58 / 86
もう君を絶対に離さない.58
しおりを挟む
「ハハッ、野崎君おもしろいね。でも、まあお互い好きなことで飯が食えるようになれたら最高だよね」
守の発言に野崎は益々嫉妬を深めることになる。
外見も申し分なく、性格もフランクで、その上頭も良いなんて・・・。
「お待たせ~」
キッチンから瑠璃子が呼んでいる。
「じゃあ、ご相伴に預かりましょうか」
「はい・・・」
野崎は守のあとについて、ダイニングに入っていった。
「あ、これ瑠璃子のお袋さんが作っただろ」
「・・・べ、別にいいでしょ。それに、少しは私も手伝ったし」
「野崎君、聞いた?人にご馳走するとか言って、母親に作ってもらうとかある」
「もう!守はいないはずだったのに~」
「だから、バレなかったって?それはそれで、もっとあくどいな。野崎君は全部お前が作ったと勘違いするじゃないか」
「ちゃ、ちゃんと本当のこと言うつもりだったし・・・」
「どうだか」
「べ、別に、そういうことは構いません。笹原さんがお食事を用意してくれただけで、嬉しいです」
「わ~、模範解答」
守は野崎のこともツンツンとつついてきた。
「や、やめてください」
学生時代はずっと暗いキャラで(わざわざそうしていたわけではないけれど)、そんな風に絡んでくるタイプの友人はいなかった。
趣味を通じての友人はいたけれど、映画の話で熱くなることはあっても、そもそものキャラがチャラくないため、戯れること自体が気恥しかった。
「守、やめなよ。ほら、座って食べよう」
「瑠璃子のお袋さんの料理美味いんだよな~」
「だから、私もちゃんと一緒に作ったってば!」
ここでも守と瑠璃子がワイワイと盛り上がるばかりで、野崎は出された料理を口に運ぶ作業をひたすら繰り返していた。
しかし、これでよかったのかもしれない。
二人きりになることを望んではいたが、正直二人きりになったらなったで、緊張のあまり何も話せなくなった可能性が高い。
そのことを思えば、こうして守が盛り上げてくれているせいで、楽しい食事タイムという錯覚に陥ることが出来る。
そうこうしているうちに、皿の上の料理もあらかたなくなった。
「じゃ、じゃあ僕はそろそろ・・・」
野崎は真っ先に席を立った。
「え、もっとゆっくりしてってください。あ、このあと何か予定でも・・・?」
「い、いや・・・、そういう訳じゃないけど・・・、やっぱり失礼します」
野崎はすでにリュックを肩にかけて玄関に向かおうとしている。
「そ、そんな・・・、まだ帰らないで・・・」
「えっ・・・」
野崎はギョッとした表情で振り返る。
「瑠璃子、子どもみたいなこと言って困らせたらだめだろ」
守に言われ、瑠璃子は我に返る。
「ご、ごめんなさい、私何勝手なこと言ってるんだろう・・・」
瑠璃子はつい出てしまった本音に、自分自身が一番うろたえる。
守の発言に野崎は益々嫉妬を深めることになる。
外見も申し分なく、性格もフランクで、その上頭も良いなんて・・・。
「お待たせ~」
キッチンから瑠璃子が呼んでいる。
「じゃあ、ご相伴に預かりましょうか」
「はい・・・」
野崎は守のあとについて、ダイニングに入っていった。
「あ、これ瑠璃子のお袋さんが作っただろ」
「・・・べ、別にいいでしょ。それに、少しは私も手伝ったし」
「野崎君、聞いた?人にご馳走するとか言って、母親に作ってもらうとかある」
「もう!守はいないはずだったのに~」
「だから、バレなかったって?それはそれで、もっとあくどいな。野崎君は全部お前が作ったと勘違いするじゃないか」
「ちゃ、ちゃんと本当のこと言うつもりだったし・・・」
「どうだか」
「べ、別に、そういうことは構いません。笹原さんがお食事を用意してくれただけで、嬉しいです」
「わ~、模範解答」
守は野崎のこともツンツンとつついてきた。
「や、やめてください」
学生時代はずっと暗いキャラで(わざわざそうしていたわけではないけれど)、そんな風に絡んでくるタイプの友人はいなかった。
趣味を通じての友人はいたけれど、映画の話で熱くなることはあっても、そもそものキャラがチャラくないため、戯れること自体が気恥しかった。
「守、やめなよ。ほら、座って食べよう」
「瑠璃子のお袋さんの料理美味いんだよな~」
「だから、私もちゃんと一緒に作ったってば!」
ここでも守と瑠璃子がワイワイと盛り上がるばかりで、野崎は出された料理を口に運ぶ作業をひたすら繰り返していた。
しかし、これでよかったのかもしれない。
二人きりになることを望んではいたが、正直二人きりになったらなったで、緊張のあまり何も話せなくなった可能性が高い。
そのことを思えば、こうして守が盛り上げてくれているせいで、楽しい食事タイムという錯覚に陥ることが出来る。
そうこうしているうちに、皿の上の料理もあらかたなくなった。
「じゃ、じゃあ僕はそろそろ・・・」
野崎は真っ先に席を立った。
「え、もっとゆっくりしてってください。あ、このあと何か予定でも・・・?」
「い、いや・・・、そういう訳じゃないけど・・・、やっぱり失礼します」
野崎はすでにリュックを肩にかけて玄関に向かおうとしている。
「そ、そんな・・・、まだ帰らないで・・・」
「えっ・・・」
野崎はギョッとした表情で振り返る。
「瑠璃子、子どもみたいなこと言って困らせたらだめだろ」
守に言われ、瑠璃子は我に返る。
「ご、ごめんなさい、私何勝手なこと言ってるんだろう・・・」
瑠璃子はつい出てしまった本音に、自分自身が一番うろたえる。
0
あなたにおすすめの小説
遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。
沼野 花
恋愛
夫と子供たちに、選ばれなかったイネス。
すべてを愛人に奪われ、彼女は限界を迎え、屋敷を去る。
だが、その先に待っていたのは、救いではなかった。
イネスを襲った、取り返しのつかない出来事。
変わり果てた現実を前に、
夫はようやく、自分が何を失ったのかを思い知る。
深い後悔と悲しみに苛まれながら、
失ったイネスの心を取り戻そうとする夫。
しかし、彼女の心はすでに、外の世界へと向かっていた。
贖罪を背負いながらもイネスを求め続ける夫。
そして、母の心を知っていく子供たち。
イネスが求める愛とは、
そして、幸せとは――。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
靴屋の娘と三人のお兄様
こじまき
恋愛
靴屋の看板娘だったデイジーは、母親の再婚によってホークボロー伯爵令嬢になった。ホークボロー伯爵家の三兄弟、長男でいかにも堅物な軍人のアレン、次男でほとんど喋らない魔法使いのイーライ、三男でチャラい画家のカラバスはいずれ劣らぬキラッキラのイケメン揃い。平民出身のにわか伯爵令嬢とお兄様たちとのひとつ屋根の下生活。何も起こらないはずがない!?
※小説家になろうにも投稿しています。
『冷徹社長の秘書をしていたら、いつの間にか専属の妻に選ばれました』
鍛高譚
恋愛
秘書課に異動してきた相沢結衣は、
仕事一筋で冷徹と噂される社長・西園寺蓮の専属秘書を務めることになる。
厳しい指示、膨大な業務、容赦のない会議――
最初はただ必死に食らいつくだけの日々だった。
だが、誰よりも真剣に仕事と向き合う蓮の姿に触れるうち、
結衣は秘書としての誇りを胸に、確かな成長を遂げていく。
そして、蓮もまた陰で彼女を支える姿勢と誠実な仕事ぶりに心を動かされ、
次第に結衣は“ただの秘書”ではなく、唯一無二の存在になっていく。
同期の嫉妬による妨害、ライバル会社の不正、社内の疑惑。
数々の試練が二人を襲うが――
蓮は揺るがない意志で結衣を守り抜き、
結衣もまた社長としてではなく、一人の男性として蓮を信じ続けた。
そしてある夜、蓮がようやく口にした言葉は、
秘書と社長の関係を静かに越えていく。
「これからの人生も、そばで支えてほしい。」
それは、彼が初めて見せた弱さであり、
結衣だけに向けた真剣な想いだった。
秘書として。
一人の女性として。
結衣は蓮の差し伸べた未来を、涙と共に受け取る――。
仕事も恋も全力で駆け抜ける、
“冷徹社長×秘書”のじれ甘オフィスラブストーリー、ここに完結。
転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。
毎日19時に更新予定です。
側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、孤独な陛下を癒したら、執着されて離してくれません!
花瀬ゆらぎ
恋愛
「おまえには、国王陛下の側妃になってもらう」
婚約者と親友に裏切られ、傷心の伯爵令嬢イリア。
追い打ちをかけるように父から命じられたのは、若き国王フェイランの側妃になることだった。
しかし、王宮で待っていたのは、「世継ぎを産んだら離縁」という非情な条件。
夫となったフェイランは冷たく、侍女からは蔑まれ、王妃からは「用が済んだら去れ」と突き放される。
けれど、イリアは知ってしまう。 彼が兄の死と誤解に苦しみ、誰よりも孤独の中にいることを──。
「私は、陛下の幸せを願っております。だから……離縁してください」
フェイランを想い、身を引こうとしたイリア。
しかし、無関心だったはずの陛下が、イリアを強く抱きしめて……!?
「離縁する気か? 許さない。私の心を乱しておいて、逃げられると思うな」
凍てついた王の心を溶かしたのは、売られた側妃の純真な愛。
孤独な陛下に執着され、正妃へと昇り詰める逆転ラブロマンス!
※ 以下のタイトルにて、ベリーズカフェ(別名義)でも公開中。
【側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、陛下は私を離してくれません】
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる