もう君を絶対に離さない

星野しずく

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もう君を絶対に離さない.24

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 瑠璃子が去ったあと、まだ彼女の香りが部屋中を満たしている部屋で、野崎はもそもそとご飯を口に運んでいた。

 ふと気を抜くと、昨日の瑠璃子の淫らな姿が鮮明によみがえって来て、全ての思考がそっちに持って行かれてしまいそうになる。



 こういうアクシデントは若いころにはきっとありがちなことなのだろう。

 自分のような凡人に、あんな綺麗な女性が襲いかかってくるなんて、そう解釈しなければ説明がつかない。

 もうこのことについて余り深く考えるのはやめよう。



 あれはただの事故だ。

 理由なんて無い・・・。

 お互い若くて、性欲がピークに達していたというだけだ・・・。



 しかし、瑠璃子とは一度事故を起こしているわけで、二度目を起こす可能性が高い相手であることに違いない。

 一度目は事故で済ませていたものも、二度三度となれば、ややこしいことになりかねない。



 野崎は意識的に瑠璃子と距離を取ることに決めた。

 そう、同好会を辞めることにしたのだ。

 どうせ映画なら今までも一人で見ていた。



 一年のうちなら比較的時間に余裕があると思って、気楽な気持ちで入った同好会だ。

 忙しくなればいずれ辞めるつもりでいた。

 それが少し早まっただけだ。

 自分は映画監督になるためにこの大学に入ったのだ。
 
 それの妨げになるようなことはしたくない。



 その日の授業が終わると、野崎はいち早く部室に向かった。
 
 部長の千賀に辞めることを告げると、あっさり承諾された。

 とりあえずメールに添付した感想データをPCに移し、短い間だったけれどお世話になりました、と挨拶をして部室を後にした。



 これでもう昨日の事故に悩まされることはない。

 暫くは瑠璃子の衝撃的な映像が頭をよぎることは仕方ないことだ。

 しかし、それも時間とともに忘れていくだろう。

 野崎は気分を切り替え、いよいよ本気で自分の夢に向かうんだと意気込んだ。

 これでいつも通りの生活が送れる。

 野崎は少しだけホッとした気持ちになっていた。



 翌日、授業を終えた瑠璃子は部室を訪れて、千賀から野崎が部を辞めたことを知らされた。

「そうですか・・・」とだけ言って、瑠璃子は部室を出た。



 本当はひどくショックを受けているのに、それを表現することが出来ないのは思ったより大変なことだ。

 野崎と自分の関係はむしろそんなに親しくない。

 それなのに、過剰に反応すれば、二人の関係を詮索されるだろう。

 それは困る・・・。

 昨日のことは全て自分のせいなのだから。

 これ以上野崎君に迷惑をかける訳にはいかない。



 だけど、学生の数は下手をすれば小さな町ほどあり、広大な敷地の中で学部が違えば野崎君とはもうこれっきり会うことがないかもしれないという現実が瑠璃子に突き付けられる。

 だけど、野崎が辞めたのは自分のせいであることは確かだ。

 今さら謝っても遅いけれど、ひとこと詫びたかった。

 本当はあんなことするつもりじゃなかったと・・・。



 人からは羨まれたり、ときにはからかわれる自分の身体に対するコンプレックスを野崎ならどうするだろうと試したのだ。

 結局口では小さい胸が好きだと言っていた野崎も、瑠璃子の大きな胸にくぎ付けだった。

 やっぱり他の男たちと同じだった。
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