可愛くなりたい訳じゃない!

mana.

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学園で婚約を正式に発表された。

「荷物は移動できたのか?」

「もう少し…かな。」

俺は特別カリキュラムになってしまうため、別室授業となって荷物を別室へと運んでいる。
普通なら従者にさせるんだけど、ここは学園。
「自分のことは自分で」と指導されているので、従者や御者は控室にいるが基本自分でやることになっている。
騎士を目指すのを諦めるのは…複雑だけど。

「一緒に勉強できないの…寂しいよ…」
「そっちに遊びに行けば良いだけの話だ。そんな悲しい顔をしないで…コーラル。チュッ。」
「…ジルコンさんもそっちに行くのか…」
「…俺は…別室で良かったと思う。」

…何か俺への言葉じゃないのが1つあるよな。

「別の部屋で良かったって…酷いなベリル。」

「…違う、離れたいわけじゃない。」

ベリルが俺の手を取り、静かにキスをして見上げた。

「チュ…日に日に艶が出るお前を他の奴らに…見せたくない。」

___ボッ!___

「…っっっ!!!」

恥ずかしぃぃぃっ!!!

「良いなぁ…」

「チュッ、こんな言葉で良いならいつでも言うぞ。」

「アウィン…♡」

「…良いなぁ…俺も言ってみたい。」

「いやいや、そこの3人!聞こえてるからね?」

俺への心配はないのか!

「…無理はするなよ。」

「そうだね、嫌になったらいつでもこっちに戻ったら良い。」

「そうだな、さっき言ったのは本気だ。寂しいならいつでも顔を出しに行くから。」

「みんな…」

入学から友達の3人。もう俺にとって家族のような存在だ。

そして……

「チュ。俺は…毎日必ず顔を見に行く。送り迎えも…俺の特権だ。」

大好きな人も…

「…ん…」

「あ、そういえば。」

「どうした?」

「あぁ、ロードから聞いたんだが…」

俺の空いた席を聖女にとロードに話していたのが王宮の議題で通ったのか、聖女がこの学園に戻ってくるという話を聞いた。



*****************



「本当に…申し訳ございませんでした。」

新しく移動した俺の別室で、俺とガーネット・ロードとベリルは聖女の丁寧な謝罪を受けていた。

「……いや、俺は…被害は無かったし。」

「あっただろう。ガーネットを見て心を痛めた。」

「…どこまで過保護が進んでるんだよ、ベリル。俺よりもこの2人にだろ?」

腰を引き寄せられ、悲しい顔で言われても…なぁ…と、横を見たら俺と同じ状態のガーネットがいた。

「…いえ…私は私の使命を果たしただけだから…」

「何て君は優しいんだ…」

この2人、似た者同士だな。

「いいえ、私も聖女と認められて舞い上がってました。もう一度、この学園で勉強するチャンスを頂けて…本当に感謝しております。」

「それこそ、その件に関してはガーネットとリオに感謝して欲しい。」

「「…え?」」

「俺が修道院でそのまま勉学を進めるように提案したのを呈したのはガーネットだ。そしてタイミングよく自分の席が空くからと、復学を提案したのはリオなのだから。」

「…っ……」

ロードの話を聞き、見開いた聖女の目から大粒の涙が溢れた。

「……わ…私は、将来を担うロード様の助けにもなるストロベリー様が修道院で過ごすのは良くないと思っただけですわ。しかも、孤児院で貴女の過去を伺ったけど、元々悪い人ではなさそうだったもの。」

「まぁ…俺も…似たようなもんかなぁ。」

転生したのを自覚した時の気持ちの混乱はよく分かるしなぁ。
…まぁ、聖女の暴走は俺も驚いたけど。

「本当に…本当に、ありがとう…ございます…」

「修道院からは日に日に落ち着いて、今はこちらで勉学を励んでも問題はないと聞いている。チャーム封印もされたようだしな。」

「はい。」

「念の為、君は修道院からの通いとなる。これからは善行にも勉学にも励んでほしい。」

聖女は泣きながらも俺達の目を見て嬉しそうに頷いた。
この2年は厳しい日々だったとは思うが、徐々に自分を取り戻していったようだ。

「じゃあ、俺達は先に教室へ行ってくる。まだまだ謝罪しなければいけない人は多いしな。あ、用事でドアにいるラリマーを借りるから、ベリルは少しここで待っててくれ。」

「では…ストロベリー様、参りましょうか。」

「はい。」

ロード達は教室へと向かい、別室には俺とベリルが残された。

「優しいな、お前は。」

「優しいのはガーネットだよ。俺は提案しただけ。」

転生して混乱状態の中、いくら人に恵まれた孤児院とはいえ金銭的なものや今まで培ったものとの差は俺よりも開きがあっただろう。
『攻略対象』とか話してるなら俺と同じ時代の子かもしれない。
それなら尚更孤児院の環境と転生前の記憶が戻ったストロベリーの知識では、ある程度環境整った貴族の俺とは全く違ったはずだ。
救い上げてくれた後見人や王宮の魔道士達は彼女にとっては救世主。
環境が転生前に近付いて、幸せいっぱいで気が付いたら周りは自分の知ってるファンタジーワールドだ。
そりゃ、テンションも爆上がりだよな。
俺は本当に恵まれた環境だとしみじみ思う。
だからこそ、聖女の助けになれるならなりたいとも思った。

「…惚れたのか?」

「バカッ、んなわけないだろ?」

いくら可愛くて性格も良くなって同じ転生者としても、俺は美乳が良いの!

「……本当に?」

考え事の間に気付けばベリルに距離を詰められていた。

「……本当…だってば。」

意識してからはどうも、こういう行為が恥ずかしい…

「嘘だ。」

ジリジリと後ろへ逃げていて、気づいた時には背中は壁に当たっていた。
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