってもらえる?って聞かれて…うんって、言ったの。」

調査書では樹の妊娠はなかなか叶わなかったらしく、悲しくて泣いてしまった事もあったらしい。

「お腹の中で落っこちないようにギュッてしてたんですっ。」

…なるほど…それで血管が絡みついての大量出血か。
胎盤癒着で大量出血…って。

「樹の体調不良は貧血だから、今回フォローとして貧血を治す薬も持ってきてるわよ。」

「ありがとう、ネル姉さん。」

「樹の大切な子だもの、当たり前でしょ。」

会いに来てくれた時、やっぱり本調子ではなかったんだな。
この世界の医療は病気のない世界だから俺達の生きていた世界程発達してはいない。
怪我に対してはポーションがあるが、それだけでは難しく鉄分豊富な食べ物だけでは補えてはいないんだろう。
病気がないって言われても健康の線引きが曖昧なんだ。
樹は文字通り、命懸けで産んだんだ。
今後もしっかりとフォローしなくちゃな。

「クォーレ。」

「何ですか?」

俺はクォーレを抱き締めて言った。

「2人の子どもで良かった?」

「もちろんです。僕、パパとママが大好きです。」

「そっか…俺も…大好きだよ。」

……ヤバい…泣きそうだ。

「クォーレ…君に本当に会いたかった。生まれてくれて…ありがとう。」

「はいっ。」

キュッと、クォーレが抱き返してくれる。
小さな手が温かくて…ふくふくの頬が柔らかくて……2人の待ち望んだこの小さな命に感謝と会えた喜びに涙が溢れた。

「あらあら、大人が泣いちゃって~。」

「お兄さん、大丈夫ですか⁉」

「…グズッ…大丈夫……」

涙が止まらず抱き締めていると、クォーレが優しく背中を叩いてくれた。

「大丈夫…大丈夫…」

___ポン…ポン___

「僕が生まれる前の事を思い出して泣くと、ママがこうやってポンポンしてくれるんです。」

「いやんっ、良い子っっ!」

本当に生まれてくれて…ありがとう。
その後、俺達は樹の部屋へと移動し樹に薬を飲ませて宿へと移動した。
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