もう君を絶対に離さない

星野しずく

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もう君を絶対に離さない.58

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「ハハッ、野崎君おもしろいね。でも、まあお互い好きなことで飯が食えるようになれたら最高だよね」

 守の発言に野崎は益々嫉妬を深めることになる。

 外見も申し分なく、性格もフランクで、その上頭も良いなんて・・・。



「お待たせ~」

 キッチンから瑠璃子が呼んでいる。

「じゃあ、ご相伴に預かりましょうか」

「はい・・・」

 野崎は守のあとについて、ダイニングに入っていった。



「あ、これ瑠璃子のお袋さんが作っただろ」

「・・・べ、別にいいでしょ。それに、少しは私も手伝ったし」

「野崎君、聞いた?人にご馳走するとか言って、母親に作ってもらうとかある」

「もう!守はいないはずだったのに~」

「だから、バレなかったって?それはそれで、もっとあくどいな。野崎君は全部お前が作ったと勘違いするじゃないか」

「ちゃ、ちゃんと本当のこと言うつもりだったし・・・」

「どうだか」



「べ、別に、そういうことは構いません。笹原さんがお食事を用意してくれただけで、嬉しいです」

「わ~、模範解答」

 守は野崎のこともツンツンとつついてきた。

「や、やめてください」

 学生時代はずっと暗いキャラで(わざわざそうしていたわけではないけれど)、そんな風に絡んでくるタイプの友人はいなかった。

 趣味を通じての友人はいたけれど、映画の話で熱くなることはあっても、そもそものキャラがチャラくないため、戯れること自体が気恥しかった。



「守、やめなよ。ほら、座って食べよう」

「瑠璃子のお袋さんの料理美味いんだよな~」

「だから、私もちゃんと一緒に作ったってば!」

 ここでも守と瑠璃子がワイワイと盛り上がるばかりで、野崎は出された料理を口に運ぶ作業をひたすら繰り返していた。



 しかし、これでよかったのかもしれない。

 二人きりになることを望んではいたが、正直二人きりになったらなったで、緊張のあまり何も話せなくなった可能性が高い。
 
 そのことを思えば、こうして守が盛り上げてくれているせいで、楽しい食事タイムという錯覚に陥ることが出来る。

 そうこうしているうちに、皿の上の料理もあらかたなくなった。



「じゃ、じゃあ僕はそろそろ・・・」

 野崎は真っ先に席を立った。

「え、もっとゆっくりしてってください。あ、このあと何か予定でも・・・?」

「い、いや・・・、そういう訳じゃないけど・・・、やっぱり失礼します」

 野崎はすでにリュックを肩にかけて玄関に向かおうとしている。



「そ、そんな・・・、まだ帰らないで・・・」

「えっ・・・」

 野崎はギョッとした表情で振り返る。

「瑠璃子、子どもみたいなこと言って困らせたらだめだろ」

 守に言われ、瑠璃子は我に返る。

「ご、ごめんなさい、私何勝手なこと言ってるんだろう・・・」

 瑠璃子はつい出てしまった本音に、自分自身が一番うろたえる。
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