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「マコ、ここに座りなさい。」
「……やだ…って、わわっ!」
何となく説教されると思っていたので断ったら無理矢理抱き上げられてソファーに座らされた。
「………何だよ…」
「ハァ…マコは自覚なさ過ぎ。」
ユキに1人で勝手に人気の無い所に行くなと説教された。
確かにさ…攻略対象の2人に変な絡まれ方したけどさぁ…俺、モブよ?お助けキャラよ??
基本どこに行っても大丈夫なはずじゃん。
少し不満があったので反論したらケンカになり、俺達は寝る以外別行動となった。
今までならユキから謝ってくるのにその気配もなく1週間が過ぎ…流石に不安になった時に用事が一段落ついた実咲が休日ランチに誘ってくれた。
「…で、何でこうなってんの?やっと3人で一緒にいれると思ったらユキに断られたんだけど?」
「……俺、悪くないもん。」
「もん…じゃ、分かんないだろ。」
ケンカの事情を説明し、話しが終わると実咲から同じ事を言われた。
「そりゃ、マコが悪い。」
「えぇ⁉何でだよっ。」
「そろそろ寮長・副寮長の選抜だろ?マコ、結構世話好きだから目を付けられてんだよ。」
「そうなのか?」
「俺達の生徒会とかの手伝いの件だって、元々はマコに頼もうとしてたのを俺達がそれぞれ受け持ったんだからな。そうじゃなきゃ、今頃お前は生徒会関係者だ。」
「えぇぇ…」
何だよ、その展開。
「ユキはお前が大変な思いをして欲しくなかったみたいだぞ。」
そっか…だからあんなに慌てて…
「ゴメン…」
「…ん…謝るの人が違うだろ?」
「うん…そうだな。でも、実咲も手伝ってくれてただろ?だから、ゴメン。」
「フフッ、俺は別にこういうのって嫌いじゃないから良いんだけどさ。」
実咲が俺の後ろに周り、俺を立ち上がらせて背中を押した。
「ま、取り敢えず謝ってこい。」
「…うん…実咲。」
「何?」
「いつもありがとな。」
「良いよ、何かあったらいつでも俺に言ってくれよな。」
「うん。」
…あれ?何か引っ掛かるけど今はそんな事言ってられない。
俺は部屋に戻ってみると1枚の紙があった。
___学校の桜の木の下に来て___
実咲とは仲良くやってはいるけど本格的な恋愛に発展していない。
多分学級委員や生徒会側でのイベントが発生しているはずだけどユキは俺以外に美咲にしか『ユキ』呼びを許してないし、あったとしても発展している気配はない。
今回いくつか違う事はあるけど、一番は俺がお助けキャラとしての役目を果たしていない事だろうか…
………ん、待てよ?………
あ、そっか。
実咲との相談を寮じゃ出来ないから学校で分かりやすい所に呼び出したのか。
実咲、毎回ノックもせずに俺達の部屋に来るもんな。
もしかしたら向こうも謝ろうとしてるのかもしれない。
フフッ、ユキも頑固なとこあるもんなぁ…うんうん、今回の人生は今までとは違うけど、財前の時に警戒すべきだったよな。
実咲以外でモブと引っ付いたらフォロー出来ないし、俺も気を引き締めないと…
俺達寮生は学校と同じ敷地内なので、自宅生と違って行き来がしやすい。
寮と学校の間にある通用門の警備員に学生証を見せて「忘れ物をした」「生徒会の用事で」と言えば通してくれる。
毎日挨拶をしているので俺やユキは尚更顔パスに近かった。
大きな桜の木の下に来ると既にユキが待っていた。
「ゴメン、待たせたな。」
まだまだ桜も咲く前で北風に葉がカラカラと鳴いている。
今日は幸い暖かい日で良かったけど、夜になったら寒くなりそうだ。
「あのさ…」
「ゴメン!」
俺が謝るより先にユキが謝ってきた。
「俺もゴメン!ユキ、実咲と一緒に俺の代わりに手伝いに行ってくれてたんだろ?それに先輩達の事も俺…知らなくて…」
それは全てユキに起こる事だったし。
「ううん、手伝いに関しては俺も言われてたから大丈夫。その時横にいた実咲も自分が手伝うって言ってくれてたし。先輩達に関しては……ゴメン…それは俺のワガママ。」
「ユキ…」
急に泣きそうな顔になったユキを見て、思わず頬に手を添えた。
「…っ…冷たっ…お前、いつからいたんだよっ!」
指先から伝わる冷たい頬に長い時間そこにいた事を物語っていた。
「マコ…俺を嫌いにならないで。」
ユキの頬に添えた俺の手の上にマコの手が重なる。
「嫌いにならないよ…ってか、なるわけ無いだろ?今回は俺が悪いし。」
大好きな推しだもん、嫌いになんてなれない。
「……き……」
「…ん?」
「マコ……好き。」
「……え…?」
「初めて会った時からずっと好きだった。」
えぇえ⁉ちょっと待って、俺モブゥッ!
思わず後ろへ後ずさったが、後ろは桜の木でそれ以上は進めなかった。
逃げようにも片手は握られたまま、もう片方の手は壁ドン状態で逃げ場がない。
「…知ってる?この桜の木の下で告白すると成就しやすいんだって。」
えぇ、知ってます!
何度もお前で経験済だからっ。
「…冬だけど…春になったらたくさんの新しい子が寮に増えるし…」
そう言ってユキは俺の手の平を自分の唇へと引き寄せた。
「…手の平じゃなく…マコの唇にキスしたい……お願い…俺を…受け入れて。」
ゆっくりと顔が近付いてくる…
「……マコ…」
そのまま唇が軽く合わさり、そしてすぐに離れた。
「…ぁ…」
ユキの唇は冷たくて…外にいた時間が長かったせいか少しカサカサしていた。
……これが部屋ならもっと変わっていたんだろうか……
「マコ…帰ろっか。」
「…うん…」
ユキと手を繋いで歩きながら…重なった唇がすぐに離れた事を俺は残念に思っていた。
「……やだ…って、わわっ!」
何となく説教されると思っていたので断ったら無理矢理抱き上げられてソファーに座らされた。
「………何だよ…」
「ハァ…マコは自覚なさ過ぎ。」
ユキに1人で勝手に人気の無い所に行くなと説教された。
確かにさ…攻略対象の2人に変な絡まれ方したけどさぁ…俺、モブよ?お助けキャラよ??
基本どこに行っても大丈夫なはずじゃん。
少し不満があったので反論したらケンカになり、俺達は寝る以外別行動となった。
今までならユキから謝ってくるのにその気配もなく1週間が過ぎ…流石に不安になった時に用事が一段落ついた実咲が休日ランチに誘ってくれた。
「…で、何でこうなってんの?やっと3人で一緒にいれると思ったらユキに断られたんだけど?」
「……俺、悪くないもん。」
「もん…じゃ、分かんないだろ。」
ケンカの事情を説明し、話しが終わると実咲から同じ事を言われた。
「そりゃ、マコが悪い。」
「えぇ⁉何でだよっ。」
「そろそろ寮長・副寮長の選抜だろ?マコ、結構世話好きだから目を付けられてんだよ。」
「そうなのか?」
「俺達の生徒会とかの手伝いの件だって、元々はマコに頼もうとしてたのを俺達がそれぞれ受け持ったんだからな。そうじゃなきゃ、今頃お前は生徒会関係者だ。」
「えぇぇ…」
何だよ、その展開。
「ユキはお前が大変な思いをして欲しくなかったみたいだぞ。」
そっか…だからあんなに慌てて…
「ゴメン…」
「…ん…謝るの人が違うだろ?」
「うん…そうだな。でも、実咲も手伝ってくれてただろ?だから、ゴメン。」
「フフッ、俺は別にこういうのって嫌いじゃないから良いんだけどさ。」
実咲が俺の後ろに周り、俺を立ち上がらせて背中を押した。
「ま、取り敢えず謝ってこい。」
「…うん…実咲。」
「何?」
「いつもありがとな。」
「良いよ、何かあったらいつでも俺に言ってくれよな。」
「うん。」
…あれ?何か引っ掛かるけど今はそんな事言ってられない。
俺は部屋に戻ってみると1枚の紙があった。
___学校の桜の木の下に来て___
実咲とは仲良くやってはいるけど本格的な恋愛に発展していない。
多分学級委員や生徒会側でのイベントが発生しているはずだけどユキは俺以外に美咲にしか『ユキ』呼びを許してないし、あったとしても発展している気配はない。
今回いくつか違う事はあるけど、一番は俺がお助けキャラとしての役目を果たしていない事だろうか…
………ん、待てよ?………
あ、そっか。
実咲との相談を寮じゃ出来ないから学校で分かりやすい所に呼び出したのか。
実咲、毎回ノックもせずに俺達の部屋に来るもんな。
もしかしたら向こうも謝ろうとしてるのかもしれない。
フフッ、ユキも頑固なとこあるもんなぁ…うんうん、今回の人生は今までとは違うけど、財前の時に警戒すべきだったよな。
実咲以外でモブと引っ付いたらフォロー出来ないし、俺も気を引き締めないと…
俺達寮生は学校と同じ敷地内なので、自宅生と違って行き来がしやすい。
寮と学校の間にある通用門の警備員に学生証を見せて「忘れ物をした」「生徒会の用事で」と言えば通してくれる。
毎日挨拶をしているので俺やユキは尚更顔パスに近かった。
大きな桜の木の下に来ると既にユキが待っていた。
「ゴメン、待たせたな。」
まだまだ桜も咲く前で北風に葉がカラカラと鳴いている。
今日は幸い暖かい日で良かったけど、夜になったら寒くなりそうだ。
「あのさ…」
「ゴメン!」
俺が謝るより先にユキが謝ってきた。
「俺もゴメン!ユキ、実咲と一緒に俺の代わりに手伝いに行ってくれてたんだろ?それに先輩達の事も俺…知らなくて…」
それは全てユキに起こる事だったし。
「ううん、手伝いに関しては俺も言われてたから大丈夫。その時横にいた実咲も自分が手伝うって言ってくれてたし。先輩達に関しては……ゴメン…それは俺のワガママ。」
「ユキ…」
急に泣きそうな顔になったユキを見て、思わず頬に手を添えた。
「…っ…冷たっ…お前、いつからいたんだよっ!」
指先から伝わる冷たい頬に長い時間そこにいた事を物語っていた。
「マコ…俺を嫌いにならないで。」
ユキの頬に添えた俺の手の上にマコの手が重なる。
「嫌いにならないよ…ってか、なるわけ無いだろ?今回は俺が悪いし。」
大好きな推しだもん、嫌いになんてなれない。
「……き……」
「…ん?」
「マコ……好き。」
「……え…?」
「初めて会った時からずっと好きだった。」
えぇえ⁉ちょっと待って、俺モブゥッ!
思わず後ろへ後ずさったが、後ろは桜の木でそれ以上は進めなかった。
逃げようにも片手は握られたまま、もう片方の手は壁ドン状態で逃げ場がない。
「…知ってる?この桜の木の下で告白すると成就しやすいんだって。」
えぇ、知ってます!
何度もお前で経験済だからっ。
「…冬だけど…春になったらたくさんの新しい子が寮に増えるし…」
そう言ってユキは俺の手の平を自分の唇へと引き寄せた。
「…手の平じゃなく…マコの唇にキスしたい……お願い…俺を…受け入れて。」
ゆっくりと顔が近付いてくる…
「……マコ…」
そのまま唇が軽く合わさり、そしてすぐに離れた。
「…ぁ…」
ユキの唇は冷たくて…外にいた時間が長かったせいか少しカサカサしていた。
……これが部屋ならもっと変わっていたんだろうか……
「マコ…帰ろっか。」
「…うん…」
ユキと手を繋いで歩きながら…重なった唇がすぐに離れた事を俺は残念に思っていた。
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