もう君を絶対に離さない

星野しずく

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もう君を絶対に離さない.77

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「触っていい?」

「い、いちいち聞かないでよ・・・」

 余計に恥ずかしいじゃない・・・。

 あんなに強引にキスをしたくせに、胸に触れるのがこんなに緊張するのは、やはり瑠璃子の胸が特別に綺麗だからだ。



「瑠璃子・・・、ヤバい・・・」

「な、何が・・・」

「胸・・・、綺麗すぎる・・・」

「何それ・・・」

「お前のこと大好きで・・・、キスしただけでもうヤバいのに・・・、胸がこんなに綺麗とか・・・」

 守は嬉しい誤算のせいで、すっかりムードをぶち壊していることに気づいていない。



「・・・もう、私の胸がコンプレックスって知ってるでしょ?」

「どこが?コンプレックス?こんなに綺麗なのに・・・」

 もう、見ているだけで興奮しすぎて、触れた瞬間イッてしまいそうだ。



「もう、胸の話ばっかり・・・、守だけは、私の気持ち分かってくれてると思ってたのに・・・、私帰る!」

「えっ、嘘!ちょ、ちょっと、瑠璃子・・・」

 守が想像していたより、瑠璃子の胸に対するコンプレックスは大きく、その話題に触れれば触れるほど、瑠璃子の機嫌は悪くなっていくことを理解していなかった。

 瑠璃子はもの凄いスピードで服を着ると、あっという間に守のマンションから出て行ってしまった。



 う、嘘だろ・・・。

 待ちに待った初エッチなのに・・・。

 綺麗な胸を褒めたかっただけなのに・・・。

 どうしてこんなことに・・・。



 裸のままだった守は大きなくしゃみをした。

 暖房がきいた家の中とはいえ、季節は真冬だ。

 いつまでも素っ裸でいては風邪を引いてしまう。



 さっきまで元気だった自分自身も、今はすっかりその形を変えている。

 はぁ~、やっとつきあえたのに・・・、まだまだ苦労は続きそうだな~。

 守は鼻をすすりながら散らばった服をかき集めた。



 家についた瑠璃子は、さっそく守から送られてきた謝りのメッセージを完全に無視した。

 他人に言われるのは慣れていた。

 しかし、一番身近で自分のことを見てくれていた守が、いざ服を脱いだ途端、胸のことばかりを褒め始めた。



 冷静に考えれば、守が体目的ではなく、瑠璃子のことを好きでいてくれていることは分かっているつもりだった。

 だけど、やっぱりあれだけ、胸に執着されると長年のくせでおかしなスイッチが入ってしまう。

 申し訳ないがしばらく守の顔は見たくない。



 自分も少し頭を冷やさなければ・・・。

 守は悪気があった訳じゃないんだから・・・。

 でも、今すぐには無理だ・・・、少しだけ時間が必要だ。

 そんな訳で、守と瑠璃子の初エッチは無期限延期となったのだった。



 守は根気強く謝罪メッセージを送りつづけたおかげで、ようやく瑠璃子の機嫌もよくなって来て、一週間たった今ではやっとまともな日常会話ができるようになった。

 しかし、ここからセックス迄の道のりは、最初よりもむしろ遠くなってしまった。

 今週はいよいよ高校入試がある。

 守はしばらくはこの距離感を保ちつつ、期が熟すのを待つしかなかった。
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