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旦那様、私をそんな目で見ないでください!17

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 家についたのは十二時を回っていた。静音さんは眠っていてくれるとありがたいのだが…。しかし、二階の彼女の部屋の灯りはまだついていた。避けていても仕方ない。よし、何でも受け入れるぞ、どんとこい。響介は気合を入れて家に入った。

 さっと風呂を済まし、少しだけテレビのスポーツ番組を見たあと部屋に入ってベッドに潜り込んだ。

 気持ちが決まったせいだろうか、今日はスッキリと眠れそうだ。そんなことを考えてウトウトしはじめたとき、ギッとドアの開く音が聞こえた。

 え?雛か?いや、雛なら、声をかけるはずだ。ってことは、静音さん?

 部屋に入ってきた人物は、響介のベッドの布団の端をそっとめくり、スルリと身体を滑り込ませてきた。

 うわっ、ど、どうしよう!振り向いて誰なのか確かめるべき?だけど、大きな物音もしてないから泥棒な訳ないし、だいたい泥棒が布団の中に入ってくるはずないし…。

 あ、この香りは…、静音さんからいつも付けているフレグランスだ。やっぱり静音さんなんだ。

 響介は覚悟を決めた。身体に従う、身体に従う。自分に言い聞かせる。

 静音は響介の背中にそっと体を寄せてきた。その生々しい感触から、彼女が何も身につけていないことが想像された。い、いきなり過激だぞ…。

 そして、彼女はそっと響介のあそこに手を伸ばし、そっと撫ではじめた。

 彼女は俺はもう寝ていると思ってるはずだ。それなのにここが反応するのはマズイよな。だけど、このまま撫で続けられたら反応するのは時間の問題だ。いきなり大問題にぶち当たったぞ凛太朗!どうすればいいんだよ。

『頭で考えるな、身体に聞け』凛太朗の無責任な言葉がよみがえる。ただ、今はその無責任なことばに頼るしか方法はない。ここで、ガバッと起きて彼女を止めることはできる。だけど、それで彼女の気持ちが収まるとは思えない。そして、俺がこれからどうすればいいのかも。もう、受け入れるしかないんだ、全て。

 静音は響介が起きないのをいいことに、ついに下着の中に手を入れて愛撫をはじめた。そうなっては、もう反応を抑えることはできなかった。あっという間に硬度をもったそれは、先端から滴をこぼしはじめる。そのしずくを絡めながら、愛撫は激しさを増していく。もう、こうなったら声もがまんしない。響介は目を閉じたまま、んっ、んんっっと甘い嬌声を出した。
その声に反応したかのように、彼女の愛撫は更に激しくなる。そして、彼女自身も興奮しているのであろう。二つの膨らみの先端が響介の背中を刺激する。手の動きに合わせて、彼女は響介の腰に自分の腰を押しつける。

 彼女の口からは時折熱い吐息が聞こえてくる。それが耳をくすぐり、響介の感覚はMAXに近づいてく。

 そして、彼女が響介の首筋に舌を這わせた瞬間、響介は彼女の手の中にすべてを放ってしまった。

「旦那様、起きてますね」

 突然話しかけられて、響介は一瞬答えに詰まった。

「…お、起きてます」

 響介は諦めて素直に答えた。

「ごめんなさい。いま拭きますね」

 静音はティッシュで響介と自分の手を拭った。

 響介はされるがままに従った。

「今日は怒らないんですね」

「あ、ああ。怒らないよ」

「こんなことしておいて言うのもおかしいんですけど、どうして急に?」

「さあ、どうしてかな?僕は、妻以外経験がないから、自分でもよく分からないんだ」

 妻の話をするのはどうかと思ったが、もう、へんな気を遣って話すのは疲れた。

「そうですか」

 静音はやはり妻の話は聞きたくなかったのかもしれない。少し考え込んだ様子で、ベッドに腰掛けていた。しかし、彼女は裸のままだ。

「風邪をひくといけない。部屋に戻ってパジャマを着た方がいい」

「そうですね」

 静音は響介の反応があまりに変わったことに、何か違和感を感じているらしい。しかし、それ以上何かを聞いてくることはなかった。

「おやすみ」

「おやすみなさい」

 静音は裸のまま響介の部屋から出て行った。

 均整のとれた綺麗な体だ。響介はそんなことを冷静に考えていた。凛太朗の言う男と女という関係にはとうていなってはいない気がする。だけど、生理的に嫌ではないといことは、今回もちゃんと確認できた。

 はあ~、俺の恋愛経験の乏しさよ…。(泣き)

 こういうことは、できればちゃんとした関係になってから行いたい。ああ、ダメだ、また頭で考えてる。

 響介は、頭から布団をかぶるとギュッと目をつぶった。きっとうまくいく。だいじょうぶだ。響介は自分に言い聞かせた。

 次の日の朝、目覚めはあまり良くない。眠れないわけではなかったが、何度も夢に彼女が現れては、自分の身体にあんなことやこんなことをするという夢を見た。おかげで、起きたときには下着はぐっしょり濡れていた。おもらしをしたみたいで非常に気持ちが悪い。こんな中高生みたいな現象を三十五歳になった自分が体験するなんて、ちょっと前には全く想像できないことだった。しかし、これが今の現実だ。響介は夜風呂に入った時に自分で洗うことにして、そっとタンスにしまった。

 今朝も一階のキッチンから朝食のいい香りがしてくる。夕べのようなことは、こういう幸せと交換なのだ。
響介は雛を起こすと、一緒に一階へと下りて行った。

 静音は特に変わった様子もなく、にこやかに給仕をしてくれた。雛も嬉しそうだ。夕べの出来事を除いてすべてが夢のように幸せだ。
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