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本編
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「本当にやるの?」
いくら人が居ないからって。
「あぁ、道具を使って人間が来ないようにしたからな。」
道具?
あ、あの地上界で人払いをする時に使うやつ、使って良いの⁉
「良いんじゃないか?」
「ウフフ~、腕が鳴るわね。」
「あ!僕、ハンデが欲しいんだけどっ!」
___バサァッ‼___
晴れた空に真っ白な羽根が宙を舞う。
氷上に着く前にキラキラと消えていき、綺麗なんだけど羽根を出した理由が理由なので素直に感動出来ない。
人間の姿のままでもみんな容姿は整っているので、万が一人間が立ち入っても撮影で済まされそうな感じだ。
……別の理由で見たかったよ……
「…大丈夫だ…ルカの唇は俺が守るから。」
いや、アルさん…俺、そこを心配してる訳じゃないから。
「あ~らぁ~、それはどうかしらぁ?私、こう見えて地上界で毎年スケートリンクで滑って氷上の女神って言われてんのよ。」
そうだね、カフェでお客さんから聞いたよ。
「あ、この前地上界の動物の資料で見たぞ。氷上のゴリラじゃないのか?」
ゼスさん、ゴリラ知ってたんだ。
「女神っつ~てんだろがっ!しかも野生のゴリラはそんな地域に存在しないからっ!」
「僕も女神様みたいに優雅に走れるよっ!」
何だか変な方向に行ってるなぁ。
でも、この雰囲気…楽しいな。
樹が天に帰ってから、俺はここまで親しくなる友達や恋人を作らなかった。
学生に戻ったようだ。
「クスクス、みんな準備は良い?」
俺が声を掛けると我に返ったみんながスタートラインに立った。
「用~意………スタートッ!」
___ビュンッッ!___
「わぁっ!」
そしてあっという間にアルさんの勝利が決定した。
****************
コテージに戻ってみんなで夕食を済ませた後、アルさんから散歩に誘われた。
ヘミーは体力を使い果たしたようで『もう寝る…』と、早々と部屋へと戻り、ゼスさんとネル姉さんはコッソリ持ってきた地上界のワインを飲むと話していた。
俺はそんなにたくさんお酒は飲まないし、アルさんと一緒に外に出た。
湖に行くと思ったら逆の方向で少し離れた小高い丘に行った。
「寒くないか?」
「うん、歩いていたら温かくなったしね。」
アルさんと話しながら歩いてると全く寒くなかった。
「わぁ…」
小高い丘から見る満天の星空がまるで俺達に向かって落ちてきそうだ。
少し…怖いかな。
___フワッ___
「……ルカ…」
「あ…」
アルさんが俺に自分のマフラーを掛けてくれた。
何となくマフラーをせずに出ちゃったけど、寒いと思われたのかな?
「ありがと…寒い訳じゃないんだけど…」
「そうか…でも…」
そう言ってアルさんは優しくマフラーを巻いてくれた。
首元からアルさんの香りがする。
まるでアルさんに抱き締めてもらってるみたいだ。
「…ルカ…今日の褒美の話しなんだが……」
「あ、そうだねっ。アルさん、勝ってくれてありがとう。」
1番となったアルさんは「そんな軽々しくみんなの前でするもんじゃない。」と、みんなに話してくれた。
「いや……それなんだが…」
「え?」
「今……してもらっても…良いか?」
「今?」
「…あぁ…」
少し暗くて分からないけど、アルさん…顔が真っ赤?
「その…誰も見てないから……」
大きな身体を少し縮こませてゴニョゴニョ言うアルさん……可愛い。
「うん、良いよ。」
何故かすんなりと言葉をする事が出来た。
それはきっとアルさんが好きだから。
「…アルさん…少し屈んで。」
「……分かった…」
アルさんが身体を少し屈んでくれて顔が近付いた。
綺麗な金髪の髪に吸い込まれそうな琥珀色の瞳…
「目……瞑って…」
「ん…」
俺はアルさんの両方の頬に手を置いて……唇に軽くキスをした。
___チュ…___
1番のご褒美に唇にキス。
ネル姉さんも冗談で言ってたし、俺も今なら冗談で済ませるよね。
「…アルさん、1番…おめで…っ……んんっ。」
___グイッ!___
そう思っていたら、急にアルさんが俺の腰を引き寄せて再びキスをした。
「アルさ……んっ…」
軽く小鳥が啄むキスだけど…
「んっ……ん……んんっ」
どうしよう……樹のキスと違って……甘い。
___バッ!___
「……っ、すまないっ!」
難しい顔をしたアルさんが俺を抱き締めて言った。
「………好きだ…ルカ。」
「…え?」
「すまない…まさか口にキスをされるとは思わず嬉しさのあまり……こんな事ならみんなの前で……いやいや、ルカのこんな姿は……っ、じゃないっ、順番が逆になったが…俺は…ルカ、お前の事が……す……好き…なんだ…」
___ギュウ…___
アルさんが…俺の事を……?
「……っ…」
ギュウッと、抱き締めてくれるアルさんの温かさと俺が望んでいた言葉に俺は言葉が詰まった。
「…っ、大丈夫か?……ルカッ⁉」
___ツゥ…___
「……あれ…?」
涙が……
「すまないっ、俺が強く抱き締めてたからっ…」
オロオロとしながらも優しく涙を拭いてくれるアルさん。
……そっか、俺…嬉しいんだ。
「ううん…」
___ポフッ___
「大丈夫…嬉しかった…だけ。」
「……っ…そう…かっ。」
「…うん…でも…俺…あんなキス…初めてだったから…」
「そそそ…それはっ…すまないと思っているっ!」
慌てふためきながらも優しく俺の腰に手を回してくれて俺を見詰めてくれる。
「ううん、ただ…キスは2人だけの時が良いな。」
ドキドキが止まらないから。
___ボヒュッ!___
「………っっ!分かった‼」
顔を真っ赤にしてアルさんは返事をしてくれた。
その後、もう一度したいと言われてしたキスもとても優しくて……カイルの話していた俺と樹のキスがどれだけ幼稚だったのかを実感するキスだった。
いくら人が居ないからって。
「あぁ、道具を使って人間が来ないようにしたからな。」
道具?
あ、あの地上界で人払いをする時に使うやつ、使って良いの⁉
「良いんじゃないか?」
「ウフフ~、腕が鳴るわね。」
「あ!僕、ハンデが欲しいんだけどっ!」
___バサァッ‼___
晴れた空に真っ白な羽根が宙を舞う。
氷上に着く前にキラキラと消えていき、綺麗なんだけど羽根を出した理由が理由なので素直に感動出来ない。
人間の姿のままでもみんな容姿は整っているので、万が一人間が立ち入っても撮影で済まされそうな感じだ。
……別の理由で見たかったよ……
「…大丈夫だ…ルカの唇は俺が守るから。」
いや、アルさん…俺、そこを心配してる訳じゃないから。
「あ~らぁ~、それはどうかしらぁ?私、こう見えて地上界で毎年スケートリンクで滑って氷上の女神って言われてんのよ。」
そうだね、カフェでお客さんから聞いたよ。
「あ、この前地上界の動物の資料で見たぞ。氷上のゴリラじゃないのか?」
ゼスさん、ゴリラ知ってたんだ。
「女神っつ~てんだろがっ!しかも野生のゴリラはそんな地域に存在しないからっ!」
「僕も女神様みたいに優雅に走れるよっ!」
何だか変な方向に行ってるなぁ。
でも、この雰囲気…楽しいな。
樹が天に帰ってから、俺はここまで親しくなる友達や恋人を作らなかった。
学生に戻ったようだ。
「クスクス、みんな準備は良い?」
俺が声を掛けると我に返ったみんながスタートラインに立った。
「用~意………スタートッ!」
___ビュンッッ!___
「わぁっ!」
そしてあっという間にアルさんの勝利が決定した。
****************
コテージに戻ってみんなで夕食を済ませた後、アルさんから散歩に誘われた。
ヘミーは体力を使い果たしたようで『もう寝る…』と、早々と部屋へと戻り、ゼスさんとネル姉さんはコッソリ持ってきた地上界のワインを飲むと話していた。
俺はそんなにたくさんお酒は飲まないし、アルさんと一緒に外に出た。
湖に行くと思ったら逆の方向で少し離れた小高い丘に行った。
「寒くないか?」
「うん、歩いていたら温かくなったしね。」
アルさんと話しながら歩いてると全く寒くなかった。
「わぁ…」
小高い丘から見る満天の星空がまるで俺達に向かって落ちてきそうだ。
少し…怖いかな。
___フワッ___
「……ルカ…」
「あ…」
アルさんが俺に自分のマフラーを掛けてくれた。
何となくマフラーをせずに出ちゃったけど、寒いと思われたのかな?
「ありがと…寒い訳じゃないんだけど…」
「そうか…でも…」
そう言ってアルさんは優しくマフラーを巻いてくれた。
首元からアルさんの香りがする。
まるでアルさんに抱き締めてもらってるみたいだ。
「…ルカ…今日の褒美の話しなんだが……」
「あ、そうだねっ。アルさん、勝ってくれてありがとう。」
1番となったアルさんは「そんな軽々しくみんなの前でするもんじゃない。」と、みんなに話してくれた。
「いや……それなんだが…」
「え?」
「今……してもらっても…良いか?」
「今?」
「…あぁ…」
少し暗くて分からないけど、アルさん…顔が真っ赤?
「その…誰も見てないから……」
大きな身体を少し縮こませてゴニョゴニョ言うアルさん……可愛い。
「うん、良いよ。」
何故かすんなりと言葉をする事が出来た。
それはきっとアルさんが好きだから。
「…アルさん…少し屈んで。」
「……分かった…」
アルさんが身体を少し屈んでくれて顔が近付いた。
綺麗な金髪の髪に吸い込まれそうな琥珀色の瞳…
「目……瞑って…」
「ん…」
俺はアルさんの両方の頬に手を置いて……唇に軽くキスをした。
___チュ…___
1番のご褒美に唇にキス。
ネル姉さんも冗談で言ってたし、俺も今なら冗談で済ませるよね。
「…アルさん、1番…おめで…っ……んんっ。」
___グイッ!___
そう思っていたら、急にアルさんが俺の腰を引き寄せて再びキスをした。
「アルさ……んっ…」
軽く小鳥が啄むキスだけど…
「んっ……ん……んんっ」
どうしよう……樹のキスと違って……甘い。
___バッ!___
「……っ、すまないっ!」
難しい顔をしたアルさんが俺を抱き締めて言った。
「………好きだ…ルカ。」
「…え?」
「すまない…まさか口にキスをされるとは思わず嬉しさのあまり……こんな事ならみんなの前で……いやいや、ルカのこんな姿は……っ、じゃないっ、順番が逆になったが…俺は…ルカ、お前の事が……す……好き…なんだ…」
___ギュウ…___
アルさんが…俺の事を……?
「……っ…」
ギュウッと、抱き締めてくれるアルさんの温かさと俺が望んでいた言葉に俺は言葉が詰まった。
「…っ、大丈夫か?……ルカッ⁉」
___ツゥ…___
「……あれ…?」
涙が……
「すまないっ、俺が強く抱き締めてたからっ…」
オロオロとしながらも優しく涙を拭いてくれるアルさん。
……そっか、俺…嬉しいんだ。
「ううん…」
___ポフッ___
「大丈夫…嬉しかった…だけ。」
「……っ…そう…かっ。」
「…うん…でも…俺…あんなキス…初めてだったから…」
「そそそ…それはっ…すまないと思っているっ!」
慌てふためきながらも優しく俺の腰に手を回してくれて俺を見詰めてくれる。
「ううん、ただ…キスは2人だけの時が良いな。」
ドキドキが止まらないから。
___ボヒュッ!___
「………っっ!分かった‼」
顔を真っ赤にしてアルさんは返事をしてくれた。
その後、もう一度したいと言われてしたキスもとても優しくて……カイルの話していた俺と樹のキスがどれだけ幼稚だったのかを実感するキスだった。
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