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∽Ⅱ∽
妃教育とお茶会の日々② ~フラン・ピアニッシモ公爵令嬢~
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「次はわたくしですわね」
涼やかな声に顔を向けると4人の中で一番年若い夫人が挨拶を始めた。
「わたくしはフラン・ピアニッシモ。名前でバレちゃうかもしれないけどピアニッシモ家の行かず後家よ。この中では比較的貴女と歳は近いからおじさんおばさんに言いにくいことはわたくしに言ってちょうだい。こう見えても最高の姉と最高の妹を持つ身だもの、私も貴女のもうひとりのお姉様として仲良くなれると思うわ。よろしくね」
見た目はふんわりとして可愛らしい『庇護欲をそそる』と言うのはこういう人のことかと思う容姿にも拘わらず口調は何だかチャキチャキの……
「ちょいギャル?」
思わず口をついてしまった言葉にアリアナ自身が驚いてしまう。
「どうかして?」
とは言え、それは小さな呟きだったので『声を出した』ということぐらいしか気付かれていないようだが……。
「いえ、あの、失礼とは存じますが…「あぁ、わたくしが結婚できない理由?それよく聞かれるしちゃんと答えてるのに信じてくれる人が殆どいないのよね~。で、その理由はこの人」
…と、いきなり隣に立っていた壮年の男性に腕を絡ませた。
「貴女に自衛に必要な知識と護身術の訓練を担当してくれるフェルディナンド・ストライク元辺境伯、わたくしの未来の旦那様よ♡」
そう言ってストライク元辺境伯をうっとりと見つめるフラン。しかし巻き込まれたストライク元辺境伯は小さく息を吐いただけで特に嫌がっているわけではなさそうだ。
「申し訳ございません、プライム伯爵令嬢」
謝罪の言葉を口にしたストライク元辺境伯にアリアナは気にしていないと答える。
「ぁ、私の事はアリアナとお呼びください。皆様はこれから私の師となってくださるのですから敬称も必要ございませんわ」
「それではアリアナ様とお呼びさせていただきます。敬称は、我々にとってはクセのようなものだと思い付けることをご了承くだされば幸いです」
「わかりました。ではそのようにお願いします」
「ありがとう存じます。ではこのような状況なのでフラン…ピアニッシモ公爵令嬢のご挨拶の途中ですが名乗らせていただきましょうか……。先程こちらのピアニッシモ公爵令嬢が仰った通り、これからアリアナ様に自衛のために必要な知識といざという時に身を守る術を身につけるための訓練を担当いたしますフェルディナンド・ストライクでございます。家督は既に息子に引き継ぎましたので爵位はございません」
根が真面目なのだろう、ストライクは今でもフランが呼んだように『元辺境伯』もしくは『閣下』と呼ばれる事が殆どなのだが自身は既に爵位のない平民と変わらないとからと言って自己紹介では官位などを付けない。
「ではストライク先生とお呼びさせていただいても?」
アリアナが問えば微かに口元を緩め頷いた。
「わたくしの事は『フランお姉様』でいいわょ「いいわよじゃない!仮にも師となるべきものがそのような…」」
「ぁ、え~…と、もし宜しければこれから皆様のことは『先生』とお呼びさせていただこうかと……」
フランを窘めようとしたストライクの言葉を遮る様にアリアナが言うと皆一様に頷きホープ夫人が「ではその様に…」と答え、フランは「お姉様って呼ばれたかった……」と残念そうに呟いた。
「あのフラン先生?プライベートの時はフランお姉様とお呼びしても宜しいでしょうか?」
アリアナ最大限の譲歩である。が、フランは満面の笑みで「もちろんよ!」と答えてストライクに今言われたことを報告し苦笑いを向けられていた。
それを眺めながらもアリアナにはフランの優秀さ、優美さがひしひしと伝わってくる様な感覚に浸されていた。
『この方は奔放に振る舞っている様に見えてキチンと線引きが出来るひとなんだわ。それに淑女としての基礎が確りと身に付いているからこそこれほどまでに奔放に振る舞いながらも優雅で他者に不快感を与えないのね』
アリアナが思った様に、フランの所作は表情から指先の些細な動きに至るまで完璧で、そのくせ言葉も動作も表情までもが身分の隔たりを感じさせない様になっている。
その行動は言葉にしてしまえばアリアナが2~3年程前に、姉のフェリシアから聞いたことがある学園生活に沸いて出たという、とある下位貴族の庶子という奔放なご令嬢の行動と変わりがない様にも思えるが、フランを見ていると成程複数の男性が魅了されたというのも頷ける。とは言え件のご令嬢は下心が周囲には勿論の事粉をかけていた子息達にもバレたことで罰を受けることとなったのだが……。
「ところでひとつだけ伺ってもよろしいでしょうか?」
そういえば疑問に思う間もなくストライクから挨拶をされたためキレ~にスルーされていたことを聞いてみる。
「なぁに?」
「その……ストライク先生が未来の旦那様と言うのは………?」
すると『花が咲いたような』という笑顔とはこのようなことなのだと思わずにはいられない程の笑顔で答えた。
「そのままの意味よ。わたくしが10歳の頃に初めてお会いしてから今もずっと口説いてる最中なの♡」
最中……ということは実る可能性は高くないのでは?と思ったものの、無難に微笑んで「そうなんですね」と答えるに留めた。
涼やかな声に顔を向けると4人の中で一番年若い夫人が挨拶を始めた。
「わたくしはフラン・ピアニッシモ。名前でバレちゃうかもしれないけどピアニッシモ家の行かず後家よ。この中では比較的貴女と歳は近いからおじさんおばさんに言いにくいことはわたくしに言ってちょうだい。こう見えても最高の姉と最高の妹を持つ身だもの、私も貴女のもうひとりのお姉様として仲良くなれると思うわ。よろしくね」
見た目はふんわりとして可愛らしい『庇護欲をそそる』と言うのはこういう人のことかと思う容姿にも拘わらず口調は何だかチャキチャキの……
「ちょいギャル?」
思わず口をついてしまった言葉にアリアナ自身が驚いてしまう。
「どうかして?」
とは言え、それは小さな呟きだったので『声を出した』ということぐらいしか気付かれていないようだが……。
「いえ、あの、失礼とは存じますが…「あぁ、わたくしが結婚できない理由?それよく聞かれるしちゃんと答えてるのに信じてくれる人が殆どいないのよね~。で、その理由はこの人」
…と、いきなり隣に立っていた壮年の男性に腕を絡ませた。
「貴女に自衛に必要な知識と護身術の訓練を担当してくれるフェルディナンド・ストライク元辺境伯、わたくしの未来の旦那様よ♡」
そう言ってストライク元辺境伯をうっとりと見つめるフラン。しかし巻き込まれたストライク元辺境伯は小さく息を吐いただけで特に嫌がっているわけではなさそうだ。
「申し訳ございません、プライム伯爵令嬢」
謝罪の言葉を口にしたストライク元辺境伯にアリアナは気にしていないと答える。
「ぁ、私の事はアリアナとお呼びください。皆様はこれから私の師となってくださるのですから敬称も必要ございませんわ」
「それではアリアナ様とお呼びさせていただきます。敬称は、我々にとってはクセのようなものだと思い付けることをご了承くだされば幸いです」
「わかりました。ではそのようにお願いします」
「ありがとう存じます。ではこのような状況なのでフラン…ピアニッシモ公爵令嬢のご挨拶の途中ですが名乗らせていただきましょうか……。先程こちらのピアニッシモ公爵令嬢が仰った通り、これからアリアナ様に自衛のために必要な知識といざという時に身を守る術を身につけるための訓練を担当いたしますフェルディナンド・ストライクでございます。家督は既に息子に引き継ぎましたので爵位はございません」
根が真面目なのだろう、ストライクは今でもフランが呼んだように『元辺境伯』もしくは『閣下』と呼ばれる事が殆どなのだが自身は既に爵位のない平民と変わらないとからと言って自己紹介では官位などを付けない。
「ではストライク先生とお呼びさせていただいても?」
アリアナが問えば微かに口元を緩め頷いた。
「わたくしの事は『フランお姉様』でいいわょ「いいわよじゃない!仮にも師となるべきものがそのような…」」
「ぁ、え~…と、もし宜しければこれから皆様のことは『先生』とお呼びさせていただこうかと……」
フランを窘めようとしたストライクの言葉を遮る様にアリアナが言うと皆一様に頷きホープ夫人が「ではその様に…」と答え、フランは「お姉様って呼ばれたかった……」と残念そうに呟いた。
「あのフラン先生?プライベートの時はフランお姉様とお呼びしても宜しいでしょうか?」
アリアナ最大限の譲歩である。が、フランは満面の笑みで「もちろんよ!」と答えてストライクに今言われたことを報告し苦笑いを向けられていた。
それを眺めながらもアリアナにはフランの優秀さ、優美さがひしひしと伝わってくる様な感覚に浸されていた。
『この方は奔放に振る舞っている様に見えてキチンと線引きが出来るひとなんだわ。それに淑女としての基礎が確りと身に付いているからこそこれほどまでに奔放に振る舞いながらも優雅で他者に不快感を与えないのね』
アリアナが思った様に、フランの所作は表情から指先の些細な動きに至るまで完璧で、そのくせ言葉も動作も表情までもが身分の隔たりを感じさせない様になっている。
その行動は言葉にしてしまえばアリアナが2~3年程前に、姉のフェリシアから聞いたことがある学園生活に沸いて出たという、とある下位貴族の庶子という奔放なご令嬢の行動と変わりがない様にも思えるが、フランを見ていると成程複数の男性が魅了されたというのも頷ける。とは言え件のご令嬢は下心が周囲には勿論の事粉をかけていた子息達にもバレたことで罰を受けることとなったのだが……。
「ところでひとつだけ伺ってもよろしいでしょうか?」
そういえば疑問に思う間もなくストライクから挨拶をされたためキレ~にスルーされていたことを聞いてみる。
「なぁに?」
「その……ストライク先生が未来の旦那様と言うのは………?」
すると『花が咲いたような』という笑顔とはこのようなことなのだと思わずにはいられない程の笑顔で答えた。
「そのままの意味よ。わたくしが10歳の頃に初めてお会いしてから今もずっと口説いてる最中なの♡」
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